福利厚生制度
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近年、地球の温暖化現象や異常気象、日本国内での自然災害のニュースを目にする機会が増えています。
日本の国土は約37万8000平方㎞と世界で60番目位の面積ですが、全世界で過去に起こったマグニチュード6以上の地震の約20%が日本で発生しており、自然災害による被害金額は全世界の11.9%が日本の被害金額となっています。
この数字を見るとわかるように、私たちの暮らす日本は外国に比べて自然災害が発生しやすい国土であるといえるでしょう。
毎年大きな被害をもたらす自然災害は私たちの生活から切り離すことのできない大きな問題であり、その災害対策は必須です。
この記事では、災害対策の中でも多くの人が働くオフィスでの対策に注目、特に備蓄について詳しく紹介していきます。
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目次
まずオフィスに備蓄が必要な理由を考えていきましょう。
大きく2点、過去からの教訓と、都の条例があります。
東日本大震災では日本各地に大きな被害をもたらしましたが、この時、特に首都圏では鉄道などの交通網がマヒしたことにより多くの帰宅困難者が発生しオフィスで一夜を過ごす風景が見られました。
医療従事者など職業上オフィスを離れることができない人もいましたし、従業員を残しては帰宅出来ないという管理職の方も大勢いたようです。
このような状況を目の当たりにしたことで、オフィスにおける防災対策や備蓄は重要であると身に染みたのではないでしょうか?
もちろん鉄道会社も、自然災害を見越した計画運休等、都度対策は取っているものの、それでも完璧とはいきません。
自然災害は予測が難しいため、いつ何が起こっても対応できるようオフィスでも備蓄をしておく必要があるのです。
東京都では帰宅困難者対策として「東京都帰宅困難者対策条例」を平成25年から施行しています。
これは「一斉帰宅を抑制することで二次災害を防ぐ」といったことや、「救助が必要な人に対する救助・救助活動を優先させ妨げることのないよう、企業は従業員をオフィスに待機させること」といった内容になっています。
事業者には以下の取組が推進されています。
・従業員の一斉帰宅の抑制
オフィスの安全確認を行ったうえで従業員をオフィス内に留める。
3日分の必要な水や食料、その他必要物資などの備蓄に努めること。
・従業員との連絡手段を確保
従業員に対しても家族などとの連絡手段を確保しておくことを周知すること。
・鉄道や集客施設の管理者は利用者の保護を行う
駅や施設での待機や安全な場所への誘導に努めること。
・学校等の管理者は生徒、児童の安全確保を図る
東京都は、自社の従業員をオフィス内に留める提言として「3日分の必要な水や食料、その他必要物資などの備蓄に努めること」としていますが、なぜ備蓄量が「3日分」なのでしょうか。
東京都が公開している「東京都帰宅困難者対策条例」Q&Aで、備蓄の分量についての回答を参照してみましょう。
Q:なぜ3日分の備蓄としたのですか。
回答:
大災害発生時、人命救助のリミットが72時間(3日)と言われています。
また、都市で大地震が起きた際は広範囲に火災が起きると想定されています。
警察・消防・自衛隊の救出・救助活動を妨げないため、また二次災害から身の安全を図るためにも、会社のビル等が安全な場合には最長3日間はそこに留まってほしいという趣旨です。
被災時のオフィスでの備蓄に対する東京都の考えは、他の都市部でもおおいに参考にすることができます。
従業員を預かる事業者の責任として、心得ておくべき「3日間」についてもう少し詳しく解説しましょう。
被災時に人命を救うリミットとされるのが「3日間=72時間」というのは、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
当然のことながら、災害においては1人でも多くの命を救うことが最優先とされ、国や自治体、自衛隊等の救出活動はそのために動きます。
その際に、被災時の混乱により多くの被災者が一斉に帰宅しようと移動を始めた場合、救助活動の妨げとなってしまいます。
人命救助を優先するため、その救助活動を妨げることがないよう、オフィスに従業員を滞在させることが重要となります。
よって、人命救助のリミットの間は動かずにいられるように、各々のライフラインは3日間程度を目処に確保しておくことが求められているのです。
オフィスにいる間に被災してしまい、帰宅が困難な場合は、最低3日間はオフィスに留まり、移動せずとも自力で生き延びるために備えなければなりません。
このことからおのずと、水や食料品などオフィスの備蓄量も3日分が必要と導き出せるのです。
企業が従業員をオフィスに3日間を目処に滞在させるべきもう一つの理由は、二次災害を避けるためです。
