企業の健康経営
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企業が成長を続けるためには、従業員のモチベーションを高い状態で維持しなければなりません。
従業員のモチベーションをあげる施策のひとつにインセンティブ制度があります。
インセンティブ制度は、「一定基準の業績を満たした従業員の月給に上乗せして支払われるボーナス」と理解されている方も多いのではないでしょうか。
企業が従業員に与えられるインセンティブ制度には、金銭的なものだけでなくいくつかの種類があります。
今回はインセンティブ制度の種類やメリット、導入方法や導入実例をご紹介します。
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目次
インセンティブ制度とは金銭面だけの制度ではありません。
「Incentive」という単語には、「行動などへの刺激、人の行動を駆り立てるもの、やる気を起こさせるもの」という意味があります。
さらに、「Incentive」の語源はラテン語で「励ます」という意味の「incentivus」で、インセンティブ制度とは企業が従業員を刺激し、そのモチベーションを維持、増幅させるための刺激、つまりインセンティブを与える仕組みを示す言葉です。
ビジネスシーンでは、インセンティブはある一定の目標やノルマを達成した従業員に対して企業が支払う報奨金やボーナスと捉られています。
金銭以外のインセンティブはイメージしにくいものですが、次項で実際のインセンティブについて説明します。
実際の職場において作用するインセンティブの種類を見ていきましょう。
・物質的インセンティブ
物質的インセンティブとは、従業員個人の働きに応じて支給される報酬です。報酬は金銭や金銭に代わるモノ、コトであり、奨励旅行などもこれに含まれます。
・評価的インセンティブ
評価的インセンティブとは、従業員の成果に対して評価をすることを示します。
他の従業員の前で表彰をする、人前で褒めるなどの心理的評価と、成果に応じて人事評価を上げ、昇進昇格を行う地位的評価があります。
心理的評価は一時的に従業員のモチベーションを上げることはできますが、モチベーションを持続させるためには地位的評価も効果的に併用することが大切です。
・人的インセンティブ
職場の人との良好な関係がもたらすのが、人的インセンティブです。職場で関わる他の人との関係性がよく、人間関係が良好な時、従業員は職場への愛着が増し、業績貢献度が高まると言われています。
上司や同僚のために成果をあげようとモチベーションか向上している時が、人的インセンティブが働いている時と言えるでしょう。
・理念的インセンティブ
従業員に対して示した企業理念や企業の価値観に共感させることでモチベーションを上げるのが、理念的インセンティブです。
社会のために意義のある仕事をしたいと願う従業員にとって、共感できる企業理念や価値観をもつ企業で働くことは、単に生きるための糧を得るための仕事だけでなく、人生での大きな喜び、生き甲斐を得ることにもなり得ます。
・自己実現的インセンティブ
自己実現的インセンティブとは、自己実現を叶えられる環境を提供することで従業員のモチベーションをアップさせるものです。
仕事を通じて成長したい、目標を達成したいと願う従業員にとって、それを実現できる環境を与えられることは自己実現欲求を充足させることができるまたとない好機となり得ることでしょう。
ボーナスとインセンティブはよく混同されがちですが、明確な違いがあります。
ボーナスは、企業全体の業績に応じて従業員に支給される報酬ですが、インセンティブは従業員個人個人の成果によって支給される報酬のことです。
インセンティブは一人一人の成果によって支給される額が異なるため、従業員のモチベーションを高める効果があると言えます。
インセンティブ制度を設けることにより、企業には多くのメリットがもたらされます。
・社員のモチベーションの向上をはかれる
努力をして成果を上げれば報われるインセンティブ制度は、従業員のモチベーションを向上させる効果が期待できます。
従業員にとっても、努力が目に見える形で返ってくることはさらなる努力へのモチベーションとなります。
・明確な評価基準を設定することで不公平感が軽減され、目標に対する道筋が見えやすくなる
明確な評価基準を設定するインセンティブ制度は、客観的な指標ができるので従業員同士での報酬への不公平感の軽減をはかることができます。
また、目標に対してどのように働けばいいか具体的に見えるので、従業員が目標にどのようにコミットするべきかわかりやすくなる利点もあります。
・従業員同士の健全な競争をもたらし、個人や企業の成長を促進できる
インセンティブ制度を導入することにより、従業員それぞれが目標に向かって努力をする企業風土が生まれるため、従業員同士の健全な競争を育むことができます。
従業員個人が努力をし、成長していけば、企業全体が成長していくことにもつながります。
・インセンティブに魅力を感じる意欲的な優秀な人材を確保できる
日本においてインセンティブ制度を導入している企業はまだまだ多いとは言えません。
またインセンティブ制度に魅力を感じる人材は、横並びの給与水準の中で生きるよりも自ら道を切り開くアグレッシブさを持ち、目標達成への意欲が高いタイプが多いと言えるでしょう。
そのような状況の中、個人の成果を評価するインセンティブ制度がある企業であるということを打ち出すことは、努力を惜しまない意欲的で優秀な人材を集めることに寄与することを期待できます。
メリットが多いインセンティブ制度ですが、制度設計や運用を間違えるとデメリットも現れてくることがあります。
・インセンティブ制度に向く業種、向かない業種がある
成果が数値化されやすい営業職などは、インセンティブ制度は向いていると言えますが、経理職、総務職、事務職や接客業などはそもそも評価基準を設定することが非常に難しいものです。
このような業種にインセンティブ制度を導入するにあたっては、従業員などからヒアリングを行ったりしながら慎重に調査を重ねつつ評価基準を設定する必要があります。
・競争が苛烈化してチームワークの阻害となることもある
インセンティブ制度は、基本的に個人の成果に従うものです。
