導入事例
「健康経営チーム」が選んだ“自社にフィットする施策”はOFFICE DE YASAI/株式会社WOWOW
従業員満足度を向上するための打ち手のひとつである福利厚生。社員食堂からジムの費用支援制度、レジャー施設の優待券など、あまりにも種類が多すぎて、自社にフィットした …
様々な新しい働き方を提唱し、働き方改革の先頭を常に走り続ける、サイボウズ株式会社代表取締役社長の青野慶久氏。今回は、青野氏の目指す組織やその背景についてお話を伺いました。
■ゲスト(写真右)
サイボウズ株式会社 代表取締役社長 / 青野 慶久氏(以下、青野)
■インタビュアー(写真左)
株式会社KOMPEITO 代表取締役社長 / 川岸 亮造 (以下、川岸)
川岸: 最初にお伺いしたいのが、サイボウズさんでも離職率が28%だった時期があるとお伺いしましたが、どのような状況だったのでしょうか?
青野: 10年くらい前のことですね。当時はITどベンチャーの時代だったので、夜遅く働くのも当たり前で、休日も誰かしら出てきている会社でしたからね。
川岸: 会社に電話すれば、誰かしら出てくれるっていう(笑)
青野: 当時はあまり悪いことだとも思ってなくて。「ITベンチャーなので離職率が高くてあたりまえじゃないか」と。業績を伸ばす方に力を入れていました。しかし、さすがに離職率があそこまで高くなってしまうと、なんとかしないといけないと、方針を大きく変えました。
川岸: 具体的にどのように変えたんですか?
青野: 給料を上げたこともありましたが、あまり効果がなかったんです。いろいろ試してみて僕が理解したのは、「人それぞれ働き方って違うんだな」という当たり前のことでした。それからは一律で何かしようというわけではなく、一人一人のわがままをできるだけ実現できるようにしましょう、という方向にシフトしていきましたね。
川岸: どういうところから着手されたんですか?
青野: 社員に意見を聞くところから始めました。方針としては「100人100通りの人生を応援する」というところから、求める人生を社員に挙げてもらいました。一番多かったのは「時間」です。「残業したくないです」とか「週3日で勤務したいです」とか。次に「場所」。「会社外で働きたい」とか。そういうのを一個一個、聞いていった感じです。
川岸: 「早く帰れ、でも結果は出せ」のようなバランスの問題は出てくると思うんですが、そこに関してはどうお考えですか?
青野: 2008年から売上の上昇がピタッと止まってしまったんです。でも、短期的に売上を上げようとするよりも、まずは会社の雰囲気を良くしようと思いました。実際、一人一人の働きたい働き方が実現できるようになってくると、社内の空気が良くなってきて。あの状態を放っておいたら、何かが起きると予感したんですよね。
川岸: それは当時、青野さんが肌で感じていたことなんですね。
青野: そうです。会社の雰囲気を良くする延長線上に、事業の成長があるんじゃないかと思ったんです。そしたら2012年から売上もぐっと上がってきて。今はある意味、事業が成長しながら離職率が低いといういい状態が続いています。
川岸: なるほど。いろいろと取り組まれている中で、一番特徴的な制度を教えてください。
青野: 今は「副業」が面白いんじゃないんでしょうか。サイボウズでは、会社に承認されなくても、他の会社やアルバイトとして働いても良いのですが、それが結構、盛り上がっていますね。
川岸: 「副業もサイボウズも、どっちも頑張ろう」となるのでしょうか。どちらも忙しくていっぱいいっぱいになってしまう方も、中には出てくるんじゃないかと考えてしまうんですけど(笑)
青野: いやあ、なりますなります(笑)そうなると、セルフマネジメントしないといけないことを自覚しますよね。それまでは会社に9時から18時までいればよかった。ある種セルフマネジメントしなくてもよい環境だったのが、今度は自分でコントロールしないといけなくなる。これが、いい成長につながると思うんですよね。
川岸: なるほど。どちらに対しても生産性の良くない状態を続けることで「どうにかしないと」という考えになっていくと。
青野: そう。「どちらからも怒られる、困ったぞ」という具合に(笑)
川岸: 今まで憧れでダブルワークしようって思っていたけど、実際にやってみて、8:2くらいが丁度いいとか、最適な配分などに気付くことができると。
青野: 時間だったり、給与だったり、どういうバランスでどのように働くことを設計していくのか。それが2つある人、3つある人、いろいろあってもいいと思うんですよ。考えながら自分で選択して責任を取っていくというのが、これからの時代はすごい大事だと思っているんです。そして社員にはそうあってほしいんです。
川岸: 責任をもって自由に仕事できるけど、その分、自分を律していけるようなある種、大人な社員さんが増えると組織として強くなる、と。
青野: そうです。それを目指しています。「自立」という言葉を使うんですけどね。
人に立たせてもらうんじゃなくて自らの足で立つ、自分で「どんな人生を生きていきたいんだ」っていうことです。ある意味厳しいですよね(笑)
川岸: そうですね(笑)では、働く場所や時間にとらわれないという観点からいうと、サイボウズさんがサービスとして提供している「グループウェア」があるから実現できるところもあるんでしょうね。
