福利厚生制度

-2021.07.30.Fri

コロナ禍で本当に必要な福利厚生とは?ニーズの変化に対応するために

会社の社食が楽しみの1つであったり、さまざまなサポート制度で安心して社会人生活を送ることができたりと、社員にとって会社の福利厚生が充実していることはやる気アップにつながる大切な要素の1つです。

しかしコロナの流行によって、ワークスタイルは大きく変化しました。

会社に出勤することが当たり前ではなくなったことで、社員が求める福利厚生の形も少しずつ変化しているようです。

そこで今回は、コロナ禍のビジネス環境において、従業員が会社に求める福利厚生とはどのようなものかを考えていきたいと思います。

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福利厚生とは?

福利厚生とは、従業員が給与の他に会社から受けることのできる金銭以外の報酬です。

従業員であれば誰でも受けることができ、さらに従業員の配偶者や家族なども福利厚生の対象となる場合があります。

福利厚生は大きく2つの種類があり、法律で支給することが定められている「法定福利厚生」と、企業がそれぞれ独自に制定することができる「法定外福利厚生」に分類されます。

法定福利厚生は就職した際に従業員が必ず加入するさまざまな社会保険のことで、雇用保険や健康保険・厚生年金保険などを指し、社食の提供をはじめとする食事補助や、交通・住宅関連の費用負担などは法定外福利厚生に当たります。

法定外福利厚生の部分を充実させることで、自社のイメージアップを図ったり採用活動のアピールポイントにしたりと、ブランディングの1つとして活かす企業が増えています。

コロナ前における人気の福利厚生

マンパワーグループが2015年に実施したアンケート結果から、コロナ禍前に人気であった福利厚生について見てみましょう。

「会社の福利厚生として良いと思うもの」の1位は「住宅手当・家賃補助」で48.3%、2位が「食堂、昼食補助」でが33.9%、3位が「人間ドックなど法定外の健康診断」が33.0%という結果になっています。

また、「実際にあった福利厚生でよかったと思うもの」では「食堂、昼食補助」が17.1%で最多でした。

次いで「住宅手当・家賃補助」が16.7%、3位が「余暇施設、宿泊施設・レジャー施設などの割引制度」で14.5%となっています。

コロナ禍前に人気のあった福利厚生について、いくつかピックアップしてみましょう。

【交通費や食費など出費を補助する福利厚生】

交通費やランチ代は日々の生活にかかる費用であり、福利厚生としての補助があれば、従業員自身の出費を抑えられるため積極的に利用されやすいでしょう。

特に人気が高いのは「食堂、昼食補助」など食費に関する福利厚生です。

コロナ禍前はおしゃれな社員食堂やヘルシーなメニュー提供が行われるなど、食事補助の福利厚生が改めて注目されていました。

【住宅関連の福利厚生】

「住宅手当・家賃補助」も家計の負担が抑えられるため、人気の福利厚生です

家賃や持家の費用を一部会社が負担する住宅関連の福利厚生は、導入してる企業も多く、従業員の利用率も高い傾向が見られます。

社宅や社員寮を企業が持てば、転勤の際でも引っ越し先を探す手間や契約費用がかからないというメリットもあるでしょう。

【働き方を支援する福利厚生】

育児休暇や介護休暇はキャリアを諦めずに仕事を続けることができる需要の高い制度の1つで、優秀な人材の離職防止としても効果のあるサービスです。

ここ数年では、男性の育児休暇取得も大変注目されました。働き方支援を目的とした福利厚生は休暇制度の他、時短勤務制度なども人気です。

コロナ以降は従業員が求める福利厚生が大きく変化

コロナ禍になる前と比べて、リモートワークが増えた現在では従業員が求める福利厚生の内容も大きく変わってきました。

コロナの感染拡大防止という目的もあり、多くの社員が集まる社員旅行やサークル活動の機会がほとんどなくなったため、レクリエーション関係の福利厚生は需要が少なくなっています

同様の理由で昼休みに混雑しやすい社員食堂についても利用を控えたり、そもそもリモートワークのため使うことができなかったりと、需要に関わらず利用する機会がなくなった福利厚生もあります。

利用機会の減った福利厚生と言えば、コロナ前は従業員にとってありがたい福利厚生の1つだった交通費補助ではないでしょうか。

通勤が減り自宅で仕事をすることが増えたため、今では交通費補助よりも光熱費や通信費の補助を福利厚生として希望する声が多いようです。

健康関連の福利厚生は、健康経営への取り組みなどでコロナ禍より前から高い関心を得ていましたが、コロナ禍によってより一層、ヘルスケアやメンタルヘルスに関する福利厚生への関心度が高くなっています。

このようにコロナによって不要になってしまった福利厚生がある一方で、以前から需要のあった福利厚生がさらに人気を高めたり、これまで全く必要のなかったものが新たに福利厚生として求められるようになったりとさまざまな変化が起きています。

コロナ以後で強まった福利厚生に関する課題感とは?

