企業の健康経営

 公開:2023.03.24

 更新:2026.05.29

健康増進手当とは?メリットや支給条件、実際の取り組み事例を紹介

近年、働き方改革の推進とともに従業員の健康を気遣う「健康経営」を推進する企業が増えてきました。

優秀な従業員を確保し、今いる従業員の健康を守り長く働ける環境を整えるよう施策を行うことは企業にとって重要な課題と言えるでしょう。

そこで今回は、健康経営を推進する企業が取り組む施策の一つである「健康増進手当」について、メリット・デメリットから実際の事例まで詳しくご紹介します。

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健康増進手当とは?

健康増進手当は、健康経営の取り組みのひとつで、従業員が健康的な生活を送ることに対して意識を高められるようサポートする制度です。

企業により条件はさまざまですが、健康的な取り組みを行う従業員へ月に1,000円〜3,000円ほどの健康増進手当を支給する企業が多いようです。

実際に導入されている健康増進手当の例として、健康を意識してたばこを吸わない非喫煙者に対する手当、健康診断を行った従業員への手当などがあります。

健康増進手当を支給する目的

企業が健康増進手当を導入する目的はいくつかあります。

・従業員の健康を守ることで、健康経営が進み企業の業績があがることを目的とする
・従業員の病欠、欠勤により業務に支障をきたしている企業が改善を目的とする

健康増進手当は、うまく導入できれば従業員の満足度が上がり企業への信頼も高まる素晴らしい取り組みになります。

導入を成功させるために、支給のメリット・デメリットをしっかりと把握し、支給する予算を正しく把握するなど、十分な準備を進めておきましょう。

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効果を出すには環境整備も重要となる

健康増進手当は、従業員の健康意識を高める施策として注目されています。しかし、手当を支給するだけで健康行動が定着するとは限りません。例えば、「運動費用を補助しても利用する時間がない」「健康的な食事を意識したくても選択肢が少ない」といった状況では、制度が十分に活用されない可能性があります。そのため、健康増進手当の効果を高めるには、企業側による環境整備も重要です。

具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。

環境整備の例内容
健康的な食事の提供オフィス内で栄養バランスに配慮した食品を購入できる
運動機会の創出ウォーキングイベントやジム補助制度の導入
休憩環境の改善リフレッシュスペースの整備
健康情報の発信社内報やセミナーで健康知識を共有

近年は、健康経営の一環として、食の福利厚生を取り入れる企業も増えています。健康増進手当と併せて、日常的に健康行動を実践しやすい環境を整えることで、制度の活用率向上につながりやすくなります。

本記事の後半では、健康経営を支える福利厚生サービスとして、設置型健康社食「OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)」についても紹介します。

健康増進手当が注目される背景には健康経営の広がりがある

近年、企業経営において「健康経営」への関心が高まっています。健康経営とは、従業員の健康維持・増進を経営課題として捉え、働きやすい環境づくりを進める考え方です。経済産業省と日本健康会議が共同で実施している「健康経営優良法人認定制度」でも、認定企業数は年々増加しています。こうした流れの中で、健康増進手当も健康経営施策のひとつとして注目されています。企業が従業員の健康行動を後押しすることで、生活習慣改善や健康意識向上につなげる狙いがあります。

一方で、手当だけでは健康行動が長続きしないケースもあります。例えば、ジム費用を補助しても利用頻度が低ければ、継続的な運動習慣にはつながりにくくなります。そのため、近年は「制度」と「環境整備」を組み合わせる考え方が重視されています。

健康経営では、単発の施策ではなく、従業員が自然と健康を意識しやすい職場環境づくりが求められています。

健康増進手当の取り組み例

健康増進手当を導入する際、最初に行う支給条件やルールなどの設計が重要になります。

従業員がもつ健康不安を把握し、それを解消できるような健康増進手当を支給できるよう内容を決めていきましょう。

健康増進手当として代表的な取り組みを6つご紹介します。

健康診断の受診や結果

従業員の健康診断は義務化されており(労働安全衛生法第66条)定期的に行われる健康診断をすすめることで、健康問題を浮き彫りにし、健康診断の結果により健康増進手当が支給されます。

