農福連携

-2025.01.08.Wed

農福連携とは?実施メリット・注意点・企業が導入する方法

農業と福祉それぞれの課題を解決する新たな取り組みとして、農福連携がいま注目を集めています。「農福連携って何?」「企業が導入したらメリットはある?」など、疑問をお持ちの方もいることでしょう。

今回は、農福連携とは何なのか、そのメリットや注意点、企業が導入する方法について解説します。

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農福連携とは

農福連携とは、農業と福祉が連携することで障がい者の方をはじめとしたさまざまな人が農業分野で活躍することを通じて、自信を持って生きがいを見つけ、積極的に社会参画を実現するための取り組みのことです。

一般的に農福連携というと障がい者が農業に従事するというイメージが持たれることが少なくありません。しかし福祉の部分には、障がい者だけでなく生活困窮者や高齢者、触法障がい者などといった社会的に生きづらさを感じているさまざまな人々が含まれています。

農福連携では、農業を通じてそうした障がい者などの人々に就労機会を与え、誰もが生きやすい共生社会を実現することを目的としています。また、農業と福祉をつなげることで、高齢化社会が進み人手不足で悩まされている農業分野における課題解決の実現も目指しています。

農福連携のメリット

農福連携には、農業分野と福祉分野それぞれの課題を解決できるというメリットがあります。それ以外にも、農福連携を企業が導入することによって企業側にも以下のようなメリットがあります。

ノウハウがなくても障がい者雇用を実現できる

農福連携を導入することで、障がい者雇用のノウハウがない企業でも障がい者雇用を実現できるようになります。

障がい者雇用促進法により、一定数以上の従業員がいる企業では法定雇用率に応じた障がい者の雇用が義務付けられています。しかし、障がい者の雇用経験がないと、障がい者を雇用することに不安を感じてしまうものです。実際に、なんの施策もなしに障がい者を雇用すれば、職場が混乱したり業務が止まってしまったりなどのトラブルが発生することがあります。また、障がい者を受け入れる体制がなければ、定着せずに早期退職してしまうことでしょう。

しかし、農福連携であれば、雇用した障がい者にオフィスワークではなく農場での業務を用意できます。そのため農福連携を活用すれば、既存の業務内容や業務フロー、職場環境を変えるなどのノウハウがなくても障がい者を雇用しやすいのです。

リソースやコストを抑えやすい

農福連携は自社のリソースやコストを抑えながら障がい者雇用を実現できます。

障がい者を雇用する場合、受け入れのために社内理解を深めるための研修を行ったり、環境整備などを行ったりする必要があります。また、雇用後は障がい特性にあわせた個別対応が必要です。口頭での指示が伝わりにくい場合は、個別マニュアルの作成などもしなければなりません。そうなれば、コストがかかるだけでなく、社員に負担をかけてしまいます。

しかし、農福連携を導入すれば、雇用後に社内でリソースを割く必要はありません。生産物を社員に無料配布するなどすることで、農福連携にかかるコストもある程度相殺しつつ必要最小限で抑えることが可能です。

業務の切り出しが不要になる

業務の切り出しをしなくて済むことも農福連携のメリットといえます。

障がい者を雇用する場合、自社のどのような業務を割り当てれば良いのか頭を悩ませることになります。雇用する障がい者にとって業務内容が複雑であれば簡略化するなどもしなければなりません。

こうした取り組みは業務の見直しや改善につながるものですが、社員にとっては負担となります。そもそも、「切り出すことができない」と頭を抱えるケースも少なくありません。

しかし、農福連携であれば雇用した障がい者は農業に従事しますので、自社の業務を切り出す必要がありません。

社内理解が深まるきっかけになる

農福連携が、多様性への社内理解が深まるきっかけになるのもメリットといえるでしょう。

障がい者雇用をしていない場合、業務の中で障がい者と触れ合う機会はほぼありません。一方、農福連携していれば、定期的に農業研修などを行うことで雇用している障がい者やその仲間たちと触れ合うことができます。そうした交流を続けていけば、社員の中で障がい者に対する考え方や見方にも変化が訪れます。これは、多様性を認めて誰もが働きやすい社内風土を生み出すきっかけになるかもしれません。

