企業の健康経営

-2023.12.26.Tue

健康経営を推進するための組織体制づくりとは?ポイントを詳しく解説

昨今、経済産業省から推進されていることもあり、健康経営に注目し取り入れる企業が増えてきています。

社員の心と体の健康を守り、働きやすい職場環境に整えていくことで、さまざまなリターンが期待できるという考え方です。

しかし、どのように進めていけばいいのか分からず、なかなか取り組めずにいるという企業もまだまだ多いのではないでしょうか。

健康経営に取り組む際は、まず、組織体制を整えていく必要があります。体制を整えないまま取り組みを進めてしまうと、適切に運用できず形だけのものになってしまう可能性があるでしょう。

社員が働きやすい職場環境を実現するためには、正しく進めていくための体制を、しっかりと把握することが大切です。

この記事では「健康経営を推進していくための組織体制」について解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

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健康経営とは

健康経営とは、企業が経営的視点から社員の健康について考え、健康の維持や増進のための取り組みを投資と捉え、戦略的に実践していく新しい経営手法です。

社員の健康状態の維持や向上は、将来的に企業の利益や成長につながり、経営面での大きな成果に期待が持てるという考えが基盤となっています。

これまでの社員の健康管理は、企業にとってはコストと考えられてきましたが、深刻な人手不足の問題などにより、投資としての健康経営が注目されるようになってきました。

また、すでに取り入れ実践している企業からは、「生産性の向上」「組織の活性化」「社員の活力向上」「業績向上」「企業価値の向上」「応募者数の増加」といった実感もあげられています。

企業が健康経営に取り組む重要性

企業が健康経営に取り組む重要性はいくつかあります。

  • 少子高齢化による労働人口の減少
  • 平均寿命が伸びたことで社員の健康を考える必要性が出てきた
  • 一部のみの改革では効果が弱い

などが挙げられるでしょう。

労働人口の減少により優秀な人材の確保が難しい状況ですが、健康経営に取り組み働きやすい職場環境を作ることで採用活動の際にアピールすることができます。

平均寿命が伸びたことにより、これまで以上に社員の健康を考える必要性が出てきました。長く、健康に働いてもらうためにも、健康経営は欠かせない取り組みです。社員が健康で働くことは、会社の生産性を上げることにもつながるでしょう。

健康経営は一部の経営陣が取り組むだけでは効果が弱まるため、企業全体で健康経営に取り組み、成果を上げることが大切といえます。

健康経営の推進に向けた「組織体制」を作る意義

健康経営の推進には、組織体制を作ることが重要です。

責任者や、一部の人間だけが積極的に実施しても、企業としての効果は出にくくなるでしょう。成果を上げるためには、組織として体制を整え、熱心に健康経営に取り組めるかどうかが重要なポイントとなってきます。

1人1人の従業員に対して、理解を深めてもらうことができれば、積極的に取り組んでもらえ、それぞれの健康維持にも役立ちます。社員が健康なら本来の力を発揮してもらえるため、生産性アップも期待できるでしょう。

健康経営を推進するためには経営者・上層部に理解してもらうことが大切です。経営陣の理解が得られれば、新しいシステムの導入も可能となり、よりスムーズに健康経営を推進できます。

健康経営にかかる時間や費用の負担に難色を示す上層部の人が出てきても、長期的な観点では利益が上がり、会社の発展につながることを理解してもらいましょう。

また、組織体制を作ることで、会社全体で取り組める課題、チームで取り組める課題を挙げて、日常的に健康について留意してもらえれば、成果は上がりやすくなります。課題を達成したチームには賞品が出るなど、楽しんでもらえる工夫を会社全体で行えば、モチベーションも上がるでしょう。

健康経営に向けて組織体制が整えば、成果も上がりやすくなるといえます。

健康経営の流れと組織体制づくりのタイミング

具体的な流れと、組織体制を構築するタイミングについても確認してみましょう。

健康経営を実践していくためには、経営基盤から現場までのさまざまなレベルで、その取り組みが連動・連携していることが大切です。そのため、体制づくりの前に、まず最初にするべきことは「経営理念・方針づくり」です。

