社食(社員食堂)
中小企業でも導入しやすい食事補助とは?メリット・種類・選び方を解説
「食事補助」と聞くと、大企業の社員食堂のような大がかりな設備を思い浮かべる方が多いかもしれません。広いスペースや厨房設備、専属のスタッフが必要というイメージから …
社食(社員食堂)
公開:2026.06.30
更新:2026.06.30
複数の拠点や店舗を展開する企業では、福利厚生の内容が拠点ごとに異なってしまう場面が少なくありません。本社では充実した制度が用意されていても、地方拠点や小規模な事業所では同じサービスを受けられないというケースもよく見られます。社員数の増加や事業エリアの拡大にともない、こうした「拠点間の差」は徐々に大きくなっていく傾向があります。最初は気づかない程度の差であっても、時間が経つほど社員同士で比較される場面が増え、不満として表面化しやすくなる点も見過ごせません。
こうした格差は、社員の満足度や定着率にも影響を与えかねない課題です。とくに近年は、働き方の選択肢が広がり、転職や中途入社による人材の流動化も進んでいます。社員が拠点間の待遇差を比較しやすい環境だからこそ、福利厚生の公平性は以前より重視される傾向にあるといえるでしょう。
本記事では、多拠点企業が抱えやすい福利厚生の課題と、その解決策として注目されている「設置型社食」について、具体的な仕組みや導入のメリットを交えながら解説します。
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目次

多拠点企業では、拠点ごとに立地や規模、働き方が異なるため、同じ制度を導入してもすべての社員が公平に利用できるとは限りません。本社には食堂やカフェテリアが整備されている一方で、地方の営業所や工場では同様の環境が用意されていない、という状況は珍しくありません。
その結果、本社勤務の社員と拠点勤務の社員の間で「受けられる福利厚生の差」が生まれてしまいます。福利厚生は本来、社員の働きやすさや満足度を支える土台となる制度です。拠点によって扱いが異なれば、不公平感が広がり、モチベーションの低下や離職リスクにつながる可能性もあります。
また、せっかく制度を整えても、利用しづらい拠点があれば利用率にも差が出てしまいます。「制度はあるが使われていない拠点」と「制度が活発に利用されている拠点」が混在する状態は、福利厚生投資の効果を十分に発揮できているとは言いにくい状態です。
さらに、人事担当者の視点に立つと、拠点ごとに異なる制度を個別に管理する負担も無視できません。契約先がそれぞれ違えば、請求書の確認や利用状況の集計、社内への周知方法までバラバラになり、運用の手間が積み重なっていきます。福利厚生の格差は、社員側の不満だけでなく、運用側の負担増加という側面も持っているといえるでしょう。加えて、採用活動の場面でも拠点間の差は不利に働きかねません。求人を見た応募者が「どの拠点に配属されるかで待遇が変わる」と感じてしまえば、入社後のギャップにつながり、早期離職のきっかけにもなり得ます。
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そもそも、なぜ多拠点企業では福利厚生に差が生まれやすいのでしょうか。背景には、立地・働き方・規模という3つの要因が関係しています。それぞれの観点から、差が生じる理由を詳しく見ていきます。
福利厚生サービスの中には、提供エリアが限定されているものが少なくありません。たとえば、提携飲食店での食事補助や、近隣店舗との連携サービスは、都市部の拠点では選択肢が豊富でも、地方や郊外の拠点では対象店舗自体が少ない、という事態が起こりがちです。
| 拠点タイプ | 周辺環境の傾向 | 福利厚生サービスの利用しやすさ |
| 都市部の本社 | 飲食店・コンビニが多い | 選択肢が多く利用しやすい |
| 郊外の事業所 | 飲食店が少ない | 対象店舗が限られ利用しにくい |
| 地方の工場・倉庫 | 周辺に店舗がほとんどない | サービス自体が利用できない場合がある |
このように、立地条件によって使えるサービスの幅が変わってしまう点が、拠点間の差を生む大きな要因となっています。とくに、提携店舗数を前提とした食事補助サービスは、都市部に拠点を集中させている企業ほど利便性を実感しやすく、地方拠点が多い企業ほど恩恵を受けにくい仕組みになりがちです。
また、同じ都市部であっても、駅前の好立地と工業団地内の拠点とでは、徒歩圏内で利用できる飲食店の数に大きな差が出る場合もあります。立地条件は企業側でコントロールしづらい要素であるため、サービス選定の段階で注意が必要なポイントといえます。