農業支援や地域活性化につながる

農福連携は、農業支援や地域活性化にもつながります。

近年、高齢化が進み農業就業人口が大きく減少し、それにともなって耕作放棄地も増加しています。これは日本の農業にとって大きな危機です。

農福連携を導入すれば、農地を維持するための人手を確保できるようになり、耕作放棄地の拡大も止められます。そして雇用を創出することで、地域の活性化にもつながるでしょう。また、農福連携によって農業支援や地域活性化を積極的に行うことは、企業の信頼アップにもつながります。

農福連携の取り組みが広がる背景と現状

いま、農福連携がなぜ注目を集め広がっているのか、その背景や現場についても見ていきましょう。

取り組みが拡大している背景

高齢化社会が進む日本において、農業就業人口は著しく減少しているといわれています。さらに高齢化が進み、将来的にはさらに農業就業人口が減り耕作放棄地が増えていくと考えられています。この課題を解決するには、新たな農業の担い手を増やすことが必要であり、その解決策として農福連携が注目されているのです。

また、農福連携を導入することで、前述の通り企業にもさまざまなメリットがあります。将来的に法定雇用率の引き上げが決定している中、障がい者雇用をスムーズに行える仕組みがあることは企業にとって魅力といえるでしょう。特に、障がい者雇用に向けてリソースやコストを割けない中小企業にとって農福連携は、法定雇用率の達成の糸口ともいえるものです。

このように農福連携は農業、福祉、そして企業それぞれの課題を解決できる魅力的な取り組みとして、現在急速に拡大しています。

農福連携は増加傾向

実際に、農福連携は増加傾向にあります。農林水産省の「農福連携の取組主体数について(令和4年度末)」によれば、令和3年度末は5,509だった取組主体数は、令和4年度末には6,343と834増加しています。

農林水産省では厚生労働省と連携し、農業分野と福祉分野の双方の課題解決とメリットがある取り組みとして農福連携を推進しています。そうした後押しもあり、農福連携に取り組む農業者や企業が増加しているのです。

農林水産省の「農林水産省における農福連携の推進について」によれば、農業経営体の76%が「障がい者が貴重な存在となった」と効果を実感し、障がい者就労施設では79%が「利用者の体力がついて長時間働けるようになった」としています。

こうしたことから今後も、農福連携は広がりを見せていくことが予想されます。

農福連携の取り組みの例

農福連携の取り組み例をいくつか簡単に紹介します。

・事例1

農業と加工作業を組み合わせることで通年作業を確保し、20人もの雇用を創出。惣菜チェーンや地元の食堂に販売することで安定収益を上げることに成功。

・事例2

使われなくなった畑を耕して少量多品種の野菜や果物を生産。農業以外にもクラフトビールの瓶詰めなどさまざまな業務を行い、地域活性化につなげている。

農福連携の課題・注意点

農福連携にはさまざまなメリットがありますが、導入する際には課題や注意点もあります。

適切な管理を行わなければいけない

農福連携を行うには、適切な管理が必要です。

障がい者は一人ひとり異なる障がい特性があり、それにあわせて業務分担を行わないと雇用の定着につながりません。それぞれの特性を把握して、一人ひとりに最適な作業を見つけるには、常駐できるスタッフがいなければなりません。そのため、規模が大きくなるとリソースやコストがかかります。

また、生産物の品質を一定レベルで担保するには作業手順について適切に指導することはもちろん、分かりやすく伝える配慮が必要です。技術指導が不適切であれば、生産物の品質が低下するだけでなく、早期退職にもつながるため適切に行わなければなりません。

