福利厚生制度
福利厚生を活用!社員満足度の高い「健康経営」を実現する方法
急速に少子高齢化が進んでいる日本では、深刻な問題を抱えています。 高齢者が増え続けることで、社会保障費の増加による財政の圧迫・生産年齢人口の減少による労働力の低 …
昨今、福利厚生があるかどうかで企業を選ぶ求職者も多いようです。
優秀な人材を確保し自社で長く働いて欲しいと考えるなら、時代の流れに沿って、せめて最低限の福利厚生は導入しておいたほうがよいでしょう。
福利厚生にもさまざまなサービスが生まれています。
そこで、今回は、企業が最低限導入しておくべき福利厚生についてくわしく解説します。
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目次
福利厚生とは、企業が自社の従業員に対し、給料のほかに提供する非金銭報酬のことです。
給料は、企業が従業員に支払うものですが、福利厚生は企業が従業員に対する姿勢を示すものといってもいいでしょう。
そのため、多くの求職者は就職や転職を考える際、その企業にどんな福利厚生が盛り込まれているかをチェックします。
自社の労働生産性を高めたいのであれば、企業側は求職者や自社の従業員が最低限必要とする福利厚生の導入を検討すべきでしょう。
福利厚生には、「法定福利厚生」「法定外福利厚生」の2種類が存在します。
法定福利厚生は、言葉の通り法律で定められた内容で、社会保険や労災保険など、企業が営業をする上で最低限、必要なもののことをいいます。
もう1つは法定外福利厚生といい、最低限である法定の内容を超えて企業が独自に設けるものです。
企業が任意で設ける制度ではありますが、福利厚生の目的を果たすために最適なものを選択し、導入されています。
法律で企業への導入が定められている法定福利厚生は、企業経営を行う上で最低限カバーしておきたい内容です。
企業に勤める従業員の生命や安全に関わる最低限の内容のもので、企業側が費用負担をしなければなりません。
具体的な内容は後述しますが、仮に、企業が最低限の内容の法定福利厚生を未導入であれば、義務を果たしていないことにより、懲役刑や罰金が科されたり、従業員から損害賠償請求をされたりする可能性もあるため、注意しましょう。
企業経営において最低限の内容である法定福利厚生は、企業が費用負担をしなくてはなりませんが、「パートやアルバイト従業員は対象とならない」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、「パートタイム・有期雇用労働法」で、正社員とパート・アルバイトの従業員との間で、福利厚生を含む待遇面において不合理な差が生まれないようにしなければならないと定められました。
企業は、正規雇用の従業員と同様に、一定の条件を満たすパートやアルバイト従業員に対して法定福利厚生を提供しなければなりません。
また、法定外福利厚生の内容もできるだけ均等に提供することが望ましいとされています。
ただし、配偶者に扶養されているパートやアルバイト従業員は、扶養者の制度が適用され、勤務先の制度が適用されない場合がありますので、注意しましょう。
また、派遣社員については、家族に扶養されている状況と同様に、派遣会社の制度が適用される場合があります。
唯一、福利厚生を提供する必要がないケースは、個人事業主や無償ボランティア、無償のインターンシップなどです。
ただし、個人事業主の場合でも、従業員を雇う場合には福利厚生が必要となり、個人事業主自らにもその内容が適用されますので、注意しましょう。
最低限の内容である法定福利厚生は、法律で義務づけられているため、企業は整えなくてはならなりません。法定福利厚生の内容は、雇用した従業員の生命を守り、安全を担保する最低限のものだからです。
仮に、非常時に陥った場合には、適切に補償される、企業経営に必要な最低限の内容です。法定福利厚生が整っていれば、従業員は安心して仕事に精を出すことができるでしょう。
福利厚生は、現在、雇用している従業員だけでなく、求職者にも注目されています。
少子高齢社会で労働人口が減少している日本は、企業では人材不足と採用難の状況が続いており、特に中小企業は、大企業と比較すると知名度はありませんし、待遇面でも及ばないことも多いでしょう。
求人を出しても、求職者からの応募者が少なく、望むような人材を採用できない状況かもしれません。
よりいい人材を確保するためにも、中小企業こそ、最低限の福利厚生だけではなく、意識して内容を充実させる必要があるといえるでしょう。
どのような内容に注力していくかは、企業がしっかり検討しなければなりません。
最低限の法定福利厚生が整備されているかどうかは、ブラック企業かどうかを見分けるためのチェック項目になっているからです。
企業が任意で導入する法定外の内容も、企業選びの時点でよく見られているものです。
