福利厚生制度

-2023.10.26.Thu

従業員のメンタルヘルスケアにつながる福利厚生とは?詳しく解説

近年、メンタルヘルス=心の健康は身体の健康と同様に重視しなければならないという考えが浸透してきました。

身体は健康であっても、過度のストレスなどで心の健康が脅かされると、うつや適応障害などを引き起こす可能性が生まれます。

明確な病名がつかないケースでも、不安になりがちだったり悩みを抱えがちだったりする場合はメンタルヘルスの不調を改善する必要があります。

反対にメンタルが健康であれば表情も生き生きとし、やる気が湧いて、仕事に対するモチベーションも上がるでしょう。

この記事では、メンタルヘルスケアの概要や従業員のメンタルヘルスケアにつながる福利厚生、企業におけるメンタルヘルスケアの進め方について解説します。

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メンタルヘルスケアとは

メンタルヘルスケアとは、すべての従業員が生き生きと働けるように企業が環境や仕組みを整備し、従業員が健やかに働けるようにサポートを行うことです。

従業員のメンタルヘルスケアは労働安全衛生法によって企業に義務づけられており、メンタルヘルスの予防ケアや、実際に不調に陥ってしまった従業員のサポートなど積極的な取り組みが必要とされています。

この法律で言及される「労働者の安全と健康」とは、身体の健康だけでなく心の健康のことも指します。

労災とは身体的な災害のみならずメンタルヘルスに対しても適用となることから、企業が従業員に対して十分なメンタルヘルスケアを行っていない場合、労災認定される可能性もあるでしょう。

従業員のメンタルヘルスの不調は働く環境が影響しているケースも少なくありません。

従業員が心身ともに健康で、モチベーション高く仕事に取り組める環境を用意するためにも、企業としてメンタルヘルスケアに取り組むことが重要です。

福利厚生でメンタルヘルスケアに取り組む目的

近年、メンタルヘルスケアに配慮するための福利厚生を導入する企業も増加しています。

企業が福利厚生でメンタルヘルスケアに取り組む目的としては、主に「従業員の健康維持」、「リスクマネジメント」、「企業の社会的責任」の3つがあります。

それぞれどういった目的なのか見ていきましょう。

1つ目の目的は従業員の健康維持です。

近年、経営戦略的に従業員の健康管理を重視する「健康経営」を推進する企業が増えていますが、メンタルヘルスケアもその取り組みの一つと言えます。

従業員がメンタルヘルス不調に陥ると、気分が落ち込んで仕事に対してもやる気が起きなかったり、業務効率が下がったりする可能性があります。

さらに最近ではテレワークの導入により従業員同士のコミュニケーションが減り、メンタルヘルス不調の予防が困難になっているケースもあります。

福利厚生としてメンタルヘルスケアに取り組むことで、従業員の心身の健康維持に効果があるとされています。

2つ目の目的はリスクマネジメントです。

気分が落ち込んでいたり悩みを抱えていたりすると集中力や判断力が低下し、業務効率が下がるばかりでなく思わぬミスにつながる恐れがあります。

従業員がメンタルヘルス不調で意欲的に働けなくなると、重大な事故につながる可能性も高まるのです。

こうしたリスクを避け、従業員が元々持っている業務パフォーマンスを発揮して企業の生産性を上げるためにも、従業員の健康に配慮しなければなりません。

また、メンタルヘルス不調による休職や離職など人事的なリスクを回避するためにも、メンタルヘルスケアに役立つ福利厚生が必要と言えるでしょう。

3つ目の目的は企業の社会的責任を果たすことです。

福利厚生を通じて従業員のメンタルヘルスに配慮することは、企業の社会的責任を果たす意味でも重要です。

メンタルヘルスは基本的人権の一つとされ、一人一人のメンタルヘルスは十分に尊重されなければなりません。

企業は自社で働く従業員が長時間勤務を強いられて心身に傷を負ったり、過労死をしたりするのを未然に防ぐ必要があります。

従業員が生き生きと働く企業であるというイメージ向上としても、メンタルヘルスケアの一環として福利厚生の活用が求められています。

メンタルヘルス不調による休職は増加している

メンタルヘルスとは、こころの健康状態のことを指し、こころの健康状態が不安定な状態を「メンタルヘルス不調」といいます。

このメンタルヘルス不調が続くことで重度の精神疾患を引き起こし、社会生活が困難となる場合があります。

近年、メンタルヘルス不調がきっかけで休職する従業員がどれくらいいるかご存知でしょうか。

厚生労働省が行った令和4年度の「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、1カ月以上の休職や退職をした従業員がいる事業所割合は、昨年より0.5%増加の10.6%という結果でした。