自分の成果を出すことにだけ注視してしまった結果、チームワークを軽視し、個人プレイに走ってしまう従業員が出てくるかもしれません。
競争意識が苛烈化し、同僚より良い結果を出そうとするあまりに、情報の共有を怠ったり、他の人のフォローを蔑ろにしてしまったりする従業員が出てしまうこともあるでしょう。
チームワークの悪化は企業風土の悪化につながるので注意が必要です。
・短期的な目標達成にフォーカスしてしまい、長期的的視点が失われがちになることもある
インセンティブ制度において、インセンティブは比較的短期間の成果に発生します。
そのため、月毎や四半期、あるいは半年の目標達成にフォーカスしてしまい、年単位の長期的視点が損なわれてしまいがちです。
従業員に長期的視点を持たせるためには、インセンティブ制度とは異なる施策の導入を考慮する必要があります。
・目標達成への心理的負荷が大きくなることもある
短期間での目標達成への道は、なすべきことが見えやすい反面、常にタスクに追われてしまうということもあります。
そのような状態でベストパフォーマンスを出せる人材もいれば、その心理的負荷に潰れてしまい、本当の真価を発揮できなくなってしまう人材もいます。インセンティブ制度の導入には心理的負荷を軽減するための工夫も必要です。
・評価基準の設定を適正に行わないと不満がでることもある
インセンティブ制度は評価と報酬が完全にリンクする制度です。
成果をあげて正当な評価と報酬を得ることのできる従業員にとってはモチベーションアップの機会となりますが、なかなか成果をあげられない従業員にとっては不満がたまりモチベーションが下がることもあります。
また、評価基準に偏りがある場合、その他の従業員は難しい場合は、不公平感が蔓延し職場の環境悪化にもつながります。評価基準の設定には、従業員のモチベーションを下げないようにするために細心の注意を払う必要があります。
従業員にとってメリットのある制度設計をしなければ、モチベーションアップの実現は難しいでしょう。
従業員から入念にヒアリングを行い、数値だけでははかれない要素も取り込んだ設計を行い、従業員と企業双方にメリットのある制度設計を行うことが大切です。
まずは、インセンティブ制度を導入することで企業は何をもたらしたいのか、目的を明確にすることが必要です。
同時に、目標やゴールの達成条件も明確にすることが必要があります。
誰を対象に、何を目標とするかを決めることにより、実施後の効果を測定することが可能になります。
対象者の切り分けを行うことで、目標の切り分けも行い、不公平感を出さないようにすることが肝要です。
従業員一人ひとりに作用するインセンティブはそれぞれ異なっています。
例えば営業成績を上げて物質的報酬を求める従業員や、同僚のアシストを行うことで評価されたい従業員、または企業理念を実践したい従業員などさまざまなパターンがあるでしょう。
従業員のニーズをヒアリングして取り入れることは、インセンティブ制度の設計のためのみならず、よりよい職場環境の整備にもポジティブに働きます。
また、従業員へのヒアリングは制度への不満や不信感なども拾い上げることができるので、将来のリスクの芽を事前に摘むためにも入念に行うとよいでしょう。
制度が設計できても、実際に運用するためには、従業員の制度への深い理解が必要です。
導入時に内容を正確に周知できていない場合、理解が及んでいなかった従業員から不平の声が上がる可能性があります。
制度の目的や具体的な内容を周知徹底した上で、全従業員が取り組めるように細心の心配りが必要です。
また、金銭的なインセンティブは1度導入すると変更することが難しいものです。
その後の状況によって金銭的インセンティブを変更する予定などがある場合は、あらかじめその旨を従業員に説明し理解を得ておきましょう。
インセンティブ制度を導入した後は、その効果を長期的視点で評価する必要があります。
従業員に対してモチベーションアップの効果はあったか、または企業の業績に良い影響を与えているかなどを検討しましょう。
制度導入時に設定した目標の達成率も確認する必要があります。
また、導入前は見えてこなかった問題や不満などが従業員の間に現れていることもあるので、従業員にヒアリングを行いながら制度の見直しも検討する必要もあります。
インセンティブ制度の導入事例をご紹介します。
株式会社ベネフィット・ワンが提供する「インセンティブ・ポイント」は、自社の人材育成のために開発した社内ポイント制度から生まれたものです。
導入企業は手間をかけることなく、オリジナルの社内ポイントシステムの構築が行えるようになっています。
社内ポイントは、約20,000点の多彩なアイテムと交換できるようになっていますが、在庫管理やポイント交換、さらにアイテム発送もベネフィット・ワンが担うので、従来のようなインセンティブ制度を導入した時のような負担はありません。
導入企業も約500社にのぼっており、今後ますますの成長が見込まれるサービスです。
総合人材サービス、パーソルグループの一翼を担うインテリジェンス ビジネスソリューションズでは、残業時間が0の社員に対して、20時間相当の残業代をインセンティブとして支払う制度を導入しています。
労働時間の制約に関係なくパフォーマンスを発揮できる組織を目指したもので、今求められている家庭と仕事の両立を目指す働き方改革に即したインセンティブ制度として注目を集めています。
従業員のモチベーションアップに役立つインセンティブ制度ですが、福利厚生サービスの中にも手軽に従業員のモチベーションアップに役に立つものが豊富です。
特に食の福利厚生は、従業員満足度を高める効果が非常に高いとされています。しかし、社食やカフェテリアの導入は、イニシャルコストが高額なだけでなく、運用のノウハウも必要とあってハードルが高いものとなっています。
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企業が持続発展していくには、従業員のモチベーション維持が欠かせません。
従業員のモチベーションアップのために、ぜひインセンティブ制度の導入と、役に立つ福利厚生サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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