例えば、以下の条件を満たす従業員に健康増進手当を支給します。

・健康診断の結果が健康の条件を満たしている
・肥満度を知ることができる、数値(BMI)が基準値にある

基準値は年齢によっても異なるので、年齢や性別なども考慮して条件を設定しましょう。

他者との比較ではなく過去の自分と比べる、相対評価制を取り入れることで自分のペースで健康に取り組むことができます。

参考:厚生労働省 労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう

運動や健康への取り組み

健康増進手当の支給条件として、スポーツイベントやセミナーに参加した従業員を評価する方法もあります。

・歩数計の数字を申告すると、歩いた分だけ健康増進手当が支給される
・既定の歩数歩くと健康増進手当が支給される

など、従業員の体力に合わせて設定することで、効果的な運動への取り組みに繋がります。

禁煙

喫煙による健康被害のリスクは高く、周りにいる従業員も副流煙により健康被害を及ぼす可能性があるので、健康経営を目指すなら断ち切りたい習慣です。

禁煙を促す健康増進手当を支給する場合、非喫煙者でも達成できるよう健康増進手当の支給条件を工夫していきましょう。

ただ、禁煙をはじめても断念してしまう従業員も多いことから、不正受給者が出やすい取り組みでもあります。

達成条件を明確にして、取り組みを促すことのできるシステムを作りましょう。

参考:厚生労働省 資料7 喫煙の健康影響について

有給休暇の取得

従業員が自由に有休取得をしにくい環境の場合、しっかりと体を休める事ができず体だけでなく心の不健康にもつながります。

まずは従業員一人ひとりの意識を改革して、有給休暇を積極的にとれるよう健康増進手当を導入しましょう。

有給休暇の取得を行った従業員に健康増進手当を支給することで、企業からも有給休暇所得を促すメッセージとなります。

残業時間の削減

残業時間が長くなると、生活リズムが崩れプライベートな時間が減る事でリラックスする時間が短くなり、身体の負担が大きくなるだけでなく、メンタルへの影響も強く出てしまいます。

業務内容の見直しや呼びかけでも改善しない風潮がある場合は、健康増進手当を使い残業を減らしていけるよう促していきましょう。

ただし、繁忙期などで業務が終わらず残業したのに、健康増進手当がもらえないなど不平等に感じる従業員が出ないよう受給のルールは明確にする必要があります。

参考:一般社団法人 新潟県労働衛生医学協会 長時間労働による健康障害「長時間労働の健康影響」より

複数条件の組み合わせ

さまざまな健康増進手当がありますが、より健康への取り組みを促すために取り組みを複数行った従業員には支給額のアップなど特典をつけることで、参加へのモチベーションがアップします。

積極的な参加を目指すなら、誰でも達成できるような条件より少しハードルと自給額を上げ、チャレンジする楽しさを覚えてもらうと良いでしょう。

健康増進手当を導入するメリット

健康増進手当を導入するにあたって、まずは本当に自社に必要な施策か知る必要があります。

ここでは健康増進手当のメリットを3つご紹介しましょう。

従業員の健康への意識が高まる

健康増進手当を従業員が受け取るためには、健康を促進する取り組みをおこなわなければなりません。

健康増進手当を目的に動き始めた従業員が、健康への意識を変えることに繋がれば、長期的に健康を維持できるようになり、健康意識が高まるでしょう。

健康を意識した生活は続けることで身につくため、実際に取り組んでもらい変化を実感してもらう必要があります。

採用や人材の定着につながる

健康増進手当は、福利厚生の充実として求職者から注目される場合があります。近年は給与や休日数だけでなく、「働きやすさ」や「健康への配慮」を重視して企業選びをする人も増えています。そのため、健康支援制度を整備することで、企業イメージ向上につながるケースがあります。