詳しい要因はさまざまですが、メンタルヘルス不調による休職者は年々少しずつ増加していることが分かります。

休職は従業員にとっても死活問題であり、家族がいる場合はなおさら大きな影響を与えるでしょう。

さらに、早期治療により職場復帰が実現したとしても、再発してしまった場合、離職となってしまう可能性もあります。

組織的としても休職する従業員がいる場合、他の従業員の業務量増加や企業イメージの低下に繋がる可能性もあるため、従業員のメンタルケアは重要です。

そのため、多くの企業でメンタルヘルス不調を予防するために心身の健康維持を目的とした福利厚生を取り入れています。

メンタルヘルスの不調が起きる要因とは?

メンタルヘルス不調に繋がる要因は、大きく分けて次の4つに分けられます。

  • 外的要因

転職や引越しなど、外部環境の変化をきっかけに引き起こされるメンタルヘルスの不調。周囲の環境が要因。

  • 内的要因

個人が抱える不安や悩みによって心身が不安定となり、引き起こされるメンタルヘルスの不調。個人の思考や性格といった内部要因。

  • 職場要因

職場での業務量増加や人間関係による悩み、パワハラといった職場でのプレッシャーによる要因。

  • 私的要因

離婚や死別、介護といった家族関係の悩みや金銭関係の心配事など、職場以外の要因。

メンタルヘルス不調の要因全てが上記に当てはまるわけではなく、これらの他にもさまざまな要因の組み合わせが影響するパターンもあります。

従業員にメンタルヘルス不調が発生している際にみられる症状には、以下のようなものがあります。

・無気力
・意欲やモチベーションの低下
・集中力の低下によって業務のミスが増える
・遅刻や欠勤が増える
・体調不良が続く
・食欲の低下
・態度や言動が不安定

従業員のメンタルヘルスは業務にも影響するため、早い段階で異変に気づくことが重要といえるでしょう。

従業員の悩みを把握する環境を作るには、さまざまな福利厚生を活用することがおすすめです。

メンタルヘルスケアに効果を発揮する福利厚生とは?

メンタルヘルスケアと言ってもどのように従業員をサポートすればよいかお悩みの方も多いかもしれません。

福利厚生を通してメンタルヘルスケアを行うには、従業員にヒアリングしたり健康データを分析したりして、従業員が抱える健康課題やニーズを把握することが大切です。

ここからは、メンタルヘルスケアに効果的な福利厚生にはどのようなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。

健康診断・人間ドック

健康診断や人間ドックは、身体のみならずメンタルヘルスの異常の早期発見にも役立ちます。

福利厚生として企業が診断費用の全部または一部を負担することで、従業員は健康診断や人間ドックを受けやすくなるメリットがあり、健康に関する不安を軽減することができます。

病気を早期発見できれば、休職せずに治療を行えるケースや短期間の入院で済むケースもあるかもしれません。

福利厚生として費用負担を行う場合は、従業員に対して福利厚生制度の積極的な利用を促し、身体及びメンタルヘルスの不調の早期的発見と解決につなげましょう。

ストレスチェック

ストレスチェックは、従業員に今抱えている悩みやストレスに関するアンケートを行いその従業員がどの程度ストレスをためこんでいるか確認し、分析や評価に利用する調査です。

ストレスチェックもメンタルヘルスケアの一次予防に該当する法定福利厚生の一種です。

2015年以降、従業員50人以上の事業所には労働安全衛生法によって毎年1回ストレスチェックの実施が義務付けられています。

福利厚生としてストレスチェックを受けることで、従業員自身も気付かないうちにためこんでいるストレスに気づくことができるほか、高ストレスと判断された場合は希望に応じて医師等の指導を受けられます。