経営理念や方針を確立させることで目標が定まり、その後、目標達成のための組織体制の整備へと着手していくことになります。

経営理念や方針の確立は、企業全体の経営方針に関わる内容となるため、経営者や幹部が主導的に取り組むことが大切です。

決定した経営理念や方針を示し、導き出された目標を社内外に発信していきます。

次に、必要な取り組みを実行していく「組織体制づくり」へと進みます。

まずは、全体の活動を指揮する担当者を決めなければなりません。専門の部署を設置したり、または、既存の部署に専任や兼任での担当者を配置するのが一般的です。

取り組みの効果をより高めるためには、産業医や保健師の配置、健康経営アドバイザーなどの専門資格を持つ人員の配置、担当職員への研修などが効果的でしょう。

また、会社をあげた効果的な取り組みのためには、その取り組みの必要性を各部署間で共有することが大切です。

体制の整備ができたら、次に行うことは「施策の検討と実施」です。

健康経営を進めていく際の具体的な施策は、組織のニーズによって大きく違ってきます。

社員の健康状態や健康課題の把握、社員の日常的な健康や身体活動に関するデータの蓄積など、さまざまなデータを参考に自社に適した制度や施策を立案していきます。

そのためには、企業はもちろん、産業保健スタッフ、労働組合や健康保険組合、社員など、各方面の関係者の共同作業が必要です。

集めたデータに基づいて、自社の健康課題に対応した保健事業計画を立て、具体的な施策を実行していくという流れになります。

また、社員の健康状態と組織の目標に応じて調整しながら、具体的な行動を継続的に取り入れることが大切です。

施策を検討し実施した後は、その「評価」をする必要があります。

取り組みが社員の健康へどの程度影響を与えたか、そしてそれが、経営上どの程度の効果を生み出したかということについて、しっかりと評価をしなければなりません。

取り組みの結果を評価することで、実施している施策が適切かどうかを判断することができます。

定期的に実施状況を振り返り確認し、健康データとも組み合わせて分析し、必要があれば改善していくことが大切です。

健康経営を推進する組織体制を作る際のポイント

健康経営を進めるための組織体制を作るときに、ポイントとなることを確認しておきましょう。

組織体制づくりには、各方面の関係者による共同作業が欠かせません。どのような人材が必要で、どのように関わっていく必要があるのかを、ここでしっかりと確認しておきましょう。

経営陣を中心に専門部署を作る

組織体制を作る際は、経営陣を中心に専門部署を作ることがポイントです。

専門部署の設置は体制作りの上で欠かせない重要なポイントですが、経営陣の積極的な参加は必要不可欠となります。健康に留意した社食など、新システム導入には、経営陣の理解が得られなければ不可能だからです。

一部の社員が健康経営を積極的に推進したとしても、企業全体を動かすことは難しいため、経営陣を中心とした体制作りを心がけましょう。経営陣が社員に働きかけ、また自身が健康活動を積極的に行えば、社員たちの意識も変わり、健康活動に参加する姿勢を見せてくれるようになります。

経営陣を中心に体制を組み、健康経営推進部署、または人事部、総務部など、健康経営に特化した部署を設置して活動を進めていきます。取り組むべき課題の把握、健康活動を行うための企画立案、社員の健康のデータを管理するなど、活動の目的に合わせて業務を細分化するとよいでしょう。

体制を作り、基盤が整えば、効果的な健康経営の推進が期待できます。

各部署や役職が特色を生かせるようにする

健康経営を進めていくときの組織体制の構築には、以下のような人材が必要となります。

取締役や社長、役員などの責任者

  • リーダーシップが取れる強みを生かす。
  • 健康経営の取り組みについて明確化、役職者に向けての提案、それぞれの立場の人に指示。
  • 定期的に社内ミーティングを開催し、健康経営の重要性、目標、戦略を共有する。

人事部など

  • 組織全体を指揮する強みを生かす。
  • 経営者からの指示を受け、従業員の健康状態を把握し、分析を行う。
  • 社員に向けての健康プログラムの企画、運営、健康に対する教育を行い、コミュニケーションをとる。

