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企業が所有する土地や施設・設備を、経営的視点から捉えて管理するのが「ファシリティマネジメント」です。
「ファシリティ」すなわち固定資産を効率的に利用し、コスト削減や労働環境改善につなげるための経営活動のことを指します。
近年の低迷する経済を受け、ファシリティは人材や情報に並ぶ経営資源として注目され、いかに活用していくかが課題となっています。
IT機器の導入など、社会の変化に対応できる社内環境を整えていくためには、戦略的なファシリティマネジメントが鍵となってくるでしょう。
会社運営に携わる総務としては、ぜひ知っておきたいものです。
今回は、ファシリティマネジメントの定義や目的について解説いたします。
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目次
ファシリティマネジメントは、企業の施設や設備を管理する業務を指します。従来の施設管理と異なる点は、環境設備を経営的な視点から、ビジネスを支える根幹として行うことです。
ファシリティマネジメント(Facility Management)とは、「企業や団体が所有している施設・設備と、その利用環境を、経営的視点から捉えて企画、管理、活用する活動」です。
英語の頭文字をとって「FM」と略されることもあるようです。
ビジネスにおいて「ファシリティ(Facility)」は固定資産を総称する言葉で、土地や建物、生産機器などの設備を含みます。
「マネジメント(Management)」は企業の経営管理を意味する言葉です。
ファシリティマネジメントは、施設・設備の活用を総合的に見直して、コストを抑えて使用効果を高めるような、効率的な管理を行うための経営活動と言えるでしょう。
企業にとって、事業を支える柱となるものは「人事」「情報通信技術(ICT)」「財務」そして「ファシリティマネジメント」、4つの機能分野だと言われています。
優秀な人材を雇っても、労働環境が悪い職場ではモチベーションやパフォーマンスが低下し、情報を得る技術があっても設備が整っていないと活用できません。
収益を上げる努力を徹底しても、施設や設備の保持にかかるコストが高いようでは、総合的な利益が減ってしまいます。
職場の環境を整え、固定資産を有効活用していくファシリティマネジメントは、ビジネスを支える基盤として必要不可欠と言えるでしょう。
具体的なファシリティマネジメントの例を挙げると、下記のような管理を行うことになります。
・来店者数とランニングコストが見合っていない店舗がある場合
→付加価値のある店舗になるように改装をし、集客を図る。
・オフィスが分散していて移動に時間がかかる場合
→1か所に拠点を統合できるように検討し、業務の効率化を行う。
・稼働していない施設や、維持費の高い古いビルを所有している場合
→業態を転換したり、建物を取り壊して土地を売却するなどして、無駄なコストを無くす対処をする。
このように、会社が所有している固定資産の価値と、維持・運営していくコストが見合っているかを1つずつ確認し、活用を見直したり、時には手放したりすることを検討・実行していくのがファシリティマネジメントの手法です。
ファシリティマネジメントによる管理は、施設の最適化を目的に行われるという点で、従来の施設管理と性質が異なります。
どちらも、会社が所有している固定資産の修繕や美化を行いますが、従来型の施設管理は基本的に現状を保つということが目的です。
これに対しファシリティマネジメントでは、現状よりも最適化できる方法がないかを探り、運用方針や効率化、維持管理の合理化などを総合的にマネジメントします。
経営的視点から将来性を視野に入れた上で、改善点を提案していく手法のため、現在所有している土地や建物に加え、今後新たに活用すべき固有資産の検討までが含まれるのです。
ファシリティマネジメントでは、現場管理的な視点だけでなく、経営戦略的な視点からの管理が必要となるため、担当組織は部門をまたいでの複合的な運営が必要となるでしょう。
ファシリティマネジメントを実行する目的には、固定資産の有効的活用やコスト削減に加え、変化していく環境問題へ対応していくこともあります。
ファシリティマネジメントの第一の目的は、所有している固定資産を有効に活用することです。
管理する固定資産とは、土地や建物など大きな枠組みだけでなく、社内の設備や一室といった細かい点にまで及びます。
例えば、古い資料を保管している資料室があるとします。
貴重な資料が置かれている部屋であっても、山積みに放置されている状態では、その1室を単に「使用」しているだけで、「活用」できているとは言えないでしょう。
そこで、電子化できるものをデータに置き変えるなどして、資料室を使いやすい状態に管理していくのが、ファシリティマネジメントの手法です。
