福利厚生制度
健康経営で睡眠の質を改善する取り組みを実践するには?取り組み事例を紹介
皆さんは、日頃から十分な睡眠が取れていますか。
睡眠は生きていく上で不可欠な行動なのにも関わらず、忙しい毎日の中で疎かにされがちです。睡眠不足を放っておくと生活習慣病などの病気やメンタルの不調を引き起こしてしまうことも。
日本人は世界的に見ても睡眠時間が短い国だと証明されていますが、睡眠時間だけでなく「質」も重要なことが明らかになっています。
睡眠の質は従業員の仕事のパフォーマンスに大きく影響をおよぼすため、企業が健康経営を進める上で従業員の睡眠改善を支援することは非常に重要です。
今回は、健康経営で睡眠の質を改善する取り組みを実践するには何をすれば良いのか、健康経営の取り組み例とともに見ていきましょう。
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目次
日本人の睡眠の質はかなり低い!?その要因とは
日本は「睡眠不足大国」と呼ばれることがありますが、睡眠の質はどうなのでしょうか。調査結果をもとに見ていきましょう。
電気機器関連機器メーカーのフィリップスが13か国を対象に2020年に実施した世界睡眠調査(global sleep survey)によると、睡眠に満足している人はわずか49%でした。
なかでも日本では「睡眠に満足している」、「やや満足している」と答えた人が計32%と、13カ国中最下位という結果になりました。
出典:日本人の睡眠満足度は世界最低?!睡眠の質を高めるために今できることは? | フィリップス
なぜ日本人には睡眠に不満を持つ人が多いのでしょうか。
その要因は、日本人は世界一睡眠時間が短く、寝不足の傾向があるためと考えられます。
ウェアラブルデバイスを販売するZepp Health Corporationが2021年に自社製品ユーザーの睡眠の特徴を分析した「2021年世界睡眠ホワイトペーパー」では、日本のユーザーの睡眠時間は6時間44分で、世界でワースト2位の短さでした。
世界全体の平均睡眠時間が減少傾向にある中で、日本人は特に睡眠時間が短いことがわかります。
その理由として、通勤時間の長さや仕事で帰宅が遅くなること、昔に比べて娯楽が増えたことなどが挙げられます。
インターネットや24時間営業のコンビニエンスストアの普及によって、便利な反面、夜更かしする人が増えました。
日本人は長時間かけて通勤する人も多く、仕事で帰宅が遅くなるとさらに睡眠時間が削られ、企業の健康経営にも影響を及ぼします。
特に、日本では睡眠時間を削ってまで働いたり勉強したりするのを美徳と捉える価値観が存在するため、諸外国に比べて睡眠時間が短いと考えられます。
睡眠の質が悪いことで起こりうるリスクとは?
次に、睡眠の質が悪いことで起こりうるリスクについて見ていきましょう。
ストレスによって自律神経が乱れたり、長時間勤務によって疲れがたまったりすると、不眠症などの睡眠障害を引き起こす恐れがあります。
不眠症や短すぎる睡眠は、高血圧や循環器疾患、耐糖能異常などの生活習慣病のリスクを高めることが分かっています。
日本人の死亡原因の約60%が生活習慣病であることからも、眠りの質の改善は健康を維持するために重要だと言えるでしょう。
寝つきが悪い、夜中に目が覚める、熟睡できないなどの睡眠障害は、うつなどのメンタルヘルス不調の原因にもなります。
加えて、うつ病発症者のうちの約9割が不眠状態にあるとされています。
トラブルをそのままにしておくと不眠症や生活習慣病などを引き起こす恐れもあるため、健康経営の視点からも「ただの寝不足」で片づけず適切に対処しましょう。
従業員の睡眠の質は企業運営にどう影響する?
