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福利厚生は、法律で義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が独自に設けることができる「法定外福利厚生」の2種類に分けられます。
企業が独自に設けることができる法定外福利厚生を充実させると他社との差別化ができるため、企業としても力を入れたいところではないでしょうか。
今回は、福利厚生で加入できる「法人保険」を解説していきます。法人保険は、従業員満足度向上や節税など、企業にとって多くのメリットを期待できる福利厚生です。
法人保険の種類やメリット、利用するステップや注意点など詳しくご説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
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福利厚生で加入できる法人保険とは、法人で契約する保険のことを言います。
法人向けに開発された商品だけではなく、個人向け商品の契約者が法人の場合も法人保険と言われるため、さまざまなプランから目的に合った法人保険を選ぶことができます。
法人保険はさまざまな種類がありますが、大きく「生命保険」「損害保険」の2種類に分けられます。
生命保険:経営者や従業員の死亡、退職等の人に対する損害に備えます。
損害保険:火災、物損などの物に対する損害に備えます。
事故による入院や病気やケガで長期間働けなくなった場合、損害保険なら収入減を補填する人に対する所得保険も含まれるため、従業員を金銭的にサポートできます。福利厚生で加入できる法人保険の種類を3つご紹介します。
財物、賠償、事業に備えるのが損害保険です。業務中に事故や盗難、顧客に損害を負わせてしまうなど、従業員はさまざまなリスクを抱えています。
最悪の場合、従業員は顧客から、企業は従業員から損害賠償を請求されることも考えられます。福利厚生で加入できる損害保険は、企業の損害を最小限に抑え、従業員を守ることにもつながるでしょう。
養老保険は、役員や従業員に万が一のことがあった場合に備える保険です。
役員や従業員を被保険者として法人が契約し、被保険者が満期を迎える前に死亡した場合は死亡保険金が支払われ、満期を何事もなく迎えた場合は満期保険金が支払われます。
被保険者が保険期間中に亡くなった場合も、満期を迎えた場合どちらも同じ金額が支払われるため、保障と貯蓄を合わせたものと言えるでしょう。
万が一従業員が亡くなった場合、受取人を家族にしていれば死亡補償金を受け取ることができます。従業員は家族の生活を守ることができるため、養老保険のような福利厚生は喜ばれるでしょう。
また、満期保険金が支払われた場合、法人は退職金の財源として活用できるため、財務に与える影響を少なくできます。
医療保険は、病気やケガで入院・手術などをした場合の費用を一定の範囲で保障する保険です。
生命保険は、死亡や高度障害になったときに、被保険者の家族の生活を存続させることを目的としています。
経営者・役員と従業員では、法人保険の医療保険や生命保険について、加入の目的が異なる場合がありますので、それぞれの保険について、経営社・役員と従業員に分けて簡単に説明します。
経営者や役員向けの生命保険は、多くの場合、契約者は法人、被保険者は経営者や役員、従業員にしておきます。
経営者は、企業の代表者ですので、万が一、死亡してしまうと、企業は突然、さまざまなリスクを抱えることになるのです。
例えば、借入金が残っている場合には、後継者が借入金の返済義務を負いますが、経営者の生命保険を返済に充てることができます。
ほかにも、生命保険で退職金リスクにも備えることができます。
参考:ほけんの窓口
従業員が病気やケガで入院・手術をした場合、法人が医療保険の入院給付金や手術給付金を受け取り、そのお金を福利厚生の一環、見舞金として従業員に支払うことができます。
法人保険は福利厚生で加入できるため、企業の福利厚生の充実につながります。
では、法人保険に加入するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
福利厚生を充実させるために法人保険に加入すると、従業員満足度の向上が期待できます。従業員満足度とは、福利厚生や職場環境など従業員の満足度を表す指標です。満足度が向上すると、仕事に対してのモチベーションが上がり、人材の定着にもつながります。
また、法人保険の損害保険や養老保険、医療保険は、従業員本人だけではなく家族の健康と生活も守ることにつながります。
保険がしっかりしていることで、従業員は安心して働くことができるでしょう。