多拠点企業では、拠点ごとに勤務時間帯や働き方が異なる場合もあります。本社はオフィスワーク中心で日勤がメインでも、店舗や工場ではシフト制や交代勤務が採用されているケースもあります。
一般的なランチタイムを前提とした福利厚生制度は、深夜勤務やシフト勤務の社員にとっては利用しにくい仕組みになりがちです。営業時間が決まっている食堂やケータリング型のサービスでは、勤務時間帯が異なる社員は対象から外れてしまうことも考えられます。
さらに、休憩時間の長さや取得タイミングが拠点によって異なる場合もあります。短い休憩時間しか確保できない拠点では、外出して食事を摂る時間自体が限られてしまい、結果として食事補助制度をうまく活用できない社員が出てきてしまいます。働き方の多様化が進むほど、固定的な時間帯を前提にした福利厚生は実態と合わなくなっていく傾向があるといえるでしょう。
社員数が多い拠点では、専用の食堂やジムなどの大規模な施設を導入しやすい一方、社員数が少ない拠点では同じ規模の投資は現実的ではありません。固定費がかかる制度ほど、拠点の規模によって導入可否が分かれやすいといえます。
結果として、大規模拠点には手厚い福利厚生が用意され、小規模拠点には簡易的な制度しか整えられない、という偏りが生じやすくなります。人事部門としても、拠点ごとに投資対効果を検討しながら制度を設計する必要があり、全社で統一した福利厚生を実現する難易度は決して低くありません。
このような状況が続くと、社員数の少ない拠点で働く社員ほど「会社から手厚く扱われていない」と感じやすくなり、組織全体の一体感にも影響を及ぼしかねません。拠点数が多い企業ほど、規模に応じた制度設計の難しさは増していく傾向があり、福利厚生の見直しを検討する際には避けて通れないテーマの1つとなっています。

こうした課題を解消する手段として近年注目されているのが「設置型社食」です。設置型社食とは、オフィスや拠点内に専用の冷蔵庫や冷凍庫を設置し、惣菜やサラダ、ご飯ものなどを社員が自由に購入できる仕組みを指します。
社員食堂のように調理スタッフや専用の厨房スペースを必要とせず、コンパクトな設備で運用できる点が特徴です。一般的な社員食堂では、内装工事や調理人員の確保、衛生管理体制の整備など、開設までに大きな投資と時間が必要になりますが、設置型社食であれば冷蔵庫や冷凍庫を置くスペースさえ確保できれば運用を始められます。
導入や運用のハードルが低いため、本社だけでなく支社や営業所、店舗、工場など、さまざまな拠点に展開しやすい福利厚生サービスといえます。商品の補充も定期的な配送によって行われるため、現場の社員が在庫管理や調理を担う必要もなく、運用負担を抑えながら継続できる点も評価されています。
価格設定も多くのサービスで統一されており、どの拠点でも同じ条件で利用できる仕組みが整っているため、拠点間の不公平感を抑えやすい点も注目されている理由の1つです。全拠点で同じメニューと同じ価格を提示できる仕組みは、福利厚生の公平性を保つうえで大きな強みになります。
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設置型社食が多拠点企業に向いている背景には、立地・働き方・規模という、先述した3つの課題に対応しやすい仕組みである点が挙げられます。それぞれの観点から、なぜ設置型社食が選ばれているのかを紹介します。
食事補助の代表的な手段としては「チケット型」「社員食堂」「設置型社食」が挙げられますが、それぞれ立地や規模による影響の受けやすさが異なります。
| 食事補助の種類 | 立地による影響 | 規模による影響 | 拠点展開のしやすさ |
| チケット型(食事券など) | 周辺の対象店舗数に依存 | 比較的少ない | 周辺環境次第で差が出やすい |
| 社員食堂 | 設置場所に左右されにくい | 大きな投資・スペースが必要 | 小規模拠点には導入しにくい |
| 設置型社食 | 周辺環境にほとんど依存しない | 小規模スペースで導入可能 | 規模を問わず展開しやすい |
チケット型の食事補助は、対象となる飲食店やコンビニが周辺に存在することが前提となるため、立地によって使い勝手が大きく変わってしまいます。社員食堂は立地の影響こそ受けにくいものの、設置スペースや人件費といった初期投資が大きく、小規模拠点への展開は簡単ではありません。
一方で設置型社食は、専用の冷蔵庫や冷凍庫を置くスペースがあれば運用できるため、周辺に飲食店が少ない拠点や、社員数が少ない拠点でも導入しやすい仕組みです。立地や規模に左右されにくいという特性が、多拠点企業との相性の良さにつながっています。
