インタビュー
経営戦略としての健康経営、DeNA流「見える化健康経営」とは〈後篇〉
今回は、CHO(Chief Health Officer)室を立ち上げ、いち早く「健康経営」に取り組まれてきたDeNAのCHO室 室長代理、平井孝幸氏を訪ね、前 …
企業の健康経営
公開:2025.04.28
更新:2025.04.30
近年、働き方改革による勤務環境の変化や労働者の高齢化などにより、健康に不安を抱える従業員が増加しています。最近では、企業の社会的責任や従業員の満足度向上を目的として、従業員の健康維持や改善に取り組む企業も増えており、「健康経営」が注目を集めているのをご存じでしょうか。
本記事では、健康経営や健康宣言の概要、実際に健康宣言を行っている企業の事例10選、自社で健康宣言を行うために必要なことについても解説します。
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目次
健康経営とは、従業員の健康を企業の資産ととらえ、戦略的に健康づくりに取り組む経営手法です。これまでの日本では、長時間労働や残業による過労死、メンタルの不調など、従業員の健康被害が社会問題となってきました。
経済産業省の主導で「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」などの認定制度も整備されるにつれ「健康経営」という考え方が注目されるようになり、従業員の健康サポートに取り組む企業が増えています。健康経営には、企業の医療費の削減や離職率の低下、生産性の向上、企業イメージの向上などのメリットがあります。
健康宣言とは、企業が健康経営に取り組むことを社内外に表明するものです。全国健康保険協会(協会けんぽ)では、健康宣言の申し込みを受け付けています。健康宣言を行うためには、「社員の健診受診率目標100%」と「健康サポート(特定保健指導)の利用率目標100%」の必須項目の他に、1つ以上の項目を選択しなければなりません。
健康宣言に必要な選択項目には、以下のようなものがあります。
協会けんぽのウェブサイトでは、「健康宣言についてのリーフレット」や「健康宣言書」を公開していますので、ぜひ参考にしてください。
各企業は企業理念や自社の環境などに合わせて健康宣言を行い、健康経営を進めています。ここからは、健康宣言の事例として、実際に健康経営に取り組んでいる企業の健康宣言の内容や取り組み例について具体的に見ていきましょう。
味の素グループは、創業時より「おいしく食べて健康づくり」という志のもと、各国で様々な事業を展開してきました。「味の素グループは、アミノサイエンスで、人・社会・地球のWell-beingに貢献できるよう社員の健康維持・増進を支援します」を健康宣言として掲げ、全社的に健康増進活動に取り組んでいます。
従業員が健康なこころとからだを保つためには、その人を支える家族も健康でいることが不可欠です。「セルフ・ケアを通した社員の健康推進」と「各国各法人の現状に即した健康施策の推進」を2本柱として国内外の従業員やその家族の健康をサポートしており、食習慣改善に向けた適正糖質セミナー、ウォーキングイベント、管理職に向けた産業院によるラインケア研修などを実施しています。
コムテック株式会社は、数多くの企業の包括的な経営支援を行っているコンサルティング会社です。コムテック株式会社では、クライアントへの安定的な役割提供には、従業員一人ひとりのこころとからだが共に健康でいられる健全な企業体系が必要不可欠と考えており、健康診断やストレスチェックの受診・受検率100%を目指しているほか、社内交流を目的としたものから地域貢献型イベントまで、年間を通じてさまざまなイベントやクラブ活動を行っています。
水戸証券株式会社では、2019年に健康宣言を策定しました。健康経営推進最高責任者を置き、健康経営推進チームが全社歩行イベントの実施やスポーツレクリエーション活動助成金制度の設置など、さまざまな取り組みを実施しているのが特徴です。外部評価として、健康優良企業「金の認定」を取得しているほか、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に2021年より5年連続で認定されています。
DNPグループでは、活力の向上や組織の活性化につなげる健康経営を実践するため、2021年に「DNPグループ健康宣言」を策定しました。「社員と家族の心身の健康の保持・増進」、「多様な個・人財の「こころの資本(前向きな心)」の醸成」、「職場・チームにおける「心理的安全性(信頼関係)」の3本柱によって、従業員の幸福度を高める健康経営・健康施策を推進しています。
DNPグループでは、従来より、福利厚生の充実、ストレスチェック、スポーツイベントの実施など、従業員の健康の保持・増進に対して積極的ですが、「DNPグループ健康宣言」の策定によって、取り組みを強化中です。
大塚ホールディングスには、「世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する」という企業理念があります。この企業理念の実現には、従業員一人ひとりの心身の健康が不可欠として、従業員の健康に関する様々な取り組みを推進するために、「大塚グループ健康宣言」を制定しました。大塚製薬、大塚製薬工場や大鵬薬品工業など各グループ会社でも、それぞれ企業理念に基づいて健康宣言がなされており、グループ全体で健康経営を推し進めています。
明治安田ライフプランセンターでは、明治安田生命健康保険組合を通じて健康企業宣言を行い、健康経営および健康づくりに関する取組みを実施しています。健康企業宣言(STEP1)では、健診結果の活用や食・運動・喫煙への取り組みのほか、心の健康に取り組むことを宣言し、2024年には健康企業宣言(STEP2)(「金の認定」)を取得しました。