法人保険は、支払った保険料を損金として計上できると法人税を抑えることができるため、節税効果も期待できます。
ただし、2019年に「税制改正の通達」という形で、法人保険の損金取り扱いに関する新たなルールが設けられたため、注意も必要です。
法人保険の最高解約返戻率(ピーク時の最高解約返戻率)に応じて保険料損金計上の割合が分けられるため、専門知識のあるスタッフと事前に確認しながら、加入を進めていきましょう。
役員の生命保険について先述しましたが、貯蓄性がある保険に加入しておくと、役員や従業員の退職金の準備に活用できます。
解約返戻率が高い保険であれば、仮に亡くなってしまった場合でも、より多くの保険金を死亡退職金として充てることが可能です。
長期間勤めた方への退職金は、大きな金額になるため、経営を圧迫しかねません。役員の退職金は、特別損失として計上するため、企業の収益を圧迫しがちで、場合によっては経営が赤字になる可能性もあります。
このような場合でも、福利厚生として役員向けの法人保険に加入しておけば、満期の保険金を役員の退職金に充てることができるほか、役員が亡くなった場合、役員の死亡保険金を死亡退職金に充てることができます。
退職金は、法人保険を契約するなどして、計画的に準備しておきましょう。
医療保障は、ケガや病気などで入院・手術などをした時に使える保険です。
先述しましたが、企業が受け取った給付金を見舞金に充てることで、従業員を手厚くサポートすることができます。
勤務中に生じたケガや病気であれば、労働労災補償給付があり、業務外でケガや病気になったとしても、傷病手当金の給付もあるでしょう。
従業員は、ケガや病気で不安な状態に陥っていて大変な状況ですが、手当金や見舞金などを受け取り、当面の生活費の不安を抱えることなく、療養に励めることがメリットです。
また、福利厚生で加入できる法人保険は、従業員の生活を支えるだけでなく、従業員の家族をサポートできる可能性もあります。
生命保険は、死亡や高度障害になったときの保障で、被保険者の家族の生活を存続させることを目的としています。従業員が亡くなった時などに、生命保険の給付金で、家族に見舞金を届けることができるのです。
独自に設けることができる福利厚生として法人保険を活用すれば、採用時のアピールになります。例えば、退職金制度や医療保険があるA社、保険がないB社、給料や休みなどの待遇が同じであれば、多くの人がA社を選択するでしょう。
このように福利厚生は、就職活動をしている人にとって企業を見分けるポイントになっています。法人保険に加入すると福利厚生の充実につながり、安心して働ける環境であることを採用時にアピールできます。
法人保険は、緊急時の財源となります。例えば経営者が死亡した場合、経営の立て直しをはかるためには、運転資金が必要です。運転資金がなければ、経営を続けることは難しいかもしれません。
法人保険に加入していれば、一時的な経営難があったとしても死亡保険金で乗り超えることができるでしょう。
また、死亡補償金は事業継承時に発生する高額な相続税の支払いをすることも可能です。
福利厚生で加入できる法人保険を利用する場合、法人保険の選定と福利厚生規程の作成が必要になります。それぞれのステップについて、ポイントを説明します。
目的に合った法人保険を見つけ、従業員とのトラブルを防ぐために参考にしてください。
法人保険の選定には、何のために加入するのか目的を明確にすることが大切です。「役員や従業員の退職金の準備のため」「役員や従業員の福利厚生を手厚くするため」など具体的に決めていきます。
選定する際は、以下のポイントを参考に目的に合った法人保険を選びましょう。
・複数の保険会社・代理店を比較する
保険会社によって商品の種類や保険料の設定が異なるため、複数の保険会社・代理店に問い合わせてみましょう。自社の目的に合った保険を見つけるためには、細かい部分までチェックをして比較することが大切です。
・返戻金の時期や解約返戻率を確認する
退職金の準備のため養老保険に加入する場合、解約を行うと解約返戻金を受け取ることができます。
しかし、解約返戻金はある程度の年数加入していないと、満額戻ってこないこともあるため、返戻金の時期や返戻率を確認することが必要です。
返戻率が低い時に返戻金を受け取ってしまうと、保険料を余分に支払ってしまうことも考えられます。保険会社の担当者と見落としがないように、細かい部分も確認しましょう。
・付帯サービス内容を確認する
保険の種類によっては、どこの保険会社・代理店もほぼ内容が変わらないことも多いので、保険契約の付帯サービスも比較してみましょう。
例えば、健康相談サービス、介護相談サービス、メンタルサポートサービスなどがあります。各社によって特徴が異なるため、自社の従業員がどんなことを期待しているのか、どこに力を入れるのかなど考えてサービス内容を決めるとよいでしょう。
