福利厚生制度
人間ドックは福利厚生として提供できる?経費計上の条件や注意点を解説
従業員が健康的に働けるように、健康管理に関する福利厚生を導入することは重要です。
中には、健康診断より精密な検査ができる人間ドックを福利厚生として取り入れている企業も増えています。
かかった費用は福利厚生の経費に含めることが可能ですが、いくつかの要件をクリアしなければなりません。
今回は人間ドックとその重要性について詳しく説明し、福利厚生として提供するための要件や、経費にするための注意点を紹介します。
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目次
人間ドックとは
人間ドックとは、生活習慣病やがんなどの病気を早期発見することを目的とした精密検査です。
異常が発見されたときは必要な検査や治療につなげたり、得られたデータをもとに病気の予防や健康維持に役立てることができます。
健康診断の一種ですが、一般的な健康診断よりも検査項目が多く、精密な検査を行うものです。
一般的な健康診断では5〜10項目程度の検査が行われますが、人間ドックで受ける検査は50項目以上、コースによっては100項目ほどになることもあります。
基本的なコースでも検査する項目が多いため、費用は一般的な健康診断よりも高くなるケースが多いでしょう。
検査項目は、一般的な健康診断にも含まれる身体計測や血圧測定、視力・聴力の検査などから、心電図、胸部や腹部のCT、大腸内視鏡検査、マンモグラフィーなどといった精密な検査まで行われます。
性別や年齢によっては必要のない検査もあるため、受診者は自分に合わせた項目の検査を受けることが可能です。
また、女性特有の病気の有無を詳しく調べるレディースドックや、脳卒中などを早期に発見するための脳ドック、がん検診などの検査項目をオプションとして加えることできます。
ただし、福利厚生として実施したいのであれば、あまりに高額なオプション検査を加えると経費として扱えなくなるケースもあるので注意しましょう。
人間ドックを受ける重要性
福利厚生として人間ドックを実施し、従業員に受けてもらう重要性は大きく2つが挙げられます。
まず、一般的な健康診断では見つからない病気を早期発見できるということは重要です。
一般的な健康診断は、法律で全従業員が受診することということが義務付けられています。
しかし、基本的な健康チェックが目的であるため、検査は尿検査や血液検査といった簡易的なものしか行われません。
対して、人間ドックを導入すれば、CTや内視鏡を使った検査も実施するため、体の内部を詳しく調べることができ、健康診断では見つからない病気を発見できる可能性があるのです。
次に、病気の早期発見ができたら、早期治療につなげることができるという点も重要です。
早期治療をすることで、病気が進行したり合併症になったりしてしまう前に健康を取り戻せる可能性が高まり、生存率や治癒率を上げることができるでしょう。
また、薬の種類など治療方法の選択肢も広がり、治療費節約や早期回復につながる可能性もあります。
早く元気になることができれば生活への影響も小さくすみ、仕事でも欠勤や離職などのリスクを低減できる可能性が高まるでしょう。
福利厚生で人間ドックを実施して、従業員に受けてもらうことは、従業員本人にとってはもちろんのこと、企業にとっても重要性の高いものなのです。
人間ドックの費用は福利厚生費に含められる?
福利厚生費とは、従業員に対して企業が福利厚生のサービスを提供したときにかかった費用で、税務会計上で経費の扱いにできます。
一般的な健康診断を福利厚生費の勘定科目で経費にしている会社は多いでしょう。
実は人間ドックの費用も、一般的な健康診断同様に福利厚生として経費にすることが可能です。
ただし、実施すればどのようなケースも経費として計上できるというわけではありません。
経費にできるものは、特定の従業員だけではなく、全員が利用できる福利厚生サービスしか認められないなど、要件があるのです。
計上したいのであれば、いくつかの要件をクリアする必要があるので、次の章で詳しくご説明します。
人間ドックを福利厚生として提供するための要件
人間ドックは従業員に福利厚生として提供することができ、経費の計上もできます。
ただし経費にできるかどうかは、実施する人間ドックが要件に合致していることが必要です。
福利厚生として提供するための要件を4つに分けて詳しくご説明します。
全従業員が受診できる
従業員の人間ドックの費用を福利厚生の経費として扱いたい場合は、全従業員に受診の機会が与えられていることが1つの要件です。
役員だけといった一部の従業員だけを対象に実施しても、福利厚生として経費にできません。
福利厚生として行いたいときは、正社員全員はもちろん、パートやアルバイト、派遣社員なども含めた全従業員を対象として実施してください。
ただし、一定の年齢以上を基準として対象者を定めるという方法は可能で、福利厚生として認められます。
また、受けられる機会を全員に与えていれば、全員が確実に受ける必要はなく、受診率が低くても福利厚生の経費にすることが可能です。
受診費用は直接診療機関へ支払う
福利厚生の経費にしたいならば、人間ドックを受診した従業員全員分の受診費用を、企業が直接診療機関へ支払うことが必須の要件となります。
従業員が各自で診療機関を選ぶのではなく、会社が診療機関と契約して従業員に受診してもらうといった形を取ることが必要です。
企業から直接費用を支払っていないと福利厚生の経費として認められません。
従業員に費用を支給して支払いに使ってもらうといった方法では、支給したお金は「給与」として扱われてしまうため、課税の対象となってしまうのです。
費用を経費として計上したいと考えているのであれば、受診費用を直接診療機関へ支払ってください。
かかる費用が常識の範囲内である
福利厚生として提供する人間ドックは、費用が常識の範囲内のものにしましょう。
一般的な費用相場は、日帰りで3~6万円程度とされています。
費用があまりにも高額であると計上できないケースもあるのです。
