福利厚生制度
福利厚生制度にあるデメリットを見抜く!社員満足度を向上させるには?
福利厚生は社員の満足度向上や仕事と家庭、プライベートの両立に欠かせない制度です。 少子高齢化による働き手不足で、人材の確保に苦労している企業も少なくないと思いま …
「感情労働」という言葉をご存じでしょうか。
近年注目されている概念で、日本では「おもてなし」文化の影響もあり、感情労働で働く人々が増加していると言われています。
感情労働とは感情を抑制して労働を行うことを指し、一般的な労働に比べて精神的な負担が大きく、メンタルヘルスに不調を及ぼしやすいとされているのです。
今回は、感情労働とは具体的にどのような働き方なのか、また、よくある課題点や従業員のメンタルケアのポイントについてご紹介します。
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目次
感情労働とは、「仕事をする上で感情のコントロールを求められる労働」を指します。
アメリカの社会学者であるアーリー・ラッセル・ホックシールド氏によって「肉体労働や頭脳労働と異なる第三の労働形態」と提唱された新しい労働概念です。
1983年に出版した著書『管理される心ー感情が商品になるとき』の中で初めて「感情労働」について問題を提起したことにより注目されました。
感情労働は比較的新しくできた概念ではありますが、感情労働という働き方自体は古くから存在しています。
肉体労働だけでなく、頭脳労働においても、感情をコントロールしながら労働を行っている方はいます。感情をコントロールするとは、感情を抑制したり、緊張する、忍耐することなどを指します。
例えば「顧客からの要求にはどのような場合でも笑顔で礼儀正しく接しなければならない」といったルールを設けられている企業では、感情労働が求めらます。
ルールのもと働く感情労働者は、顧客からの怒りや理不尽なクレームに対して、笑いたくなくても笑顔で接するなど自分自身の感情を抑制し、我慢強く冷静に対応しなければなりません。
頭脳労働とは、「主に頭脳を求められる労働」のことです。デスクワークをする人などが着ているシャツの白い襟から「ホワイトカラー」とも呼ばれています。
頭脳労働に当てはまる職業は下記の通りです。
・会社の企画や管理、事務職
・専門的な知識を必要とする弁護士や税理士
・ITの専門知識やスキルを備えたエンジニアやプログラマー
・自分のアイデアや企画をアウトプットする小説家やデザイナー
感情労働は、新しい概念として認知される以前は、頭脳労働の一種として扱われていました。
しかし近年は、頭脳労働の中でも特に感情のコントロールが必要とされる職業については、感情労働として扱われるようになりました。
肉体労働とは、「主に体力や筋力を求められる労働」を指します。頭脳労働をホワイトカラーと呼ぶのに対し、青色の襟がついた作業着を着て働く人が多かったことから「ブルーカラー」とも呼ばれています。
肉体労働に当てはまる職業は以下の通りです。
・土木
・第二次産業である製造業・建設業・鉱業
・第一次産業である農業・林業・漁業
肉体労働のなかにも頭脳を必要とする仕事もあり、一概に肉体だけを使う労働を指すわけではありません。
長時間継続して行う量産的な単純作業のデスクワークを、頭脳よりも肉体疲労が大きいことから肉体労働として扱うこともあります。
現在の日本では、以前に比べて感情労働が増加しています。感情労働が増加する背景として、以下の3つの要因が関係していると考えられます。
・第三次産業に従事している人口の増加
・インターネット・SNSの普及
・顧客満足度を重要視する企業の増加
第三次産業とは、第二次産業(製造業・建設業・鉱業)と第一次産業(農業・林業・漁業)以外の業種を対象とする産業のことです。
第三次産業の対象事業の種類は非常に幅広く、商業から金融・保険業、運輸・郵便業、卸売・小売業まで、さまざまな種類の業種が含まれています。
第三次産業の規模は、1920年に全産業の23.7%でしたが、2010年には66.5%と、急激に上昇しました。
ITや輸送技術の高度先進化や利便性の高いサービス提供形態の普及などにより、求められるサービスの提供量・必要人員の増加を生み出したのです。
また、インターネットやSNSの普及により、個人間だけでなく、企業・個人間での情報収集や感想が簡単に手に入ることのできる時代になりました。
裏を返せば、良くも悪くも個人の意見や不満が簡単に発信されるようになり、トラブルやクレームなどが悪評へとつながりやすくなったとも言えるでしょう。
加えて、競合他社との差別化を図るために、商品であるサービスの他に「顧客満足度」を重要視する企業が増えていることも考えられます。
SNS上での悪評を恐れた企業や顧客満足度の向上を求める企業が、以前よりもより過度なサービス(顧客と接する従業員の言動、コミュニケーション能力、接客対応やクレーム対応)を労働者に求めるようになったことは、感情労働が増えている一因となっています。
具体的にどのような業界、職種において感情労働が必要とされているのでしょうか。