福利厚生は、企業が従業員に対して働きやすい環境を整え、従業員を大切にしていることの証明になります。
在籍する従業員にとっても、採用された求職者にとっても、充実した福利厚生によって満足度が高まり、離職率の低下も期待できるでしょう。
最低限の福利厚生である法定福利厚生に含まれるサービス内容は、下記の6つです。
1.健康保険
2.介護保険
3.雇用保険
4.労災保険
5.厚生年金保険
6.子ども子育て拠出金
場合によっては、この6つに障害雇用納付金や災害補償費用などが加わることもあります。
健康保険は、法定福利厚生の1つです。
加入すると、従業員が病気やケガをして病院や診療所で診察を受けたり、処方薬を出してもらったりした場合に、国が医療費を負担してくれます。
正規雇用の従業員は、この健康保険に加入しなければなりません。
さらに、月の就業日数が多く一日の労働時間が長い場合は、パートやアルバイトなどの非正規雇用者も加入が義務づけられています。
保険料は、企業の所在する地域や従業員の年収によって異なりますが、企業と従業員が折半することが一般的です。
なお、従業員に家族がいる場合には、その家族も加入することがあります。
失業や雇用継続などに関する雇用保険も、法定福利厚生です。
以前は、「失業保険」と呼ばれ、失業手当金の給付に重点が置かれていましたが、雇用保険になってからは、失業の予防や雇用構造の変動への対応も重視されています。
現行で規定されている「失業等給付」は、下記の4つです。
1.求職者給付
2.就職促進給付
3.雇用継続給付
4.教育訓練給付
雇用保険は、倒産など企業側の都合で退職するケースだけでなく、自己都合でも受給できることがあります。
また、育児休暇中の従業員は、「育児休業給付」の受給が可能です。
なお、雇用保険は企業と従業員が折半するケースもありますが、大抵は企業側が負担します。
法定福利厚生には、介護保険もあります。
何らかの理由で介護が必要になった時に支給されるもので、日本では1997年に高齢化社会化対策として制定され、2000年に新しく導入されました。
給与明細を注意深くチェックしていれば気付くと思いますが、40歳になると加入が義務づけられ、給料から差し引かれます。
介護保険も、企業と従業員で折半することが一般的です。
厚生年金保険も、法定福利厚生の1つで、基礎年金である国民年金に上乗せして支給されます。
従業員が5人以上いる企業は加入の義務があり、健康保険と同じように、企業と従業員とが折半して納めなければなりません。
なお、保険料は従業員の年収や年齢によって異なります。
法定福利厚生には、労働者災害補償保険も含まれます。
一般的に、労災保険と呼ばれ、仕事中や通勤途中など、業務に関わることが原因でケガを負ったり病気にかかったりした時に給付されるものです。
労災保険は、負傷や疾病中の従業員が早く社会復帰できるよう、対象者やその遺族などを支援して安全や衛生を確保し、労働者の福祉を図ることを目的としています。
業務外のケガや病気で受けられる健康保険との大きな違いは、仕事や業務中のケガや病気に対して給付されることです。
なお、従業員が1人でもいる企業は労災保険への加入義務があります。
保険料は企業が全額を負担するのが一般的です。
2015年に「児童手当拠出金」から名称変更された、子ども・子育て拠出年金も、法定福利厚生の1つです。
厚生年金とともに徴収されますが、厚生年金とは異なり、企業が全額を負担します。
このサービスは、社会全体で子育てにかかる費用を負担しようというものです。
従業員に子どもがいるかどうかに関係なく、厚生年金に加入している従業員全員が加入対象となります。
なお、金額は従業員の標準報酬月額・賞与額に応じて定められます。
法定福利厚生に加えて、最低限備えておきたい法定外福利厚生もあります。
多くの企業で導入が進んでいる、6つの代表的なサービスを紹介しましょう。
最低限備えておきたいサービスとして、最初に検討すべきは、食事関連です。
具体的には、社員食堂の提供や食事手当として昼食代の一部負担、外食で利用できる食事券の配布などがあります。
2015年に「実際に働いている社員」を対象に実施されたマンパワーグループの調査では、「実際にあった福利厚生でよかったと思うもの」の第1位は「食事補助」(17.1%)でした。
従業員にとって、毎日の食事は「働くための活力」となり、働くコンディションを整える意味でもとても大切です。
企業が最低限の法定外福利厚生を備えるなら、従業員から人気の高い食事関連を優先するとよいでしょう。
最低限備えておきたいサービスには、医療・健康関連もあります。
たとえば、健康診断や人間ドックにかかる費用の一部または全部負担、心身の健康に関する相談窓口やカウンセリングの設置、スポーツ活動費用の補助などです。
日本では、2015年の労働安全衛生法の改正により、企業の従業員に対するストレスチェックが義務化されました。
