インタビュー
離職率28%からの改善!サイボウズ青野社長に聞く「わがままを実現する働き方」
様々な新しい働き方を提唱し、働き方改革の先頭を常に走り続ける、サイボウズ株式会社代表取締役社長の青野慶久氏。今回は、青野氏の目指す組織やその背景についてお話を伺 …
総務向けお役立ち情報
公開:2025.04.28
更新:2025.04.30
「自社の労働生産性をアップしたい」「離職率が高い」など、さまざまな課題を抱えている企業もいらっしゃるでしょう。そんな課題を解決するためには、組織サーベイで現状を的確に把握し、自社に適した改善策を実践するのも効果があります。
なかでも、「モラールサーベイ」は従業員の意識や士気にフォーカスした測定手法で、職場の現状や課題を把握するのに便利です。そこで今回は、従業員のモチベーションを測る際に有効な「モラールサーベイ」についてくわしく解説します。
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目次
「モラールサーベイ」のモラールは英語の「morale」のことで、本来は、軍隊における兵士の戦闘意欲を意味する用語でした。ビジネス上では、組織における従業員の勤労意欲や士気などと訳されます。一方、「サーベイ(survey)」は、日本語では「調査」「測定」などを意味する言葉です。この2つの語を結合した「モラールサーベイ」はいわゆる組織サーベイのひとつで、従業員のやる気や働くモチベーションを定量的・客観的に測定できます。
モラールサーベイが使われるようになった背景は、18〜19世紀頃の「産業革命時代」まで遡ります。当時、会社組織や大規模な工場などが次々に設立されると、機械の一部として考えられていた労働者は激務を強いられました。しかし、20世紀初頭には、企業側が従業員を管理する際にモラールが生産性と深く関わるものと認識されるようになったため、従業員満足度や士気を測る指標としてモラールサーベイが登場したのです。
日本では、1945〜1950年代前半に戦後のGHQによる労働意識改革で従業員の士気が重視され、1955年に社団法人日本労務研究会がアメリカの考え方を参考に初めてモラールサーベイの「NRK方式」を開発しました。その2年後、旧労働省によって「NRK方式」を標準化した「厚生労働省方式」が開発され、今に至っています。1960年代になると、さらに心理学や組織行動学などが発達し、従業員満足度や働くモチベーションなどの観点からモラールサーベイが広く浸透していきました。
特に、昨今のグローバル・IT社会では、人的資本経営の流れで人材確保や定着率の維持にも努めなければなりません。競争力が愛社精神を含む従業員エンゲージメントと直結しているからこそ、モラールサーベイは重視されているのです。実際、Facebook社やGoogle社などの成功事例もあり、現在、モラルサーベイは経営戦略の手法の1つとして多くの企業で実施されています。
モラールサーベイを実施する効果は、大きく分けて5つあります。
1つ目の効果は、自社の課題を把握できることです。従業員の士気を測定すれば、どこに不満や問題が存在するのかを可視化できます。ただし、測定結果を踏まえてPDCAサイクルを活用し、必要に応じて業務や組織を改善していくとの企業側の姿勢が大切です。
労働生産性の向上につながるという効果もあります。そもそも、モラールサーベイが浸透したきっかけは、産業革命時代に企業側が「人は命令だけでは動かない」ことを実感したからです。モラールサーベイによって従業員の抱える課題を解決し、仕事のパフォーマンスの質が上がれば企業の組織全体での労働生産性も向上するでしょう。
モラールサーベイの実施は、離職・休職の回避にもつながります。モラールサーベイの目的は、従業員の働くモチベーションに関わる士気の測定です。測定結果から企業の問題点を改善できれば、従業員は「自分達の意見に耳を傾けてくれる」と感じ、愛社精神も高まります。心理的安全性が高く風通しのよい職場では従業員満足度も高いため、離職・休職率も低減するでしょう。
