福利厚生制度
中小企業の障がい者雇用を支援するサービスとは?雇用率の現状も解説
「障がい者を雇用したいけど、十分なコストやリソースを割けられない…」「対応するためのノウハウがない」といった理由で障がい者の雇用がなかなか進められていない中小企業は少なくありません。しかし放置し続ければ、障がい者雇用納付金の支払いや行政指導・社名公表などにつながる可能性があります。コストやリソースを抑えながら、双方にとって望ましい形で障がい者雇用を推進したいとお考えなら、障がい者雇用支援サービスの利用がおすすめです。
今回は、中小企業における障がい者雇用の現状と課題、障がい者雇用を進めるポイント、障がい者雇用を支援するサービスについて解説します。
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目次
中小企業における障がい者雇用の現状
障がい者雇用促進法により、障がい者雇用の法定雇用率が定められています。法定雇用率は定期的に見直しがされており、2024年4月には2.5%にまで引き上げられました。これにより、従業員数が40人以上の一般企業は、最低1人の障がい者を雇用する義務が生じることになります。さらに、令和8年7月からは法定雇用率は2.7%まで引き上げられます。これにより、従業員数が37.5人以上いる企業では、1人以上の障がい者雇用が必要になります。
では、障がい者の雇用は中小企業においてどの程度進んでいるのでしょうか。厚生労働省が公表している「障がい者雇用状況の集計結果」から現状をみてみましょう。
企業規模 | 令和5年の実雇用率 | 令和5年の達成企業割合 | 令和4年の実雇用率 | 令和4年の達成企業割合 |
43.5~100人未満 | 1.95% | 47.2% | 1.84% | 45.8% |
100~300人未満 | 2.15% | 53.3% | 2.08% | 51.7% |
300~500人未満 | 2.18% | 46.9% | 2.11% | 43.9% |
500~1,000人未満 | 2.36% | 52.4% | 2.26% | 47.2% |
1,000人以上 | 2.55% | 67.5% | 2.48% | 62.1% |
※データ参照元:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36946.html
この表からも分かるように、中小企業では令和5年の実雇用率は前年(令和4年)よりも増えているものの、法定雇用率の2.5%を下回っています。また、達成企業割合をみてみると、企業規模1,000人未満の企業は法定雇用率を達成している企業は半数もしくは半数以下です。
障がい者の雇用状況は、数値上では間違いなく右肩上がりになっています。これは多くの企業が法定雇用率の達成のためにさまざまな努力をしてきたことの結果といえるでしょう。しかし、中小企業の半数以上は法定雇用率を達成していないという現実もあります。将来的には今よりも法定雇用率が引き上げられることを考えると、このままの状況では問題があるといえるのではないでしょうか。
法定雇用率に満たなかった場合
前述の通り、法定雇用率は障がい者雇用促進法によって定められています。もし法定雇用率に届かない場合、以下のような罰則があります。
・障がい者雇用納付金の支払い義務
・行政指導や企業名公表が行われることがある
障がい者雇用納付金とは、障がい者雇用促進法に基づく障がい者雇用の義務を果たしている企業と果たせていない企業の経済的負担を調整するために支払います。そのため、正確には罰金ではありません。障がい者雇用納付金の金額は法定雇用率に基づいて不足している障がい者雇用数に応じて、1人あたり月5万円です。年間で60万円なので、企業にとっては決して少なくない負担となります。
また、法定雇用率を大幅に達成できていない場合、ハローワークから障がい者の雇用に関する計画書の作成命令が出されます。これに従わないまたは計画通りに採用が進まないといった場合、行政指導および社名が公表されます。社名の公表は企業の信頼を落としてしまうことになるため、避けたいものです。障がい者の雇用に限らず人材採用には時間や手間がかかりますので、なるべく早く法定雇用率を達成するための施策を行うことをおすすめします。
中小企業が障がい者雇用において抱えている課題点
先に表で示したように、法定雇用率の達成率は1,000人未満の企業において半数または半数以下しかありません。従業員数が「43.5~100人未満」の企業では達成率が特に低くなっています。反対に、1,000人以上の大企業は障がい者の雇用数が多いにもかかわらず、65%以上が達成できています。法定雇用率の達成にこれだけの差がでてしまう原因は、中小企業が抱えている障がい者雇用における以下のような課題点にあります。
・専門性が高い業務が多く業務を切り出しにくい
・社員1人に多くのスキル・経験が求められる
・職場環境の整備にコストをかけられない
・人的リソースに乏しく支援者を配置できない
中小企業は大企業に比べると業績は低く、経済環境の変化も受けやすく、割けるリソースも少ない傾向にあります。そのため上記のような課題が生じやすく、障がい者の法定雇用率達成が妨げられやすいのです。
中小企業において障がい者雇用を進めるポイントとは?