資料の閲覧がしやすくなり、紙媒体を破棄して空けたスペースを、別の用途に使うことも可能になります。
ファシリティマネジメントを通した視点から考えることで、固定資産の単なる保持だけでなく、最大限に活用できる使い方までを管理できるのです。
ファシリティマネジメントによってライフサイクルコスト(LCC)を把握し低減することで、各種コストの最小化や費用対効果の向上を図ることができます。
ライフサイクルコストとは、建物や設備などの企画から解体までにかかる費用です。
建設費などの初期費用だけでなく、運用する中で必要となるランニングコストも含めて考えます。
例えば、古い生産設備を新しいものに変えた場合、一時的に解体処分費や導入費は必要となりますが、長期的に見るとコスト削減につながる場合も少なくないでしょう。
人の手が必要だった部分を、自動でできるロボットタイプの設備に置き換えれば、工程に必要だった人員や人件費を他の部署に当てられます。
設備を見直さないまま、生産工程に携わる人数を減らして人件費を削ろうとした場合、従業員の負担を増やし、かえって生産性を下げてしまうことにつながりかねません。
少子高齢化社会で企業を維持していくためにも人材確保は重要ですので、経費を抑えることを安直な人件費削減に頼るのは望ましくないでしょう。
ファシリティマネジメントにより、ライフサイクルコストを把握した上でコスト削減を考えれば、生産性の改善や企業利益の向上につなげられます。
施設や設備などの環境を変化させたい場合、将来起こりうる問題点と解決策を提示するのもファシリティマネジメントの役割です。
例えば、最新のIT機器を導入したい時、設備を整えることも必要ですが、機器を扱える技術をもった人材が、社内にいるかどうかという点も問題になるでしょう。
人材の確保には、技術のある人を新しく採用する方法もありますが、現時点で雇用している従業員に向けて教育プログラムを導入するという方法も解決策として挙げられます。
オフィスに関する今後の計画や環境変化に対応して、必要となる他の要素を見出し改善することも、ファシリティマネジメントの目的の1つです。
ファシリティマネジメントの手法は、環境問題への対応にも応用できます。
照明器具や空調を省エネルギー性能が高いものに置き換えたり、有害物質や産業廃棄物の排出が少ない設備を導入することで、環境への負荷が少ない維持管理を実践できるでしょう。
企業の生産活動が環境破壊や公害につながらないよう配慮することは大切であり、環境保護に取り組むことは企業イメージの向上にもつながります。
所有している固有資産のありかたを見直すことで、環境に優しい施設や設備への改善を考えるきっかけにもなるでしょう。
ファシリティマネジメントの業務には、不動産や建物の管理、働く環境の整備が挙げられます。それらの業務を資産の有効活用や地球環境、社会貢献に配慮しながら行う必要があります。
ファシリティマネジメントでは、会社が所有する不動産(有形固定資産)について、規模や所在地、価格などを試算し、固定資産台帳で管理します。
有形固定資産には、オフィスだけでなく、保養施設や社宅なども含まれます。
台帳を見返しながら、適切なメンテナンスの実施や、使われていない資産の売却など、資産を有効活用できる対策を講じましょう。
オフィスの賃貸・売買の契約、清掃や工事の手配を行い、業者を選定しスケジュールを作成するのも、ファシリティマネジメントの業務の1つです。
オフィスの改装や移転が必要な際には「従業員間のコミュニケーション活性化を図るために、リフレッシュスペースを新設する」というように、目的を明確にしたうえで具体的な内容を詰めていくことが大切でしょう。
オフィスなどの働く環境を整えることも、ファシリティマネジメントの業務に含まれます。
従業員が仕事に集中できるように、快適な室温や照明、分煙などを検討するほか、クールビズなどの省エネ対策を行えているかという配慮も必要です。
事業活動で必要となる備品や機器を手配し、最小コストでの調達や適切な在庫量を保てているかを管理することもファシリティマネジメント業務のひとつです。
価格だけでなく、品揃えや納期などの総合的な評価や、リース・レンタルの活用も考慮しながら調達先を選定し、適宜見直しを行うことが会社のコスト管理につながります。
環境に配慮したグリーン購入など、社会貢献になる取り組みも検討するとよいでしょう。
ファシリティマネジメントには、必ずしも資格が必要とはなりませんが、専門的な知識が必要となる場面も多いため、「認定ファシリティマネジャー(CFMJ)」の資格を持っているのが望ましいとされています。
認定ファシリティマネージャーとは、公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会などの民間3団体が協力して運営している資格制度です。
ファシリティマネジメントに関する専門家を育成して普及し、企業理念の具現化や経営目標の達成、健全な社会資本形成に貢献することを目的として行われています。