睡眠の質は、その人自身の健康だけでなく企業の健康経営にも影響を及ぼします。
従業員の睡眠の質が低下することで企業の健康経営に与える影響を3つご説明します。
生産性の低下を招く
1つ目は生産性の低下です。
ある研究によると、同じ6時間寝ていても睡眠の質が低下している場合は、飲酒運転レベルにまで認知機能が落ちてしまうという結果が出ています。
アメリカ・ランド研究所の推計によると、睡眠に問題がある人とない人では、生産性に約3%の差が生まれ、GDP換算で約7.5兆円の影響があることもわかっています。
睡眠の質が低下した状態で仕事をすると効率が悪くなるだけでなく、ミスも起きやすくなり、企業全体の生産性低下にもつながり健康経営面でも課題となります。
従業員の眠りの質は企業の業績にも大きく影響するため、健康経営の一環として睡眠の質改善に取り組んでいきましょう。
病気などによる休職・離職のリスク
2つ目は従業員の病気などによる休職・離職のリスクです。
従業員の睡眠の質が低下すると、睡眠障害だけでなく生活習慣病やうつ病などメンタルヘルス不調を引き起こしやすくなります。
従業員の心身の健康が阻害されると長期休職や離職の原因になりかねず、健康経営にも影響を及ぼします。
人材不足に悩む企業が多い中、健康経営としての従業員の睡眠の質改善は人材確保や離職率低下にも有効と言えるでしょう。
安全上の問題に発展する可能性も
3つ目は安全上の問題に発展するリスクです。
睡眠不足の状態で仕事をすると集中力や注意力が散漫になり、仕事のパフォーマンスが低下します。
寝不足で焦りやイライラが増えると職場でのチームワークの乱れや労働災害に発展する可能性もあり、健康経営にも悪影響です。
特に機械を扱う職種や運転を伴う職種の場合、思わぬ事故によりケガをする危険性や第三者まで巻き込む可能性も考えられます。
「つい、うっかり」が重大な労災事故に繋がらないよう、日頃から健康経営を意識して従業員の健康状態を気にかけるようにしましょう。
従業員の睡眠の質を高めるために企業ができる取り組みとは?
睡眠は個人の問題であるため、企業としてできることはないと考える方もいるかもしれません。しかし、昨今注目される健康経営の一環で、従業員の睡眠の質改善に取り組む企業が増えています。
ここからは、従業員の睡眠の質を高めるためにできる健康経営の取り組みを5つご紹介いたします。
実態の把握
健康経営でまず大切なのは、実態の把握です。
不眠や睡眠の質については、自分自身でも気付きにくく、知らないうちに睡眠が心身のトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。
企業としては、健康経営を通して面談や日々のコミュニケーションの中で従業員の実態を把握すると良いでしょう。
毎日の生活サイクルや体調について質問したり、身だしなみが整えられているかを確認したりすることで、従業員の睡眠実態を無理なく把握することができます。
また、従業員に対してアンケートを取るのも効果的です。
睡眠や健康状態、日々の生活で悩みや不安がないかアンケート調査を行い、労働環境や従業員の特性を踏まえながら今後の取り組みに活かしましょう。
社内コミュニケーション活性化のためにも、健康経営を意識して日頃から従業員の睡眠状況を気にかけるようにしましょう。
睡眠リテラシーの向上
従業員の睡眠リテラシーを高めることも、従業員の健康維持や生産性向上、企業の健康経営にとって重要です。
睡眠リテラシーとは、睡眠に関する正しい知識のことを指します。
日本では近年働き方改革や健康経営の取り組みが加速しているものの、睡眠については何ら対策を取っていない企業も多いでしょう。生きていく上で不可欠なのにも関わらず、多くの人が十分な睡眠リテラシーを持っていないとされています。
健康経営の取り組みの一つが、セミナー実施による従業員の睡眠リテラシー向上です。
