農福連携

 公開:2025.02.12

 更新:2025.02.17

就労定着支援サービスとは?障がい者雇用を進めるポイント

就労定着支援サービスは2018年から始まった障害福祉サービスの一つです。比較的新しいサービスであることから「就労定着支援サービスって何?」「企業にとってどんなメリットがある?」と疑問をお持ちの方もいることでしょう。

今回は、就労定着支援サービスとは何なのか、その目的や企業側のメリット・デメリットについて解説します。

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就労定着支援サービスとは

就労定着支援サービスとは、障がいのある人が就労先にてその業務や環境に適応し、安心して長く働き続けられるようにサポートする福祉サービスのことです。改正障害者総合支援法に基づき、2018年から創設されています。

障がい者に向けた定着支援は、就職まで一貫してサポートする就労移行支援事業所、生活と就労を支援する障害者就業・生活支援センターなどによって、これまでも行われてきています。

しかし近年、就労意欲のある障がい者の方や実際に働いている障がい者の方が増え、それに伴い、さまざまな課題も浮き彫りになってきています。障がい者が働く上での悩み・課題の解決をサポートする需要が高まってきたことを受け、就労定着支援サービスが実施されることとなりました。

就労定着支援サービスでは、就労定着支援員が、働く障がい者と勤務先である企業の間に入ります。そして、日々の業務において生じている課題について、専門家の立場から相談を受けたりアドバイスしたりといった支援を行います。

就労定着支援サービスの目的

就労定着支援サービスの目的は、障がい者が企業にて安心して継続的に業務に取り組めるようにサポートすることです。

前述の通り、近年は障がい者の一般就労が増えてきています。これは、就労意欲の高い障がい者が増えたことや法定雇用率の引き上げなどが関係しています。一般企業にて実際に働いてみると、それまで生活していた環境とは異なる課題が生じることから、戸惑い悩んでしまう障がい者の方が少なくありません。例えば、コミュニケーションがうまく取れない、仕事でミスが多くて困る、体調管理ができずに遅刻・欠勤が増えてしまうといった課題を抱えている方が多くいます。

障がい者の方にとって、こうした課題を自分一人で解決するのは難しく、対処法も分からずに一人で抱え込み思い悩んでしまうことが少なくありません。そうした状態が続けば、職場で安心して働けなくなり、最終的に退職につながってしまいます。

就労定着支援サービスでは、企業や家族はもちろん、医療機関や福祉施設などと連携して、必要な指導や助言などの支援を行います。そして、障がい者の方が安心して継続的に働けるように導くことを最終的な目的としています。

就労定着支援サービスを企業が導入する場合のメリット

企業側の就労定着支援サービスのメリットにはさまざまなものがあります。

就労定着支援サービスは、障がい者が就労してから7ヶ月目から利用でき、最長で3年間利用し続けられます。そのため、障がい者スタッフが就労支援サービスを利用していれば、その期間中は就労定着支援員と連携しながら雇用を継続しやすい環境整備を実施できます。障がい者と企業の間に就労定着支援員が入り面談できるため、お互いに意見を出し合いやすく、現状を踏まえながら業務調整・環境整備ができることもメリットであるといえます。

また、就労定着支援サービスは医療機関や福祉施設とも連携しながら、障がい者の就労定着支援を行います。業務を継続していく中で新たな症状が出てそれが課題となってしまった際にも、専門家と連携しながら適切な対応ができるため、企業にとっても安心感があることでしょう。

就労定着支援サービスを企業が導入する場合のデメリット

障がい者スタッフが就労定着支援サービスを利用することは、企業にとってさまざまなメリットがあります。その一方で、デメリットもいくつかありますので頭に入れておきましょう。

就労定着支援サービスを利用できるのは、就労移行支援・就労継続支援・自立訓練・生活介護といった障害福祉サービスを利用していて、一般就労した障がい者です。サービス利用には障害福祉サービス受給者証も必要になります。これに該当しない場合は福祉サービスを受けられない点には注意が必要です。

就労定着支援サービスはサポートを受ける障がい者スタッフ自身が負担します。負担割合は1割であり、残り9割は自治体が負担します。そのため、就労先の企業に金銭的負担はありません。しかし、障がい者スタッフにとってその費用が負担となり、サービスの利用をやめてそのまま退職してしまうということになる可能性がなくはありません。

また、就労定着支援サービスには利用できる期間があります。就労開始7ヶ月目からサービスを利用でき、1年ごとに契約を更新します。しかし、3年以上は利用期間を延長できないため注意が必要です。

就労定着支援サービスの利用方法

それでは、就労定着支援サービスの利用方法について見ていきましょう。

就労定着支援サービスを受けられる事業所

就労定着支援サービスは2018年から始まった新しい福祉サービスです。そのため、事業所によっては体制を整えている段階で、サポート方法を模索している事業所も少なくありません。

このようなことから、実際にどの事業所でどのような定着支援を行っているかについては、事前に調べておくことが大切です。障がい者スタッフが就労定着支援サービスの利用を検討しているようならば、その調査を企業でサポートするのがおすすめです。

条件

就労定着支援サービスを利用するには以下のような条件があります。

・就労移行支援・就労継続支援・自立訓練・生活介護などの障害福祉サービスを利用して一般就労している

・障害福祉サービス受給者証を持っている

これらの条件が当てはまる障がい者の方でなければ、就労定着支援サービスを利用することはできません。

利用料や利用期間

就労定着支援サービスを利用するには費用がかかり、利用できる期間にも制限があります。

就労定着支援サービスの利用料を負担するのは、サービスを利用する障がい者スタッフ本人です。本人や世帯の前年所得などに応じ、原則として1割の自己負担が生じることがあります。負担する場合は、上限月額が設定されていますので、月ごとの利用したサービス量が多かったとしても、負担額が上限を超えることはありません。利用料の金額や有無については変動しますので、実際に利用する際には自治体に問い合わせましょう。残りの9割については就労先の企業ではなく自治体が負担します。

