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障がい者雇用の事例9選をケース別に詳しく紹介
障がい者雇用を検討しているものの「ノウハウや経験がない」「社員が不安を感じている」という理由でなかなか進められない企業は多いのではないでしょうか。「他の企業では …
福利厚生制度
公開:2025.02.13
更新:2025.02.17
法定雇用率の引き上げもあり、障がい者雇用を行う企業が増えています。しかし、実際に障がい者を雇用してみたものの「職場になじめずにすぐに辞めてしまう…」「定着率を高めるにはどうしたら良い?」といった悩み・疑問を抱えている企業は少なくありません。
そこで今回は、障がい者の定着率データ、障がい者が定着しにくい理由と企業が解決すべき課題、定着率を高めるポイントについて解説します。
目次
法定雇用率の引き上げに伴い、障がい者の新規雇用を進めたいと考える企業は増えています。しかし、雇用するだけでなく障がい者の定着率を上げることも重要です。実際に、障がい者の離職率は高い傾向にあるとされています。
厚生労働省の「障害者雇用の現状等」によれば、全ての産業における定着率の平均は3ヶ月で76.5%、1年で58.4%とのことです。業種別に見ると以下の通りです。
業種 | 3ヶ月 | 1年 |
---|---|---|
生活関連サービス・娯楽業 | 79.8% | 62.1% |
医療・福祉 | 80.5% | 61.7% |
製造業 | 76.9% | 60.2% |
宿泊・飲食サービス | 68.1% | 47.8% |
建設業 | 66.4% | 46.1% |
こうしてみると、宿泊・飲食サービスや建設業の1年後の定着率は50%を切っており、定着率が低いことが分かります。日本の平均離職率はここ数年、平均で15%前後といわれています。それを考えると、障がい者の定着率は低いといえるでしょう。
また、JEEDの「障害者の就業状況等に関する調査研究」によれば、就職から3ヶ月時点での定着率は、障がい別で以下のようになっています。
障がいの種類 | 3ヶ月 | 1年 |
---|---|---|
発達障害者 | 84.7% | 71.5% |
知的障害者 | 85.3% | 68.0% |
身体障害者 | 77.8% | 60.8% |
精神障害者 | 69.9% | 49.3% |
発達障がい者と知的障がい者は比較的高い定着率ですが、精神障がい者については1年後に半数以上の人が離職していることが分かります。
さらに、JEEDの「障害者の就業状況等に関する調査研究」によれば、企業規模が小さいほど1年後の定着率が低い傾向にあることが分かっています。
・50人未満の小企業の1年後の定着率:46.9%
・1,000人以上の大企業の1年後の定着率:65.8%
参考:
さまざまなデータから、障がい者の定着率は低い傾向にあることが分かりました。ではなぜ、障がい者は就職後に定着しづらいのでしょうか。その原因をいくつか紹介します。
人間関係の問題は障がいの有無を問わず、離職理由になりやすいものです。特に障がい者の方は、コミュニケーションが苦手な方も多く、うまく意思疎通できずに悩んでいることが少なくありません。コミュニケーションが円滑に行えないと職場の人間関係も悪くなり、障がい者の方にとって働きにくい環境になってしまって、結果として離職につながってしまう可能性が高まります。
また、既存社員が障がい者に対して勝手な思い込みをしてしまったり、決めつけてしまったりしてしまうことで、コミュニケーションが円滑に行えずに人間関係が悪化してしまうこともあります。例えば「当たり前のことだから◯◯さんも理解しているはず」「耳が不自由な◯◯さんには挨拶をしても意味がない」といった決めつけは、意思疎通を放棄するものです。こうした雰囲気が社内全体で広まってしまうと、障がい者社員への理解が深まることはありませんし、人間関係に歪みを持たせてしまうことにつながります。
障がい者社員の定着率を高めるためには、思い込み・決めつけを排除し、相手を理解した上でコミュニケーションを取る姿勢を持つことが大切です。
割り当てられた仕事内容が問題となって、障がい者スタッフが離職してしまうこともあります。この問題では「仕事が難しすぎるケース」と「仕事が簡単すぎるケース」の2つが考えられます。
例えば、知的障がいがあるスタッフの場合、自分で考えて業務を進めることは困難です。それにもかかわらず、マニュアルがない業務を任せてしまえば、仕事が難しすぎると感じて離職してしまうことでしょう。かといって、簡単な雑用ばかりですぐに終わってしまう業務ばかり与えていては、やりがいを感じられません。仕事をする意義を見失えば、障がいの有無にかかわらず退職を考えるのは仕方のないことです。
業務そのものの悩みは、毎日積み重なって徐々に大きなストレスになります。障がい者スタッフに適した業務を任せながら適切なサポートを行い、離職を防ぎましょう。
賃金を含めた労働条件に関する問題も、離職理由として大きなものです。
障がい者雇用は一般雇用に比べると賃金は低くなる傾向にあります。これは、障がいがあるからというわけではなく、障がい特性によってこなせる業務量や働ける勤務時間が少なくなることがあるためです。そのため、この点については問題ありません。
業務量や勤務時間の違いはありますが、それ以外の面においては障がい者雇用と一般雇用には差がなく、条件は同じでなければいけません。それにもかかわらず「条件を満たしたのに賃金アップされない」「有給休暇が認められない」などがあると、差別や不満を感じやすくなります。そしてその結果、障がい者社員は離職を決意してしまうわけです。