地震であれば、余震が続き建物崩壊の危険性もあるのが、3日間程度とされています。
大地震があれば火災が起きることも想定されますし、交通網が麻痺することは東日本大震災でも経験済みです。
せっかくオフィスで被災を逃れた従業員が徒歩で帰宅しようとした際に負傷する、帰宅困難になってしまうなど、二次災害に遭ってしまっては元も子もありません。
企業としては、「自己判断でむやみに移動を開始しない」という基本原則にのっとって、被災者、負傷者を増やす可能性のある移動を制限しなければならないのです。
このような理由により、企業は「3日間」に耐えられるだけの備蓄や準備をオフィスに整えておかねばなりません。
こうした企業の備蓄量の目安は個人としての備えにも役立ちますから、オフィスの従業員のみなさんにも周知させておきたいことです。
では実際にオフィスで備蓄しておくべきものを確認していきましょう。
東京都の努力義務とする備蓄品は、水・主食・毛布・その他となっています。
災害発生によって水道や電気が使用できなくなることも想定して、普段私たちが口にしている食品や、使用している備品・器具とは異なる物をオフィスに備蓄しておくことが必要です。
オフィスに食品の備蓄をするうえで大切なポイントは4つあります。
・必要量
・消費期限
・火を使わずに調理できる
・衛生面や配布の観点から個食で食べきれるもの
必要量については後述しますが、大きな災害が発生した際ライフラインの復旧には3日間かかるといわれています。
また災害食や缶詰は日持ちするイメージがありますが、消費期限は備蓄品の種類によって異なるのでそれぞれ確認が必要です。
それでは食料の備蓄品目を保存期間も合わせてご紹介します。
水(保存期間:約2~5年)
・飲料水としてだけではなく調理用にも必要になる。
・500ml・2Lなど容量のサイズを変えて用意することで配布のしやすさや用途による 使い分けが可能になる。
アルファ米(保存期間:約5年)
・水またはお湯を加え規定時間おくだけでごはんが食べられる。
・白米だけではなく味のバリエーションも豊富。
レトルト食品(保存期間:約2~3年)
・備蓄用として作られている商品は温めなくても食べられるものが多くある。
・カレー、ハンバーグ、みそ汁、魚の味噌煮など
カンパン(保存期間:約3~5年)
・昔からおなじみの非常食。
・カンパンと一緒に入っている氷砂糖は糖分の補給や唾液の分泌を促す効果も。
缶詰(保存期間:約2~3年)
・日常的に家庭で使用しているものでOK。
・肉や魚、フルーツなど種類も豊富。
・備蓄用としては混ぜご飯や赤飯などご飯ものの缶詰やお菓子の缶詰もある。
栄養補助食品
・食欲がない時の栄養補給に。
経口補水液や野菜ジュースなど
・熱中症対策や、食欲がない時の野菜ジュースも備蓄しておくとよい。
アレルギーやハラールなど宗教上の問題に対応している保存食もありますので、ぜひチェックしていましょう。
次に防災グッズについてご紹介します。
毛布
・生存のために体を温めることが大切。
・薄くて軽くスペースをとらないものを用意する。
ヘルメット / 軍手または革手袋 / 長靴
・地震の余震や避難の際のケガの防止。
医薬品
・解熱剤、胃薬は必ずそろえておきたい医薬品。
救急セット
・消毒液 / 絆創膏 / 包帯 / ガーゼ など
衛生用品
・簡易トイレ / トイレットペーパー / マスク / 歯ブラシ / 生理用ナプキン など
懐中電灯 / 簡易照明
ラジオ
非常用発電機
電池
ビニールシート
これらをオフィスに備蓄しておくと良いでしょう。
備蓄以外にも、オフィス棚の転倒防止や落下物の防止、窓ガラス飛散防止などの対策をとっておくことも忘れないでください。
では具体的にどのくらいの量が必要になるのか、考えていきましょう。
一斉帰宅の抑制によってオフィスへ一時待機する期間は災害発生後3日間といわれており、先に紹介した東京都の帰宅困難者対策条例では備蓄の目安を次のように発表しています。
水
1人当たり1日3リットル、計9リットル
主食
1人当たり1日3食、計9食
毛布
1人当たり1枚
その他の備蓄は物資ごとに必要量を算定
加えて、災害時オフィスに滞在している人数を想定します。
オフィスに在籍する従業員数のほかに日平均のオフィス来訪者数を基準に備蓄品を算出しましょう。
例えば従業員数100名、来訪者数10名がオフィスで待機することになったとします。
このとき、主食については110名x3食×3日間で990食分が必要です。水についても990リットルとなります。
この備蓄量が東京都の推進する企業の努力備蓄となりますが、企業によっては3日分の備蓄が難しいこともあるでしょう。
そのような場合には、最低1日分(3食)の備蓄があれば、災害当日の食事には備えることができます。
ただ、災害の影響が長期にわたることも考えられるので、可能であれば3日分以上の備蓄をオフィスに用意しておくと安心ですね。
ではその備蓄はオフィスのどこに保管すべきなのでしょうか?