産業医や栄養士、フィットネスインストラクターなど専門家による研修やセミナーを行い、従業員に睡眠の役割や重要性について知ってもらうことで、健康意識を高める狙いがあります。
参加者の睡眠状態のセルフチェックやグループワークを取り入れた、参加型のワークショップを行うのも良いでしょう。
健康管理システムを導入して従業員の睡眠データを部署ごとに管理・分析し、専門家に相談しながら健康経営を進めるとより効果的です。
休息時間の管理・徹底
働き方改革や健康経営を進める中で、多くの企業が取り組んでいるのが「長時間労働の是正」です。
労働時間に関する制度の見直しや勤務間インターバル制度の導入など、各企業でさまざまな取り組みが行われているのをご存知でしょうか。
健康経営の一つとして会社の制度を変更し、従業員が十分な休息時間を確保できるような仕組みづくりをすることも従業員の健康につながります。
例えば、健康経営の取り組みによって勤務間インターバル制度を導入すると、勤務の終業時間と翌日の始業時間との間に一定の休息時間(インターバル)を確保しやすくなります。
これまで日本では不健康な働き方による過労死や心疾患などが問題となっており、健康経営にいち早く取り組む企業では、これらを防止する狙いで導入されてきました。
健康経営によって従業員の休息時間を企業が管理してしっかり休ませると、従業員はより健康な状態で働くことができ、モチベーション向上や生産性向上にも効果が期待できるでしょう。
シエスタ(昼寝)制度の導入・仮眠スペースの整備
「シエスタ」という言葉をご存知でしょうか。シエスタとは、日照時間の長いスペインで生まれた習慣で、昼食後の長いお昼休憩を意味します。
昼休みに適度な睡眠を促すことで従業員の睡眠不足を解消し、心身のリフレッシュや午後の集中力アップ、さらに病気の予防にも効果的とあって、日本でも健康経営を進める中で導入する企業が増えています。
眠気と戦いながら仕事するのではなく、あえて昼寝をすることで午後の生産性を高めることが可能です。
最近では、自社内に仮眠室やラウンジを設置して休憩しやすい環境を整える企業や、仮眠用のリクライニングチェアやアイマスク、耳栓を提供する健康経営推進企業も見られるようになりました。
日本では三菱地所株式会社では2018年1月から仮眠室を導入し、従業員が昼に仮眠を取ることを推奨しています。
仮眠室を活用した実験によると、仮眠を取得した期間の午後では仮眠を取得しなかった場合に比べ高い集中力が見られる結果となりました。また、仮眠を取った場合に日中の眠気が軽減される効果も確認されました。
社内アンケートでは、「仮眠を継続したい」と回答した割合は80%となり、従業員自身が高い仮眠効果を実感していることがわかります。
ただし、寝すぎるとかえって頭がぼーっとしてしまい逆効果になるため、仮眠は15〜30分程度にとどめるのが良いでしょう。
出典:三菱地所との「仮眠室を活用した仮眠効果検証実験」結果報告 仮眠を活用することで日中の集中力向上と眠気低減を計測データで確認|株式会社ニューロスペースのプレスリリース
相談窓口の提供
健康に関する悩みを抱える従業員に対して、相談窓口を提供したり、カウンセラーを配属したりするのも良いでしょう。
「眠りが浅い」「朝起きられない」などの悩みを抱えていても、どこに相談したら良いかわからない人は意外と多いかもしれません。
最近では「睡眠外来」という、睡眠を専門とする診療科も存在します。
眠りに関する悩みはプライベートにも関わるため相談しにくいものですが、産業医や保健師などの専門家に相談することで、病気などに発展する前に対処することができます。
仕事上の問題だけでなく、食事や運動など生活に関することやプライベートの悩みなど、気軽に相談できる場所を用意しましょう。
従業員の睡眠問題の解消に役立つ企業向けサービス・アプリとは?