従業員の働くコンディションを整えるには、食事関連とともに医療・健康関連サービスの充実が欠かせません。
昨今は、「健康経営」という言葉も使われ、日本でも従業員の健康維持や増進が注目されています。
以前と比べて、「メンタルのケア」に重点を置く社会的な流れもあり、今後、法定外福利厚生として医療・健康関連を導入する企業は増えていくでしょう。
住宅関連も、最低限備えておきたい法定外福利厚生の1つです。
たとえば、住宅手当や住宅ローンの補助・社宅や寮の提供・引越費用の補助などが、このサービスに含まれます。
実際、先のマンパワーグループによる調査の「会社の福利厚生として良いと思うものは」という問いで、「住宅手当・家賃補助」は48.3%でした。
すでに導入している企業も多く、2019年度に日本経済団体連合会がまとめた「福利厚生費調査結果報告」では、住宅関連の福利厚生は50%近くの企業に備えられえているとの結果が出ています。
「衣食住」というように、生活に深く関わるサービスは、ニーズも高くなります。企業が備えるなら、この住宅関連も優先度の高いサービスといえるでしょう。
勤務時間関連も、最低限備えておきたいサービスとして忘れてはなりません。
昨今では、ダイバーシティという言葉が使われているように、社会的に多様性を受け入れる流れになっています。
今後も、少子高齢化社会の日本で、企業が労働力を確保するには、さまざまな働き方を容認するようになるでしょう。
短時間勤務やフレックスタイムはもちろん、コロナ禍で推奨されたテレワークも、さらに広まることが考えられます。
一部には、ノー残業デーやプレミアムフライデーを導入している企業もあり、勤務時間関連は、今後、注目すべきサービスといえるでしょう。
休暇関連のサービスは、利用しやすく人気のある福利厚生です。
有給休暇や産前産後休暇は、法定福利厚生に含まれますが、それ以外の休暇は、企業が法定外として設定することになります。
具体的には、病気による休職や休暇、勤続年数に応じて与えられるリフレッシュ休暇、慶弔休暇などです。
昨今は、有給休暇とあわせて、夏季休暇や年末年始休暇を認めている企業も少なくありません。
企業が、自社の労働生産性の向上を目指すなら、従業員が心身ともにリフレッシュできるよう、休養に配慮することも必要です。
休暇関連は、従業員の働くモチベーションを維持するためにも、最低限備えておきたいサービスといえます。
最低限備えておきたい福利厚生には、慶弔・災害関連もあります。
具体的には、結婚や出産などの祝い金、災害時の見舞金、弔慰金、遺児年金の給付などです。
頻繁に利用するものではありませんが、企業の多くが取り入れていますので検討するとよいでしょう。
福利厚生と聞いて最初にイメージしたものはどのような内容でしょう。法定福利厚生にあたる社会保険や雇用保険などを思い浮かべる方は少なく、法定外福利厚生にあたるユニークなものを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
法定外の制度で定番の人気を誇るのは、先に紹介した調査結果でも上位となった住居や食などのサポートです。住居の補助は、従業員の家族も恩恵を受けます。
従業員家族にもメリットのあるものとしては、宿泊施設やレジャー施設の利用補助制度などがあります。
企業に勤めることで、家族に恩恵があれば、従業員が企業で働くことを応援してくれるでしょう。福利厚生自体が有益なだけでなく、相乗効果が得られる好例です。
ほかにも、食関連の制度は、健康的なメニューを用意すれば、従業員の健康維持や増進につながります。
従業員が健康であれば、仕事に対しての効率が上がり、企業の生産性の向上も期待できるでしょう。企業が従業員の健康づくりに関わっていく「健康経営」にもつなげられる可能性があります。
食関連の制度は、正社員だけでなく、パートやアルバイト、時短勤務の従業員も平等に利用できることもポイントです。
充実した制度を設けたとしても、利用者が少なければ成果も出にくくなります。逆に利用する従業員が多くなれば、人気も高まるというものです。
食関連の福利厚生といえば、社内に厨房や食堂を設ける社員食堂のイメージが強いですが、昨今では、もっと手軽に始められるさまざまな食のサービスが続々と誕生しています。
食関連の福利厚生として人気のサービスをお探しなら、設置型社食サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」がおすすめです。
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企業が少子高齢化社会の日本で生き残るためには、優秀な人材を確保し、定着率を高めることが大切です。
長く働きたいと思ってもらえるような職場環境にするためには、最低限の福利厚生を整える必要があります。
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