普段使用することのない備蓄品はオフィスでの通常業務の邪魔にならないように倉庫などの保管庫に保管されがちです。
しかし、都市部などビルの高層階にオフィスがある場合、エレベーターが使用できなくなった場合を考えて備蓄品の保管場所を分散させておく必要があります。
企業向けの防災備蓄品は段ボールで保存することも多いですが、ある防災備品販売会社では、約20名分の備蓄品スペースを高さ1.2m/幅1.5m/奥行1.0mとしています。
100名分の備蓄の場合はその5倍になるので、スペースの確保についても考えておかなくてはなりません。
また、最近ではオフィスのフリーアドレス化も進んでいるため、少ないスペースをいかに活用して備蓄を保管するか、も重要です。
例としては、このような保管場所が考えられます。
・ 個人ロッカーに1日分の備蓄を用意
・ 書類の収納棚にサイズに合わせた備蓄を用意
・ デスクにフックをつけてヘルメットを設置
・ チェアに備蓄品を取り付けておく
小スペースを有効に使い、その上目につきやすく備蓄の保管場所を把握しておきやすいアイデアですので、ぜひ活用してみてください。
東京都では、備蓄10%ルールを提唱し、共助を推進しています。
「備蓄10%ルール」とは、災害時にオフィスに来客中の顧客や取引先の方、その他施設利用者や帰宅困難者の保護のために、備蓄をさらに10%程度余分に持っておくことです。
オフィスに出入りするのは自社の従業員だけではありません。
外部から来た施設利用者の方や、周辺の帰宅困難者などを想定して、余分に備蓄する量の目安として、10%程度という数値が示されています。
この取り組みのポイントは「共助」です。
「共助」とは、地域や仕事、市民活動等でつながる者同士が、ともに支え合い、助け合う精神をいいます。
東日本大震災では、帰宅困難者を受け入れる施設の不足も明るみに出ましたが、一方で企業が居場所を開放したり、食糧を提供する場面も見られ、共助の精神を感じることができました。
オフィスにおいても自社の従業員だけでなく他者を守る仕組みを取り入れてこそ、地域と協働していくことができます。
「備蓄10%ルール」は備蓄の観点から、標語的に「共助」を提唱し、具体的な行動を促すものです。
日常的にオフィスでも浸透させておくことが、地域に根差し、社会貢献を考える企業に求められる姿勢かもしれません。
では、備蓄以外で企業が行うべき対策を考えてみましょう。
消防法や消防署からの指導によって避難訓練は多くの企業で実施されており、緊急時に備え訓練を行っておくことで、実際に災害が発生した際に適切な判断ができるようになります。
オフィスでの避難訓練で確認しておくべきポイントは3つです。
・訓練目標を明確にしておく
最終的に避難目標が達成できたのか、効果的な訓練になったのか。
・防災マニュアルや事業継続計画に沿った訓練を行う
マニュアルと訓練の内容は一致させ、不具合の見直し改善に役立てる。
・オフィス周辺地域との連携
避難訓練は社内のみで実施されることが多いが、実際には周辺地域との連携も必要。
しかし、避難訓練は形式的になりがちで、参加者が意識高く訓練を行うケースは多くないのが現状です。
そのため、企業は参加者が訓練の重要性を理解して前向きに参加してくれるよう、工夫していかなければなりません。
例えば周辺地域や消防署との合同避難訓練を実施している企業もありますし、消防署や自治体が避難訓練の器材の貸し出しや講習会の実施、職員の派遣を行っている場合もありますので、専門家から直接教えてもらうなど、新しい避難訓練の形式を考えてみてください。
大規模災害に遭った場合、企業ではオフィスや施設で安全にとどまることが基本になります。
しかし、火災発生やオフィスが損傷してしまった場合も想定し、近隣の避難所や一時滞在施設についても確認しておきましょう。
最優先すべきは安全の確保ですので、どんな時に外に避難しなければならないのか、オフィスに留まる場合と分けて考えておきましょう。
避難訓練では、避難場所、避難経路、避難開始のタイミングなど行動の取り方も従業員に示しておくことが必要です。
受け入れ可能な一時滞在施設は、各市区町村が速やかに発信することとなっています。
事前に調べておくことはもちろん大事ですが、そういった施設も被害状況により受け入れができない場合がありますので、情報が発信されてから行動するようにしましょう。
また、従業員がオフィス外で被災した場合、こうした一時滞在施設に待避することも指導しておきましょう。
多くの帰宅困難者を出した東日本大震災時の経験をもとに制定された東京都条例では、あわせて「事業所における帰宅困難者対策のポイント」がまとめられています。
【事業所における帰宅困難者対策のポイント】
1.一斉帰宅の抑制(従業員はむやみに移動を開始しない)
