福利厚生制度

-2024.06.25.Tue

福利厚生施設とは?減っている理由や導入するメリット・デメリット

企業が、従業員やその家族に提供する法定外福利厚生のサービスには、施設や休暇に関するものなど、いくつか種類があります。

このうち、かつては多くの企業が所有していた福利厚生施設は、今や減少傾向です。

企業が自由に設定できるからこそ、法定外福利厚生を自社に導入する際は、従業員の求めているサービスを選ぶべきでしょう。

そこで今回は、福利厚生施設が減っている理由や導入するメリット・デメリットについてくわしく解説します。

福利厚生施設とは

福利厚生施設とは、企業が自由に設定できる法定外福利厚生のうち建物やスペースに関する全てを含み、自社で運営するか、外部に委託することが一般的です。

このうち、従業員に日ごろの疲れを癒してリフレッシュしてもらう目的で設置される例としては、ホテルや旅館を含めた保養所があります。

夏季休暇や年末年始休暇などに利用できれば、従業員やその家族も喜ぶでしょう。

ちなみに、建物やスペースに関連するもの全て福利厚生施設に当てはまるため、社宅・体育館・休憩室・食堂・売店・更衣室なども、福利厚生施設です。

バブル時代に増加

福利厚生施設は、バブル時代に一気に増加しました。

バブル時代とは、1986年12月~1991年2月までの間に日本で起きた資産価格の上昇や好景気、およびそれに伴う社会現象の通称です。

日本社会は、高度経済成長期からバブル期が終わるまで非常に景気がよく、企業の多くが成長期にありました。

自己資金にも余裕があり、いわゆる「ハコモノ」の福利厚生施設を数多く保有していた企業も少なくありません。

当時は、マスメディアの宣伝もあって地価が異常な伸びを見せ、さらなる高騰を期待して土地を購入し、保養所を建設した企業も多かったようです。

企業にとって、豪華な福利厚生施設を保有していることが一種のステータスだったといっても過言ではないでしょう。

現在は減少傾向

バブル期に増設された福利厚生施設も、現在は減少傾向にあります。

というのも、バブルが崩壊して景気が悪化すると、維持費や管理費などのコストが経営を圧迫し、多くの企業が施設を手放したためです。

一時的に急上昇した地価も下がり始め、早い段階で売却した企業もあり、今ではかつてのような保養所をリゾート地などに建設するケースはほとんど見られません。

実際、2000年度末には1,581ヶ所あった健康保険組合の直営保養所も、2018年度末には1,297ヶ所減の284ヶ所まで減少しました。

財政の悪化もあり、健康保険組合も、自己資産の直営保養所を売却・廃止しています。

昨今は、従業員の日常生活を考慮し、健康維持につながるメニューを取り入れた社員食堂や、安い賃料の社宅などを提供する企業が多いようです。

福利厚生施設の種類

福利厚生施設の種類として、代表的なものを以下に挙げました。

・保養施設(例:旅館・ホテル・保養所)
・住宅施設(例:社宅・独身寮)
・医療施設(例:診療所・健康管理センター)
・休憩施設(例:休憩室・仮眠室)
・託児施設(例:保育所)
・スポーツ施設(例:体育館)
・リラクゼーション施設(例:マッサージ室)
・娯楽施設(例:娯楽室)
・社員食堂
・売店