では、中小企業で障がい者雇用を進めて法定雇用率を達成するには、どのような準備・取り組みを行うべきなのでしょうか。以下でそのポイントをいくつか紹介します。
社内の環境整備
会社として「障がい者の雇用」について考え、広い意味での環境整備をすることは重要です。
まず、なぜ障がい者雇用に取り組まなければならないのか、その方針と意義を会社として明確にしたうえで社内に共有しましょう。障がい者の雇用は、単に法定雇用率を達成するだけでなく業務の見直しや効率化、多様性のある企業文化や組織づくりなどのメリットをもたらす可能性があります。そうしたメリットを含め、会社としての方針・意義を社内研修や説明会などを通して社員に伝えて理解を得て、障がい者を受け入れられる風土をつくっていきます。
また、バリアフリー化を含めた物理的な環境の整備もあわせて行っていきましょう。
業務の切り出し
障がい者を雇用するうえで必ず考えなければいけないのが、業務の切り出しです。
障がい者雇用促進法によって定められた法定雇用率を達成することは大切です。しかし、担当させる業務がない状態で採用だけを行っても、現場は混乱してしまうことでしょう。業務とマッチさせることができなければ、早期退職に至ってしまい意味がありません。
障がい者を雇用する際は、業務を見直して効率化を図るチャンスでもあります。障がいがあってもできるような業務はあるか、特定の社員が幅広い業務範囲に対応していないか、分業化できる業務はないかなど一から洗い出してみましょう。そのうえで、障がい特性や意欲などを考慮して任せる業務を決めていくことが大切です。
職場実習や採用前実習の実施
職場実習の受け入れや採用前実習を行うのも良いでしょう。
初めて障がい者を雇用する場合、いきなり採用してしまうと現場に混乱が起きる可能性があります。これまで障がい者を雇用した経験がないのであれば、試験的に一定期間の職場実習を実施して、既存社員と障がい者の相互理解を深めましょう。そうすることで、実際に募集する際に要件の策定がしやすくなりますし、社内理解が深まり採用後も馴染みやすくなります。
また、採用前実習を行えば、職場の雰囲気や割り当てた業務に適応できるかが判断しやすくなります。これは、入社後のミスマッチを防ぐのに有効です。
支援機関や支援業者への相談
支援機関や雇用支援業者への相談や連携は、障がい者の雇用や雇用後の定着を実現するのに役立ちます。
例えば、「ハローワーク」は障がい者雇用の代表的な相談・支援窓口です。障がい者の雇用を考えている企業、すでに雇用した企業に対して管理上の配慮についてのアドバイスをもらえます。さらに、必要に応じて地域の各種就労支援機関の紹介や各種助成金に関する案内も受けられます。そのため、まずはハローワークに相談するのがおすすめです。
他にも、民間の障がい者雇用支援サービスもあります。障がい者雇用についてのノウハウが豊富にあり、人材紹介から採用後のサポート、定着フォローなども行ってくれるところもあります。
雇用支援制度の活用
障がい者の雇用支援制度の活用もぜひ検討しましょう。
地方自治体などでは、障がい者雇用を行う企業に対して助成金や奨励金などの支援を行っています。雇用支援制度は、障がい者を雇用した際に活用できるのが一般的です。しかしそれ以外にも、障がい者を雇用するために行う施設・設備のメンテナンス、職業能力開発、職場定着の施策実施などの際にも活用できるものがあります。
「トライアル雇用助成金」「障がい者雇用安定助成金」「人材開発支援助成金」などさまざまありますので、活用できる制度がないか調べてみてください。
採用後の定着への取り組み
障がい者を雇用後、最も重要なのが定着してもらうことです。せっかく採用してもすぐに離職になってしまえば、また採用のためにリソースを割くことになるため企業にとって負担になります。
障がい者が職場に定着するには本人の意欲が重要であることはもちろんですが、障がい特性に合った業務、配慮ある雇用管理、職場の理解などが必要です。これまで挙げてきたポイントを踏まえて、障がい者雇用のためにさまざまな準備・取り組みをしていきましょう。
中小企業が利用できる障がい者雇用支援サービスとは
障がい者雇用支援サービスとは、人材紹介から入社後のフォローまで、障がい者雇用におけるさまざまなフェーズでサポートを行う専門のサービスのことです。
対応する業務内容や範囲、特徴などの違いから4種類の障がい者雇用支援サービスに分けられます。