2.施設内待機のための備蓄の確保
3.備蓄の10%ルール等、共助の推進
4.施設の安全確保
5.安否確認手段の準備
6.情報収集手段の確保
7.混乱収拾後の帰宅ルールの策定
8.計画の作成と訓練による検証
【引用】東京都防災HP「帰宅困難者対策」帰宅困難者対策ハンドブック
加えて、これらをまとめた「計画の作成と訓練による検証」が推奨されています。
計画の作成にあたっては、それぞれのオフィス事情を鑑み、行政機関や地域との連携、帰宅困難者対策の取り組み等についても可能な限り取り入れます。
被災時を想定した緻密な計画と、避難訓練の実施による計画の検証や定期的な見直しをして備えておくことで、非常時でも混乱することなく行動できるでしょう。
先にあげた避難訓練では、近隣の避難施設の確認含め、都度検証しておくことも重要です。
こうして策定した計画やルールは、オフィス内に周知することで従業員の安心にもつながります。
東京都防災ホームページでは上記ポイントの詳しい解説や、「帰宅困難者対策のチェックリスト」も公開されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
安否確認には、システムを取り入れている企業も増えています。
安否確認システムとは、災害発生時に従業員やその家族の安否確認をメールや電話などで共有・把握するためのシステムです。
安否確認が取れた後も、出社に関する内容やオフィスの状況などを一斉に連絡・指示でき、従業員にとっても職場からの情報が即座に伝わるため、便利なシステムとなっています。
しかし、せっかく取り入れた安否確認システムも、いざ使おうとすると操作方法がわからなかったり、メールアドレスの変更などによって確認が取れなかったりという状態では意味がありません。
日ごろから従業員に対してシステムの説明を行い、操作方法を防災マニュアルに盛り込むなど対策をしておきましょう。
せっかくオフィスに準備した備蓄ですが、いざという時に使用できない状態だったというケースも考えられます。
食品に関しては消費期限、防災グッズなどに関しては正常に作動するのかなど平常時の点検も忘れずに行いましょう。
食品の備蓄については、「ローリングストック法」といって、普段から口にする機会のあるレトルト食品や缶詰などを余力をもって備蓄しておき、一定の保存料を確保しながら消費と補充を行う方法が推奨されています。
食品の鮮度を保つことも可能ですし、災害時にも普段食べたことのある食事がとれることは、ストレス軽減にも繋がるようです。
社食や福利厚生の一環としてオフィスで手軽に食事やおやつを購入できる「オフィスコンビニ」を取り入れている企業も増えています。
「オフィスコンビニ」は、日常的な食の提供としてだけではなく、災害時の備蓄にもなるとして人気が高まっています。
その中でもおすすめのサービスを紹介しましょう。
野菜を中心とした健康的な食事やおやつが食べられるのが「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」です。
「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」はサービス開始以降、累計10,000拠点以上(2024年2月時点)の導入実績がある、人気のサービスです。
健康経営を意識している企業にも注目されていますが、その特徴をみてみましょう。
・ 管理栄養士監修の季節に合わせた豊富なラインアップ
・ 社員の購入額は100円~のお手頃プライス
・ 保存料一切不使用の安全安心でおいしい国産野菜やフルーツが豊富
・ ざく切り野菜やカットフルーツなど、置き菓子の代わりに手軽に手にとれるハンディサイズ
・ 週に1回(最大週5回)スタッフがオフィスにお届け
・ 支払い方法は「YASAI PAY」という電子決済アプリでQRコードを読み取るだけで、現金の管理不要。
不足しがちな日々の栄養を補うこともでき、さらに災害時にも普段から口にしている商品なので安心して食べることができますね。
せっかく導入するのであれば、健康面でもメリットの多いサービスを取り入れてみてはいかがでしょうか。
近年、予測できない災害が多発している状況もあり、オフィスでの備蓄が重要であることは、多くの企業で認識しているでしょう。
ただ、具体的に何をやれば良いのか?何をどのくらい備蓄すべきなのか?と悩む方も多いと思います。
今回は具体的な行動や備蓄の分量、サービスなどもご紹介しましたので、まだ備蓄の用意がないという企業は、ぜひ本記事を参考にしていただき、早急に準備を進めてくださいね。
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