青野: そうですね。“ある場所に行かないと働けない”という状態だと、多様な選択肢は取れません。それを“どこからでもいつでも、仕事できますよ”という形にすれば、たくさんの選択肢が取れますよね。そのために情報共有のインフラというのが必要になってきますね。今はクラウドとか便利な時代ですから使わない手はないよね、と思います。
川岸: 画面だけ並べて会議とかもできますもんね(笑)
青野: 私も普通にスマートフォンから参加しますからね。
時間も場所も自由に働ける時代になってはいますよね。逆に人間が、なかなかそこに追い付いていないかもしれません。道具を使いこなせていない人間がいるような。でも、サイボウズで副業している人たちは、社内のスケジュールに副業の時間まで登録するんですよね(笑)「副業でいません」みたいな(笑)
川岸: わかりやすいですね。そしたら、他の時間に仕事を頼もうってなりますね。
青野: そうなんですよ。こそこそやったり隠したりすると、一緒に仕事しにくくなってしまうんですけどね。
川岸: なるほど、確かにそうですね。さてここまで、副業や働く場所を選ばないという話を伺ってきたのですが、サイボウズさんのオフィスというのも、実に素敵ですね。
青野: いや僕、最初はオフィスいらないんじゃないかと思ったんですよ。そしたら「欲しい」っていう社員が何人かいたんです。「みんなが集まって、オンとオフとを切り替えてモチベーション高く一体感をもって仕事ができる場所が欲しいんです」って言われて。そこで僕は、それに沿ってオフィスを作ってくれと指示を出したら、こんなオフィスになってしまいました(笑)
川岸: いやいや、すごい魅力的なオフィスです。
青野: 「楽しく、みんなが集まりやすく、一体感をもって仕事ができる。」それがコンセプトですね。
川岸: まさにそれが形になっていますね。オフィスの効果もあり、離職率低く、事業も成長されているサイボウズさんですが、次に目指すステージっていうのは何かお考えになられているのでしょうか?
青野: そうですね、次は「国際化」がテーマになっています。海外に拠点が増えていますので、言語の問題、時差の問題、これらをどうしていくのか、どのようにグローバルにチームを作っていくのかというテーマがあります。他には障碍者雇用にも、もっとチャレンジしたいですね。障碍者の方であっても、普通にサイボウズの活動に参加してもらえるような会社にしたいなとか。さらには、健康経営ですかね。
川岸: ありがとうございます、触れていただいて(笑)
青野: 働く時間や場所もそうですけど、そこにいる人たちが健康であるかどうか。健康でなければそもそも働けない、という観点から、休息だけでなく栄養だとか運動だとかを管理して、みんなが自律的に高められるかが大事ですよね。
川岸: そうですよね。我々の言っている「働き方改革」というのがその栄養にあたる部分でして。仕事中のパフォーマンスを最大限に発揮するために、頭が切れている状態や、体のコンディションが良い状態を保つというのが重要だと思っています。そのために、足りない栄養素を会社が少し補助するっていうことを我々なりの「働き方改革」として掲げていますね。
青野:いいですね。ぜひ事業を発展させて、日本中のコンディションが良い状態になればね。
川岸:国際化がテーマとなると、多様な食習慣とも向き合う必要もあるのかもしれませんね。
青野: 「食」って世界共通の話題ですよね。おいしいものが嫌いな人はいないはずですよね。
それに、「食」から学ぶことって多いと思うんですよ。食物って、四季折々、土地折々の多様性があって、育つ時間があって、人間の本来のペースと合っていると思うんですよね。それに触れることで、人間がもっと人間らしく生きられると思いましたね。
川岸: まさにおっしゃるとおりだと思います。
では、最後の質問です。一時期は、社員の理想を聞いて売上が横ばいの時期もあったということですが、利益を出しているサイボウズさんだからこそ取り組めたのでは?と考える方もいらっしゃると思います。事業成長を実現させながら働き方を改革するために重要なことについて、改めて教えていただけますでしょうか。
青野: サイボウズの事業も、すぐに伸びたわけではないですね。ただその時に、多様な人材がモチベーション高くいたって状態があったんです。そのため、「このまま売上が上がらなかったら、みんなの給料を下げていかざるを得ないよ」と、耳元で囁いていたんです(笑)そしたら、みんながいろんなアイデアを出したり、新しいビジネスモデルにチャレンジしてくれたり。利益があるからできるということではなくて、社員がモチベーション高く取り組んでいることの方が、インフラとしては大事だと思います。だからと言って必ず儲かるようになるとは言えないんですが、そこは必須条件ですね。野菜でいうと土づくりみたいな。いい土があると育ちますよね。
川岸: やっぱり立派なものを継続的に作り上げていくには、土台づくりから始めていくということなんですね。
青野: それが経営者の仕事だと思いますね。
川岸: 勉強になります。制度改革だけでなく、チームの空気感や土壌=環境づくりが大切だというところをお話しいただきました。青野さん、本日はありがとうございました。
青野: ありがとうございました。
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