法人保険の選定にめどがついたら、次に、福利厚生規程の準備をします。
福利厚生規程とは、福利厚生の内容や従業員全員を法人保険の対象にすることなどを明確に記した規程です。福利厚生目的で法人保険に加入する場合には「福利厚生規程」「退職金規程」を必ず、作らなければなりません。
なぜなら、福利厚生規程を作成しないと、権利関係でトラブルが起こる可能性があるからです。
例えば、従業員が死亡した場合、支払われる生命保険金について、企業側は死亡退職金にするつもりでも、遺族は生命保険金を受け取り、さらに退職金も受け取れると考えている可能性があります。保険金を支払った後に、遺族に退職金を請求されることもあるのです。
企業は、二重に死亡退職金を払わないようにするため、福利厚生規程を作る必要があります。
加えて、法人保険を福利厚生に導入した経緯や背景を福利厚生規定に盛り込んでおくことも重要です。
福利厚生として医療保険を契約していることで従業員の健康を守ることができること、生命保険に加入していることで退職金制度を保てていることを周知しましょう。
福利厚生規程を備えておけば、従業員のモチベーションを向上させることにつながるだけでなく、さまざまなトラブル回避にも役立ちます。税務調査が入った場合も、福利厚生規定に法人保険を福利厚生目的で運用しているという記載があれば安心です。
規程がない場合、福利厚生として運用されていないと判断され、損金への算入を認められない可能性もあります。
法人保険を福利厚生の目的で加入した場合、従業員の給与から法人保険の保険料を控除しなければならないケースがあります。
従業員が納得していたとしても、賃金の控除理由が明確に示されていないケースでは、労働基準監督署から理由を問われる可能性がありますので、注意しましょう。
福利厚生規定に法人保険について触れただけでは、賃金からの控除の根拠と認められないかもしれません。
福利厚生規定を用意しておいた上で、法人保険の賃金控除の理由を明確にした協定書を作成し、企業と従業員の間で協定を結んでおきましょう。
法人保険は、全社員が加入することが原則であったり、一時的にキャッシュフローが悪化したりする点があるため注意が必要です。
また、節税効果のためだけに加入すると損金算入が否認されることもあります。
法人保険を節税効果だけのために加入すると、確定申告の際に税務署から指摘されて損金算入が否認されることもあります。
損金算入とは、法人が収入を得る際にかかった費用を損金(法人税を減らせることができる費用)として計上することです。
法人保険本来の意味を考えて、従業員や役員、企業にとっての保障やメリットをしっかり考えましょう。
福利厚生は、全ての従業員が同じように受けられることが原則で「普遍的加入(全ての従業員や役員が加入すること)」が重要になります。なぜなら、法人保険の中には、普遍的加入していないと損金算入されなくなってしまうことがあるからです。
しかし、加入資格の有無、保険金などに格差があっても、職種や年齢、勤続年数などに応じた合理的な基準により普遍的に設けられた格差であると認められるときは普遍的加入が認められます。
従業員側の事情で保険に加入できない場合などは、税務署に説明できる書類を準備しておきましょう。
法人保険に加入すると、保険料の負担によりキャッシュアウトが増え、キャッシュフローが悪化する要因となりえます。
経営が良い時のことしか考えず法人保険に加入すると、経営が悪くなった時にキャッシュフローが悪化し、資金繰りが難しくなっていきます。
企業の良い時、悪い時の経営状況も考慮して法人保険に加入するとよいでしょう。
今回は、法人保険の種類やメリット、利用するステップや注意点などを解説しました。
福利厚生で加入できる法人保険は、目的を明確にしたうえで企業の今後の経営状況なども考える必要がありますが、損金算入による節税や退職金の準備、医療費の補助などさまざまなリスクに対し備えることができます。
福利厚生が充実することで、従業員満足度向上にもつながり、企業の業績にも影響を与えるでしょう。
一方で、普遍的加入が原則であったり、保険料の負担が大きくなったり、考慮しなければならないリスクもあります。そこで、法人保険のほかに、従業員満足度の向上につながるおすすめの福利厚生をご紹介します。
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詳細は、「 OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜) 」のサイトをご覧ください。
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