農福連携
障がい者雇用の退職理由と継続して働いてもらうためのポイント
障がい者雇用を進めたいものの、「すぐに退職してしまう」「定着率が低い……」とお悩みの企業は多いのではないでしょうか。障がい者雇用を持続的に推進するには、障がい者 …
農福連携
公開:2025.02.14
更新:2025.02.17
「障がい者雇用を進めたいけど、何をすれば良いか分からない」とお悩みの人事担当者、企業は多いのではないでしょうか。障がい者雇用は、法定雇用率だけを見て人数重視の雇用をしても失敗してしまいます。自社に合った人材を獲得するには、適切に準備して正しい流れに沿って行うことが大切です。
今回は、障がい者雇用を進める方法や流れ、注意点について解説します。
障がい者雇用とは、障がいのある人材(障害者手帳を所持する人)が応募できる障害者雇用枠をつくり、雇用することです。
障がい者の法定雇用率は、障害者雇用促進法によって定められています。法定雇用率は定期的に見直しされ、2024年には2.5%にまで引き上げられ、2026年には2.7%にまで引き上げられることが発表されています。一定数以上の従業員を雇用している企業では、この法定雇用率を達成するために障がい者雇用をする義務があります。
参考:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省
障がい者雇用は前述の通り、2024年の段階で2.5%、2026年までに2.7%まで引き上げられます。これにより、将来的に従業員が37.5人以上いる企業では、1人以上の障がい者を雇う義務が生じるわけです。
では、障がい者雇用は現状でどの程度進んでいるのでしょうか。厚生労働省の「障害者雇用状況の集計結果」によれば、企業規模が1,000以上の企業では達成企業割合が67.5%と、半数以上が法定雇用率を達成しています。しかし、1,000人未満の企業では、法定雇用率を達成しているのは半数程度かそれ以下で、100人未満の小企業では、47.2%しか達成できていないのが現状です。
大企業と比べると、中小企業は経済環境の影響を受けやすい傾向にあります。障がい者雇用を実施するために必要な人的リソースやコストも捻出しにくいという課題があります。そのため、中小企業は法定雇用率を達成するのが難しいと考えられます。
障がいの種類には大きく分けて「身体障がい」「知的障がい」「精神障がい」「発達障がい」の4つがあります。それぞれについて簡単に解説します。
身体障がい者とは、身体上の障がいを持つ18歳以上の人のことです。身体上の障がいには先天的なものと、事故や病気などが原因の後天的なものがあります。例えば、肢体不自由、視覚障害、聴覚・言語障害、内部障害、高次脳機能障害などは身体障がい者として分類されます。
障がい者雇用の対象となるのは、身体障がい者手帳の交付を受けた方です。
知的障がい者とは、生活に必要な知的能力や社会生活への適応能力に限りがあり、日常生活で困難を抱えている人のことです。原因には先天的なものや後天的なもの、遺伝的要因などがあります。
障がい者雇用の対象となるのは、療育手帳(愛の手帳)を所持している、または地域障害者職業センターにて知的障がいがあると判断された人です。
精神障がい者とは、脳の機能に何らかの変化が起きてしまい、精神機能に障がいが生じて日常生活で困難を抱えている人のことです。原因には、脳機能障害など生物的な要因、心理的要因、ストレスなどの社会的要因、身体的要因などさまざまです。
障がい者雇用の対象となるのは、精神障がい者保険手帳を持つ人、または統合失調症、躁鬱病(そう病・うつ病を含む)、てんかんなどの症状がある人です。
発達障がい者とは、発達の仕方に波があり、物事の捉え方や行動パターンが周囲の人や環境とミスマッチを起こしてしまい、社会生活が困難になっている人です。多くの場合は原因不明で、一部の特性については胎児期の感染症や遺伝子異常が影響すると考えられています。自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動障害などが、多くの場合低年齢で発現するとされています。障がい者雇用の対象となるのは、療育手帳や精神障害者保健手帳を所持している人です。
障がい者雇用を進めるには、どのような手順でどのような準備が必要とされるのでしょうか。ここでは、障がい者雇用を進める方法について解説します。
初めて障がい者雇用をするならば、まずは支援機関に相談しましょう。
行政側が用意している障がい者雇用の窓口には、以下のようなところがあります。
・ハローワーク:国民の就労機会を保証するための公的な職業紹介所であるとともに、障害者雇用の中心的機関でもあります。障がい者の雇用に関する相談やアドバイス、求人受付、自社の従業員への研修なども行っています。
・地域障害者職業センター:障害者職業カウンセラーという専門職員がいる、障がい者の就労支援を行う公的機関です。雇い入れ計画の作成、職場配置・職務設計、必要な配慮に関するアドバイス、ジョブコーチの派遣、従業員への研修などを行います。
・障害者就業・生活支援センター:障がい者の生活および就業に関して相談支援を行う公的機関です。雇用管理相談などができます。
支援機関ごとの特徴を理解し、自社にとって必要な相談をしましょう。
続いて、障がい者雇用の計画を立てます。
まず、自社に何人の従業員がいるのか、障がい者を何人雇用するのかを、法定雇用率を踏まえた上で割り出します。複数人雇い入れる場合は、受け入れ体制を整えるのに時間がかかることもありますので、3〜5年の中長期的目線で計画してみましょう。
次に、障がい者に任せる業務内容を選定します。障がいの種類や一人ひとりの障がい特性・持っているスキルなどにより、できる業務には違いがあります。法定雇用率ばかり見て、人数重視の採用をすると、ミスマッチが起きて定着率の低下を招きます。そのため、障がい者が担うことを意識し、業務の切り出しや創出をしなければなりません。