設置型社食は、24時間いつでも商品を購入できる運用が可能な点も大きな特徴です。決められた時間にしか利用できない食堂型のサービスとは異なり、シフト勤務や深夜勤務の社員でも、自分の休憩時間に合わせて利用できます。
たとえば日勤の社員が多い本社では昼食時に利用が集中する一方、夜勤や早朝勤務が中心の拠点でも、その時間帯に合わせて自由に商品を選べます。営業時間という制約がないため、勤務形態の異なる拠点間でも同じサービスを共有しやすくなります。
働き方が拠点ごとに異なる企業であっても、勤務形態を問わず利用しやすい仕組みが整っている点は、福利厚生としての公平性を保つうえで重要な要素です。短い休憩時間しか取れない社員にとっても、外出せずその場で食事を済ませられる利便性は大きなメリットになります。
設置型社食で提供される商品の中には、野菜を使った惣菜や栄養バランスを意識したメニューを提供するサービスもあります。健康経営を推進したい企業にとって、全拠点で同じ品質の健康支援を展開できる点も大きな利点です。
拠点ごとに健康施策の内容が異なってしまうと、健康経営の取り組み自体が形骸化してしまうおそれがあります。設置型社食であれば、本社・支社・店舗・工場のいずれでも同様のメニュー構成を展開できるため、企業全体として一貫した健康支援を行いやすくなります。
外食やコンビニ利用が続くと、栄養バランスが偏る場合がありますが、野菜を中心とした商品を選びやすい環境を整えることで、社員の食生活そのものを支える基盤になります。健康経営優良法人の認定を目指す企業にとっても、全拠点で取り組みやすい施策として位置づけやすい点が魅力です。

設置型社食サービスの中でも、多拠点企業からの導入実績があるのが「オフィスでやさい」です。野菜を使った惣菜やご飯もの、軽食まで幅広いラインアップを取り扱い、冷蔵・冷凍のそれぞれのプランから選べる仕組みになっています。
実際に多拠点で事業を展開する企業の導入事例として、自動車事業をはじめ観光・飲食・アパレルなど40以上の事業を展開するヒロマツホールディングス株式会社の例が紹介されています。同社では、すべての従業員に対して、均一な食事環境を整えることが課題となっており、社員食堂の設置も検討したものの、全拠点への導入は現実的ではないと判断したそうです。
そこで本社オフィスをはじめ、グループ会社の店舗や商業施設内のスペースにも「オフィスでやさい」を導入したところ、周辺に飲食店やコンビニが多い拠点でも高い利用率を維持できているとされています。立地条件に関わらず多くの従業員に利用されている点について、サービスとしての汎用性の高さを感じているという声も寄せられています。
また、導入後は外出にかかる時間が削減され、休憩時間をより有効に使えるようになったという従業員の声も多く、働き方の質の向上にもつながっているとのことです。空いた時間で休息や仮眠を取る社員も出てきており、午後の業務にもメリハリがついたという声も挙がっています。
キャッシュレス決済の専用アプリを活用している点も特徴で、登録に不安がある従業員には個別にサポートを行うなど、利用のハードルを下げる工夫がされています。人気商品ランキングの掲示や、商品をカテゴリーごとに見やすく陳列する取り組みも、継続的な利用を後押ししている要因の1つといえるでしょう。詳細な導入背景や効果については、以下の事例ページで紹介されています。
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多拠点企業では、立地や勤務形態、拠点規模の違いから、福利厚生に差が生まれやすい状況があります。本社では充実した制度が整っていても、地方拠点や小規模拠点では同じ環境を用意できないという課題は、多くの企業に共通するものです。こうした差は社員の不満や離職リスクにつながるだけでなく、人事担当者の運用負担を増やす要因にもなりかねません。
この課題に対して、設置型社食は立地や規模の影響を受けにくく、勤務形態を問わず利用できる仕組みを備えています。冷蔵庫や冷凍庫を置くスペースさえあれば導入できるため、本社から地方の小規模拠点まで、同じ条件で福利厚生を提供しやすい点が大きな強みです。健康的なメニューを全拠点で展開できる点も、企業全体としての健康経営を後押しする要素となります。
ヒロマツホールディングス株式会社の事例からもわかるように、立地や規模が異なる拠点が混在する企業でも、設置型社食であれば均一な食環境を整えやすくなります。拠点間の福利厚生格差に悩んでいる企業は、設置型社食の導入を選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。
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