農福連携
障がい者雇用の事例9選をケース別に詳しく紹介
障がい者雇用を検討しているものの「ノウハウや経験がない」「社員が不安を感じている」という理由でなかなか進められない企業は多いのではないでしょうか。「他の企業では …
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-2025.03.25.Tue
日本では障害者雇用促進法により、一定以上の規模の企業には、障がい者の雇用義務があります。経営層の方や人事担当の方は、法定雇用率を正しく理解し、なるべく速やかに障がい者雇用を進めることが求められています。「義務を果たせないと罰則はあるの?」「障害者雇用促進法について詳しく知りたい」といった疑問をお持ちの方もいることでしょう。
今回は、障害者雇用促進法とはどのような法律なのか、法定雇用率や必要雇用数の算定方法、罰則、障がい者の雇用方法について解説します。
目次
障害者雇用促進法により、企業には障がい者の雇用に関して4つの義務が課せられています。ここでは、障害者雇用促進法の背景や4つの義務、法定雇用率の引き上げについて解説します。
障害者雇用促進法の目的は、「障がい者の社会的な自立支援の推進」にあります。
かつて、障がい者の就職機会は限られており、職業選択の幅もありませんでした。また、日本は国際条約の「障害者権利条約」を批准しており、障がい者と健常者が同じように働ける環境を整えることが求められています。
このような背景から、障がい者の自立と社会参加を促進するため、国は障害者雇用促進法を整備し、企業に対して「障がい者を雇用する義務」を課しました。
障害者雇用促進法において、企業には以下の4つの義務が課せられています。
義務 | 内容 |
法定雇用率の達成義務 | 一定規模以上の企業(43.5人以上)は、2.5%の法定雇用率を達成する義務がある。企業規模と雇用率は、定期的に見直される。※詳しくは後述 |
差別禁止義務 | 障がいのある方に対し、採用・昇進において不当な差別をしてはいけない。 |
合理的配慮の提供義務 | 企業は、障がい者が働きやすいように環境を整えて合理的配慮をしなければならない。 |
障がい者雇用状況の報告義務 | 一定規模以上の企業は、厚生労働省に毎年6月1日時点での障がい者雇用状況を報告する義務がある。 |
障害者雇用促進法はその内容が見直されて改正され、それに伴い法定雇用率も引き上げられています。
2025年2月現在の法定雇用率は2.5%ですが、2026年7月には2.7%へ引き上げられる予定です。そのため、企業には将来的により多くの障がい者を雇用することが求められます。
もちろん、ただ法定雇用率が引き上げられるだけでなく、障がい者雇用に関する支援制度や助成金も拡充されています。それらを活用することで、企業はよりスムーズに障がい者雇用を進めることが可能です。
障害者雇用促進法により、一定規模以上の企業には、一定割合の障がい者雇用義務が生じます。法定雇用率は、障がい者雇用における基準であり、企業の従業員数に応じて何人の障がい者を雇用すべきかが決まります。法定雇用率は適宜見直しされており、2027年には引き上げが確定しています。義務を果たすためには、現状の法定雇用率やカウント方法・計算方法について正しく理解することが必要です。
法定雇用率を計算する上で「障がい者」としてカウントされるのは、「障がい者手帳」を保有している方です。
身体障がい | 視覚・聴覚・肢体・内部障がいなどの障がいがあり、身体障がい者手帳を持っている方が対象 |
知的障がい | 知的機能に障がいがあり、知能指数が一定の水準に満たないと診断され、療育手帳などを持っている方が対象 |
精神障がい | 精神的な疾患があり日常生活に困難をきたし、精神障がい者保健福祉手帳を持っている方が対象 |
発達障がい | 自閉症スペクトラム障がいや注意欠陥・多動性障がいなどと診断され、療育手帳または精神障がい者保健福祉手帳を持っている方が対象 |
精神障がい者保健福祉手帳については有効期間があるため、それを把握しておかなければいけません。
障がい者雇用人数のカウント方法には以下のようなルールが定められています。
超短時間労働者(週10時間以上20時間未満) | 短時間労働(週20時間以上30時間未満) | 週30時間以上 | |
