働き方改革

-2019.09.10.Tue

【働き方改革】長時間労働が健康に与える影響とは?”食”による対策も紹介

政府の重要施策のひとつであり、一億総活躍社会を実現するための「働き方改革」をご存知でしょうか?

「働き方改革」が実行された背景には、少子高齢化による働き手の不足、育児や介護など働き手のニーズの多様化など、人口の減少による労働力不足という深刻な問題があります。

そして「働き方改革」は、働き手が個々の事情に応じて多様な働き方を選択できることにより、より良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

今年4月に施行された「働き方改革関連法」は長時間労働の改善、正規・非正規社員の待遇格差解消、多様な働き方の実現を3つの柱として掲げています。

その中でも今回は「長時間労働の改善」を実現するには、何を改善していけば良いのかを見ていきたいと思います。

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働き方改革でよく注目される「長時間労働」

長時間労働が原因での健康被害や過労死といった問題は、ニュースでも耳にすることが多く、長時間労働改善の大きな課題となっています。

長時間労働の定義

そもそも長時間労働とは、どのくらいの時間働いた場合に当てはまるのでしょうか。

残業を2時間することでそう感じる人もいれば、そうでない人もいて、感じるラインは人によって様々ですよね。

労働基準法第32条では労働基準法上の上限時間(1日8時間、週40時間)を超えて、労働者に労働をさせてはいけませんと定められています。

厚生労働省では時間外労働の限度に関する基準を出していて、月に平均して80時間以上の時間外労働をする場合が長時間労働のおおよその目安となっています。

長時間労働が起きる原因

長時間労働の原因は大きく3つに分類されます。

  •  人手不足

単純に労働力が足りておらず、一人の抱える仕事量が増えることによって長時間労働が当たり前になっているケース。
企業によっては経費(人件費)を削減したいために、退職者がでても人員を補充することなく残業や休日出勤で長時間労働させる場合もあり。
人員・能力不足が改善されず悪循環となっている。

  •  必要のない仕事をしている

仕事の優先順位が明確ではなく、優先順位の低い仕事に時間をかけてしまう
個人の対策で改善されることもあるが、組織単位での業務内容の改善が必要な場合もある。

  •  成果評価が正しく行われていない

「長時間労働」=「がんばっている」という考え方が組織にあり長時間労働をしなければ評価されない。
終身雇用制度や年功序列の考えが抜けきっていない企業も残っている。
改善しているつもりであっても短時間で高い成果を評価する制度が浸透していない。

その他、長時間労働の原因には「自分の仕事は終わっているが上司や先輩より先に帰りづらい」などオフィス内の雰囲気にも原因があるようです。

個人の技術や能力の向上で改善できることもありますが、やはり組織単位で長時間労働について見直し改善を行う必要があります。

長時間労働にまつわる現状

なかなか改善がされない長時間労働ですが、働き方改革の一環として労働基準法が改正され、時間外労働の上限規制が法律に加わりました。

この上限規制は、大企業では2019年4月から、中小企業では1年の猶予があり2020年4月から導入されます。

これまで、時間外労働の上限規制には罰則による強制力はなく、特別条項によって上限なく時間外労働を行わせることが可能でした。

今回の改正では、罰則付きの上限が法律に規定され、臨時的で特別な事情がある場合にも上回ることのできない上限が設けられています(厚生労働省 働き方改革関連法解説より)。

