導入事例
「健康経営チーム」が選んだ“自社にフィットする施策”はOFFICE DE YASAI/株式会社WOWOW
従業員満足度を向上するための打ち手のひとつである福利厚生。社員食堂からジムの費用支援制度、レジャー施設の優待券など、あまりにも種類が多すぎて、自社にフィットした …
前篇では、「食」を中心としたヤフー株式会社の働き方改革について伺ってまいりました。中篇では、働く時間や場所など、さらにヤフー株式会社の働き方を深掘りしていきたいと思います。
■ゲスト(写真右)
ヤフー株式会社 Yahoo!アカデミア 学長 / 伊藤 羊一 氏(以下、伊藤)
■インタビュアー(写真左)
株式会社KOMPEITO 代表取締役社長 / 川岸 亮造(以下、川岸)
川岸: 前回までのお話で、「食」を中心とした取り組みについてお伺いしてきましたが、その他に「UPDATE働き方」として取り組まれていることはありますか?
伊藤: その他には、新幹線通勤ですね。満員電車に揺られて1時間かけて通勤するんじゃなくて、自分の故郷に近いところに住んで新幹線通勤するっていうことを認めています。
川岸: じゃあ、結構遠いところに住んでいる方も多いんですか?
伊藤: 軽井沢や越後湯沢に住んでいる社員がいますね。白河や静岡等、この圏内であれば、社員なら誰でも新幹線で通勤できる形にしています。だから要は、住む場所を自分で選べるということです。東京圏で働いている人って、通勤に行き帰りで1時間40分くらいかけているらしいんですよね。1時間40分満員電車は辛いですよね。そこで、どうしたらいいかなって。
例えば、空気がいいところとか、時間はかかるけど親御さんの住んでいるところとか、自分の故郷とか。別に満員電車から逃れるんじゃなくて、自分で選べるということを踏まえ、通勤面にも工夫をしていますね。
あと例えば、個人の選択っていう点で、これは多くの会社が取り入れていることなんですが、フレックスタイム制ですよね。10時から15時はコアタイムで、それ以外の組み立ては自由です。ミーティングをするなら、その時間に合わせたり。それ以外の時間は、朝はサーフィンして来るとか、15時過ぎたら映画を観に行くとか、自由にできると。
川岸: この5時間がコアタイムっていうことは、プラス3時間を前に持ってこようが後ろに持ってこようが、自由ってことですよね。
伊藤: 今日は10時から15時だけにしようって言って、残りの3時間を別の日に持っていくってこともOKなので、めっちゃフレックスなんですよ。
川岸: じゃあ、10時から15時まで働いて、他の日に少し長めに働いたりしてっていうのを自分で選べるんですね。
伊藤: そうなんですよ。このフレックス制と組み合わせ出来るのが、「どこでもオフィス」という制度です。これは、月5日までは、通信環境のある場所であれば、オフィス外のどこで働いても良いという制度。この制度で、海辺で働く人もいたり、自宅で働く人もいたり。例えば、土日はサーフィン三昧だから、金曜日もサーフィンができる場所に行って、朝から10時まではサーフィンして、そのまま海辺で仕事をしたり。
川岸: 優雅ですね!