重度ではない身体障がい者 | 0人 | 0.5人 | 1人 |
重度ではない知的障がい者 | 0.5人 | 0.5人 | 1人 |
重度の身体障がい者・知的障がい者 | 0.5人 | 1人 | 2人 |
知的障がい者の場合、長時間の業務が難しいことがあります。そのため、重度ではなくても、超短時間労働で0.5人としてカウントします。これは、雇用機会の拡大を図ることが目的です。
法定雇用率は以下のように段階的に引き上げられます。
・2024年4月:2.5%
・2026年7月:2.7%
まずはこれを踏まえておきましょう。
自社の障がい者雇用率を求める場合、「実雇用率=対象障がい者数÷常用労働者数」という計算式を用います。例えば、500人の従業員がいて10人の障がい者を雇用しているのであれば、「10人÷500人=2%」です。このケースでは、法定雇用率を達成するために新規雇用が必要です。
続いて、自社に必要な障がい者雇用数を求める場合は「必要障がい者数=常用労働者数×2.5%(2025年2月現在)」という計算式を用います。先のケースで計算すると、「500人×2.5%=12.5人」となります。
企業にとって法定雇用率を満たすことは義務であり、満たすことができなければ罰則があります。具体的にどのような罰則があるのか、以下で解説します。
法定雇用率を満たしていない企業は、その不足人数に応じて「障害者雇用納付金」を支払わなければなりません。
・納付金の対象:常用労働者数が100人以上の企業
・納付金額:不足人数に応じて月額50,000円(年間60万円)
例えば、不足人数が3人であれば、「3人×50,000円×12ヶ月=年間180万円」と高額の納付金を支払うこととなります。
法定雇用率を満たさない場合、厚生労働省から行政指導を受けることがあります。流れとしては以下の通りです。
・ハローワークから、法定雇用率の達成状況についての通知が届く
・未達成が続くとハローワークを通じて、雇入れ計画作成命令が出される
・計画1年目の実施状況が悪い場合、雇入れ計画の適正実施勧告が行われる
・障がい者の雇用状況改善が特に遅れていると判断される場合、計画期間終了後に9ヶ月間の特別指導が行われる。なお、企業名公表が前提とされる
行政指導されたものの改善が見られない場合、厚生労働省のホームページにて企業名が公表されます。令和3年においては、6社の企業が法定雇用率を達成できていないとして公表されています。
企業名の公表には、企業にとって以下のような影響があります。
・企業イメージの低下:厚生労働省から公表されることで、世間に悪いイメージが広まります。将来的な業績に影響が出る可能性があります。
・社員のモチベーション低下:公表されることで自社への愛着心や忠誠心が薄れ、モチベーションや業務効率の低下につながることもあります。
・採用計画への影響:就職活動・転職活動をしている人の目に公表されたことが知られ、今後の採用計画に悪影響が出る可能性もあります。
このように、企業名の公表にはさまざまなデメリットがあります。企業にとってマイナスしかありませんので、法定雇用率の達成はできる限りスムーズに進めることが重要です。
法定雇用率の達成は企業にとっての義務です。だからといって、単に法定雇用率を達成するだけの障がい者雇用では、長く定着してくれない可能性が高まります。安定して長く働いてもらうためにも、以下のポイントをおさえておきましょう。
障がいのある方が安心して働ける企業になるためには、職場環境の整備が必要です。例えば、以下のような取り組みをしてみましょう。
・バリアフリーの導入:身体障がいを持つ方もスムーズにオフィスで働けるように、バリアフリー化を進めましょう。例えば、車椅子対応の通路、手すりの取り付け、作業スペースの確保などがあります。
・業務環境の整備:障がい特性に適した業務環境を整備しましょう。視覚障がいがある方向けに音声ソフトを活用する、知的障がいの方向けに業務フローを視覚化するなどです。
・職場の意識改革:定期的に研修などを実施し、障がい者に対する既存社員の理解を深めましょう。理解が深まることでコミュニケーションが円滑になり、適切な配慮やサポートを行いやすくなります。
