農福連携
障がい者雇用の事例9選をケース別に詳しく紹介
障がい者雇用を検討しているものの「ノウハウや経験がない」「社員が不安を感じている」という理由でなかなか進められない企業は多いのではないでしょうか。「他の企業では …
農福連携
-2025.03.25.Tue
障がい者雇用を進めたいけど「費用面でなかなか進められない……」とお悩みの事業者は多いのではないでしょうか。そんなときに活用したいのが、障がい者雇用の補助金・助成金です。
今回は、障がい者雇用の補助金・助成金とはどのようなものか、現行の補助金・助成金の種類や条件について解説します。
障害者雇用促進法により、企業には障がい者を雇用する義務があります。もちろん、ただ義務が課されるだけではなく、障がい者雇用に関する助成金や補助金も拡充しています。ここでは、障がい者雇用の補助金・助成金とはどのようなものなのか、解説していきます。
障害者雇用促進法は、障がい者が安定して就業することを目的にした法律です。障がい者雇用の補助金・助成金は、障害者雇用促進法の目的を果たし、「企業の障がい者雇用を促進する」ために設けられている支援制度となります。
例えば、以下のようなことに使われることを想定しています。
・企業の経済的負担の軽減:障がい者を雇用するための環境整備やサポート体制を整えるための費用補助を行う。
・職場環境の整備:職場のバリアフリー化、専用設備の導入、支援ツールの購入など、さまざまな角度から職場環境を整える。
・就労支援・職場定着促進:障がい者が職場に定着できるように、ジョブコーチの派遣、トレーニングプログラム導入を支援する。
・企業の法定雇用率達成促進:雇用奨励金などにより法定雇用率達成を促進する。
障がい者雇用の補助金・助成金は数多くあり、受給要件もさまざまです。厚生労働省では、助成金について以下のような共通する要件を提示しています。
・雇用保険の適用事業所であること
・補助金・助成金の支給のため、審査に協力すること
・申請期間内に申請を行うこと
補助金・助成金の細かい要件の例としては、制度導入自治体に居住している障がい者を雇用する、職場環境や訓練環境が整備されているといったものもあります。それぞれで異なりますので、申請前に確認しましょう。
補助金と助成金は似ているようなイメージがありますが、まったく違うものです。以下に表でまとめましたので確認してみてください。
項目 | 補助金 | 助成金 |
支給の条件 | 公募制であり、審査を通過した企業のみが受給可能 | 一定の条件を満たせば原則支給される |
目的 | 特定の政策や事業の推進 | 雇用促進や職場環境整備 |
応募方法 | 期限内に申請し、審査を通過する必要がある | 条件を満たせば申請可能 |
競争性 | 予算に限りがあり、希望しても受給できない場合がある | 一定の条件を満たせば基本的に受給できるので競争することはない |
補助金は主に国や自治体、経済産業省などが管轄し、事業拡大や設備投資などを支援するために支給されます。一方、助成金は主に厚生労働省が管轄し、雇用促進や職場環境の改善を目的としています。
また、一般的に補助金は公募期間が短く、助成金は通年で募集されることが多いです。
障がい者雇用の補助金は国や各自治体を中心に設けられています。ここでは参考に、2025年3月時点の情報をもとに補助金の例をご紹介します。
1年以内に精神障がい者を雇用し、職場指導員の設置や働きやすい環境を整えている神奈川県内の企業に対して行われる補助です。
項目 | 内容 |
支給要件 | ・神奈川県内に事業所を有する事業主であること ・精神障がい者を1名以上雇用し、職場指導員を新たに設置すること ・補助対象期間内に職場指導員を配置し、適切な指導・支援を行うこと ・中小企業等であること(社会福祉法人、NPO法人等を含む) ・常時雇用する従業員の数が、40人以上100人未満であること ・特例子会社でないこと ・精神障がい者を1人以上雇用していること ・その障がい者の1週間の所定労働時間が10時間以上であること ・その障がい者が在籍する事業所が県内にあること ・その障がい者を雇用してから1年以内であること(例:令和6年4月1日に雇用した場合は、令和7年4月1日まで申請が可能) |
支給額 | ・補助期間:3年間 ・1年目は月額3万円、2年目および3年目は月額2万円 |
対象 | ・精神障がい者の職場適応を支援する職場指導員の人件費 ・職場指導員の研修費や指導マニュアル作成費用など |
市内企業の障がい者雇用率の上昇を目的にした補助金です。
項目 | 内容 |