がんの有無を検査するPET検診など10万円を超えるような検査を含んでいると、高額すぎると判断されて福利厚生の経費にできない可能性もあります。
かかる費用が常識の範囲内におさまるものを選ぶようにしましょう。
人間ドックの検診メニューが一般的なものである
福利厚生費として経費を計上できるのは、一般的な検診メニューの人間ドックです。
費用が高額なオプション検査を付けたものや、何泊も宿泊が必要な場合は、一般的ではないとして認められない場合があるので注意しましょう。
人間ドックを福利厚生費として計上するための注意点
人間ドックは、要件を整えれば福利厚生費として計上できますが、気を付けなければならない点もあるものです。
福利厚生の経費として計上するために注意すべき点を紹介します。
従業員全員に公正な条件で提供しているか
人間ドックを福利厚生費として計上するためには、従業員全員に公正な条件で提供することが必要です。
受けられる人を役員や正社員だけに限ってしまうと、福利厚生の経費として計上できなくなります。
人間ドックを福利厚生として扱いたい場合は、パートやアルバイトを含めた全従業員を対象に行いましょう。
また、実施自体はもちろんですが、メニューの内容や頻度にも差をつけてはいけません。
一部の従業員だけが特別なオプション付きの人間ドックを受けられるといった方法をとると、平等な提供ではないとみなされ、福利厚生の経費として認められないので気を付けてください。
オプションが妥当なものであるか
基本的な人間ドックの検査部分は福利厚生の経費として計上できても、追加したオプション部分は認められなかったということも起こりうるので気を付けることが必要です。
人間ドックは基本的な検査に付け足して「オプション」と呼ばれる検査項目を加えられる仕組みになっています。
経費計上自体には上限が定められているわけではないので、下記の条件が整えばオプションを付けても福利厚生の経費として扱うことが可能です。
・内容や頻度が必要最低限で、費用が相場を大幅に上回らない
・オプション追加の理由や目的が明確である
・対象となる人や受けられる条件を公正に設定する
オプションの料金が高額すぎたり、必要以上の内容や頻度のものである場合は、福利厚生として認められないので気を付けましょう。
また、役員だけといった一部の従業員にのみオプション付きの人間ドックを受けられるような設定にした場合も、福利厚生としては認められません。
オプションを含めて福利厚生の経費として計上したい場合は、市場相場と比較して妥当な価格であるかということや、全従業員に公正な条件で受けさせられているかという点に気を付けてください。
とはいえオプションは、特定の病気のリスクが高い人や、健康への関心が高い人にとっては有益な検査です。
人間ドックに加えたいオプションがあるという従業員がいる場合は、希望や必要性を確認して、上記の注意点に気を付けながら、福利厚生として提供できる方法がないか検討してみるとよいでしょう。
個人事業主は人間ドックを福利厚生費として計上できるか
従業員が受診する人間ドックについては、雇っている企業が福利厚生費として経費計上できます。
しかし、自営業やフリーランス、一人社長として働いている個人事業主が経費を計上したいと考える場合は注意が必要です。
結論としては、個人事業主が自身の人間ドックにかかった費用を、福利厚生費のような経費として計上することはできません。
従業員がいる場合は、福利厚生として認められる要件を整えて実施すれば経費計上することが可能です。
ただし、青色専従者として働いている家族については、家族の人間ドックを福利厚生として扱って経費計上することは難しいでしょう。
また、個人事業主や青色専従者が他の従業員と一緒に人間ドックを受けても、計上できるのは従業員の検査にかかった費用のみとなります。
診療機関にまとめて支払うことはできますが、経費計上する際には、個人事業主や青色専従者のものと従業員のものを区分けして、従業員にかかった費用のみ福利厚生として経費に計上しましょう。
まとめ
企業の福利厚生の一環として人間ドックを実施すると、健康診断よりも精密な検査ができるので、病気の早期発見につながります。
病気の進行や合併症を防げることに加え、従業員が欠勤・離職するリスクも下げられるため、従業員本人と企業の双方にとって重要だといえるでしょう。
福利厚生として経費計上するには、全従業員が公正に受けられるようにする、かかる費用が常識の範囲内におさまるメニューにするといった要件があるので、気を付けて設定してください。
人間ドックの検査で発見できる生活習慣病などは、早期治療できることがもちろん大切ですが、病気になってしまう前に生活習慣を見直して防ぐことも重要です。
特に食事は身体づくりに密接な関りがあるため、食生活を整えることは健康の大きなサポートになるでしょう。
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オフィスに専用の冷蔵庫を設置すると、毎月、健康的な野菜やフルーツ、お惣菜などが届きます。
仕事が忙しいと、食事をカップ麺で済ませてしまう、お菓子を食べ過ぎてしまうなど、食生活が乱れがちな人も多いものです。
オフィスに「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」を設置すれば、健康的な食品が手軽に入手できる環境を整えることができます。
1品100円からのハンディサイズの商品が揃っているので、昼食時にサラダを足したり、間食のお菓子を野菜スティックやフルーツに置き換えたりと、栄養面に気を遣った食事ができるようになるでしょう。
実際に導入企業では、健康を意識する従業員が増えたという声も多いようです。
健康をサポートする福利厚生の充実には、人間ドックの実施に加えて、食で健康を支える「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」の導入もご検討ください。
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