就労定着支援サービスの利用は、障がい者の方が一般就労を開始してから7ヶ月目から開始できます。最長は3年間です。契約更新は1年ごとに行われるものの、3年以上は利用期間を延長できません。3年経過後も就労定着支援を受けたい場合には、それまで利用してきた事業所が任意で継続するケースと、障害者就業・生活支援センターなどの支援機関がそのサポートを引き継ぎするケースがあります。

利用の流れ

就労定着支援サービスを含む障害福祉サービスは、「サービスを利用したい」という意思を持つ障がい者に向けたものです。そのため、障がい者本人自らが申し込みを行う必要があります。以下に、簡単な流れをまとめます。

・居住している自治体の健康福祉課や地域保健福祉センターに申請する

・障がい者本人の心身の状況などの聞き取りを行う

・相談支援事業者や障がい者が作成したサービス利用計画案を提出する

・自治体から障害福祉サービス受給者証が発行される

・サービス利用計画を提出する

・就労定着支援サービスを受ける事業者を選び、契約を行う

・契約内容に基づいて就労定着支援サービスが行われ、所得に応じた費用負担を行う

前述の通り就労定着支援サービスを申請する際には、サービスを利用したいという意思を持つ本人が主となり進めます。もちろん、障がい特性によっては一人で行うのが難しいこともあるでしょう。そのような場合は、自治体や事業所が申請をサポートしてくれることもありますので、自治体や事業所の窓口にて相談してみましょう。

就労定着支援サービスを使う際のポイント

就労定着支援サービスは、一般就労する障がい者が安心して継続的に業務を行えるようにサポートしてくれるものです。障がい者本人はもちろんですが、企業側にとっても定着率が安定するというメリットがあります。

そのメリットを最大限に活かすためにも、就労定着支援サービスを利用する障がい者スタッフを雇用している場合は、以下のポイントをおさえておきましょう。

採用時にさまざまな点を確認する

障がい者を採用する際には、どのような点に注意すべきか事前に確認することが大切です。

例えば、現在抱えている障がいの症状はどのようなものなのかについては必ず確認しなければなりません。症状を正確に把握することで自社の業務とマッチするかどうか、どのような業務を切り出すべきかなどが分かるためです。さらに、中長期的な視点に立てば、将来的に新たな症状が発生する可能性があるかどうかも重要なポイントとなります。これらを総合的に判断し、採用すべきか判断しましょう。

また、障がい者自身が抱えている日常生活における悩みや課題についても尋ねることも大切です。例えば、車椅子を利用していて段差や狭い通路があると通行できないという悩みを抱えているとします。このような場合、社内はバリアフリーであるか、出勤せずにリモートワークでも行える業務はあるかなど、受け入れ体制についてチェックできます。

採用前に得たさまざまな注意点については、予定されている配属先の責任者にも伝えましょう。そして、どのような対応やサポートが必要なのかを検討するとともに、現場の理解を得られるように努めることが大切です。

就労者の課題や状況を把握する

障がい者スタッフが抱えている課題や状況についても常に把握しておきましょう。

障がいの有無に関わらず、普段の業務の中でどのような悩み・課題を抱えているのか把握することは、定着率向上に欠かせないものです。特に障がい者スタッフは、障がい特性によって企業側で想定し得ない課題を抱えていることもあります。また、障がい者スタッフ自身がうまく現状を説明できない、そもそも本人自身が気づいていない課題があるといったケースもあります。

このようなことから、定期的に就労定着支援員との面談を行い、じっくりと話を聞いて障がい者スタッフの課題・状況を正しく把握できるようにしておきましょう。

相談できる環境を整える

障がい者スタッフが相談しやすい環境を整えることも大切です。

企業側でさまざまな配慮をしていても、障がい者スタッフが思いがけないところで悩みや課題を抱えてしまうことはあり得るものです。そんなとき、相談できる環境が整っていれば、障がい者スタッフも安心できることでしょう。

例えば、上司や同僚は身近な相談先として事前に提示しておきましょう。社内に相談窓口があれば、直接話しづらいような悩みも相談しやすくなります。また、就労定着支援員とも定期的に面談を行いましょう。

農福連携型の障害者雇用支援「やさいサポーターズ」もご検討ください

今回は、就労定着支援サービスについて解説しました。

障がい者の法定雇用率の引き上げに伴い、障がい者の雇用を進めたいと考えている企業は増加しています。しかし、ノウハウや経験がなく障がい者の雇用に不安を感じている企業は少なくありません。また、採用後に定着してくれるかどうかという点も企業にとっては大きな悩みです。

就労定着支援サービスは一般就労する障がい者が、安心して継続的に働き続けられるようにサポートするサービスです。障がい者スタッフが利用していれば、定着率の向上につながりやすいことでしょう。しかし、最長3年間しか利用できないサービスであるため、それ以降はどうなってしまうのか…と不安を感じてしまうこともあるかもしれません。

障がい者の雇用や定着率の向上にお悩みでしたら、農福連携型の障がい者雇用支援サービス「やさいサポーターズ」の利用をご検討ください。

「やさいサポーターズ」はJAグループの「農協観光」と食の福利厚生サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」が提供する障がい者雇用支援サービスです。就労意欲のある障がい者の紹介はもちろん、農福コーディネーターが就労後も企業ごとのユニットをサポートします。

また、収穫された農作物の一部は「OFFICE DE YASAI」の商品に使用されます。「やさいサポーターズ」の利用企業は、「OFFICE DE YASAI」を無料導入できますので、健康経営も実現可能です。

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