特に若年層では、健康経営に取り組む企業に好印象を持つ傾向も見られます。また、既存従業員の定着にも影響します。企業が従業員の健康を支援する姿勢を示すことで、「大切にされている」と感じやすくなり、エンゲージメント向上につながる可能性があります。

ただし、制度を導入するだけでは十分とはいえません。「実際には利用しづらい」「対象者が限定されている」といった状況では、不満につながる場合もあります。制度内容をわかりやすく周知し、利用しやすい仕組みにすることも重要です。

健康経営の実現につながる

健康増進手当は、健康経営を推進する施策のひとつとして活用できます。

従業員の健康状態は、欠勤の増加だけでなく、集中力やモチベーションの低下にもつながる可能性があります。そのため、企業が従業員の健康づくりを支援することは、生産性の維持や組織運営の安定にも関わる重要な取り組みです。

健康増進手当を導入することで、従業員が健康診断の受診や運動習慣づくりに取り組むきっかけをつくれます。また、健康経営では一時的な施策ではなく、従業員が継続しやすい仕組みを整えることが重要です。

このように、健康増進手当は単独で完結する施策ではなく、健康経営全体の一部として位置づけることで、より効果的に活用しやすくなります。

健康増進手当を導入するデメリット

健康増進手当の導入する際の注意点とデメリットをお伝えします。

また、従業員の満足度を上げながらも、企業の負担になりすぎない解決方法をお伝えします。

取り組みにかかるコスト

健康増進手当を導入している企業は、1人あたり月に1,000円〜3,000円ほどの手当が支給されており、コストの側面から見ると負担がかかってくるでしょう。

従業員の健康意識が高まるほど健康増進手当の費用は増えていきますが、同時に休職者や通院者などが減り業務への集中力が増すことで、従業員1人1人の生産率アップに期待ができます。

健康増進手当の受給者が増え予算を超えそうな場合は、手当の支給方法を見直し、取り組みの切り替えを検討するとよいでしょう。

不公平感が生まれる場合がある

健康増進手当の内容によっては対象者が限定される場合もあり、該当しない従業員が不満を募らせるケースもあります。

たばこを止めて禁煙に成功した従業員に支給する健康増進手当を設定した場合、もともとたばこを吸わない非喫煙者にとっては、受け取ることのできない健康増進手当となってしまいます。

禁煙に関する健康増進手当を支給する場合は、非喫煙者全員が手当を受け取れるようにするなど、不公平感が出ないようにするとよいでしょう。

健康診断や企業で行うスポーツイベントへの参加者へ健康増進手当を支給するなど、どの従業員でも参加出来る手当を用意しておくと良いでしょう。

不正を防ぐために管理が必要

従業員全ての取り組みを把握するのは難しく、実際は健康への取り組みを行っていないにも関わらず不正に健康増進手当を受け取る従業員が出てこないとも限りません。

禁煙に関する健康増進手当は業務中は確認できず、禁煙をはじめてもまた喫煙者にもどってしまう場合も多いのでしっかりとルールを決めておくことをおすすめします。

健康増進手当を導入する前にルールを明確にして、不正受給者を出さないようなシステム作りを行うことが大切です。

それでも不正受給者が出た場合には、今後支給対象者とさせない、支払い済みの健康増進手当を返金してもらうなど厳しい対処を行いましょう。

健康増進手当を支給する際のポイント

健康増進手当を導入する際は、制度設計を慎重に行う必要があります。条件設定が曖昧なままだと、利用率が伸びなかったり、不公平感につながったりする場合があるためです。

例えば、「スポーツジム利用者のみ対象」とすると、運動が難しい従業員との間で不公平感が生じる可能性があります。そのため、ウォーキングや健康診断受診など、複数の選択肢を設ける企業もあります。