障がいのある方が自分の能力を最大限に発揮できるように、適切な業務の割り振りや業務の見直しなどを行いましょう。
・障がいの種類に応じた業務の割り振り:知的障がいの方には軽作業、身体障がいのある方にはデスクワークなど、負担を軽減できるような業務を任せる。
・業務内容の明確化:具体的な指示を与えてマニュアルも視覚的に分かりやすくする。業務内容をリスト化して進捗を可視化できるようにする。
・安全管理の徹底:障がい特性に応じて専門家の意見も取り入れながら安全対策を講じる。
障がいを持つ社員だけでなく、既存社員へのサポートも適切に行いましょう。
・相談しやすい環境:障がいを持つ社員、既存社員ともに定期的な面談を行い、悩みを確認する。
・職場全体でのサポート意識:サポートする範囲を明確にするとともに、担当者が不在の時は他の社員が障がいを持つ社員をサポートできる体制を整える。
障がい者雇用を進めるためには、採用方法について理解しておくことも重要です。ここでは障がいを持つ方を雇用する方法を解説します。
ハローワークは、障がい者雇用において最も一般的な採用窓口です。厚生労働省が運営する機関であり、企業と求職者のマッチングを無料で行っています。
・無料で求人掲載ができる
・障がい者職業相談員からのサポートを受けられる
・トライアル雇用制度を利用できる
・障がい者向けの職業訓練、就労支援に関する情報を得られる
・一部の助成金の申請も可能
・設置箇所が全国544ヶ所ある
このようなメリットがあることから、障がい者雇用において気軽に活用できる窓口といえます。
障がいを持つ若年層の人材を採用するならば、特別支援学校への求人票送付も良い方法です。
・若年層の障がい者を採用しやすい
・紹介エージェントの手数料コストがかからない
・長期的な関係を築くことで、将来的な雇用計画も立てやすい
特別支援学校にはこうしたメリットがあります。また、特別支援学校では企業の見学会・職場体験実習を実施しているケースもあり、連携を取りやすいのもメリットの一つといえます。
障がい者向けの求人広告を利用するという方法もあります。
・サポートがハローワーク以上に手厚い
・幅広く求人できる
・条件にこだわりやすく、ミスマッチが少ない
このようなメリットがある一方で、大手企業が求人を出していることから、採用難易度はやや高めです。
障がい者雇用支援サービスの活用もぜひ検討しましょう。障がい者雇用支援サービスの利用には以下のようなメリットがあります。
・採用から職場定着までサポートがある
・ミスマッチが少ない
・専門家からアドバイスを受けられる
特に、障がい者雇用では定着率が低いことが課題とされています。障がい者雇用支援サービスを活用すれば、専門スタッフのサポートやアドバイスによりその課題を解決しやすいため、障がい者雇用を促進しやすいでしょう。
スムーズな障がい者雇用と定着率向上をお望みなら、「やさいサポーターズ」がおすすめです。
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・障がい者の安定した雇用創出
・農業分野の人手不足解消
・日本の農業活性化・地域活性化
・自社社員の健康増進・福利厚生の向上
・低コストで導入できる
・CSR(企業の社会的責任)やESG(環境・社会・ガバナンス)経営の推進
このようなことから、「やさいサポーターズ」は障がい者雇用促進を考えている企業にとって、価値あるサービスとなっています。農福連携×健康経営で五方良しの注目モデル、「やさいサポーターズ」をぜひご検討ください。
今回は、障害者雇用促進法の義務について解説しました。
障害者雇用促進法により、一定以上の規模の企業には、法定雇用率にもとづいた障がい者雇用が義務付けられています。法定雇用率を達成できないと、納付金や企業名公表といった罰則があるため、できるだけ速やかに障がい者雇用を進めなければいけません。本記事を参考に、障がい者雇用をスムーズに進め、社会的にも信頼される企業として邁進していきましょう。
障がい者雇用をよりスムーズに進めたい、定着率も向上させたい、費用はなるべく抑えたいとお考えなら、ぜひ「やさいサポーターズ」をご検討ください。
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