企業の健康経営

-2023.12.26.Tue

健康経営の評価指標とは?具体的な指標例や目標・KPIを立てるポイントも

昨今は、日本でも多くの企業が健康経営に取り組んでいます。

しかし、自社に導入したくても、「どうすれば効果を得られるか分からない」という企業担当者もいらっしゃることでしょう。

健康経営で成果を上げるには、導入前にしっかりと目標を定め、従業員に目的や方針を正しく理解してもらう必要があります。

また、取り組む項目ごとに評価指標(KPI)を明示し、必要に応じて改善していくとの姿勢も大切です。

今回は、健康経営の評価指標に関する具体的な指標例や目標・KPIを立てるポイントについて、くわしく解説します。

健康経営とは

健康経営とは、経営手法のひとつで、企業が従業員という「人財(人材)」の健康管理を経営的な視点でとらえ、健康維持や増進を支援して自社の労働生産性の向上を図ることです。

そもそもは、1992年にアメリカの臨床心理学者ロバート・H・ローゼン氏が提唱したもので、日本では2014年以降に健康経営銘柄の取り組みが開始されました。

それから10年近くが経とうとしており、急激な社会情勢の変化や少子高齢化による労働人口減少などの影響によって、今や日本の多くの企業が健康経営を重視する傾向にあります。

今後、自社の付加価値や企業価値を新たに創出するため、導入・実践を検討している企業は指標を明示し、組織的に健康経営を実施するとよいでしょう。

健康経営を進めるうえでの課題「効果が見えにくい」

経営層や企業担当者の多くは、「効果が見えにくい」という健康経営を進めるうえでの課題を実感されているのではないでしょうか。

せっかく導入を決断しても、健康経営に取り組むまでの準備や具体的な指標を決めて実施するには、大勢の人たちの時間や手間を要します。

特に、通常業務に加えて健康経営に関する業務を並行しておこなう場合は、企業担当者の負担はかなり大きくなるでしょう。

また、自社に健康経営に関する知識やノウハウを持っていない企業は、医療関係者や外部の事業者などへの委託を検討しなければならず、時間に加えてコストもかかります。

従業員に対しても、健康経営の概念や目的の正しい理解を促すため、セミナー・保健指導への参加や現状把握に関するアンケート回答などで時間的に拘束しなければなりません。

健康経営は、企業担当者と従業員の双方に時間や負担がかかる割に、実施した後の活力や生産性、健康状態の変化が分かりづらいといわれています。

だからこそ、健康経営を導入する際は評価指標(KPI)を定め、実施による変化を確認できるような工夫が必要なのです。

健康経営の指標を決める際に必要なこと

組織が一体となって健康経営を進める際、指標は必要不可欠なものです。

ビジネス上ではKPI(Key Performance Indicator)ともよばれる指標は、目標をどのくらい達成できたかの評価に用いるもので、目標に到達するまでの過程であるともいえます。

健康経営における評価指標(KPI)の設定には、3つのメリットがあります。

1.指標を公開し、取引先や投資家、求職者などに取組状況をアピールできる
2.結果の変動を数値によって従業員に周知することで、健康意識の向上を図れる
3.年度ごとに集計・分析すれば課題が見つかり、新たな改善策を打ち出せる

特に、健康経営の効果を高めるためには、目標を意識しながら具体的な数値で指標を明確に示し、従業員が参加・継続したくなるようにしなければなりません。

企業担当者が、従業員に健康経営の取組の意義を理解できるよう働きかけるとともに、健康経営の指標を決める際にすべきことは、大きく分けて2つあります。

1.現状の把握
2.目的・目標の整理

現状の把握

まず最初に、自社の現状把握が必要です。

毎年、実施している健康診断の結果や社内アンケートの回答、企業に義務化されているストレスチェックの結果を分析してみましょう。

ちなみに、さまざまな企業が既に取り組んでいる「健康経営優良法人認定制度」にも、ストレスチェックの結果に関する項目があります。

従業員に実施したストレスチェックを集計し、自社に最適な属性アプローチで分析すれば、オフィス内の課題も発見できるでしょう。

ストレスチェックの分析結果によっては、対人関係などで心身的にストレスを感じている特定の年齢層や入社して間もない従業員が見つかるかもしれません。そのような場合は、健康経営の指標を決める前に、人事面談や上司のヒアリングなどで課題の原因を追究しておくことも大切です。