伊藤: そうなんです。こういうことが出来るんですよね。だから10時から15時は近くのカフェで仕事したりして、場所も自由に選べます。そういう風に、働く時間も場所も選択できるし、通勤方法も選択できる。自分で働く時間とか場所、働き方を選択できることが、僕らにとっての働き方改革のベースになっています。全員が健康的に暮らすということが土台にあって、その上で選択できるっていうことを考えています。
川岸: オフィスでずっとガリッとやってもいいよ、という選択肢もありってことなんですね。
伊藤: そうそう。
川岸: 会社に来て集中してやりたいって方はやればいいし、そうじゃない働き方をしたい方には選択肢がいっぱいあるってことなんですね。
伊藤: そうそう。そこを自分で選んでいくっていうのが大事で。当然、自分勝手にやればいいんじゃなくて、ミーティングなどがある時は集まるし。フリーアドレスにしていることともセットなんですよね。いつも同じ人と隣同士でいる必要もないわけで、話したければミーティングすればいいし。そこは選択できるっていう形です。もちろん、ずっとオフィスにいるって人も当然います。
川岸: 結構大人な社員じゃないと成り立たないですよね。その辺はヤフーさんだと、新卒の社員が入っていらっしゃると思うのですが、いきなりそんな自由を与えられても上手くできない人もいるんじゃないかな?って。
伊藤: そうは言いながら、いきなりそれで仕事をやれるかっていうと、できないわけで。当然、ちゃんとティーチングしていく過程は必要です。自分一人でできるかっていうと、できない。じゃあ、オフィス来てちゃんと学ぶよね、と。仕事全然知らないのに、「どこでもオフィス」とかってできないよねって。
権利と義務っていうか、自由と責任みたいなものですよね。責任を果たすために自由でいると。だからなんのためにやっているかっていうと、自分の人生を自由にコントロールし、自分の人生を自分で作っていくことで、より働き方改革の本質というか、よりアウトプットを高くする。時間を短くして、アウトプットを高くする。つまり、生産性ですよね。生産性を上げるっていうことのモチベーションが、一つのエンジンになるというか。そんなところを目指しているって感じですかね。生産性っていうと、「改善活動」っていう風に聞こえちゃうんですけど、全然それだけではなくて。やっぱり働く人が、最小のインプットで最大のアウトプットを出さないと、国際競争力だって塞がれちゃう。
川岸: 日本は人口がどんどん減ってきますからね。
伊藤: このアウトプットを出すために、意志でこうやってやるんだという、仕事に向かうスタンスは必要なんで。
川岸: 安心安全の元でしっかりとコンディションを整えた上で、さらに自分のやる気やモチベーションなどがフルに発揮できる状態じゃないと、良い仕事ができないなあと。
伊藤: そのためには、自分で時間と場所を選択できるようにしているってことですね。今は労働時間とかって言われていますけど、労働時間っていうのは、インプットの一側面を切り取った部分。モチベーションが上がっていれば、労働時間も短くなるよねって。
川岸: そうですよね。同じ時間でも、燃え上がっている人の方が早く仕事が終わりそうですし、質もいいような気がしますね。
伊藤: だから、働き方改革って、最終的にはいろんな施策が相まって、”生産性=アウトプット/インプットを最大化する”っていうのが目指す姿なんだろうなって。
川岸: そういう意味では、人を燃えさせるっていう点では、伊藤さんがYahoo!アカデミアでやられているリーダー教育も通ずるところがあるんじゃないかなって思うんですが。
伊藤: そうなんですよ。僕らYahoo!アカデミアで目指しているというか、我々がどんな人材になっていかなくちゃいけないのかっていう理想像は、「理想の○○さん」みたいな人ではなくて、「自立した人材だ」と言っているんですよね。自立した人材ってどういうことかというと、自分で自分の人生をコントロールして、自分の人生を作り上げていくっていうこと。
川岸: なんかそれって、もう会社とかじゃないんですね。自分の人生設計なんですね。
伊藤: その結果が、自分の人生をこう作っていこうってことに目覚めましたっていう場所がヤフーだったとしたら大変幸せですね。
もし結果的に、OFFICE DE YASAIさんで働きたかった!ということになったとしたら、それはそれで、人生目覚めてよかったね!と言えるほどには、僕らも覚悟を決めています。とにかく自分の人生を選んでいくってことが大事だなって。そんなことをYahoo!アカデミアはまさに目指しています。
だから、働き方改革で言うところの「自由」ってことで、働く場所の自由、時間の自由、もう一つあるのが「やることの自由」。ヤフーでは”やりたい仕事は自分で決める”という文化がかなり徹底していて、自分のキャリアをどう歩んでいったらいいのかは自分で考えていけ、っていうのが割と徹底しています。