農園型
障がい者の雇用を希望する企業へ、農場の提供や求職中の障がい者の紹介を行うサービスです。運営会社が用意した農園を借り受けて雇用した障がい者に農園での業務を行ってもらいます。通常、運営会社から農作業について知識を持つサポートスタッフが派遣され、障がい者はスタッフの指示のもとで業務を行います。シンプルな作業がメインであるため、障がい者の心身の負担が少なく働きやすいのが特徴です。自社で割り当てられる業務がないといったケースでも対応できるため、利用する企業が増えています。
農福連携型
農園連携型とは異なり、人手不足などで悩む既存の農業者のもとで企業が雇用した障がい者の方が働くのが農福型です。形式的に働く場を用意するのではなく、地域の農業の新たな担い手として農業に携わるため、農業支援や社会貢献としてのやりがいがあり、障がい者の方もポジティブに働きやすいといった特徴があります。
人材紹介
障がい者の人材紹介に特化したサービスです。障がい者を雇用したい企業の求人要件を把握したうえで、障がい者一人ひとりの障がい特性やスキル・人柄などを考慮してマッチングします。さまざまな人材が登録しているためマッチング力が強く、求める人材を獲得しやすいのが特徴です。サービスによっては、採用後のフォローアップも行います。
雇用コンサルティング
企業にマッチする人材紹介とともに、研修や定着支援などトータルで障がい者雇用をコンサルティングするサービスです。障がい者を雇用したものの、環境や業務に馴染めずに早期退職してしまうケースは少なくありません。雇用コンサルティングでは、障がい者を雇用するうえでどのような業務や制度が必要なのかをアドバイスし、自社の理解を深めるための研修やセミナーなども行います。それにより多様性を受け入れる文化が社内に生まれ、障がい者も一般社員も働きやすい風土づくりを実現できます。
BPO
サポートスタッフ常駐のサテライトオフィスなどに障がい者を雇用し、企業から切り分けた一部の業務を行ってもらうものです。障がい者を雇用したものの、適切な管理ができずに早期退職してしまうことはよくあります。BPOでは、自社で教育・管理するのではなく、ノウハウを持つサービス運営会社側で管理を行います。そのため、自社のリソースを割くことなく、適切に障がい者へ業務を任せることが可能です。
中小企業におすすめの障がい者雇用支援「やさいサポーターズ」
「やさいサポーターズ」は中小企業におすすめの農福型障がい者雇用支援サービスです。
やさいサポーターズがおすすめの理由
やさいサポーターズは、人材の紹介だけでなく、障がい者スタッフが就業する農園の紹介や農園での業務サポート、さらには労働力の還元までをワンストップで行います。
中小企業は大企業と違って、コストやリソースを捻出するのが困難です。そのため、「自社で業務をうまく切り出せない」「受け入れ体制が整えられない」といった理由で障がい者雇用に踏み出せないところが少なくありません。しかし、「やさいサポーターズ」であれば、リーズナブルな初期費用・ランニングコストのみで、障がい者雇用を実現できます。
障がい者スタッフが生産した野菜は、一般市場だけでなくオフィスへも還元されます。「やさいサポーターズ」に加入する企業であれば、オフィスでいつでも健康的な食事ができる「オフィスでやさい」の150個プランを無料で利用できます。つまり、障がい者雇用だけでなく、既存従業員の福利厚生も充実し、健康経営も同時に実現できるわけです。
「障がい者雇用にコストやリソースを割けない」とお困りでしたら、ぜひ「やさいサポーターズ」をご検討ください。
まとめ
今回は、中小企業の障がい者雇用を支援するサービスについて解説しました。
障がい者雇用促進法により法定雇用率が定められていますが、中小企業の達成率は半分程度と決して高い水準ではありません。これは、大企業と違って中小企業は障がい者雇用にリソースやコストを割きにくいなどの課題があることが根底にあります。
法定雇用率を達成できないままでいれば、障がい者雇用納付金の支払い義務が発生したり、社名公表をされる可能性があったりします。企業にとってマイナスですので、できる限り速やかに障がい者雇用を進めるべきです。
本記事で紹介したポイントをおさえ、障がい者の雇用と定着を実現させていきましょう。
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