企業の健康経営
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近年、マインドフルネスという言葉を耳にするようになりました。
有名企業が社員研修の一環として取り入れることも多くなり、関心が高くなってきているようです。
しかし、「マインドフルネス」という言葉の知名度は上がっていても、その内容まではあまり知られていないようです。
そこで、この記事ではマインドフルネスの概要に加え、得られる効果や導入事例、注意点をご紹介します。
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目次
マインドフルネスの大きな意味は「今、この瞬間」を大切にする生き方のことを指しています。
それだけでは少し分かりにくいと思いますので、マインドフルネスという言葉の意味から詳しくみていきましょう。
マインドフルネスは、仏教の経典で使われている古代インド語の「サティ(sati)」という言葉をルーツとしています。
サティには、「心をとどめる」「気づき」という意味があり、その英語訳として「マインドフルネス(mindfulness)」という言葉が使われました。
また、形容詞の「マインドフル(mindful)」には、「気づかう」「心配り」という意味があります。
その点からも、「今、この瞬間」に気持ちや心を向けている状態というイメージが持てるのではないでしょうか。
そもそもマインドフルネスが世界中で知られるようになったのは、マサチューセッツ大学医学校の名誉教授であるジョン・カバットジン博士という人が「マインドフルネスストレス低減法」というものを開発し、医療分野でマインドフルネス瞑想を最初に取り入れたのがきっかけです。
医療分野以外でも、知名度のある大企業が社員研修の一環として取り入れたことで、世界中へ普及していきました。
マインドフルネスで重要視している要素として、「判断をしない」「今、この瞬間に意識を向ける」という2点があります。
「判断をしない」とは、自分の今の状態についてジャッジや評価をせず、どんなものであっても受け入れ、そしてそれを観察することです。
私たちは普段、「良い・悪い」「好き・嫌い」といった主観的な判断に基づいて、出来事や自分の状態を評価しがちですが、これでは客観的な視点で見ることが難しくなってしまいます。
その結果、不安や恐れ、偏見や嫉妬といった感情に振り回され、望まない反応をしてしまうことも少なくありません。
今の状態を判断したり評価したりせず、ありのままで受け入れられるようになると、出来事や自分の状態がはっきりと見えるようになり、感情に振り回されることなく適切な対応が取れるようになるというのがマインドフルネスの考えです。
そして、マインドフルネスの最も大きな特徴とも言える「今、この瞬間に意識を向ける」とは、簡単にいうと注意力の無駄使いをなくすというものです。
私たちは普段、過去や未来のことについて考えたり、起きた出来事に対して反応することで、多くの注意力を浪費していると考えられています。
注意力を「今、この瞬間」に向けると、外側で起きる出来事に気を取られなくなり、注意力の無駄遣いが減り、心が穏やかな状態でいられるようになっていくのです。
その結果、洞察力が高まり、また、集まった注意力によってより冷静に対処できるようになると考えられています。
マインドフルネスの実践方法で基本となるものは瞑想で、マインドフルネス瞑想と呼ばれています。
「マインドフルネス=瞑想」と思っている人も多いかもしれませんが、瞑想はあくまでマインドフルネスに近づくための実践方法です。
多くの研究により、瞑想の脳や体への効果、また臨床治療としての有効性が立証されてきたことで、広く世界中で受け入れられるようになりました。
また、仏教の瞑想法がルーツとなってはいますが、宗教色は一切排除されているため、誰にでも取り入れやすいものになっていることも、世界へ広まった理由と言えるでしょう。
マインドフルネスには、集中力が高められるほか、自己理解が深められるといった効果もあります。
マインドフルネスを通して集中力をコントロールできるようになります。
例えば、仕事中であっても、「友達からのメッセージに返信しないと」や、「帰りにスーパーで買い物をしなくては」など、他のさまざまなことが頭をよぎり、目の前の仕事に100%集中できていないことも多いのではないでしょうか。
マインドフルネスによって心を整理し、集中力の浪費がなくなることで、「今、この瞬間の仕事」に100%集中した状態でのぞむことができます。
その結果、パフォーマンスが向上し、生産性のアップにつながっていくことが期待できるのです。
マインドフルネスによって、自分の持つネガティブな感情を見つけ、それを知覚することで、心が落ち着き穏やかさを保てるようになります。
実際にワシントン大学で行われた実験では、瞑想を実施したグループのストレス値が最も低く、記憶力も向上していたという結果が出ています。
マインドフルネスを実践していくと、細かな心の動きに気づけるようになり、自己理解が深まります。
日ごろ、自分自身が何を考えどう感じているかということは、意識していないことも多く、意外と気づけていない場合が多いのではないでしょうか。
普段あまり意識を向けていなかった自分自身の思考や感情に向き合うことで、自分を客観的に捉えられるようになり理解が深まっていくのです。
さらに突き詰めていくことで、自分自身の根底にある価値観を探り出すこともできます。
根本にある価値観を知り、自分が本当にしたいことがわかれば、自分への理解がより深まるでしょう。
マインドフルネスの基礎となるものは「瞑想」です。慣れていないと難しく感じるかもしれませんが、3つのステップに沿ってゆっくり進めていきましょう。また、企業で研修としてを取り入れる場合の進め方も併せて紹介しますので参考にしてください。
瞑想をする際、慣れていない場合は雑音が少なくできるだけ静かな環境で行うのがいいでしょう。