目的・目標の整理

目的・目標を整理するのも、健康経営の指標を決める際の大事なポイントになります。

経営層や従業員の間で意思疎通が図れていなければ、目的や目標を曖昧にしたまま実践しても、期待しているような効果は得られません。

指標を決める前に、健康経営を導入する目的を背景や経緯とともにわかりやすく明文化し、組織全体に周知すべきです。

従業員に取り組みやすくするため、次の4項目を盛り込むとよいでしょう。

1.健康経営の導入理由
2.導入して実現したいこと
3.取組の中心となる部署やチーム
4.活動計画の内容

また、健康経営を導入した後の最終ゴールとなる目標を簡潔にまとめておくと、具体的な数値を含む評価指標(KPI)を設定しやすくなります。

指標は、実践後の変化やその程度を見極める物差しの役割を担うものですので、正確性を高めるためには、目的や目標をある程度絞り込むことが重要です。

指標の参考になる「健康経営優良法人認定」とは

健康経営を導入する際に決める指標は、経済産業省の実施する「健康経営優良法人認定」を参考にするとよいでしょう。

「健康経営優良法人認定」とは、地域の健康課題や日本健康会議の推奨する健康増進の取組に即し、特に優良な健康経営を実践している大企業・中小企業などの法人を認定する制度のことです。

本制度には、申請する際に回答を要する項目が複数あります。具体的には、次の5項目です。

1.経営理念(経営者の自覚):健康宣言の社内外への発信と経営者自身の健診受診
2.組織体制:健康づくりに関する担当者の設置
3.制度・施策実行:
 ①従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討
 ②健康経営の実践に向けた土台づくりのワークエンゲージメント
 ③従業員の心と身体の健康作りに向けた具体策
4.評価・改善:保険者との連携
5.法令遵守・リスクマネジメント:従業員が法令に違反していないこと(自己申告)

これらの項目に沿って、自社に適した具体的な数値を入れた目標や指標を設定すると、後で健康経営に取り組んだ成果を把握しやすくなります。

また、申請時に本制度で設定される項目を全て網羅できれば、「健康経営優良法人」として認定されますので、積極的に取り入れましょう。

健康経営の指標の具体例

本章では、実際に「健康経営優良法人認定」の規定に沿って健康経営に取り組み、指標を公開している企業2社と指標の具体例を紹介します。

これから健康経営の導入を検討している企業は、ぜひ参考にしてください。

コマニー株式会社

コマニー株式会社は、ロッカーやキャビネットなどの製造メーカーで、2018年5月に「コマニー健康経営宣言」を制定し、2019年と2022年の2回、「ホワイト500」に認定されました。

健康経営の取組では、自社で解決すべき経営課題と具体的な取組を戦略マップで見える化しています。

さらに、2018年~2023年までの6年間にわたる各項目の指標を示し、取組の成果を評価しました。

①健康投資施設の取組状況例(指標/KPI)

2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度2023年度目標値
高ストレス者率22.7%18.5%18.8%22.2%21.3%  - 
特定保健指導該当率22.4%24.4%25.3%22.4%21.9%24%
喫煙率31.8%25.9%26.4%25.8%23.5%22%

②最終的な目標指標例

生活習慣病リスク保有者率2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度2023年度
血圧リスク保有率37.7%36.3%42.1%36.8%42.3%実施中
脂質リスク保有率28.3%30.7%29.3%31.8%30.9%実施中
メタボリックシンドローム該当率14.5%14.6%15.0%15.3%18.4%実施中