コロナを機に、福利厚生に対する意識はどのように変化したのでしょうか。

コロナ禍にともなうライフスタイルの変化とともに、従来の福利厚生制度の課題として、以下のような課題が見えてきました。

・出社することが少なくなり、福利厚生を利用できない人が増えた
・福利厚生をよく利用する人とそうでない人で差が出た
・離職防止や採用活動に生かしにくくなった
・従業員に対して福利厚生を浸透させにくくなり、利用が減った

コロナ禍で多くの企業がテレワークに取り組んだ結果、出社する機会が減ったという人も多いと思います。

福利厚生制度を利用できない人が増え、出社する人と出社しない人に差が生まれ、公平性に課題を持つ企業も多いようです。

また、テレワークが中心になると制度自体を従業員に理解してもらうのが難しく、利用につながらないといった課題も見えてきました。

コロナ以後でニーズが変化した福利厚生

次に、コロナによるニーズの変化について見ていきましょう。

株式会社OKANが2020年に行った「​従業員が求める福利厚生​」アンケートによると、2019年の同調査に比べて全体の回答割合が高くなっており、福利厚生を重視する従業員が増えていることがわかります。

「従業員が求める福利厚生」の1位はリフレッシュ休暇やバースデー休暇などの「特別休暇」、2位は「慶弔支援」、3位は家族手当などの「ファミリーサポート」でした。コロナ禍で家で過ごす時間が増えたことで従業員の価値観が変化し、生活に関するサービスのニーズが高まっているようです。

コロナ禍におすすめの福利厚生とは?

ではここで、コロナ禍において従業員が必要としている福利厚生の中から、おすすめの福利厚生を4つご紹介します。

今後リモートワークは多様な働き方として定着していくと考えられます。コロナが終息した後も、リモートワークでの環境に活かせる福利厚生をピックアップしました

ぜひ福利厚生の再構築や新規導入を検討する際の参考にしてください。

在宅勤務に関する手当

在宅勤務に関する手当は、リモートワークの普及率や働き方の多様性を考えても、今後欠かせない福利厚生の1つになる可能性が高いと言えます。

仕事用のパソコンをはじめテレビ会議に必要なカメラやマイク、インターネット環境はもちろん、場合によってはデスクやワークチェアなど、仕事環境を整備するための費用が必要です。

また、すでにお伝えしたように、在宅勤務の場合、私生活での利用以外に光熱費や通信費がかかってしまうため、従業員の負担が大きくなります。

いつ終息するかわからないコロナ禍において、在宅勤務であっても従業員が不便なく仕事を進められるように、在宅勤務に関する補助制度を導入しましょう。

社員同士のコミュニケーション促進

コロナ前はオフィスで気軽にできていたちょっとした会話も、リモートワークが増えたことでできなくなったと感じている社員は少なくありません。

特に自宅勤務ではコミュニケーション自体が取りにくく、従業員のモチベーションも低下しやすい傾向にあるため、リモートワークであっても社員同士のコミュニケーションを促進できる方法を取り入れたいものです。

コミュニケーション促進と言えば、以前はサークル活動や社員旅行・飲み会などが主な交流促進の機会でした。

しかし、コロナ禍においては、これらをオンライン上で行えるようなコミュニケーション促進サービスを福利厚生として導入するとよいでしょう。

ヘルスケア・メンタルケア

コロナ禍で需要が高くなっている福利厚生として、ヘルスケアやメンタルヘルスを挙げましたが、これらはぜひ導入したい福利厚生の1つでもあります。

コロナによる通勤の減少や外出制限で運動不足になりやすいだけでなく、ストレス発散がしにくい現状やコミュニケーション不足による孤独感から、精神的な不調を感じるケースも増えています。

室内で実施できるヨガやストレッチなど、運動不足解消のための社内オンラインサロンを開いたり、気軽に相談できるメンタルケアのオンライン窓口を用意したりと、コロナ禍だからこそ必要な福利厚生を提供することが大切です。