感情労働の中でも、特に感情のコントロールを必要とされる職種について見ていきましょう。
サービス業とは、目に見えないサービスを提供する第三次産業全般を指します。
飲食サービス業や接客業はもちろん、美容院や旅行代理店などの生活関連サービス業、学校の先生や保育士などの教育支援業、鉄道やタクシーなどの運輸業など、該当する業種は多岐にわたります。
どの業種にも共通しているのは、お客様と直接顔を合わせて直接サービスを提供することです。
感情労働では、自身の感情に関係なく笑顔で顧客に接したり、従業員としての態度や言動がルール化されていたりすることも多くあります。
サービス業は顧客の「~してほしい」「~したい」といったさまざまな要求に応えることが重要になり、高度なコミュニケーション能力が必要となる、感情労働の代表的な職種です。
コールセンターのオペレーターにおける重要な業務のひとつに、クレーム対応があります。顧客から何を言われても、オペレーターは自身の感情を抑制し、丁寧に対応しなければなりません。
直接人と対面しないものの、「真摯に非を受け止めて謝罪する姿勢」を演出する労働は、感情労働そのものです。
専門的な知識を必要とするため頭脳労働とも考えられる医療職の看護師や、頭脳労働と肉体労働の両方の要素に該当する介護士も、感情労働として分類されます。
医療技術の提供や身体的介護サポートのほか、患者の精神的なサポートも必要とされる職種です。
患者の不安や悩みに耳を傾け、患者一人ひとりに寄り添う真心のこもったサービスが要求されます。
感情労働は、感情をコントロールすることが重要です。感情をコントロールすることで、メンタルヘルスにどのような影響があるのか、問題点を見ていきましょう。
感情労働の問題点は、業務上でのストレスが他の労働と比較して回復しにくいことです。
肉体労働は身体の休息、頭脳労働は脳の休息をすることで回復します。
しかし、感情にかかわる感情労働は、精神的疲労=精神的ストレスが回復しづらいと言われています。
従業員本人がストレスが蓄積されていることに気づかないままストレスを溜め込んでしまい、知らず知らずのうちにメンタルヘルスの不調を引き起こすこともあります。
感情労働において、労働者は「表層演技」と「深層演技」と呼ばれる2種類の演技が求められます。
この2種類の演技は、感情労働の問題点に関係しています。
・表層演技:目に見える表面的な行動としての演技
例)作り笑いや会釈
不快な顧客に対してイライラした感情を隠して笑顔で接客する
・深層演技:役者のように心の底からそう思い込むようになりきる演技
例)顧客へ申し訳ない気持ちを心から感じながら謝罪をする
不快な顧客に対しても心から笑顔で接し、適切に対応する
表層演技と深層演技は、どちらも感情労働には欠かせない重要な応対術です。
しかし、それが過剰になり許容値以上のストレスを抱えてしまった時、知らず知らずのうちに疲労が蓄積し、バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る可能性があります。
バーンアウトとは、身体的・精神的な疲労の蓄積によって心身のエネルギーを消耗し尽くし、何事にも無気力になる状態を指します。
重度のうつ病にも発展する可能性のある危険な症状です。
物事への意欲が激減したり、今まで対応できた仕事もスムーズにこなせなくなります。
感情労働において、無理な感情のコントロールを行ってストレスが蓄積されると、仕事への満足度が低下してしまいます。
ストレスはメンタルヘルス不調の大きな要因です。正しいケアが成されていないと心と身体にさまざまな異変が生じ、仕事へ悪影響を及ぼすことが明らかになっています。
メンタルヘルスの不調は、仕事のパフォーマンスが低下するだけでなく、最悪の場合、休職や離職につながってしまうケースもあります。
このような状況にならないためにも、感情労働を行う従業員に対して正しいメンタルヘルスケアを行うことはとても重要です。
では、企業は感情労働で働く従業員をサポートするために、どのような対応をすればよいのでしょうか。
感情労働で働く従業員のメンタルヘルスケアについて見ていきましょう。
2015年12月に改正された労働安全衛生法により、従業員50人以上の事業場には年1回のストレスチェックを行うことが義務付けられました。
ストレスチェックとは、ストレスに関する質問に従業員が回答し、それを集計・分析することで、ストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査のことです。
感情労働では、従業員のストレスの度合いが客観的にわかりにくいという特徴があります。
ストレスを受けている本人でさえも自身のストレスの存在に気づかず、いつの間にか疲労が蓄積してメンタルヘルスの不調やバーンアウトな状態になってしまう可能性があるのです。
ストレスチェックの導入により、従業員自らストレスの存在に気づき、自身がどの程度精神的に疲労しているか、正しく知ることが重要です。