全社員向け健康ストレッチセミナー開催、ウォーキング・毎朝体操の実践などの取り組みを実施しており、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に2021年より5年連続で認定されています。
TOPPANグループでは、「人間尊重」の基本理念に基づき、創業以来従業員の健康に関するさまざまな取り組みを進めてきました。
2015年には、さらなる従業員や家族の健康の保持増進のため、社長名で「健康経営宣言」を制定。具体的な事例として、全社横断型スポーツイベントやアートサロンの開催、事業所ごとの健康状態を見える化した「ヘルスケアReport」の配信、健康経営ハンドブックの作成・配付などがあります。
岐阜県の中小IT企業である株式会社テクノアでは、代表取締役を「健康経営責任者」と位置づけ、健康経営推進部門が中心となってさまざまな施策を実施しています。
2022年には、企業理念「縁があった企業や人々を幸せにする」を実現するためには、会社を支える従業員一人ひとりが心身ともに健康で、活き活きと勤務できる環境を整えることが最重要ととらえ、健康経営宣言を発行しました。特に情報サービス業界は工場や機械装置といった大規模設備投資が無い半面、従業員の生産性が重要です。
年休取得の促進や時間外勤務時間の低減、社内コミュニケーションの活性化など従業員の生産性向上に向けた取り組みを進めています。
国内外で整体サロン「カラダファクトリー」を運営する株式会社ファクトリージャパングループの企業理念は、「私たちは感動を生み出す「人財力」で健康の促進と予防に対する意識改革を世界に広げ、社会に貢献します。」です。
また、株式会社ファクトリージャパングループのクレド(行動指針)の一つとして、「町のほけん室になる」という言葉があり、従業員やその家族の健康の支援はもちろん、高齢化社会に突入した日本社会の健康寿命の延伸を目指し、世の中すべての人の健康づくりに資することで、社会に貢献することを目標としています。社内では「FJG保健室」を設置し、従業員の勤務の悩みや身体の不調に対応するほか、従業員の誕生月に自社店舗の施術無料券を配布するなど、従業員の体のメンテナンスに力を入れています。
クラウドコンピューティングによる人材管理システムを提供する株式会社カオナビでは、「“はたらく”にテクノロジーを実装し個の力から社会の仕様を変える」ことを目標に掲げています。この目標には、「テクノロジーによって一人ひとりの個性や才能を理解することで、個人のキャリア形成や働き方が多様化される社会をつくっていきたい」という想いが込められており、その実現のために健康宣言を公表しました。
健康宣言に合わせて公開されている健康管理方針では、健康管理の目的から体制、取り組み内容まで具体的に示されているのが特徴です。事例として、ウォーキングイベントの実施や運動機能のあるゲームの設置、休憩室の解説などを通じて、従業員の心身の健康維持・増進に取り組んでいます。
健康宣言は、以下のステップを踏むことで効果的な取り組みが可能になります。
まずは、社内にどのような健康課題があるのかを把握することが大事です。健康診断結果の集計やストレスチェック、従業員アンケートの実施などにより、体の不調・心の不調・生活習慣などの傾向を明らかにしましょう。また、欠勤率や離職率、労災の発生状況なども重要な参考データになります。現状把握によって、取り組むべき優先事項を見極めやすくなります。
次に、具体的な目標を設定しましょう。例えば、「健康診断受診率を95%以上にする」「ストレスチェックの実施率を100%にする」など、達成度を評価しやすい目標を立てることで、実施のモチベーションにもつながります。
目標が定まったら、どのような施策を、いつ、どのように実行するか、具体的な計画の立案を行いましょう。社内報で健康情報を発信する、管理職向けにメンタルヘルス研修を実施する、カフェテリアを設置するなど、課題に直結するアプローチを選定することが重要です。
具体的な内容が決まったら社内外に向けて健康宣言を行い、策定した計画をもとにして実際に取り組みを実施しましょう。健康宣言は、代表取締役など会社の代表の名前で行うことで、企業の健康宣言に対する意欲が伝わり、従業員や取引先からの信頼性も一層高まります。
実施後には必ず効果測定や従業員へのヒアリングを行い、成果と課題を洗い出すことも大切です。評価をふまえて改善策を練り、次のアクションにつなげることで、より効果的な健康経営につなげることができるため、PDCAサイクルを定着させて、従業員の健康課題に長期的に取り組んでいきましょう。
健康宣言を行い、実際に健康経営を実践する上で、福利厚生の充実は非常に重要な要素です。なかでも「食」に関する福利厚生は、従業員からの人気が高く、より直接的な効果が期待されることから、多くの企業で取り入れられています。
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また、専用什器を設置するエリアをカフェスペースとして整備すれば、休憩時間やランチタイムに従業員同士の自然な交流が生まれ、社内コミュニケーションの活性化にもつながるため、職場全体の雰囲気が明るくなる効果も見込めるでしょう。従業員の健康維持・増進は、企業の重要課題と捉え、福利厚生の観点からも、食の福利厚生を活用してみてはいかがでしょうか。
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健康経営は、企業が持続可能な成長を遂げる上で欠かせない要素であり、健康宣言を行い、取り組みを内外に示すことで従業員の健康づくりを企業文化として根付かせることができます。健康宣言は、規模や業種を問わず、多様なアプローチで実践されていますので、今回紹介した事例を参考にして、自社に合ったスタイルで健康宣言を行い、より健全な職場環境づくりを目指しましょう。
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