しかし、このような法改正が進められる一方、現場ではまだまだ長時間の労働が行われており、目下改善しなくてはならない問題はたくさんあります。

この問題は、ワークライフバランスや男女のキャリア形成にも影響を及ぼしています。

誰もが平等に働ける社会を目指すためには、長時間労働の改善は必須項目なのです。

長時間労働が健康に与える影響とは

労働調査によると、週60時間を超えて働く労働者は平成17年には約600万人いました。

このように長く働きすぎると、健康・安全・生活へと影響します。

睡眠・休養の時間の不足につながったり、家庭生活や余暇時間を減らし、心身の回復が充分にできなくなったりします。

それが改善されないまま、心身ともに回復できずに仕事へ行く日々が続くと、疲れやストレスがどんどん溜まっていってしまいます。

そんな状態では健康を保つことは難しいでしょう。

1978年には日本産業衛生学会では初めて「過労死」の言葉が使われ、長時間労働によって脳・心臓疾患症を引き起こす可能性があることがわかりました。

労働時間と脳・心臓疾患症に関する代表的な調査結果によると、長時間労働による脳・心臓疾患発症の相対リスクは2〜3倍になります。

脳・心臓疾患症発症リスクを増加させる労働時間の目安は、1日10〜11時間以上または、週60時間以上の労働です。

このように、長時間の労働をすることにより、健康障害を引き起こしてしまうことがわかります。

この状況を改善するには、長時間労働を減らして、しっかりと睡眠・休養時間を取ることが大切です。

他にも企業にさまざまなデメリットが

長時間労働は従業員の健康状態を悪くするということをお伝えしましたが、これは企業側のデメリットにもつながってきます。

さまざまなデメリットが重なると、企業の業績にも影響しかねません。

それを防ぐためにも、どんなデメリットが発生しうるのかを事前に知っておき改善する必要があります。

人件費がかさむ

従業員が長時間働ければ働くほど、残業代が発生します。

労働基準法37条では、時間外労働の割増賃金が定められています。

引用:https://www.nice2meet.us/summary-of-causes-and-countermeasures-that-cause-long-working-hours

このように、時間外労働や深夜労働、休日出勤をすれば会社側が支払う人件費が増加します。すなわち、長時間労働を改善することで、過剰な人件費を抑えることができます。

離職の増加

長時間労働が増えて心身の不調を感じ、結果的に離職してしまうケースもあります。

平成30年「子供・若者白書」によると、初職の離職理由に「労働時間・休日、休暇の条件が合わなかったため」と答えた人が23.4%いました。

せっかく採用した従業員に離職されてしまったら、これまでかけた教育時間やコストを無駄にすることになりますし、新たに人材を雇うにも別途コストがかかります。

離職の要因の一つである長時間労働を改善し、離職者を減らすことで、企業側のコストも抑えることができます。

長時間労働を組織単位で減らすには?

長時間労働の改善に向けて、組織として何を改善すれば良いのでしょうか?

勤怠管理の見直し

まず、長時間労働を改善するには、従業員の労働時間を正確に把握する必要があります。

自己申告で労働時間を管理していると、気づかないうちに長時間労働になりがちです。

正確に労働時間を把握するには、タイムカードや勤怠管理システムなどで従業員の労働時間を目視でチェックしましょう。

そして、労働時間に上限を定めて、上限を超えてしまう従業員には長時間労働にならないような働き方を促します。

しかし、ただ単に、「労働時間を減らしましょう」と言うだけでは、従業員のストレスを増やすだけです。

長時間労働を改善するには、決められた労働時間内でどうやって業務を進めていくか、教育したり、面談して今業務上の課題などをヒヤリングすることも大切です。

また、有給休暇の取得を促すという手もあります。従業員が有給休暇を取得することで、心身の回復やリフレッシュに繋がり、仕事へのモチベーションも上がります。

ただ、業務の負担などから有給休暇が困難なケースもあります。業務量を調整したり、上層部がしっかりと有給を取得するなど、従業員が有給休暇を取得しやすい環境づくりに改善しましょう。

長時間労働による健康への影響を伝える

突然、「従業員に長時間労働を改善しましょう」と言っても、根付いた労働者の意識改革をしなければ長時間労働が改善されません。

企業側から、長時間労働の改善意識を促す必要があります。

そこで、研修やセミナーを行い、健康への影響の深刻さなどを共有すると良いでしょう。

また、一人ひとり業務量や仕事のペースが異なるので、業務量や内容についてきちんと話し合うことで、少しずつ改善しながら業務をこなす方法を一緒に考えていく必要があります。

オフィス空間を働きやすくする

作業ごとに適した空間で仕事をすることで、仕事の効率を上げることができます。

具体的に改善できる方法としていくつかご紹介しましょう。

  •  オフィス内はどこでも作業ができる

・ フリーアドレス : 個人の専用デスクを持たず自由に席を決めて作業できる。
・ ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング) : 仕事内容に合わせて働く場所や机を選び、物理的環境によって社員の行動を改善する。

例えば、静かな部屋で集中して作業を行ったり、打ち合わせをソファ等で行ったりなど様々な業務内容・シチュエーションによって場所を選んで働けます。

それぞれの作業内容によってワークスペースを変えることは、作業の効率化と生産性の向上において有効な勤務形態なのです。

  •  ITを活用して働きやすくする

ネット環境やデバイスの整備・改善は重要なポイントです。

Webツールを利用したストレスの少ない連絡体制や、会社にいなくても働けるようクラウドを活用したテレワーク環境など、状況に合わせた柔軟な働き方ができれば、より仕事の内容に打ち込めるようになるでしょう。