明確な不調がない場合でも、潜在的なストレスを発見できたり自身の心の健康状態を客観的に知ることができたり、不調の早期発見につながるため、一時予防として効果的でしょう。

食事補助

栄養バランスのとれた食事を規則正しくとることは心身の健康に役立ち、メンタルヘルスケアにおいて非常に重要です。

忙しいビジネスマンの中には食事を抜いてしまったり、お菓子や軽食で済ませてしまったりする人もいるでしょう。

毎日バランスの悪い食事を続けていると、メンタルヘルスにも悪い影響が出かねません。

従業員のメンタルヘルスケアとして、福利厚生に食事補助を取り入れるのもおすすめです。

福利厚生としての食事補助には、社食やカフェテリアサービスの提供、食費の一部負担などが上げられます。

社食で従業員同士が一緒に食事を取ったり、カフェスペースで休憩をしたりすることで、食の福利厚生を通じて他部署の従業員とのコミュニケーションが生まれることもあるでしょう。

従業員同士のコミュニケーションが活性化すると仕事のモチベーションも向上し、新たなアイディアが生まれたり、仲間意識が高まったりするメリットもあります。

食の福利厚生は従業員の満足度も高く、人材定着にも効果が期待できるとして多くの企業が導入しています。

運動の促進

適度な運動は身体への好影響だけでなく、うつ病の予防・改善などメンタルヘルスケアの面でもさまざまなメリットがあります。

身体を動かすことで心を落ち着かせるセロトニンの分泌が活発になってイライラを鎮め、メンタルの安定につながります。

また、睡眠の質の向上に役立つメラトニンも分泌されるため、運動は従業員の睡眠障害にも効果が期待できるでしょう。

運動に関連したメンタルヘルスケアとしても福利厚生にはスポーツジム会員費の補助、ウォーキングイベントの実施、ヨガなどのセミナーといった種類があります。

ストレスへの対処に関する研修

日々の仕事や日常生活にはストレスがつきものです。

ストレスを完全になくすことは難しいかもしれませんが、大事なのは抱えるストレスに対してどのように対処するか、つまり「ストレスマネジメント」です。

ストレスマネジメントについて周知するためには、福利厚生として主に管理職を対象にメンタルヘルスケア関連の研修や教育を行いましょう。

福利厚生制度でストレスへの対処に関する研修を実施すれば、従業員はストレスが及ぼす影響についての知識が深まり、ストレスが顕在化した際にも対処しやすくなります。

また、従業員一人ひとりがストレスへの対処法を身に付けることで、自身のメンタル不調を予防できるだけでなく、従業員同士のコミュニケーションや企業全体の雰囲気が改善するかもしれません。