支給要件 | ・四日市公共職業安定所等の雇用保険適用事業所または労働者災害補償保険適用事業主 ・四日市市内に事業所を有する事業者であること ・週20時間以上勤務する障がい者を新たに雇用し、職場定着のための支援を実施すること ・労働保険および社会保険に加入していること ・市税の滞納がないこと ・国のトライアル雇用助成金・特定求職者雇用開発助成金の受給対象者でないもの ・雇用開始の前日から過去3年間に、当該事業者において雇用されていないもの |
支給額 | ・1人当たり最大30万円 |
対象 | ・障がい者の職場定着支援に取り組む企業 |
障がいのある方の安定的な雇用の確保、就労機会の拡大を図ることを目的とした補助金です。
※こちらは令和6年度分の情報です。最新の情報については公式サイトをご覧ください
項目 | 内容 |
支給要件 | ・京都府内の事業所で障がい者を常時雇用し、必要な施設・設備などの整備や職場定着事業を令和7年3月31日までに完了する予定の事業主 ・事業完了時に法定雇用義務を履行していること、または京都府内に本社があり、所定の条件を満たすこと |
支給額 | ・補助上限額:100万円 ・補助率:補助対象経費の30%(常時雇用労働者数が1,000人以上の事業者は15%) |
対象 | ・障がい者の雇用に必要な施設・設備などの整備費用(例:バリアフリー化、専用機器の購入など) ・職場定着の支援に要する経費(例:カウンセラーや支援員への謝金、システム導入費など) |
障がい者雇用の助成金にはどのような種類があるのか、またその条件について解説します。
障がい者の雇用や雇用継続のために、職場や付帯する施設、作業設備などの環境整備を行う場合に支給される助成金です。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、「障害者作業施設設置等助成金」「中高年齢等障害者作業施設設置等助成金」「障害者福祉施設設置等助成金」「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」などさまざまな助成金を設けています。
障害者作業施設設置等助成金は、雇用している障がい者が容易に作業を行えるように、施設や設備環境を整える場合に助成を行うものです。
項目 | 内容 |
支給要件 | ・障がい者を雇用し、作業施設の設置や改善を行う事業主 ・障がい者の作業効率向上や安全確保を目的とした施設整備が対象 |
支給額 | ・設置・整備費の2/3以内 ・⽀給対象障がい者1⼈につき450万円 ・作業設備については⽀給対象障がい者1⼈につき150万円 |
対象 | ・障がい者の作業環境の改善を目的とした施設設置・改修 |
障害者福祉施設設置等助成金は、障がい者を雇用している企業が、福祉の増進のために保健施設などを設置・整備する際に助成を行うものです。
項目 | 内容 |
支給要件 | ・障がい者の職業能力開発や就労支援を行う福祉施設を設置する事業主 |
支給額 | ・費用の1/3以内 ・⽀給対象の障がい者1⼈につき225万円 ・短時間労働者(重度身体・重度知的・精神障がい者を除く)の場合、1人につき上記の半額 ・同⼀年度当たり2,250万円が限度 |
対象 | ・障がい者が利用する福祉施設の設置・改修 |
障害者介助等助成金は、障がい者雇用をするうえで、介助者を職場に配置する、または委嘱する企業に対して支給される助成金です。
職場介助者助成金、手話通訳・要約筆記などの担当者助成金、職場支援員助成金などがあり、それぞれで要件が異なります。ここでは、職場介助者助成金について簡潔に表でまとめます。
項目 | 内容 |
支給要件 | ・障がい者を雇用している事業主 ・職場での業務遂行を補助するために介助者を配置すること |
支給額 | ・助成率:支給対象費用の3/4(75%) ・配置:1人当たり月額15万円(最長10年間) ・委嘱:1回当たり1万円、年間上限150万円まで |
対象 | ・事業主が雇用する障がい者の業務遂行をサポートする介助者の配置 |
重度障害者等通勤対策助成金とは、通勤が特に困難と認められる重度の障がい者を雇用する企業に対して、費用の一部を助成するものです。
項目 | 内容 |
支給要件 | ・重度身体障がい者、重度知的障がい者、精神障がい者などを雇用する事業主 ・障がい者の通勤を支援するための設備や手段を提供すること |
支給額 | ・実施する通勤対策により異なる ・通勤用バスの購入であれば「助成率:3/4」「支給限度額:1台700万円」 |
対象 | ・障がい者の通勤環境を整備し、継続的な雇用を目指す事業主 |
重度の障がい者を多数かつ継続して雇用し、安定した雇用を継続できると認められる企業が、障がい者のために設備の整備を行う際に費用の一部を助成するものです。
「障害者作業施設設置等助成金」「中高年齢等障害者作業施設設置等助成金」「障害者福祉施設設置等助成金」「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」があります。以下では障害者作業施設設置等助成金について表でまとめますので、参考にしてください。