適材適所の人材配置を実現できるのも、モラールサーベイで期待できる効果のひとつです。2023年に株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した「一般社員の会社・職場・仕事に関する意識調査」によるとモチベーションの「専門性」の数値は年代と転職回数に比例して高くなります。つまり、社会人生活を送るうえで年齢や転職経験などによって、従業員のモチベーションは変化するのです。定期的なモラールサーベイで各従業員の適性や要望を把握できれば、適材適所の人材配置を実現でき、組織全体の結束力も強化されます。
モラールサーベイの実施には、従業員の経営への参画意識を高める効果もあります。正確な測定結果を得るには、各従業員が現在の仕事に感じている不満や企業への要望などに耳を傾ける必要があるでしょう。モラールサーベイで測定した従業員たちの意見や不満が、今後の企業運営に活かされる旨を示せば、経営方針や経営理念への興味や関心も高まり、企業としての組織力も向上します。
日本におけるモラールサーベイの実施方法は、先述の通り、「NRK方式」と「厚生労働省方式」の2種類です。
モラールサーベイのNRK方式は、300人以上の従業員が在籍しているような中・大規模企業に適しています。質問は、「労働条件・人間関係・行動・管理・自我」の5項目です。マークシート方式で実施しやすく、約6,100社のデータベースの情報との比較で自社の現状を診断できます。質問内容は、業務量・就労環境・給与・福利厚生・対人関係・管理体制・役職に関するものが基本ですが、自社の必要性に準じて質問を追加してもよいでしょう。
モラールサーベイの厚生労働省方式は小・中規模企業に適した手法で、「社員意識調査(NRCS)」とも呼ばれ、産業心理学や統計学を応用した科学的な測定手法です。「給料」「仕事」「上司」の3項目について社内アンケートを実施し、25,000社以上のデータベースの情報を基に診断結果を分析できます。この厚生労働省方式は、サービス業向けに業種に特化したNRSCⅡのサーベイも実施していますので、活用するのもよいでしょう。
ビジネスにおける組織サーベイは、モラールサーベイだけではありません。この章では、モラールサーベイと、その他の代表的な3つのサーベイの特徴を比較してみましょう。
エンゲージメントサーベイのエンゲージメント(engagement)は、「契約」「関与」など特定の人やモノとの関係性を意味する言葉で、ビジネス上では、企業と従業員間の一体感や結束力・従業員の企業に対する愛着度や貢献度などと訳されます。このエンゲージメントサーベイは、モラールサーベイと似ていますが、特に従業員のワーク・エンゲージメントにフォーカスした項目で実施する計測手法です。調査専門企業にも依頼できますが、次のような質問を盛り込んで自社で実施すれば、経費を節約できます。
・仕事でやりがいを感じられるか
・仕事で成果を出せているか
・部署やチームの人間関係は良好か
社風や企業方針など自社に適した質問を設定し、測定結果から組織力の強化を図りましょう。
パルスサーベイは、「パルス」が「脈拍や短時間に流れる電流・電波」を表すことからも分かるように、週1・月1など短い期間で定期的に実施する計測手法です。一般的には、企業・所属部署・担当業務の3項目に分け、5〜15問程度の質問項目で実施し、時系列による変化を分析します。
昨今は、企業に従業員のメンタルヘルスチェックが義務化されたこともあり、従業員満足度・ハラスメント・メンタルヘルスなどの項目を入れて実施するケースもあるようです。たとえば、従業員のストレスや新入社員のオンボーディングなどの目的に沿って実施すれば、リアルタイムで従業員の意識や満足度を把握できるでしょう。なお、パルスサーベイは定期的な実施に意義があるため、質問数を調整して回答する従業員すべてに該当する内容を盛り込み、白紙や放棄を回避する工夫も必要です。
従業員満足度調査(アンケート)は、モラールサーベイと同じく概ね数ヶ月〜1年に1度の割合で、従業員がどの程度満足しているかを把握するために実施します。昨今は、かつての終身雇用から一変し、ワークスタイルや価値観などの理由で気軽に転職する時代です。今後、ますます進む日本の少子高齢化社会で、企業が労働生産性を維持するには、育成・成長した従業員になるべく長く働いてもらう必要があります。