産業医や保健師、健康経営アドバイザーなど

  • 健康面の知識を有していることを生かす。
  • 健康診断の結果、職場環境などから健康を害する要因などを探り、改善策、対策案を提示する。

健康保険組合

  • 社内において、経営者や人事部門などと連携した、チームプレーができることを生かす。
  • 従業員の生活習慣に対する改善、病気の早期発見と治療を推進する。

専門家やコンサルタント

  • 最新の知識や情報を生かす。
  • 外部から招き、最新の情報を提供してもらったり、健康に関する新しいプログラムを紹介してもらったりするなど、健康維持についての意識を高める。

それぞれの強みや特徴を踏まえて、健康経営が推進できる体制を整えていきましょう。

専門組織からさまざまな発信をする

従業員に健康経営に積極的に参加してもらうためには、専門組織からさまざまな発信をおこなうことが大切です。

従業員が取り組みの主旨を理解しておらず、健康経営に対する意識が低い場合は、健康経営の推進もスムーズにいきません。そのため、社内全体に健康経営を浸透させるための体制作りが重要となります。

健康経営の必要性、目的、メリットなどを明確に示し、実施内容を社内報やホームページなどで公表すると良いでしょう。社内全体に周知し、意識を高めてもらえる体制作りができれば、従業員も積極的に参加してもらえます。

健康経営をスムーズに進めるためにも、情報発信は重要なポイントといえるでしょう。

健康経営を推進する組織に外部のナレッジを取り入れよう

健康経営を進めるとき、組織体制の構築に外部ナレッジを取り入れることも検討してみましょう。

組織体制の構築にはそれなりの手間と時間がかかりますし、健康経営のノウハウをもっていなければ、適切な組織体制を構築することができず、計画失敗に終わってしまうかもしれません。自社だけで実現が難しいと思われる場合には、外部の専門機関に組織体制の構築を委託してみるのがいいでしょう。

具体的には「健康経営アドバイザー」「コンサルタント企業」「産業医」の活用があげられます。

健康経営アドバイザーの主な仕事は、組織体制の構築・健康推進プログラムの設計・実行するときのアドバイスやガイダンスの提供です。健康評価や健康リスクの評価、プログラムの効果測定などに関する知識があり、委託先として最適と言えるでしょう。

コンサルタント企業は、健康経営の包括的なサポートを専門に行う会社です。健康経営に関連した幅広い分野についてサポートし、ニーズに合わせたソリューションを提供してくれます。長期的なサポートにより成功へと導いてくれるため、組織体制の構築を委託するのにおすすめです。

産業医はその名の通り医師であり、専門的な知識やスキルを生かして、社員が働きやすい労働環境で健康に働けるようサポートします。社員の健康管理や健康相談のほか、健康プログラムの立案や実施についても相談できるでしょう。

また、医師の観点から、労働条件の改善や健康推進施策、職場の健康リスクの評価といった部分のアドバイスがもらえるため、産業医を配置することで社員の健康や労働環境改善への取り組みを強化することが可能です。

健康経営アドバイザーと産業医に関しては、下記の記事も参考にしてください。

健康経営アドバイザーとはどんな資格?取得のメリットや取得方法を解説

産業医とは?従業員の健康を支える重要な役割を解説

まとめ

健康経営を進めるためには、組織体制の構築が大変重要です。

健康に対する意識を高く持っているのが一部の社員だけでは、企業の健康経営を成功に導くことはできません。組織体制をしっかりと構築し、専門部署の設置や、あるいは健康に関する知識を持った専門機関の活用を行いましょう。

また、体制を構築しながら、取り組む健康経営の内容も考えていく必要があります。

社員全体を巻き込んで行いやすい取り組みとしては、食の福利厚生の導入がおすすめです。

健康を考える上で栄養バランスは大切であり、また食事は生活で欠かせないものであるため、誰もが活用して健康に役立てられるというメリットがあります。

なかでも、OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)は手軽に導入できる設置型の社食サービスで、気軽に健康的な食事がとれると人気です。

小型の冷蔵庫を設置すると、健康に配慮した食事が定期的に届けられます。

従来の社員食堂やカフェテリアに比べると、コストを抑えてすぐに導入できるため近年注目が集まっているサービスなのです。

社員にとっても、日々の生活に密着している食の福利厚生は、健康経営を考えるきっかけとなりやすいでしょう。

OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)のような社食サービスを利用することは、組織体制を強めてくれると期待できます。

健康経営を進めるために欠かせない組織体制づくりの一環として、設置型の社食サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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