項目 | 内容 |
支給要件 | ・対象障がい者(身体・知的・精神)を継続的に雇用する事業主 ・障がい者の就労環境を改善するための施設や設備の設置・改修を行うこと |
支給額 | ・⽀給対象障がい者1⼈につき450万円 ・作業設備は⽀給対象障がい者1⼈につき150万円 |
対象 | ・障がい者の作業施設の設置・改修を計画する事業主 |
障がい者を雇用したことがない、または雇用したことがない障がい種別の障がい者を雇用しようと検討し、ハローワークと協力して実習生を受け入れ、職場実習をした際に支給される制度です。
項目 | 内容 |
支給要件 | ・障がい者を対象とした職場実習を受け入れる事業主 ・実習期間中、障がい者に対し適切な指導・支援を行うこと |
支給額 | ・実習対象者1人につき1日当たり5,000円 ・もにす認定事業主は年100万円まで、それ以外の事業主は年50万円まで |
対象 | ・職場実習の受け入れを行う事業主 |
トライアル雇用助成金とは、障がい者を3ヶ月間の間試行雇用する「トライアル雇用」を実施する企業に対して支給される助成金です。障害者トライアルコースと障害者短時間トライアルコースの2つがあります。
障害者トライアルコース
項目 | 内容 |
支給要件 | ・障がい者を試行雇用する事業主 ・ハローワークなどの紹介による雇用 ・原則3ヶ月間の試行雇用を実施 |
支給額 | ・月額4万円(最長3ヶ月、最大12万円) ・精神障がい者の場合、雇入れから3ヶ月間は月額8万円、次の3ヶ月は月額4万円(最長6ヶ月、最大36万円) |
対象 | ・障がい者の試行雇用を行う事業主 |
障害者短時間トライアルコース
項目 | 内容 |
支給要件 | ・週10時間以上20時間未満の短時間雇用で試行雇用を実施 ・障がい者の就業環境を整備する |
支給額 | ・支給対象者1人につき、月額最大で4万円(最長12ヶ月、最大48万円) |
対象 | 障がい者を短時間で試行雇用する事業主 |
特定求職者雇用開発助成金は、特定の条件を満たす求職者を雇用する企業に対して支給される助成金です。特定就職困難者コース、発達障害・難治性疾患患者雇用開発コースの2つのコースがあります。
特定就職困難者コース
項目 | 内容 |
支給要件 | ・高年齢者(60歳以上)、障がい者、母子家庭の母などの特定就職困難者を雇用する事業主 ・ハローワークまたは民間の職業紹介事業者からの紹介による雇用 ・継続雇用を前提とし、一定期間雇用を維持する |
支給額 | ・短時間労働の障がい者(週20~30時間未満):最大80万円(1年) ・重度以外のフルタイムで働く障がい者(週30時間以上):最大120万円(1年) ・フルタイムで働く重度障がい者など:最大240円(2年) |
対象 | ・障がい者、高年齢者、母子家庭の母などの特定就職困難者を雇用する事業主 |
障害者雇用安定助成金は、障がい者の職場定着のための措置を行う企業、職場適応援助者によって職場適応の援助を行っている企業に支給される助成金です。
さまざまなコースがありましたが、統廃合されています。以下で、キャリアアップ助成金について表でまとめます。
項目 | 内容 |
支給要件 | ・非正規雇用労働者(有期雇用、短時間労働、派遣労働者)の処遇改善を行う事業主 ・一定のキャリアアップ措置(正社員化、処遇改善、職業訓練など)を実施 |
支給額 | ・重度障がい者など(中小企業):有期から正規へ→120万円/無期から正規へ→60万円 ・重度障がい者など(大企業):有期から正規へ→90万円/無期から正規へ→45万円 |
対象 | ・非正規雇用労働者を雇用する事業主 |
障害者雇用納付金制度は、法定雇用率を達成している企業を対象として、調整金・報奨金を支給する制度です。未達成の場合は納付金が発生します。
障害者雇用調整金
項目 | 内容 |
支給要件 | 常時雇用している労働者数が100人を超え、法定雇用率を超えて障がい者を雇用している事業主 |
支給額 | 超過する障がい者1人当たり月額29,000円 ※支給対象人数が年120人月を超える場合、超過人数分は1人当たり月額23,000円 |
対象 | 事業主 |
報奨金
項目 | 内容 |
支給要件 | 常時雇用している労働者数が100人以下で、各月の常時雇用している障がい者の数の年度間合計数が一定数を超えている事業主 |
支給額 | 超過する障がい者1人当たり月額21,000円※支給対象人数が年420人月を超える場合、超過人数分は1人当たり月額16,000円 |
対象 | 事業主 |
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