農・福どちらもおろそかにならないようにする

農福連携を成功させるためには、農業・福祉どちらもおろそかにならないように注意しなければなりません。

農福連携は障がい者などの雇用を創出するなど良い面も多くありますが、ただ雇用を創出するだけでなく、障がい者にとっても働きがいのある場でなければなりません。

そのためのポイントのひとつに、作った農作物の行き先があります。適切な管理を行って生産物の品質を一定以上に保ち、生産物を自社社員への無料配布や社員食堂へ利用することができれば、価値提供は十分に行えているといえます。

企業の都合だけでなく、農業と福祉の課題を見つめ、それを解決してそれぞれを両立させる真摯な姿勢で取り組むことが大切です。

技術習得に時間がかかる可能性がある

技術習得に時間がかかり、成果が出るまでに期間を要してしまうこともあります。

天候は毎日異なり、日によっては農作業ができないタイミングもあります。そのため、屋外作業ばかりでは継続的に仕事を依頼できる状態を確保できません。

しかし、屋外だけでなく屋内作業できる環境があれば、この課題は解決できます。屋内作業場があれば、技術習得も比較的スムーズに進むことでしょう。また、農作業だけでなくそれに付随する作業も任せれば、障がい者に幅広いスキルを身につけてもらえる機会を与えられることでしょう。

安全面には十分な配慮が必要

農福連携を行う際には、安全面への配慮が必要不可欠です。

農作業に用いられる機械や機具は、使い方を誤れば大きな怪我・事故につながってしまいます。農薬も取り扱いに十分注意しなければ、身体に悪影響が出てしまうことでしょう。また、障がい者によってはその特性により説明を十分に理解できない人もいます。そのため、作業を進めるうえで安全面に配慮することはとても大切です。

こうした課題を解決するには、作業中の見守り体制を整えることや緊急対策を準備するといった取り組みが必要です。また、口頭での説明や実演で理解が難しいと判断される場合は、マニュアルなどを用意すると良いでしょう。

農福連携を自社で導入するためには?

農福連携を自社で導入する方法はいくつかあります。

ひとつは農福連携を行う主体となることです。この場合、自社で農地や雇用する障がい者を確保する必要があります。また、農業に関するノウハウや農作業を管理するためのリソースが必要です。そのため、農業関連の事業者でない場合はあまり現実的な方法ではありません。

もうひとつの方法は、農福型障がい者雇用支援サービスを利用することです。運営会社が用意する農地を借り受けて人材を紹介してもらい、農業に従事してもらうという方法です。農福型障がい者雇用支援サービスであれば、農業に関するノウハウがなくても農福連携をスムーズに導入できます。

農福型×健康経営の障がい者雇用支援サービス「やさいサポーターズ」

農福連携を導入するなら、JAグループの「農協観光」と食の福利厚生サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」が提供する農福型×健康経営の障がい者雇用支援サービス「やさいサポーターズ」がおすすめです。

「やさいサポーターズ」では障がい者や農地の紹介、農地での業務サポートから労働力の還元までをワンストップで行います。農業に対して意欲がある人材をマッチングして安全面に配慮した業務サポートを行いますので、定着率も92%と高いのが特徴です。収穫した生産物は一般市場への流通だけでなく、サラダなどの商品に加工して「オフィスでやさい」ブランドで企業に提供します。

さらに「やさいサポーターズ」に加入した企業は、「オフィスでやさい」150個プランを無料で利用できるため、健康経営を実現したい企業にも向いています。

「やさいサポーターズ」は農福連携による農業支援や地域活性化、障がい者などの雇用創出、法定雇用率の達成などさまざまなことを実現できるサービスです。ぜひ、ご相談ください。

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まとめ

今回は、農福連携について解説しました。

農福連携は、農林水産省と厚生労働省が推奨している取り組みで、現在急速に拡大しています。農業・福祉における課題を同時に解決でき、企業が導入すれば法定雇用率の達成なども実現できます。

「やさいサポーターズ」を利用して、ぜひ農福連携を導入しましょう。

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