食事補助サービス

コロナの流行前から人気のある食事補助ですが、コロナ禍においては求められるサービスの形が変化しています。

コロナ禍で需要が高まっている食事補助のサービス内容は主に2つのパターンがあり、1つ目は在宅勤務をしている従業員の自宅へ配達ができる「宅配型の食事補助サービス」です。

在宅勤務時に食事を届けてくれる宅配型の食事補助サービスは、準備や片付けの手間なく食事を採ることができるため、社員の健康維持にも役立ちます

2つ目は、外出不要で手軽に食事ができる「オフィス設置型の社食サービス」です。

コロナ対策として社員食堂の利用が減ったことで、社員食堂の運用自体が困難になる場合があり、その代替策として設置型社食サービスの導入を検討するケースが増えています。

設置型社食サービスは導入費・運用費を抑えながら、コロナ禍であっても社内で食事を提供することが可能です。

コロナ禍に合わせた福利厚生の見直し方法

コロナ禍において従業員の福利厚生に対する意識の変化も見られており、それに合わせて制度自体を見直す企業も増えています。

内容を見直す際は、以下の4つの手順で行いましょう。

1)従業員のニーズや抱えている課題を調査・把握する

2)変更の必要性や導入の可否を検証する

3)運用シミュレーションを行ってから実際に導入する

4)運用後、定期的に振り返りや見直しを行う

1)従業員のニーズや抱えている課題を調査・把握する

まずは、コロナ禍で変化した福利厚生に対する従業員の意識を調査し、現状の課題を把握しましょう。

見直しを行うにあたってアンケートを行い、従業員のニーズはどこにあるか、今の福利厚生制度が抱える課題やデメリットはどこにあるか、双方の認識の誤差を確認しておくことが大切です。

2)変更の必要性や導入の可否を検証する

次に変更の必要性や導入の可否を検証しましょう。

内容によっては変更が必要ない場合や、導入が不可能な場合もあるかもしれません。

コロナ禍を機に新たな制度を導入するにあたって、それが緊急性の高いものなのか、導入コストや担当部署の負担は導入後の従業員の満足度に見合っているかなど、多方面から検証を行うと良いでしょう。

3)運用シミュレーションを行ってから実際に導入する

導入前に、一度運用シミュレーションを行いましょう。

シミュレーションを行わずに導入してしまうと、実際には自社のスタイルに合っていなかったり、従業員の不満につながったりしてしまう可能性もあります。

導入後に違和感や失敗に気づくようなことがないよう、準備段階でしっかりシミュレーションを行い、円滑に進められるか確認しておきましょう。

4)運用後、定期的に振り返りや見直しを行う

福利厚生は導入して終わりではありません。

どのような制度も、導入後定期的に振り返りを行い、見直すべきところがあれば改善が必要です。

コロナ禍を機に新たに導入したサービスが、意図していたものと合っているか、コロナ禍で出社が減った従業員にもしっかりと利用されているか、費用対効果を含めて適宜見直しを行いましょう。

コロナ禍におすすめの食事補助サービス

ここでは、コロナ禍により食事補助サービスに関する福利厚生を再検討している方、またコロナ終息後も継続して利用できる食事補助サービスを検討中の方におすすめの食事補助サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」についてご紹介していきます。

「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」 とは?

オフィスで野菜

「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」は、オフィスに居ながら健康的な食事が採れるとして人気の置き型健康社食サービスです。

オフィスに設置した専用の冷蔵庫に定期的に商品が補充され、従業員は現金や電子決済アプリ「YASAI PAY」を使って購入します。

「OFFICE DE YASAI」は福利厚生として導入することができるうえ、社員食堂を設置するスペースがない企業でも、専用冷蔵庫を設置するだけで簡単に従業員に食事補助サービスを提供できます。

購入費用の一部を福利厚生として企業側が負担するため、従業員の負担額は「1個100円~(税込)」というコンビニでランチを買うよりも手ごろな金額です。

「OFFICE DE YASAI」が提供するメニューは、不足しがちな栄養を補えるよう考えられているため、普段のランチに1品加えるだけでも手軽に栄養バランスの採れた食事に変えることができます。

