農福連携

-2025.01.08.Wed

精神障がい者雇用の現状と課題点は?雇用のポイントも紹介

精神障がい者の雇用を検討しているものの、「雇う上での課題は?」「定着率が低いって本当?」など、疑問をお持ちの企業は多いのではないでしょうか。精神障がい者の雇用数は増加傾向にありますが、障がい特性により生じた課題があり、雇用を踏みとどまっている企業は少なくありません。

そこで今回は、精神障がい者雇用の現状と課題点、雇用する上でおさえておくべきポイント、定着率の高い障がい者雇用支援サービスについて解説します。

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精神障害とは

精神障害とは、脳の機能などに何らかの変化が起こることで精神機能に障がいが生じてしまい、日常生活や社会活動など生きる上での機能に障がいをともなっている状態のことです。病状は人それぞれで異なりますが、深刻なケースでは判断力が著しく低下し感情や行動のコントロールができなくなってしまいます。

正しい知識が普及していないこともあり、精神障害に対するマイナスイメージばかりが先行してしまい、誤解や偏見を招くことも多くあります。差別の対象にもなりやすく、社会活動への参加が妨げられてしまいやすいという課題があります。

精神障害のおもな種類

精神障害にはさまざまな種類があります。おもな種類をいくつか簡単に紹介します。

・統合失調症:脳が混乱し行動・言動にまとまりがなくなります。治療には服薬が必要です。

・うつ病:気分障害ともいわれるもので、精神的・肉体的ストレスの影響によって、脳の働きが妨げられてしまいます。気分がひどく落ち込む、不眠症や食欲不振、などさまざまな症状があります。

・依存症:アルコール、薬物、ギャンブルなどに依存してしまう精神障害です。自分でコントロールできずやめたいと思ってもやめられない状態です。強制的にやめると発汗やイライラなどの症状が出ます。

・発達障害:自閉スペクトラム症、ADHD、チック症などが代表的な発達障害です。これらは生まれつき脳の働き方が通常とは異なることで引き起こされます。いくつかの発達障害を併せ持っているケースもあります。

・パーソナリティ障害:本人は苦しんでいるのに「人と違うことをしてしまう」といった場合に診断されます。風変わりな人と思われるだけではなく、周囲の人にも苦痛を与えてしまうことがあります。生きづらさを感じて、うつ病など他の精神障害を発症することもあります。

・適応障害:置かれている環境になじめないことで、強い不安やストレスを感じ、その結果として日常生活に支障をきたしている状態のことです。

・lPTSD:強い精神的ストレスや強烈なショックを受けるような体験により、心にダメージを受けたことが原因で引き起こされる精神障害です。ふとした瞬間に辛い記憶がフラッシュバックするなどの症状があります。

他にも、精神障害にはさまざまな種類があります。

精神障害がある方の雇用状況

障がい者雇用促進法の改正により、平成30年4月から精神障がい者が雇用義務対象者になりました。それを受け、平成29年から令和5年までの間に、精神障がい者の雇用数は約2.6倍も増加しています。

年度雇用数
平成29年50,048人
令和5年130,298人

※「平成29年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省」「令和5年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省

また、厚生労働省の「平成30年度障害者雇用実態調査結果」によれば、障がい者雇用として精神障がい者の方が20万人働いているとのことです。そのうち正社員として働いているのが25.5%で非正規雇用は74.5%とされています。数字からも分かるように、障がい者雇用で働く精神障がい者の方は、非正規雇用が圧倒的に多くなっています。これは、精神障がい者の方のほとんどが短時間労働を希望しているためです。精神機能に障がいがあることで日常生活や社会活動に支障をきたしてしまうことがある点が理由にあると考えられます。

精神障がい者の雇用における課題点

前述の通り、雇用義務対象となった平成29年以降から精神障がい者の雇用数は格段に増加しています。しかし、同時期に雇用義務対象となった身体障がい者の雇用数に比べると多くはありません。両者に差があるのは、精神障がい者の雇用における以下のような課題が関係していると考えられます。