準備ができたら、以下の3ステップで進めていきます。
1.姿勢を正す
姿勢を正すことで、脳へしっかりと酸素が送られます。椅子に座っていても床に座っていても、リラックスできる無理のない体勢で姿勢を正すようにしましょう。
2.ゆっくりとした呼吸にする
瞑想をする際は、ゆっくりとした呼吸が良いとされています。10秒に1回程度を目安に、4秒かけて息を吸い、6秒かけて息を吐くイメージでするといいでしょう。
3.意識のコントロール
呼吸に意識を集中させます。他のことに注意が向いてしまったら、その都度呼吸に意識を戻しましょう。
以上がマインドフルネスの基本の3ステップになります。
目は開けていても閉じていても構いませんが、目を開けてする場合には何か一点を見つめるようにするとうまくいきます。
目を閉じていると寝てしまう人は、うっすらと目を開けておくのもいいでしょう。
企業の社員研修として取り入れる際の研修例について、順を追って紹介します。
1.マインドとフルネスの概要・効果の説明
参加した社員が研修の意味を理解し、興味を持って主体的に取り組めるように、概要や効果を説明します。
2.瞑想
マインドフルネスの基礎である瞑想に取り組みます。瞑想を通して心を平静に整えることで、参加者全員の集中力が高められるでしょう。その結果、研修としての効果も期待できます。
3.セルフコントロール
瞑想後は各個人で行うワークに移りましょう。自分の中のさまざまな感情や価値観を探り、整理していきます。
4.価値観の整理と内発的動機付け
セルフコントロールで探り出した自分の根底にある価値観と、仕事との結びつきを考える作業をします。
仕事と関連する部分や未来のキャリアとの関連を考え、さらにそれを踏まえて、今後どのように行動していくのがいいのかというところまで考えてもらいましょう。
各自の目指すべき方向がはっきりとして、それが内発的動機付けとなりパフォーマンスの向上も期待できます。
5.チームでの共有
個人のワークで得られた情報を、チーム内で共有していきます。
各個人の根底にある価値観を共有することで、お互いの理解が深まり、チームワークの向上が期待できます。
また、ここまでで分かった各自の指向性をもとに、新たな仕事を見出し任せることで仕事の幅を広げることもできるでしょう。
実際にマインドフルネスが企業でどのように活用されているのか、代表的な3社の事例をあげて紹介します。
Googleは、マインドフルネスを導入している企業として最も有名な企業と言えるでしょう。
会社設立9年目から、「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」という瞑想を含んだマインドフルネスプログラムを取り入れています。1日30分のプログラムになっていて、参加した多くの社員がパフォーマンスの向上を実感しているそうです。
大手IT企業のAppleでも、マインドフルネスが取り入れられています。生産性の向上だけではなく、創造性を高める効果に着目し、特に技術者には瞑想を推奨しているとのことです。
また、スティーブ・ジョブズは大事なイベントの前に、マインドフルネス瞑想を行っていたという話もあります。
瞑想やヨガ講習、勤務時間内の30分を瞑想時間に充てることを許可するなどの取り組みを行い、さらに社内には瞑想ルームも設置されています。
海外の企業だけでなく日本国内の企業でも、マインドフルネスが導入されています。
株式会社メルカリでは、初めは有志が集まり部活動としてスタートしたものが次第に広がり、本格的に社員研修として取り入れられ、プロコーチを招いてプログラムを実施するようになりました。
研修内容は、基礎的なことを学ぶ講義の後に、実践へと進むプログラムになっているようです。
メリットが多くあるマインドフルネスですが、正しく行わなければ、不安が増したりストレスを感じたり、マイナスになってしまうこともあります。
マインドフルネスでは、自分の中のネガティブな感情と向き合う場面も多くなり、そうした感情と向き合うことに慣れていなかったり、向き合い方を知らなかったりする場合には、ネガティブな感情に支配されてしまう可能性もあるでしょう。
不安を解消するはずが、不安を増大させてしまったということにならないためにも、正しい瞑想法やネガティブな感情への対処法などを確認しておくことが大切です。
マインドフルネスを実践していくときに、うまく集中できず、それがかえってストレスを生んでしまう場合があります。
学んでやり方を覚えたからといって、誰でもすぐにうまく集中できるようになるわけではありませんし、日によっても違いがあるでしょう。
ストレスを強く感じるときには思い切って実践をやめて、別の日に改めて行うようにしましょう。
社員の健康や生産性の向上などの目的から、有名企業も導入しているマインドフルネスについて紹介してきました。
マインドフルネスと同じように、社員の健康や生産性の向上に効果的なものとして、食の福利厚生が考えられます。
そこで、最後に食の福利厚生について、簡単にご紹介します。
「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」は置き型の社食サービスで、新鮮なサラダやフルーツ、無添加にこだわったお惣菜などが定期的に届けられます。
専用の冷蔵庫や冷凍庫を設置できるだけの小さなスペースがあればすぐに導入でき、工事の必要もありません。
累計10,000拠点以上(2024年2月時点)の導入実績があり人気の社食サービスとなっています。
健康的な食事がオフィスで手軽に取れるため、社員の健康意識の向上にもつながり、さらに社員満足度の向上にも期待できるでしょう。
健康経営の一環として「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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