資格を取得すると、ファシリティマネジメントの実行計画や、不動産取得のプロジェクト管理、運営維持の業務などについて知識や能力があることが認定され、社会性や企業性などの関連知識やファシリティコストなどを分析・評価する技術、企画立案やプレゼンテーションを行う技術などが身に付いていることの証明になります。
資格試験に合格し、登録を行うことで「認定ファシリティマネジャー(CFMJ)」の称号が与えられます。
試験は現在のところ、CBT方式がとられており、学科試験と論述試験の2段階のテストが行われます。
CBTとはComputer Based Testingの略で、パソコンのマウスやキーボードを用いて、モニターに表示された試験問題に解答する方法の試験です。
全国に配置されたテストセンターで受験することができ、事前に予約して自分の受けやすい会場を選択できます。
試験自体は誰でも受験できるのですが、合格後の資格登録には実務経験が必要です。
実務経験として必要な年数は学歴によって異なりますので注意しましょう。
ファシリティマネジメントは、施設や設備をより有効に活用する方法や、労働環境を改善できるような対応を模索していく管理方法です。
より良い職場環境づくりに欠かせない要素として、福利厚生に関連するファシリティマネジメントも、総務としてはぜひ押えておきたいところです。
従業員の求める福利厚生を導入することは、モチベーションやパフォーマンスの向上につながりますが、管理の手間やコストの面からも、どのような福利厚生を選ぶべきか検討が必要です。
具体例を挙げると、社員食堂は福利厚生として人気がありますが、スペースの確保や運営費が、企業の負担となってしまうことも少なくありません。
社員食堂の維持が難しい場合の代替案としては、設置型の社食サービスを導入することで、従業員のニーズに応える福利厚生を提供できる可能性があります。
社内のスペースを有効活用し、低コストで運用できる食の福利厚生としては、設置型社食「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」がおすすめです。
「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」は、オフィスの冷蔵庫に野菜やフルーツ、お惣菜が届く、設置型の健康社食です。
累計10,000拠点以上(2024年2月時点)の導入実績がある人気の福利厚生で、10名以下のオフィスから1000名以上の企業まで導入されています。
従来の社員食堂のような広いスペースは必要なく、専用の冷蔵庫を置く場所さえあれば導入できるので、社食のためのファシリティを最小限に抑えることができます。
初期費用は70,000円(税別・初月のみ)のみ、月々の企業負担額は「オフィスでやさい」のプランで68,000円~(税別)、「オフィスでごはん」のプランで35,000円~(税別)と、リーズナブルな料金で、オフィスの人数に合わせてプラン内容を調節しながら利用できます。
従業員が商品を購入する際も、各自で冷蔵庫から食品を選んで支払いを済ませるだけなので、配膳や会計に立ち会う人員も必要になりません。
福利厚生は利用されないとコストが無駄になってしまいますが、「OFFICE DE YASAI」の従業員利用率は90%を超える実績があるため安心です。
24時間利用が可能なため、社食の営業時間を気にする必要がなく、従業員が自分の都合の良い時間に使える点も人気の理由でしょう。
栄養豊富な美味しい野菜を食べられる環境が整うことで、健康意識やコミュニケーションの向上にもつながると評判です。
食のサポートや職場の環境改善につながる福利厚生をお探しなら、社内のスペースを有効活用できる「OFFICE DE YASAI」を検討してみると良いでしょう。
ファシリティマネジメントは、会社の施設・設備の有効活用を図り、管理の効率化やオフィス環境の改善などを、総合的にマネジメントできる手法です。
所有している固定資産についてきちんと把握しておけば、いつの間にか建物が老朽化し、管理コストが増加していた、というような事態を避けることができます。
また、変化していく社会に対応するには、時代に合わせた企業経営を行う必要があり、ファシリティマネジメントは今後ますます重要となるでしょう。
会社運営に携わる総務として、ファシリティマネジメントの目的や業務内容をしっかり理解しておくことが大切です。
固定資産を有効活用しつつ、オフィスをより良い環境に整えるために、省スペース・低コストで利用できる「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」などのサービスも活用してみてくださいね。
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