管理監督者主導で行うラインケアに必要な研修の場合は法定福利厚生の扱いになるため、積極的に導入しましょう。

育児や介護などとの両立支援

福利厚生の種類によっては、従業員の仕事と育児・介護の両立を支援することも可能です。

育児に関する福利厚生には、事業所内への保育所の設置や育休期間の延長制度などがあります。

介護に関する福利厚生には、介護費用の補助や介護休暇制度、介護に関する相談窓口の設置などが挙げられます。

仕事と家庭の両立に悩む人が多い中、個々のライフスタイルに関する福利厚生は、従業員の長期的なメンタルヘルスケアに効果的です。

時短勤務やフレックス制、在宅ワークの導入など、多様な働き方を選べるようにすることも、両立支援につながります。

従業員が福利厚生を活用し、生活に関するサポートを受けることで、仕事に集中しやすくなり、モチベーションアップや生産性向上にもなるでしょう。

メンタルヘルスケア対策を進める手順

メンタルヘルス不調による休職者を出さないためには、自社の職場環境や福利厚生の見直しといった根本的な予防や対策が重要です。

厚生労働省が推奨する3つのメンタルヘルスケア対策について解説します。

一次予防

まず重要なのは従業員が働きやすく、メンタルヘルス不調の起きにくい職場環境作りです。

一次予防として、メンタルヘルス不調を未然に防ぎ予防する仕組みをつくります。

職場環境とはオフィスの環境のことだけでなく、適切な配置や業務量、必要なときに相談できる窓口の整備といった福利厚生も含まれます。

従業員が日々働く環境がしっかり整備されていないと、ストレスは溜まる一方です。

定期的に業務の見直しを行い、特定の従業員に負担が偏ったり、残業時間が超過したりしていないか、チェックしましょう。

上記で紹介した福利厚生の多くは、この一次予防の段階で活用することが好ましいと言えます。

定期的なストレスチェックや食事補助の福利厚生は従業員の健康状態を把握するのに役立つため、検討されると良いでしょう。

二次予防

次に、従業員のメンタル不調を素早い発見が重要です。

早期発見できた場合は、症状が進行しないよう配慮する必要があります。

メンタル不調の際のさまざま症状や、正しい対処法などを事前に社内で共有しておくと安心です。

早期治療に繋げるため、当事者が産業保健医に相談できる窓口を設置したり周囲の従業員が相談できる窓口を設置したりなど、対策をとりましょう。

福利厚生の一つとして、人間ドックの受診を促すのも効果的です。

専門家のアドバイスを受けたい場合は、メンタルヘルスケア専門の外部委託サービスを利用してもよいでしょう。このような包括的な福利厚生の見直しも有効な一手です。

三次予防

三次予防では、メンタル不調を理由に休職してしまった従業員の職場復帰支援や再発予防に取り組みます。

精神疾患の病気は目に見えにくく、完治したと思っても再発しやすい特徴があります。

専門家のアドバイスを受けながら職場復帰支援プログラムを用意したり、メンタル不調が再発しないような環境を整えたりと、復帰後の定着率を高められる福利厚生を含めた体制の見直しや仕組み作りを行いましょう。

メンタルの不調はすぐに改善するものではないかもしれません。休職者が将来的に仕事に復帰できるよう、長期的なメンタルヘルスケアが必要です。

メンタルの不調で辛い思いをする従業員を出さないためにも、一次予防が大切といえるでしょう。

内的要因や私的要因の場合は不調に気づくのに時間がかかったり、サポートが難しかったりするかもしれません。

さまざまなケースがありますが、個人で悩みを抱え込んでしまう前に、相談窓口などの福利厚生を利用してもらうことで、メンタル不調の発生率を下げることへと繋がるでしょう。

メンタルヘルスケア対策につながる福利厚生「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」

オフィスで野菜

メンタルヘルスケア対策にもなる福利厚生にはさまざまな種類があり、中でも食の福利厚生は従業員からも人気です。

食の福利厚生のうち、社員食堂やカフェテリアを設置するとなるとスペースや費用面での課題もあるかもしれませんが、そういう企業におすすめなのが「オフィスコンビニ」です。

昨今健康経営が注目される中、設置型社食サービスのオフィスコンビニは福利厚生として低コストかつ手軽に導入できるとあって、導入企業が増えています。

オフィスコンビニは、オフィス内に設置した什器から従業員がいつでも自由に商品を購入できるシステムで多種多様なサービスがあります。

中でも健康的なメニューを中心に提供し、メンタルヘルスケアの面でもおすすめなのがOFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)です。

オフィスコンビニではお菓子やドリンクがメインのサービスもありますが、「オフィスで野菜」には、国産野菜のサラダやスムージー、フルーツ、健康に配慮した無添加のお惣菜が特徴です。

健康経営を進める企業を始め、累計10,000拠点以上(2024年2月時点)で福利厚生として導入されています。

食事がおろそかになっていると、身体にもメンタルにも良くありません。

反対に、メンタルヘルス不調を抱えると規則正しい食事を取れなくなったり、食事を抜きがちになってしまったりする人もいるでしょう。

福利厚生に食事の補助を取り入れることで、従業員の生活を健康的な食事でサポートすることができます。

メンタルヘルスケア対策の一環として、オフィスコンビニの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

日本では仕事や日常生活に対してストレスを感じる人が多い、いわゆる「ストレスの時代」が長く続いています。

潜在化したストレスをそのままにしておくと、メンタルヘルス不調を引き起こし、さまざまな病気や休職・退職のリスクも高まります。

従業員の健康とメンタルヘルスケアは、従業員本人だけでなく企業にとっても大きな課題と言えるのです。

従業員が気持ちよく、かつ健康的に働けるよう福利厚生を活用しながらメンタルヘルスケア対策を行いましょう。

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