定着率が低い傾向にある

精神障がい者の雇用における課題として、定着率が低い傾向にあることが挙げられます。

職業総合センターが行った「障害者の就業状況等に関する調査研究」によれば、精神障がい者の雇用から1年後の職場定着率はおよそ49%とされています。「状態に波があり勤怠・成果が不安定になりやすい」「人間関係で不和を生じることがある」「ストレス耐性に弱い傾向にある」といった、精神障がい者の障がい特性が関係していると考えられます。

しかし、精神障がい者は身体障がい者と異なり、業務を行う上で身体的な問題はありません。そのため、定着率を高めるために、精神障がい者一人ひとりに合わせた業務内容やサポートの実施、社内理解を深めるといった施策が企業には求められます。

配慮・サポートが必要である

精神障害にはさまざまな種類があり、それぞれにあった配慮やサポートが必要になってしまう点も課題のひとつです。

前述の通り、うつ病やPTSDなど精神障害にはさまざまな種類があります。それぞれ違った原因や症状があり、一人ひとりで発生トリガーも異なることがあります。そのため、一般社員で培ってきた雇用・管理ノウハウを活かしにくく、リソースを割いてしまいやすいのです。

企業と精神障がい者の社員がお互いにうまくつきあうためには、専門機関のサポートを受けることがおすすめです。専門家と連携して一人ひとりの障がい特性に合わせた支援計画の作成、勤務時間や業務内容を柔軟に調整できる仕組みづくりなどを行いましょう。また、研修や説明会で社内理解を深めておくことも大切です。

既存社員の負担が増えやすい

きめ細やかな配慮を行おうとした結果として、既存社員の負担が増えてしまう可能性があることも課題といえます。

例えば、精神障がい者の方はストレス耐性が低く、思いがけないタイミングで体調を崩してしまうことがあります。こうした場合、予定していた業務が終わらず他の社員に負担がかかる可能性があります。

しかしこうした事態は、精神障がい者の社員でなくとも起こり得ることです。そのため、日ごろから業務フローの見直しや業務効率化の検討を行うことが大切です。例えば、複雑化している作業を分解して単純化し、精神障がい者の方はもちろん社員全員に負担がかかりにくい状態にすれば、上記のようなトラブルを回避できます。

業務の切り出しが難しい

精神障がい者だけでなく、障がい者雇用では「業務の切り出し」が難しいことが大きな課題です。

障がい者の社員は、一人ひとりで障がい特性が異なります。そのため、従来の業務をそのまま割り当てて遂行させるのは困難です。そのため、障がい者を雇用する場合は手間がかかってしまいますが業務を切り出すことが必要とされています。切り出すために業務を見直すことは、将来的な業務効率化につながることもありますので、手間はかかるものの無駄には決してなりません。

また、精神障がい者の方の中には、もともと他の職場で働いていたもののうつ病などによって精神障害を患ってしまった人も少なくありません。そういった社員は特定分野においてスキルや経験を持つこともあります。個人面談などを通して、障がい特性だけでなく、彼らが持つスキル・経験についても理解を深めることが大切です。

キャリア形成が困難である

精神障がい者の社員は非正規雇用の方が多く、キャリアアップが難しい傾向にあります。また、障がい特性によってはコミュニケーション能力が求められるような管理職には適していないと思われがちです。

しかし前述の通り、精神障害を患っているもののスキルや経験が豊富な精神障がい者は少なくありません。将来的に精神障がい者の雇用を拡大するのであれば、企業側でスキルや適性を正確に評価する制度を整えることが大切です。

