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-2022.05.22.Sun

女性活躍推進法とは?目指すものと企業に求められる取り組みを解説

近年、少子高齢化の影響で労働力不足が深刻な問題となっています。

労働力が不足すると、1人当たりの従業員にかかる負担が増加したり、事業継続が困難になったりしてしまうなど、さまざまな問題が出てくるでしょう。

このような労働力不足を解消するために、結婚・出産などで一度社会から離れた女性がふたたび職場に戻り活躍することが求められています。

女性が能力を発揮できる労働環境をつくるためには、企業の協力が不可欠です。

そこで、2015年に「女性活躍推進法」が制定され、対象となる企業にはいくつかの取り組みが義務化されました。

今回は、女性活躍推進法の意味や女性活躍推進法の改正内容、企業に求められる取り組みを解説していきます。

ぜひ、参考にしてください。

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女性活躍推進法とは

女性活躍推進法の正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」で、2015年8月28日に10年間の時限立法として制定された法律です。

これまで、男女雇用機会均等法や育児休業法、次世代育成支援対策推進法などさまざまな取り組みが行われていましたが、残念ながら社会における女性の活躍にはあまりつながっていませんでした。

そのため、2016年4月に女性活躍推進法が施行され、企業が女性の活躍を推進することを義務付けられるようになりました。

女性活躍推進法が目指すこと

女性躍進推進法が目指すことは「働きたいと希望する女性が個性と能力を十分に発揮できる社会」です。

以前、男性は外で働いて女性は家を守るという風潮があり、女性は結婚後、退職することが当たり前になっていました。

そのため、女性は採用数自体が少なかったり、出産育児等で業務から離れるという理由で管理職を与えられなかったりなど、男性に比べて働きにくい環境だったといえます。

そのため、女性の働く環境の改善を求めて、女性活躍推進法は基本方針として以下の3点を求めています。

・女性に対する面接や採用、昇進などの機会を積極的に提供し、その活用を通じて個人の能力を発揮できるようにする

・職業生活を家庭生活の両立を図るために、環境を整え、継続的にサポートする

・両立に関して本人の意思を尊重する

面接や採用時に男女で不当な扱いをすること、性別を理由にして昇進させないことは、男女雇用機会均等法により禁止されています。

女性は出産、育児などライフステージにさまざまな変化があるため、途中で休職したりすることもありますが、男性と同じように働き続ける権利をもっています。

また、女性が長く働き続けるためには、仕事と子育てを両立できる環境が必要です。女性活躍推進法は、働く環境を整え、継続的にサポートできることを目指しています。

一方で、職業生活を家庭生活の環境が整っているからといって、働くことを強制してはいけません。女性活躍推進法は、本人の意思を尊重できる環境をつくることを目指しています。

女性活躍推進法によって企業が取り組むべきこと

女性活躍推進法によって、企業が取り組むべきことは6つです。1つずつ詳しく説明していきます。

基礎項目について現状の把握

女性活躍推進法では、次の「基礎項目」(必ず把握すべき項目)について数値を算出し、自社の女性従業員がどのくらい活躍しているのか、以下の4つの基礎項目を把握する必要があります。

【採用者における女性労働者の割合(中途採用含む)】

直近の事業年度数の女性労働者採用数÷直近の事業年度の採用者数×100(%)

【平均勤続年数における男女の差異】

女性の平均勤続年数÷男性の平均勤続年数

【月ごとの平均残業時間数など労働時間の状況】

月ごとの総残業時間数(法定時間外労働と法定休日労働)÷労働者数

【管理職における女性従業員の割合】

女性の管理職数÷管理職数×100(%)

値が低い項目があった場合、どうすれば女性活躍推進法の基礎項目の数値を上げられるか、自社の課題を分析していく必要があります。

行動計画の策定

女性活躍推進法では、自社の課題を解決するための目標を設定して具体的な取り組み内容を決定し、一般事業主行動計画を策定します。

女性活躍推進法の行動計画には、以下の4つが必須です。

【計画期間】

2025年度までの期間で各事業の実情に基づき、おおむね2~5年間に区切り、定期的に行動計画の進捗を見ながら、行動計画を改定していきます。

【目標設定】

計画に合わせて数値目標を2つ以上定めます。

【取り組み内容】

目標を達成するために、どんなことに取り組むのかを記載します。

【取り組み内容の実施時期】

目標を達成するために、いつまでにどんなことに取り組むのかを記載します。

計画の社内への周知と公表

女性活躍推進法では、計画行動の策定が終わったらメールや社内での掲示、書類配布などによって全労働者に周知することを義務付けています。

全労働者とは、正社員だけでなく1年以上継続的に雇用されている(1年以上の雇用が見込まれる)パートや契約社員、アルバイトなども含まれます。

社内への周知が終わったら、自社のホームページや女性の活躍推進企業データベースサイトなどインターネットを利用し、最新の数値を公表しましょう。社内への周知と外部公表は必ず両方行ってください。