柔軟に、そしてスピーディーに仕事ができる環境はストレスもなく、作業効率アップや長時間労働の改善に有効です。

  •  プレゼン・会議が気軽にできる環境を作る

起立式の会議室やオープンなミーティングスペースを作ることで、会議を手軽に行えるようになります。

資料も出力紙ではなくデータで共有、大画面のスクリーンを設置することも検討してみてください。

小スペースに設置可能なため、オフィスの空きスペースを有効活用することもできます。

無駄なものをなくす

最近ではデータ共有で仕事をすすめる企業も多いですが、紙の資料がメインの企業もまだまだあります。

紙の資料には実はこんなデメリットがあります。

・ 用紙やインクなどの消耗品費用がかかる、印刷・通信費やコピー作業の時間のロス。
・ 作成や情報共有時間のロス。
・ 保管するためのスペース、発注・納品など作業時間のロス。
・ 手書き資料の場合の誤字や書き間違い、読み間違いが発生する。
・ 資料確認の際に探す手間がかかる。

たかが紙と思うかもしれませんが、このデメリットが積み重なると予想以上のコストと作業ロスが発生するため侮れません。

また、資料や会議自体が本当に必要なものなのか検討し改善することで、紙や場所の費用、そして人的工数等の削減に成功している企業もあります。

このように、当たり前を見直すことで長時間労働の改善につなげことができるのです。

コミュニケーションが起こりやすい工夫

コミュニケーションロスは無駄な時間と労力に繋がります。

これを改善するためには環境を変えるというのもひとつの方法です。

・フリーアドレスの導入

フリーアドレス最大のメリットは、従業員間のコミュニケーションが活性化するところにあります。

企画発案や広報活動のクリエイティブな仕事などは、コミュニケーションを密にとっていく必要があります。

情報やタイムリーな話題の共有がスピーディーに行え、他部署との意見交換もスムーズになることで、仕事の効率は格段に上がっていくのです。

・ラウンジの設置

オフィスの中央にラウンジを作ることも良いアイデアです。

ちょっとしたミーティングや、改まって会議室を利用するほどではない場合に、気軽に足が運べるスペースがあるとコミュニケーションがとりやすくなります。

このように、長時間労働の改善には働く環境にも変革が必要になります。

自分の職場に何が不足しているのかを分析し改善に役立ててください。

より働きやすいオフィスにするために

長時間労働をしていると、常に業務に追われているため、食への健康意識が低くなりがちです。自分ひとりでは、中々この意識は改善できません。

従業員が働きやすく、より健康的な働きやすいオフィスにするために食の補助制度を導入してみるのもいいでしょう。

食事制度の導入によって、食環境が改善されて健康的になった従業員の生産性の向上や、食に関する話題を元にしたコミュニケーションの活性化も期待できます。

また、従業員の健康意識を高め、意識的に長時間労働の改善しようという思いを後押しできます。

このようなメリットから、福利厚生を利用した食の補助制度を取り入れることをおすすめします。

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食を補助することで様々なメリットに繋がる

食の補助によって得られるメリットは企業側にも従業員側にもあります。

  •  企業側のメリット

 ・ 従業員の健康維持・管理
 ・ コミュニケーションの活性化
 ・ 人手不足の解消(採用・人材定着率アップ)
 ・ 福利厚生の導入で従業員満足度の向上

  •  従業員側のメリット

 ・ 食事代の節約
 ・ 栄養や健康を意識した食事をとることで健康に関心をもつ
 ・ 適切な休憩をとることで、仕事にメリハリがつき生産性が向上

風通しの良い組織ならば、改革も浸透しやすい

オフィス内に食事スペースを作ることで、従業員同士のコミュニケーション量が増えてきます。

意識改革や仕組みの改善などを行う場合には、従業員の協力は必要不可欠です。

一人ひとりが率直に意見を出せる環境を作ることで、長時間労働改善も推進しやすくなるのではないでしょうか。

まとめ

「働き方改革」で注目される長時間労働とその改善策についてご紹介してきました。

組織の改善や個人の改善など、長時間労働を減らすために出来ることはたくさんあります。

どちらも従来の考え方やしがらみに縛られずに、社内で積極的にコミュニケーションをとりながら長時間労働の問題を考えていきましょう。

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