上記は、一部の項目の指標例ですが、自社の健康経営に必要な各項目の目標値や年度ごとの評価指標を記録・保管しておけば、今後の改善策や修正案も提案しやすくなります。

株式会社北陸銀行

株式会社北陸銀行は、1877年に創業し、従業員2,167名を抱える金融機関です。現在は、「ほくほくフィナンシャルグループ」の傘下として富山県富山市に本店を置き、北陸3県と北海道を主な地盤としています。

同社は、2017年に健康経営を宣言し、2023年も「健康経営優良法人/大規模法人部門ホワイト500」に認定され、2018年より6年連続で認定を取得している企業です。

また、従業員の心身の健康や健康増進を促す健康経営が将来の発展を支える基盤であるとの考えのもと、組織全体で職場環境を整備し、活性化の実現とSDGsの達成にも力を入れています。

健康経営の取組では、ストレスチェック実施時のワークエンゲージメント・ツールを使用して「働きがい」の指標に関する項目を測定し、「健康指標」「その他指標」の2つに分けて数値化しました。

さらに、全組合の平均値から、健康状況および生活習慣リスクを算出し、2019年~2022年度の各種データ・指標を比較し、健康スコアリングとして5段階評価を公開しています。

①健康指標例

2019年度2020年度2021年度2022年度目標
特定保健指導実施率49.7%45.1%51.7%48.8%55.0%
喫煙率17.4%15.7%14.8%16.8%-­­
適正体重維持者率68.8%67.2%68.9%69.0%
ストレスチェック受検率90.4%92.0%92.0%91.0%

②その他の指標例

2019年度2020年度2021年度2022年度
年次有給休暇平均取得日数(⼀人あたり)13.0日13.6日13.9日14.5日
ウォーキングキャンペーン参加者数886人687人1155人1332人
ストレスチェック⾼ストレス者割合5.0%4.4%4.8%4.4%

③健康状況および生活習慣リスク例(健康スコアリング)

項目2019年度版2020年度版2021年度版2022年度版5段階評価
<健康状況>
肥満リスク124126131135良好
血圧リスク85889095やや不良⇒平均
肝機能リスク127122132135良好
<生活習慣>
喫煙習慣リスク114114115115良好
食事習慣リスク121120119122良好
睡眠習慣リスク112110108109良好


このように指標(KPI)を設定すれば、今後に力を入れるべき項目やアプローチの変更を検討すべき項目を可視化でき、従業員の取り組む際のモチベーションにつながるでしょう。

健康経営の目標指標・数値決定のポイント

健康経営の目標指標や数値決定のポイントは、大きく分けて4つあります。

1.定量的な目標

ストレスチェックや健診のデータ結果を分析し、具体的な数値を入れて目標を設定すると効果的です。

例:喫煙率:現状30%⇒2年後に10%、有給取得率:現状60%⇒3年後に80%など

2.実施期間

目標に2年後、3年後など目標に到達するまでの期限を定めれば、評価指標から健康経営の進捗具合を判断しやすくなります。

3.マイルストーン

中間目標としてマイルストーンを設定すると早期に改善点を発見でき、速やかな修正が可能です。特に、長期的に取り組む場合は、ゴール地点がより明確になります。

4.実現可能な目標

健康経営を導入して間もない時期は達成しやすい目標を設定し、少しずつ高くすることが成功させるポイントです。確実に実現できる小さな目標を一つずつクリアすることで、従業員の自己肯定感も高まり、継続しやすくなります。

まとめ

健康経営を導入する際は、目的や目標を整理して評価指標(KPI)を明示し、随時、修正していく姿勢が大切です。

また、確実に成果を出すためには、従業員に正しい理解を促し、自社の目指すゴールをイメージしながら具体的な数値によって重要指標を設定する必要があります。

経営層も従業員も参加しやすい健康経営の取組としては、生活に溶け込みやすい「食の福利厚生」を見直し、日々の食生活を改善するのも効果的です。

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健康経営で実現可能な目標から評価指標(KPI)を設定するとともに、従業員が取り組みやすい工夫を取り入れ、自社の生産性とワークエンゲージメントの向上を図りましょう。

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