コロナ禍における設置型社食のメリット

コロナが流行する以前は、昼休みともなれば多くの従業員が社員食堂を利用することは当たり前の光景でした。

しかしコロナ禍においては、コロナの感染拡大予防の観点から考えても、1か所に長時間人が集まるような機会はなるべく減らさなければなりません。

できるだけ人との接触を避けてコロナの感染リスクを下げるためにも、従業員が昼食を買いに出かけたり、外食したりといったことは避けたいと考える方も少なくないでしょう。

設置型社食を利用することで外出によるコロナの感染リスクの機会を減らせます。

いつでも好きな時に購入できるという特徴を活かして購入のタイミングをずらすよう取り決めれば、同じ時間に多くの人が集まることを避け、オフィス内でコロナのクラスターが発生する機会を減らすことにつながります。

OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)ならではの魅力

お伝えしたように「OFFICE DE YASAI」が提供するメニューは、すべて栄養バランスを考えて作られているため、普段の食事や手作りのお弁当では不足しがちな栄養素を、安く簡単に取り入れられます

また「OFFICE DE YASAI」は主に2つです。オフィスでやさい」プランと、「オフィスでごはん」プランがあり、自社に合ったプランを選べる上、ラインナップが豊富なため飽きずにおいしく続けられます。

コロナ禍に対応するサービスとして「オフィスでやさい for リモート」というプランも提供しています。

専用アプリ「YASAI PAY」を使って従業員が注文した商品を、従業員の自宅へ直接届けてくれるプランで、コロナ禍のリモートワークであっても社員の健康を維持したいと考える企業におすすめのプランです。

実際にコロナ禍に福利厚生の内容を転換した事例

コロナをきっかけに福利厚生の内容を見直した企業の事例を3つご紹介します。

メルカリ

メルカリは、2020年4月に公式発表で国内拠点のオフィスを原則閉鎖し、完全在宅勤務体制へ移行する方針を打ち出しています。

それに伴い、福利厚生として自宅勤務の環境構築およびオンラインコミュニケーションのために半年分の在宅勤務手当(6万円)の支給を決定しました。

また働き方においても、12時から16時をコアタイムとするフレックスタイム制を、コロナの感染拡大を受けてより働く時間帯の選択肢が増やせるコアタイムのないフルフレックス制度を導入しています。

ヤフー

ヤフーでは、2014年に「どこでもオフィス」というリモートワーク制度を設けており、それに伴う通信費補助として「どこでもオフィス手当」を支給していました。

コロナが注目され始めた2020年2月からは、月5回のリモートワーク上限を解除し、原則在宅勤務の導入を段階的に行っています。

また、7月の公式発表では、10月よりリモートワークの回数制限と、フレックスタイム勤務のコアタイムを廃止するとしており、同発表で、通勤定期代の支給を停止し、従来の「どこでもオフィス手当」に新たに通信費補助を加えるなど、コロナに対応した福利厚生へと移行しています。

ミクシィ

ミクシィは3月の全従業員へのリモートワーク推奨に伴い、自宅勤務に必要な外付けモニタをはじめとするパソコン周辺機器、デスクやワークチェアなど税込22,000円を上限に環境構築支援施策として支給しています。

通信環境を整備する目的として、会社貸与のiPhoneを活用した「デザリング補助(通信上限の増加)」を実施している他、通勤手当支給の中止、リモート環境維持のための手当を導入しました。

さらに部下のメンタルヘルス対策として、サポート方法をマネジメント層向けに提示したり、従業員向けのセルフケア情報を発信したりとさまざまな取り組みを行っています。

note

note株式会社は、デジタルコンテンツの企画、制作、配信を行う企業で、文章や画像・音声・動画を投稿し、ユーザーがコンテンツを楽しみながら応援できるメディアプラットフォーム「note」を提供しています。

同社はコロナ禍の働き方の変化に対応し、在宅勤務をベースとした「フレキシブル出社制度」を導入しました。

フレキシブル出社制度は、従業員が個人の業務内容や状況に応じて勤務スタイルを選択できる制度で、在宅勤務をベースとするものの、出社が必要な仕事やオフィス勤務のほうが快適に仕事ができる場合は出社できる仕組みです。

柔軟な勤務形態を採用することでコロナ後のニューノーマルな日常に対応するほか、居住地にかかわらず勤務できるため、今後は遠隔地の人も積極的に採用する予定となっています。

まとめ

コロナによってたくさんの人が大きな変化を体験してきましたが、これから先の福利厚生を考える機会としても今は変革期にあるのかもしれません。

コロナ禍での福利厚生を改めて見直すことによって、これまでとは違う環境においても従業員の満足度を高められる企業へとステップアップしてみてはいかがでしょうか。

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