精神障がい者を雇用する際のポイント

精神障がい者を雇用するのであれば、以下のポイントをぜひおさえておきましょう。

特性の理解と配慮

まずは、障がい特性について理解を深め、一人ひとりにあった配慮を行える環境を整えましょう。

前述の通り、精神障害にはさまざまな種類があります。それぞれで特性や症状には違いがありますので、まずはそれについて理解を深めることが大切です。そして、画一的な対応をするのではなく、障がい者社員と向き合って一人ひとりに合った合理的配慮を行える体制を整えましょう。

例えば、通院がある場合はテレワーク、症状が強い場合は時差出勤、コミュニケーションが苦手ならば短時間の定例報告会を実施するといった施策を検討してみてください。

分かりやすい指示を出す工夫

分かりやすい指示を出す工夫をすることも、精神障がい者を雇用する上では大切なポイントです。

精神障がい者は、以下のような障がい特性により指示が伝わりにくいことがあります。

・コミュニケーションが極度に苦手で質問や確認ができない

・周囲の雑音に気を取られすぎてしまうため、口頭の指示を理解しにくい

・集中力の維持が難しい、短期記憶障がいなどの影響で指示を理解しきれない

こうした特性がある場合、口頭のみの指示では聞き漏らし・聞き間違い・理解できないといった事態が起きて業務に支障をきたします。そのような問題を起こさないためには、マニュアルの作成がおすすめです。

精神障がい者向けにマニュアルを作成する際には、「単文・箇条書きで分かりやすく」「具体的に」「視覚的表現を用いながら」「読みやすい」ように心がけましょう。

支援サービスの活用

精神障がい者を雇用するならば、障がい者雇用支援サービスを活用するのも良いでしょう。

障がい者雇用支援サービスとは、障がい者の人材紹介はもちろん、採用後のサポート、既存社員への研修などさまざまな支援を行うサービスのことです。障がい者の雇用についての専門的なノウハウがあるため、初めて障がい者を雇用するといった企業にとって心強い味方となってくれることでしょう。

もちろん、精神障がい者の雇用支援についても深いノウハウ・経験を持つところもあります。「精神障がい者を雇用して定着させたい」とお考えなら、ぜひ支援サービスを活用してみてください。

農福型の障がい者雇用支援「やさいサポーターズ」

やさいサポーターズ」は、近年注目されている農福型の障がい者雇用支援サービスです。

やさいサポーターズとは

「やさいサポーターズ」はJAグループの「農協観光」と食の福利厚生サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」が提供する障がい者雇用支援サービスです。精神障がい者をはじめとした障がい者人材の紹介や就業場所となる農場の紹介、農場での業務・管理・安全サポート、労働力の還元までをワンストップで対応しています。

「やさいサポーターズ」にはさまざまな特徴がありますが、92%という定着率の高さに強みがあります。JAグループだからこそ実現できる農福連携(農業×福祉)により、農業に意欲・適性のある障がい者をマッチング。さらに、「やさいサポーターズ」運営のポート(拠点)にて管理者と現場での業務を指揮するサポーターの二重管理体制を整えています。障がい者一人ひとりに寄り添って、それぞれにあった業務を割り当てて合理的配慮ができるため、前述してきた精神障がい者を含めた人材の高い定着率を実現しています。

「障がい者雇用を行いたい」「精神障がい者の定着率を高めたい」とお考えなら、ぜひ「やさいサポーターズ」へご相談ください。

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まとめ

今回は、精神障がい者雇用について解説しました。

平成30年に雇用義務対象者になったことから、近年は精神障がい者の雇用が増えています。しかし、同時期に雇用義務対象になった身体障がい者と比べるとその数は少なく、非正規雇用数が多いのが現状です。これは、精神障がい者の特性の理解が進んでいないことが原因で、雇用における課題があるためです。特に、定着率が低い傾向にあることは、企業にとって悩ましいといえるかもしれません。

「やさいサポーターズ」は定着率92%を誇る農福型の障がい者雇用支援サービスです。障がい者スタッフに寄り添い、一人ひとりにあった管理をすることで高い定着率を実現しています。精神障がい者の雇用をお考えでしたら、ぜひご相談ください。

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