計画の届け出

一般事業主行動計画策定・変更届を管轄の労働局へ提出しなければなりません。厚労省のホームページからダウンロードをするか、電子申請による届け出も可能です。

計画の実施と取り組み効果の測定

女性活躍推進法では、行動計画を実施し、数値目標を達成できたのか、実施状況を評価します。

自社の女性活躍に関する情報の公表

女性活躍推進法では、自社のホームページや女性の活躍推進企業データベースサイトなどインターネットを利用し、年に1回公表します。

公表する項目は「職業生活に関する機会の提供に関する実績」と「職業生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」をそれぞれ1項目以上選びましょう。

女性活躍推進法の改正内容

女性活躍推進法は2015年に制定されましたが、さらに女性の活躍の場を広げるために、何度か内容が改正されています。

女性活躍推進法の改正内容をしっかり確認していきましょう。

「一般事業主行動計画の策定」の義務化対象拡大

女性活躍推進法の「一般事業主行動計画の策定」への義務付けの対象が、常時雇用する労働者が301人以上の事業主から101人以上へと拡大されました。

今まで101人以上の企業は努力義務となっていましたが、2022年4月1日より義務へと変更になっていますので注意が必要です。

「自社の女性活躍に関する情報公表」の義務化対象拡大や項目追加

女性活躍推進法では、2020年6月より常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、数値目標と同様に以下2つの区分の情報項目を公表することを義務付けています。

【職業生活に関する機会の提供に関する実績】

採用、配置、評価、職場風土、再チャレンジ、取り組みの結果を図るための指標など1つ以上の項目を選択します。

【職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績】

継続就業、働き方改善など1つ以上の項目を選択します。

「プラチナえるぼし」の新設

プラチナえるぼし認定は、えるぼし認定を取得した企業の中でも、特に女性の活躍を推進している組織を示す認定マークで、2020年6月に女性活躍推進法によって新設されました。

えるぼし認定の認定基準項目は5つあります。

【採用】

男女別の採用で、競争倍率が同程度であること

【継続就業】

下記の1.または2.のどちらかを満たしていること

1.雇用管理区分ごとに、女性労働者の平均継続勤務年数÷男性労働者の平均継続勤務年数が0.7以上であること

2.雇用管理区分ごとに10事業年度前とその前後の事業年度に採用された女性労働者の雇用継続割合÷男性労働者の雇用継続割合が0.8以上であること(算定の対象は、新卒採用で期間が決まっていない労働契約を結んでいる従業員のみ)

【労働時間】

法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数が、月ごとの平均で45時間未満であること

【管理職の比率】

下記の1.または2.どちらかを満たしていること

1.管理職のうち女性労働者が、産業ごとの平均値以上であること

2.直近の3事業年度の平均で課長級より1つ下の職階から課長級に昇進した労働者の割合を女性と男性で同程度であること

【多様なキャリアコース】

大企業の場合は1.を含め2つ以上、中小企業は1つ以上の実績があること

1.女性労働者の非正社員から正社員への転換(派遣社員を正社員として雇用するケースも含む)

2.女性労働者のキャリアアップに繋がる雇用管理区分の転換

3.退職した女性労働者を正社員として再雇用する

4.おおむね30歳以上の女性を正社員として採用する

この5つの基準を満たしている項目によって、3段階の認定レベルがあります。

えるぼし認定は、女性の働きやすい環境をアピールでき、女性活躍推進法が目指すことにもつながっていきます。

まとめ

女性活躍推進法は「働きたいと希望する女性が個性と能力を十分に発揮できる社会」を目指しています。さまざまな項目が義務付けられていますが、特に罰則規定はありません。

罰則がないのであれば、女性活躍推進法への取り組みをしなくても良いのでは?と考える人もいるでしょう。しかし、取り組みをしっかり行っていれば得られるメリットが多くあります。

女性活躍推進法への取り組みで企業への届け出た情報は、Webサイトで公表されているので、企業のイメージアップになり、新規採用・人材の確保など、労働力の確保に繋がります。

そのため、女性活躍推進法の6つの取り組みを実施し、女性活躍推進法の改正内容もしっかり頭に入れておきましょう。

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