時代やトレンドの変化もあり、今ではホテルや旅館などの保有施設を導入する企業は、それほど多くありません。

一方、衣食住に関連する住宅施設や、従業員の健康管理にフォーカスした診療施設・休憩施設・スポーツ施設・リラクゼーション施設などは増加傾向です。

なかには、育児と仕事を両立できるよう、自社内に託児施設を設けている企業もあります。

これから導入を検討している企業は、従業員がどんな施設を求めているかを事前にリサーチするとよいでしょう。

福利厚生施設を導入・所有するメリット

企業が福利厚生施設を導入・所有するメリットは、大きく分けて3つあります。

従業員満足度が向上する

一つ目のメリットとして、従業員満足度の向上を期待できます。

物価の高騰が長引いている昨今、家賃の一部負担や独身寮などがあれば、従業員は経済的に楽になるでしょう。

また、栄養バランスのよいメニューを取りそろえた社員食堂などの施設は、従業員の経済面だけでなく健康維持にもつながるため、健康経営の一環としてもおすすめです。

体調管理に大きく影響する毎日の食事は、仕事のパフォーマンスの質や働くモチベーションの向上も期待できます。

福利厚生施設の導入によって従業員満足度が向上すれば、企業の労働生産性もアップするでしょう。

離職率・休職率を低減できる

離職率・休職率を低減できるのも、導入メリットのひとつです。

休憩施設・リラクゼーション施設・娯楽施設などがあれば、従業員は日ごろの心身の疲れを癒やし、リフレッシュできます。

託児施設の場合は、従業員が安心して就業中に子どもを預けられ、業務に集中できるようになるでしょう。

従業員の健康面やプライベートを重視した福利厚生施設の導入で健康状態が改善し、育児と仕事を両立できれば、離職や休職を回避できます。

節税になる

福利厚生施設に限りませんが、法定外福利厚生は要件を満たせば経費として計上でき、節税になります。

福利厚生を経費として計上するための要件は、次の3つです。

1.全ての従業員に平等に支給される
2.基準が社内規定で明記されている
3.社会通念上、妥当な金額である

最近は、節税を兼ねて従業員に福利厚生サービスを提供している企業も少なくありません。

たとえば、住宅関連の福利厚生施設は、借り上げ社宅にして従業員の家賃負担を50%未満にすれば経費として計上できます。

社員食堂など食に関する施設は、1ヶ月3,500円以下で現物を提供し、従業員が半額を負担するという2つの要件を満たせば節税として有効です。

ただし、就業規則に福利厚生の基準を明文化している必要がありますので、導入する際は事前に書類を確認しておきましょう。

福利厚生施設を導入・所有するデメリット

福利厚生施設を導入・所有するデメリットは、主に次の2つです。

コストがかかる

当然のことですが、導入すればコストがかかります。

保養所を運営する場合は、4つの運営形態「直営・契約・借り上げ・共同利用」が一般的ですが、いずれにしても管理費や維持費が必要です。

社宅や独身寮などを保有すれば、家賃や管理費に加えて建物を維持するための修繕費、建物を維持するための管理人や管理会社への支払いもあります。

社宅や独身寮など衣食住に関わるものはともかく、経営の苦しい企業が、従業員にときどき利用される程度の保養所にかかる管理費や維持費を捻出するのは容易ではないでしょう。

実際、ここ数年のコロナ禍による見直しで、かつては企業のステータスだった「ハコモノ」を手放す企業は増加しています。

福利厚生施設を導入する際は、年間にわたってコストがかかることに留意しましょう。

利用にバラつきがある

利用にバラつきがあるのも、福利厚生施設のデメリットといえます。

2021年に株式会社ビズヒッツが働く男女に実施したアンケートによると、あったら嬉しい福利厚生のベスト10は、下記のとおりでした。

順位福利厚生人数(人)
  1位家賃補助・住宅手当79
  2位特別休暇58
  3位旅行・レジャーの優待47
  4位社員食堂・食事補助30
  5位スポーツクラブの利用補助28
  6位資格取得・教育支援21
  7位保養所20
  8位生理休暇17
  9位慶弔金の支給14
  10位通勤手当11