具体的には、「ジョブチェン」という制度があって、新たな職種にチャレンジしたい場合に、その希望を自己申告できます。だから、Yahoo!アカデミアをやっている私が、例えばエンジニアになりたいと言うと実際にはかなり違和感があるんだけど、もしコードが超かけて、エンジニアリングに関する造詣が深くてっていうことであれば、「ジョブチェン」の期間内であれば応募できるという制度です。デザイナーになりたいでもいいし、マーケティングやりたいとかでもいいし。人手不足だから募集されると言う「公募」とも、ちょっと違うんですよ。
川岸: そうですね。だいたいどの会社でもありますけど、”こういうプロジェクトが立ち上がるので、やりたい人いませんか?”って。プロジェクトがまず最初に立ち上がりますよね。
伊藤: これは違っていて、誰がどこに応募しても良いっていう制度なんです。もちろん、面接してOKかNGかを決めます。だから、必ずしも100%そうはいかないんですが、基本自分のキャリアは自分で作るっていうのを徹底していると思います。
川岸: そうなってくると、組織全体で見た時に、部署間で偏りが出たり、あまり皆さんがやりたがらない仕事だとこぼれ落ちていくみたいなことが、懸念としてあるかなと思うのですが・・・
伊藤: そうそう。だから人気ある仕事ってありますよね。ただ、それはそれで仕方ないと。人気あって良いよねって。逆に、下手したら人がいなくなっちゃうような可能性があるところも当然あります。その場合は、そこの責任者はもっと魅力のある職場にしようぜ、と。職場のリーダーにかかっているんですよね。
川岸: じゃあ、そこの職場なり仕事なりを魅力的に感じるようにアピールしたり、仕事からそういう風に感じてもらえるようなマネージをしていれば、自然と人も集まってくるだろうし、他も良さそうに見えるけれど、自分のところも居心地が良いなと思ってもらえるということですね。
じゃあ、リーダーの方達は結構重責ですね。
伊藤: 重責ですよ。重責だし、ちゃんとマネジメントしないと、「変わりたい」って思われる可能性も高まるので、ちゃんとマネジメントしようねっていうのはかなり徹底していますよね。ヤフーに来て、マネージャーの役割って相当大変だなって思いました。
川岸: 今聞いただけでも、大変だなって思いました。1on1とかも流行っていますが、個人も見て、組織全体も見て、かつ事業業績にも責任を持つわけですよね。
伊藤: まさに1on1っていうのは、働き方改革のひとつに位置付けられると思います。キャリアは自分で決めていきます。仕事の力は職場でつけていきます。
その上で先ほど、才能と情熱を解き放つって言ったんですけれど、何をやっているかというと、基本1on1をやっているんですね。1on1を通じて、マネジャーがメンバーにこれやってんのか、あれやってんのかって進捗確認するんじゃなくて、”メンバーのための時間”という形で、メンバーが自身の才能と情熱を解き放たれるためにコーチングしたり、フィードバックしたり、キャリアをそういう風に考えているんだったらこういうサポートをしようかというように、自立を促しています。
川岸: ますますリーダーは大変ですね。コーチングスキルも磨かなきゃいけないし。
伊藤: そうなんですよ。だから、ちゃんとそこは覚悟を持ってやろうねっていう。
川岸: じゃあ、リーダーになる方達は、そういう教育もしつつ、覚悟を持って自分の部門を統率していくっていう。
伊藤: そうなんですよ。結局それをやることで、メンバーがみんな解き放たれて、イェイ!とか言ってノリノリになったら、もうアウトプットが最大化するので、それがあなたの仕事でしょっていう。自分一人でできる仕事なんて、たかが知れているじゃないですか。
川岸: 逆に言うと、事業目標を達成しようと思った時にそういう状態を作れば、テコ入れとかでやたら動き回る必要はなくなって、結果的に楽になるっていう感じですかね。
伊藤: 業績の目標って常にハードじゃないですか。大変な時どうするかっていうと、生産性を上げないと業績なんて上がらないわけで。能力を上げて、生産性を上げて、っていうことをするためにマネージャーは全力を出さなきゃいけないってことなので、表面的には大変なんだけど、それやらないでどうするんだっけっていうところですよね。
川岸: 結局、そうじゃない努力をして事業目標を目指しても、結果届かない。大変な状態が続くのであれば、そこに行き着くための手段として、総和をあげて行くことに力を尽くす。まさにそれをやっていると。
伊藤: 自分の自由を選択でき、その環境の中でフワっと解き放たれる。そうすると、社会に対してちゃんと貢献できるよねっていう全体像が、まさに「働き方改革」なんですよね。
次回はいよいよ後篇。ヤフーが目指す「UPDATE働き方」のその先とは?お楽しみに!
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