自社の従業員から本音を聞き出すためには、事前に実施の目的を説明し、匿名形式がおすすめです。最近のマスコミ報道からも分かるように、コンプライアンス違反やハラスメントなどが起こっても、忖度や見て見ぬ振りがあればレピュテーションリスクは高まります。
また、質問項目には、満足要因となる動機づけと不満足要因となる衛生要因に関連する内容を適度に盛り込むことが重要です。
・満足要因(動機づけ要因)…やりがい・愛社精神・成長
・不満足要因(衛生要因)…業務の負荷・上司・職場・企業風土・待遇・福利厚生・経営方針・法令遵守
回答欄は「Yes・No」の2択ではなく、段階的な選択肢「リッカートスケール」を採用し、従業員の心理的な負担を軽減するためにも中央値を含む奇数にするとよいでしょう。
この章では、モラールサーベイを実施する際の注意点・デメリットについて説明します。
モラールサーベイを運用する際は、ほかの業務と同様にさまざまなコストが発生します。たとえば、次のようなコストです。
・担当者:実施・分析・情報共有等の作業工数にかかる人件費
・回答者:従業員の回答・提出などの作業工数にかかる人件費
・消耗品:紙で実施・共有する場合の印刷費・印刷・配布にかかる人件費
・外部委託:外部機関に依頼する場合は委託サービス費
これらのコスト対効果を高めるためにも、モラールサーベイの実施前に目的を明らかにしましょう。
モラールサーベイを実施しただけでは、従業員の意欲や士気は向上しません。それどころか、実施後に何も変わらなければ、かえって従業員の不満が増大するリスクもあります。経営層が組織・業務改善に本気で取り組む姿勢を示すためにも、実施後は結果を速やかにフィードバックし、従業員からの声に対するリアクションを忘れないようにしましょう。経営層や組織体制への批判や不満が書かれている回答も真摯に受け止め、従業員とともに改善していくとの高い意識が必要です。
モラールサーベイの注意点やデメリットについて説明しました。この章では、そんなモラールサーベイを効果的に実施する3つのポイントを紹介します。
まず、モラールサーベイを実施する目的を明確にし、従業員への情報共有が大切です。せっかく実施するなら精度を最大限に高め、自社の業務や組織改善につなげなければ意味がありません。白紙やふざけた内容の回答を回避するには、実施の目的をすべての従業員が理解できるように言語化し、経営層が真剣に取り組む姿勢を示す必要があります。
実施の際は、匿名にして管理を徹底しましょう。欧米人とは異なり、人前でなかなか本音や自分の意見をいえないのが日本人の国民性です。査定や人事に関わるものであればなおさら、本音を言い出しづらいでしょう。だからこそ、従業員のプライバシーを保護し、安心して回答できるよう配慮しなければなりません。特に紙で実施する場合は、筆跡などから誰の回答かを追跡されないよう特定の担当者や経営層のみが閲覧し、厳重に管理しましょう。
親しみやすい言葉で質問を作成するのも、効果的なモラールサーベイにするための大事なポイントです。ビジネスライクな文体での質問では、従業員も仕事の延長と捉えて身構えてしまいます。従業員から本音を聞き出し、企業側も一緒に課題を解決していくとの親近感を持ってもらえるよう工夫しましょう。
モラールサーベイは、結果を分析して課題解決の施策を策定し、改善していかなければ意味がありません。案外、従業員の士気やモチベーションは、就労環境や福利厚生など業務とは間接的な要素が大きく関係しているケースも多く見られます。
モラールサーベイの結果にもよりますが、従業員から喜ばれるような福利厚生を導入するのもモチベーション向上に向けた施策のひとつです。たとえば、ヘルシーなスナック類や栄養バランスのよい惣菜を提供する食の福利厚生「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」を導入すれば、従業員はオフィスで24時間いつでも好きな時に利用できます。
従業員のモチベーションの向上だけでなく、「健康経営」や自社ブランディングの一環としても最適です。モラールサーベイの計測結果を有効活用し、自社の労働生産性を高めていきましょう。
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