また、申請手続きが複雑すぎると利用率低下につながりやすくなります。申請フローや必要書類は、できるだけ簡素化したほうが運用しやすいでしょう。さらに、制度導入後は「利用率」「健康診断結果」「従業員アンケート」などを定期的に確認し、内容を見直すことも重要です。

実際の「健康増進手当」の事例

さまざまな健康増進手当をご紹介しましたが、実際の経営に健康増進手当を導入している企業をご紹介します。

株式会社フィネス

美容と健康に良い濃厚ジュース「豊潤サジー」を販売する株式会社フィネスは、従業員が幸せであるとお客様に本当の笑顔で接することができると考え、健康増進手当を取り入れています。

・スポーツジム、体育館使用料、各種スポーツ教室、ヨガ等スタジオレッスンを受講する場合月額3,000円まで会社で負担(もしくは、受講料の半額で低い方)
・生活習慣予防になる調理法を学べる健康に特化した料理教室の受講料負担(薬膳、マクロビなど)
・朝8:50より行われる体操に出た人へ体操手当支給
・非喫煙者手当として月3,000円ずつ支給 
・健康的な生活を送った証として、欠勤・早退・遅刻が0の従業員に皆勤手当を月3,000円

以上の項目から自分の好きな項目を1つ選び会社に申請することで、健康増進手当を受け取ることができます。

美容と健康をサポートする企業だからこそ取り入れられている健康増進手当です。

参考:株式会社フィネス

大建工業株式会社

大阪に本社のある住宅用建材の大手メーカー大建工業株式会社は、健康増進手当として以下の2つを条件にして健康増進手当を採用しました。

・非喫煙であること
・前年度の定期健康診断を受診した正社員、契約社員、嘱託社員であること

上記2つをクリアした対象者は、毎月1,000円の健康増進手当がもらえます。

健康経営推進をすすめる上で、従業員の健康意識を高め心身ともに健康になってもらうことを目的として健康増進手当を導入しました。

参考:大建工業株式会社

株式会社アクアリーフ

株式会社アクアリーフは、Eコマース向けの業務クラウドサービス「助ネコ®通販管理システム」を展開する企業です。

株式会社アクアリーフは、条件項目ごとに支給額が加算されます。

・非喫煙であること
・健康診断を受診し一定以上の判定が出ていること
・階段利用とウォーキングへの取り組みの基準を満たしていること
・毎月連続5日間の食事を記録・提出していること

条件項目を1つクリアするごとに300円支給され、全てをクリアすると毎月1,200円の健康増進手当が支給されます。

禁煙を健康増進手当に取り入れる企業は多くありますが、喫煙者でも取り組みに参加できる項目が追加されています。

参考:株式会社アクアリーフ

健康増進手当と併せて活用したい福利厚生「OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)」

オフィスでやさい

従業員の健康を促進するために食事面からサポートする場合、従業員からの人気の高い福利厚生は社員食堂ですが、導入費用や管理の手間を考えるとしりごみしてしまう企業も少なくないでしょう。

そんなときに少ない予算で導入できる食の福利厚生が『OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)』です。

オフィスに冷蔵庫や電子レンジなど『OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)』から貸出される機材を設置するだけで、手軽に健康的な食事を楽しめる置き型社員食堂が完成します。

食事の中でも不足しがちな野菜をたっぷり使ったミネラルやビタミンを補うお惣菜やカットフルーツ、健康的なドリンクから栄養士が監修している栄養バランスのとれたハンバーグや、カレーまで豊富なラインナップを企業規模に合わせて選ぶことができます。

企業が福利厚生費としてサポートすることで、従業員は100円から手軽で健康的なメニューをオフィス内で購入でき、従業員からの人気が高い福利厚生です。

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まとめ

健康経営を目指すためには従業員の意識改革からはじめなければなりません。

そのためにも健康増進手当を有効に活用し、健康的な生活に取り組む従業員を増やしていきましょう。

本記事で紹介した施策例や実際の事例をもとに、自社に適した形での健康増進手当の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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