参考:株式会社ビズヒッツ 2021年11月25日 あったら嬉しい福利厚生ランキング 


調査結果では、住宅関連の需要は根強いものの、従業員にとって嬉しい福利厚生は、休暇やレジャー、社員食堂、スポーツクラブ関連など多岐にわたっています。

実際、ワークライフバランスを考慮した休暇や旅行関連の福利厚生が上位を占め、施設に関連するスポーツクラブは5位、保養所は7位でした。

導入・所有する福利厚生施設によっては、利用者が一定の従業員に限定される可能性もあるでしょう。

福利厚生施設を導入する際のポイント・注意点

自社に福利厚生施設を導入する場合、ポイントや注意点があります。

導入するまでの5つの手順に沿って、くわしく説明しましょう。

従業員の調査

どのような福利厚生施設が自社で必要とされているのか、従業員やその家族のニーズを事前に調査しましょう。

昨今は、オンラインでアンケートを実施する企業も増えているようです。あらかじめテンプレートを作成しておけば効率よく進められます。

企業規模によっては、アンケートではなく、ミーティングや面談など対面で従業員の声を聞くのもおすすめです。

福利厚生施設の選定

調査結果をふまえ、予算や従業員の規模を考慮して導入可能なものを選定しましょう。

運営を継続するには、管理費や維持費についても考えなければなりません。

小規模の施設を設置する場合は、自社のスペースを利用できるかもしれませんが、規模が大きいものは、建設場所や物件の選定が必要です。

また、外部業者への委託ではなく、自社で運営する際は、施設の用途に応じて準備を進めなければなりません。

たとえば、社員食堂を導入する場合は、1回または1日の食事の提供数によって準備も異なります。

<1回20食以上>
・受託事業者の飲食店営業の許可を取得
・食品衛生責任者の設置

<1回100食以上または1日250食以上>
・事業開始1ヶ月以内に食堂を設置する都道府県知事への届け出

<1日300食以上または1日750食以上>
・管理栄養士を最低でも1名設置

社宅や社員寮を導入する際は、入居できる従業員に公平性を持たせるためにも、就業規則への記載のほか、労使協定の締結や入居誓約書による個別合意などの規定も検討しましょう。

社内への周知

導入する施設を選定したら社内の従業員に広く周知し、福利厚生として利用できる旨を積極的にアピールしましょう。

いつからどのような施設を利用できるのか、どのような特典があるのか、利用する際の条件などの詳細をアナウンスするとともに、社内規定への明記も必要です。

導入後の利用調査

福利厚生施設を導入した後は、ある程度の期間を置いて、どの程度の従業員が利用しているかを調査しましょう。

施設を選定する時と同じように社内アンケートを実施して統計を取ります。利用率が高ければ、従業員が満足している証拠です。

一方、利用率が低い場合は、状況が長引くようなら利用しづらい部分を改善する必要があり、最悪の事態として閉鎖の可能性も考慮に入れなければなりません。

アンケートを実施する際は、原因を追求できるよう利用しづらい部分を具体的に書いてもらうようフォームを工夫しましょう。


施設の評価の把握

福利厚生施設の利用率に関わらず、時の経過によって大規模な改修工事なども必要です。

後に施設を改善する際の参考にもなりますので、導入した施設がどのくらいの市場価値を持っているのかについて事前に把握しておきましょう。

福利厚生施設の代わりにおすすめの福利厚生

福利厚生施設の代わりにおすすめの福利厚生は、衣食住の「食」に関わるサービスです。

食は毎日とる必要があり、働くパワーの源にもなりますので、大きな導入効果を期待できるでしょう。

しかし、社員食堂を導入する場合は、企業規模によっては、従業員が利用できるスペースの確保や管理栄養士の配置などの手間がかかります。

新たに社員食堂を設置すれば、工事費や人件費などコストも大きいでしょう。

一方、昨今では企業の専用スペースに手軽に設置できるオフィスコンビニや社食サービス・宅配弁当など、食事関連の福利厚生も人気が高まっています。

食に関する福利厚生を導入する際は、社内のスペースや従業員の年齢層なども考慮に入れ、自社に適したサービスを選びましょう。

設置型社食「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」

オフィスで野菜

設置型社食「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」は、社員食堂のような福利厚生施設に代わる食の福利厚生サービスです。

本サービスは、これまでに農協や金融・美容サロン・介護施設・クリニック・保育施設など、さまざまな業界で導入されてきました。

実際、2023年1月時点の継続率は99.2%、2024年2月時点では10,000拠点以上の導入実績を誇っています。

プランは2種類で、フレッシュなサラダやフルーツなどの「オフィスでやさい」と、栄養士の監修によるレンジ加熱できる惣菜メインの「オフィスでごはん」です。

いずれも食事の時間帯や栄養素などでメニューを自由に選べて、従業員は1品100円から利用できます。

社員食堂を導入できない企業も、設置型社食「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」なら手軽に始められ、従業員に貢献できるでしょう。

まとめ

かつては保有していることがステータスだった福利厚生施設も、変化の著しい現代社会では減少傾向です。

今後、従業員満足度や働くモチベーションを高めるためには、従業員からニーズの高い福利厚生サービスを導入すべきでしょう。

社宅や独身寮は入居者が限定されるケースもありますが、食の福利厚生は全ての従業員が公平に利用できます。

特に、設置型社食「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」は手軽に導入でき、従業員同士のコミュニケーションの機会づくりにもおすすめです。

自社に最適な福利厚生を導入し、従業員満足度や労働生産性の向上を図りましょう。

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