続いて、雇用形態についても決めていきましょう。法定雇用率を達成するためには、障がい者を常用雇用する必要があります。常用雇用の対象になるのは、正社員・契約社員・嘱託社員などです。また、障がいにより出社が難しい場合は在宅勤務者として雇い入れることもあります。ハローワークから紹介された障がい者を一定期間試行雇用する、障害者トライアル雇用というものもあります。いずれも、一定条件を満たしていれば、実雇用率としてカウントされます。
自社にて5人以上の障がい者を雇用する場合は、障害者職業生活相談員を選任しなければなりません。
障害者職業生活相談員として選任できるのは以下の人材です。
・障害者職業生活相談員資格認定講習を修了している人材
・大学や高等専門学校の卒業者などで、その後1年以上にわたって障がい者である労働者の職業や生活に関する相談・指導の実務経験を持つ人材
・中学校、高校の卒業者であり、障がい者である労働者の職業生活に関する相談や指導の実務経験を2年以上してきた人材
募集要項を作成して求人を出します。
これまでに、どのような障がい者人材を採用したいのかが明確になっているはずです。そのターゲットに合わせた方法で募集を行いましょう。
募集方法はさまざまです。例えば、ハローワークへ求人を出せば、専門職員がその求人にマッチする障がい者を企業に紹介してくれます。特別支援学校へ求人票を提出すれば、学校の生徒に向けて求人が可能です。若い人材を求めているのであれば良い募集方法といえます。
このように、募集方法ごとに特徴がありますので、自社が求める人材を獲得しやすい方法にて募集を進めていきましょう。
最後に、募集により集まってくれた障がい者の方たちを選考、面接します。
障がい者雇用の選考方法では、面接や筆記試験などを行うのが一般的です。適性検査は一般雇用で行われることの多いSPI検査ではなく、実際に現場に招いて業務や職場への適性を見ることがほとんどです。業務を行えるだけのスキルがあるか、社風に人柄がマッチしているかなどを見ます。
面接では、性格や意欲だけでなく、障がい者雇用ならではのことも確認しなければなりません。どのような障がいを持っているのか、その症状はどの程度で将来的にどのように変化する見通しなのか、他にも服薬状況や通院状況、障がいに対して行うべき配慮などを確認します。
障がい者雇用を進める上で、おさえておくべき注意点について解説します。
障がい者雇用を行う場合は、期間や期限に注意して進めましょう。
法定雇用率達成や助成金の対象企業となる目的があったとします。しかし何らかの理由で障がい者を雇用する期間が満たされていない、行政への申告・申請期限が過ぎているといった場合は、申告・申請が認められずに目的を達成することはできません。そのため、申告・申請により達成できる目的がある場合は、期間や期限に注意して障がい者雇用を進めることが大切です。
障がい者雇用を行うならば、社内や部署での理解を深めておきましょう。
初めて障がい者雇用を行う場合、経営陣はもちろんですが、現場で働く社員たちも不安や戸惑いがあるものです。そうした不安はときにギクシャクした人間関係を生み出したり、社内の雰囲気を乱してしまったりします。
そのような状態では、障がい者を雇用しても居心地が悪く、定着してもらうことはできません。
配属先となる部署はもちろん、社内全体で障がい者雇用や障がい特性などについて理解を深め、不安や戸惑いを解消しておきましょう。
働きやすい環境を整えることも大切です。
例えば、車椅子の社員を迎え入れるために、バリアフリー設計にすることも必要になるかもしれません。
また、物理的な部分だけでなく、心理的な面でも居心地の良い環境に整えることも意識しましょう。前述のように社内・部署での理解を深めておけば、コミュニケーションのぎこちなさは解消されやすくなります。
障がい者を雇用するのであれば、制度の見直しや改善も視野に入れましょう。
障がい者社員・一般雇用社員の区別なく、その人の能力を適切に評価する評価システムの策定、障がい特性に合わせてリモートワークや時短勤務など、柔軟に働けるための制度整備などを行えば、雇用後の早期離職を防ぎやすくなります。
農福連携型の障がい者雇用とは、就労意欲のある障がい者、人手不足の農業者、障がい者雇用を行いたい企業をつなぎ、それぞれが持つ課題を解決するサービスのことです。日本の農業活性化にもつながることから、四方良しのモデルとして注目されています。
企業に雇用された障がい者は、既存の農業者のもとに派遣されて農業に従事します。収穫物は市場に流通しますので、社会貢献性が高く役務の実体もあるのが特長です。
障がい者にとっても、農作業や収穫物といった分かりやすい成果があり、やりがいを感じやすく定着しやすい傾向にあります。
「やさいサポーターズ」は、注目される農福連携型に健康経営を兼ね備えた、ハイブリッド型の障がい者雇用支援サービスです。
基本的な仕組みは農福連携と同じですが、障がい者たちが育てた野菜などの収穫物を、オフィスにて健康社食として社員たちに還元できる点が大きな特長です。農福連携に健康経営を掛け合わせられるため、いわば五方良しのモデルといえます。
「やさいサポーターズ」では、障がい者が働きやすい環境を整えるために十分な管理体制を整え、一人ひとりに寄り添った適切なサポートを行います。そのため、定着率が高いことが大きな強みです。
「初めての障がい者雇用で何をしたら良いか分からない」「雇用するなら定着率を高めたい」とお考えなら、ぜひ「やさいサポーターズ」をご利用ください。
今回は、障がい者雇用の方法・流れ・注意点について解説しました。
障がい者の法定雇用率は、障害者雇用促進法によって定められていて、2026年までに2.7%にまで引き上げられる予定です。そのため、障がい者雇用を検討している企業が増えています。
本記事を参考に、障がい者雇用で必要な準備や方法を確認し、貴社に合った人材を獲得しましょう。
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