これにより、セルフケアを行うなどメンタルの不調を未然に防ぐことができます。
また、ストレスチェックの結果を確認し、従業員のストレス状態を把握することは、企業にとってもメンタルヘルスケアにおける有効な対策の一つであると言えます。
2019年4月から施行された働き方改革関連法により、企業は従業員に対して産業医による面接指導や健康相談などを適切に行わなければならないとされました。
産業医とは、企業における従業員の健康管理やケアなどを行うために選任された医者のことです。産業医は、従業員が健康で快適な環境で仕事ができるよう、専門的立場から指導・助言を行います。
感情労働のようにストレスが蓄積されやすい職種や長時間労働が慢性化している職場では、従業員がメンタルヘルスの不調やバーンアウトに陥るリスクが高くなります。
従業員が健康について相談できる産業医などのカウンセラーを設置することにより、従業員本人がストレスに気づき、ストレスやうつなどの早期発見や未然防止できます。
企業は、従業員がストレス過剰になってしまう前に、産業医と連携し、労働環境の改善や予防策を積極的に打ち出すことが大切です。
メンタルヘルス教育とは、企業におけるメンタルヘルスケアが適切に実施されるために、従業員や管理監督者にメンタルヘルス対策の大切さを理解してもらうことです。
厚生労働省が定める「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、企業のメンタルヘルスにおいて4つのケアが重要であるとされています。
・従業員一人ひとりによる「セルフケア」:従業員自らが行う活動
・会社の管理職による「ラインケア」:管理監督者などが行う活動
・「事業所内の産業保健スタッフによるケア」:産業医や安全衛生担当が行う活動
・「社外の専門機関によるケア」:医療機関などを利用した活動
上記のうち、セルフケアとラインケアに関しては、社内での教育を実施することが大切です。
従業員本人は、自分の体調や心の状態をしっかり把握し、自身のストレスに早期に気づき、ストレスへの対処を行うなど、自分自身でストレスマネジメント(セルフケア)を行います。
また、管理監督者は、従業員への個別指導・相談や、職場環境の改善(ラインケア)を行います。
従業員の状況を日常的に把握し、具体的なストレス要因やその改善を図ることもラインケアにおける重要な活動の一つです。
従業員や管理監督者の、メンタルヘルスに関する認識について、できるだけ統一できるような仕組みづくりも必要となります。
ストレスやメンタルヘルスに対する正しい知識を理解し、会社全体でメンタルヘルスケアを行っていきましょう。
感情労働者がストレスを蓄積してしまう原因として問題視されているのが、従業員自身が自分の本音を話す機会が少ないことです。
そのためにも、企業が「本音を言える味方」になることが大切です。
従業員が、仕事での悩みやストレスについて気兼ねなく相談できるよう、定期的に面談を行うなど、従業員と管理職やチームメンバーとのコミュニケーションの場を設けましょう。
また、従業員のメンタルヘルス不調を発見したら、すぐに社内の産業医などのカウンセラーと連携できる仕組みづくりも必要です。
感情労働のケアにおいて、感情労働で働く従業員をサポートし、よりよい職場環境をつくることがとても重要です。
健康な職場環境づくりの一環として企業ができることの一つに、福利厚生の充実が挙げられます。
福利厚生を充実させることは、従業員のメンタルヘルスケアにつながるだけでなく、従業員満足度やパフォーマンスアップにもつながります。
なかでも「食の福利厚生」は、従業員満足度を高める効果が非常に高いとされています。
しかし、社員食堂やカフェテリアの設置は、導入コストが高額なだけでなく、運用のノウハウも必要とあってハードルが高いものとなっています。
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感情のコントロールが必要とされる感情労働では、過度なストレスにより心身ともに疲弊し、食事もままならなくなってしまうこともあるでしょう。
そんな時、職場で美味しい野菜やフルーツ、健康的な食事を摂ることができたら、メンタルヘルスケアに役立つことは言うまでもありません。
OFFICE DE YASAIが提供する食事は、健康第一に考えられた安心・安全なもので、メニューの栄養バランスもよいため、感情労働を行う従業員の心身ともに健康的な生活を守る助けとなることでしょう。
感情労働は感情のコントロールは当然であると考えられがちですが、人間が自分の本来の感情を抑制して仕事をすることは、ストレス以外の何物でもありません。
感情労働がストレスの大きな一因であるということを企業は改めて認知し、従業員のメンタルヘルスケア対策を行い、従業員の心身の健康を守ることが大切です。
ぜひ食の福利厚生を充実させ、感情労働で働く従業員のメンタルヘルスケアに役立ててみてはいかがでしょうか。
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