もし、障がい者の定着率低下で悩んでいるならば、労働条件を見直して差別などはなかったか、評価に私情を挟んでいないかなどを確認しましょう。そして必要に応じて改善してみてください。
前章にて、精神障がい者の方の定着率が他の障がいの種類に比べて低いことに触れました。なぜそのような傾向にあるのかは明らかではありません。そこで、厚生労働省の「障害者雇用実態調査」から、精神障がい者の方に多い離職理由についてみていきましょう。
・職場の雰囲気・人間関係:33.8%
・賃金、労働条件に不満:29.7%
・仕事内容があわない:24.8%
・疲れやすく体力意欲が続かなかった:28.4%
・作業、能率面で適応できなかった:25.7%
この3つの理由が離職理由のTOP5です。
精神障がいにはさまざまな種類があり、一概には言えないものの、精神障がい者の方は悩みを抱え込んで不満が強くなってしまう方が少なくありません。障がい特性と折り合いをつけながら仕事を続けていく中で、不満が募ってストレスが蓄積されれば、体力・意欲が著しく低下してしまいます。そのような日々を送り続けることで、症状が悪化してしまい、精神障がい者の方は離職を決意してしまうのかもしれません。
企業が障がい者社員の定着率を高められない課題は、障がい者社員が離職する理由と以下のように関連しています。
障がい者社員の離職理由 | 企業の課題点 |
---|---|
人間関係の問題 | コミュニケーション不足や理解の不足 |
仕事内容の問題 | 一人ひとりにあった業務を割り当てられていない |
賃金など条件面の問題 | 評価基準や労働条件が最適化されていない |
人間関係の問題で原因となるのはコミュニケーションの不足です。特に障がい者の方は自分の意志を伝えることや、相手の意図を汲み取るのが苦手なケースが少なくありません。また、社会人としての基本ルールや暗黙の了解といった、一般雇用であれば当たり前のことも分からない方は多くいます。分かっていると決めつけるのではなく、障がい者一人ひとりのことを理解し、コミュニケーションを円滑にすることはとても大切です。
障がい者社員に業務の割り当てがうまくできないと悩む企業も少なくありません。既存業務からだと切り出しにくい場合は、新たな業務を創出することも視野に入れましょう。社内でアンケートなどの調査を行って「こんなサポートがあると嬉しい」といった要望を得ることで、障がい者社員に割り当てられる新たな業務の創出ができることもあります。
また、障がい者雇用をするのであれば、それに合わせて評価基準や労働条件を最適化しなければなりません。障がい特性を理解した上で、障がい者社員を正当に評価するにはどうすべきかを考えてみましょう。
障がい者社員を雇用後、定着率を高めるためにはどのような対策をすべきなのか、そのポイントをいくつか紹介します。
障がい者雇用に対して理解を深めることは、障がい者社員の定着率向上につながるものです。
なぜその部署に障がい者を配属したのか、障がい特性や必要なサポート、トラブル発生時の対処法などを、部署はもちろん企業全体で共有しましょう。研修などを行うことはもちろんですが、各部署の責任者や指導する立場にある上司が日頃から意識を持って障がい者社員と接すれば、自然と理解は深まっていきます。
人間関係の問題は、障がい者の退職理由の上位に入るものです。コミュニケーションの強化は、障がい者社員の定着率向上に欠かせません。
前提として、障がい者や障がい特性に対する理解を深めることが大切です。その上で、説明は口頭だけではなくメールやイラストなども併用する、指示する際には曖昧な表現を避ける、腫れ物に触るような扱いはしないといったことを心がけ、コミュニケーションを取っていきましょう。
定着率を向上させるには、業務や社内制度の見直しも必要です。
障がい者雇用の経験がない企業だと、障がい者の適切な評価や柔軟な対応が難しいこともあります。そのため、雇用が決まったならば社内制度の見直しをまずは行うべきです。能力に応じた評価を行うことはもちろん、有給や傷病休暇の日数調整、フレックスタイムや時短勤務などの導入も視野に入れましょう。
相談しやすい環境を整えることも大切です。
障がい者社員はコミュニケーションが苦手で、悩みや課題をつい隠してしまう方も少なくありません。一時的にはそれでやり過ごせるかもしれませんが、ストレスが蓄積すればやがて退職へと向かってしまうことでしょう。
また、一般雇用の社員にとっても「どのように接すれば良いのだろう…」と悩むことはあるものです。障がい者社員や一般雇用の社員を含め、誰もが相談できるように相談窓口の設置を検討してみましょう。
支援機関を活用するのも、定着率向上につながります。
障がい者雇用が初めての企業では、自社だけの努力で障がい者が働きやすい環境をつくるのは難しいものです。そのような場合は、支援機関を活用して専門家からのアドバイスを貰うことで活路が開けることがあります。
就労定着支援サービスや特別支援学校、障がい者相談支援センターなど、障がい者の雇用定着をサポートする機関は数多くあります。障がい者の雇用を検討しているならば、事前に連携して効率良く環境を整えていきましょう。
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今回は、障がい者雇用における定着率の課題について解説しました。
障がい者が一般就労するケースが近年増えているものの、定着率が低いことが企業にとって大きな課題となっています。定着率が低くなってしまう理由は、人間関係や仕事内容、賃金・条件面といった問題が大きいとされています。定着率を向上させるためには、これらの課題を解決することが大切です。本記事を参考に、課題解決に乗り出し、障がい者社員の定着率を高めていってください。
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