健康経営が推進される中、従業員の睡眠問題解消に役立つ、企業向けのサービスやアプリも登場しています。
従業員の睡眠問題は、健康経営に密接に関わっていると先述しましたが、睡眠環境を整えるために、今すぐ大きく環境を変えることができるという企業は少ないでしょう。
休憩スペースを確保したり、新たな制度を設けたりしなくても、サービスやアプリを利用すれば、従業員の睡眠問題を解消でき、健康経営につなげることができます。
企業が従業員の睡眠問題の解消に利用でき、併せて健康経営の取り組みにも活用できる二つのサービス・アプリを紹介します。
アドバンテッジ スリープ
健康経営の中でも、従業員の睡眠問題の解消を目的にしたスマートフォンアプリが「アドバンテッジ スリープ」です。
主な機能は、大きく分けて三つあります。
従業員が自身の睡眠タイプと不眠状況を把握できる機能と、90秒ほどの動画で快眠のノウハウが学べる機能、睡眠の改善プログラムの機能です。
睡眠に問題があれば、学習コンテンツで学び、毎日の睡眠記録で状態を可視化し、行動目標を振り返るといった行程を従業員自身が繰り返し行うことで、改善を図っていきます。
さらに、専門家とチャットで相談できるので安心です。
従業員が効率的に睡眠の改善を図れる仕組みが魅力的だといえるでしょう。
従業員がアプリを利用することで、企業は、睡眠状況についてデータでつかんでおけるというメリットもあります。
管理画面からは属性別データなども提供されるため、健康経営度調査票の記入の効率化にもつながるはずです。
O:SLEEP
不眠によるメンタル不調と生産性の低いチームの改善をコンセプトにしているスマートフォンアプリ「O:SLEEP(オースリープ)」は、健康経営の中でも、睡眠の改善に特化しています。
睡眠を改善するための行動は、ほかの健康増進施策と比較して容易なことが多いため、継続性が高く、効果実感までのスピードが早いことに着目して作られました。
従業員の睡眠を測り、不眠状態を改善するためのAIコーチングを行い、健康経営に取り組む企業には従業員の睡眠状況を可視化し、解析するサービスを提供しています。
従業員の個人情報は、利用している本人以外には把握できない仕様となっており、心理的な負担感がなく健康経営の施策の一つとして導入できることがポイントです。
アプリを使うことで、メンタル不調と生産性の低いチームを改善できれば、健康経営につながっていくでしょう。
個人でできる質の良い睡眠のための取り組み
普段の生活を少し変えるだけで、簡単に快眠を得られる取り組みを5点、紹介します。
企業が健康経営の取り組みとして、従業員の睡眠の質を高めるための啓蒙活動をしてみてはいかがでしょうか。
企業の健康経営の一環の情報提供であっても、睡眠の改善は従業員のQOLを高めることにもつながりますので、喜ばれるはずです。
昼寝の長さは15~30分程度がおすすめ
健康経営につながる福利厚生の一つとして、シエスタ(昼寝)の説明を先述しましたが、昼寝の長さは長ければ良いというものではありません。
15分~30分程度に収めるようにするのがおすすめです。
また、昼寝の長さだけでなく、タイミングも大切です。夕方以降に昼寝をすると、夜の睡眠に影響しますので、避けるようにしましょう。
昼寝からすっきり目覚めるためには、眠る前にカフェイン飲料を飲んでおくのをおすすめします。
カフェインは、摂取後から約30分たってから体内に吸収されるといわれていますので、目覚めてすぐに動き始めることができるでしょう。
寝る前にアルコールやカフェインは摂らない
眠る前にはコーヒーや緑茶、チョコレートなど、カフェインが含まれる飲食物を避けるようにしましょう。
アルコールは、寝付きを良くしてくれるといわれていましたが、現在では睡眠に悪影響を及ぼすことが明らかになってきています。
飲酒は、節度を保ち、寝酒は避けましょう。
入浴のタイミングや長さ
就寝前の2~3時間前程度に40度以下のぬるめの湯温で20~30分間、ゆったりと入浴をすることが良い睡眠につながるといわれています。
じわじわと体が温まり、深部体温を上げることができるためです。
熱い湯は、血管を収縮させ交感神経を刺激してしまい、良い睡眠につながりにくくなるため、注意しましょう。
睡眠環境を整える
良い睡眠をとるためには睡眠環境を整えることも重要です。
室温を夏は25〜28度、冬は18〜22度に調整し、湿度は50〜60%を保つようにします。
寝具は吸放湿性が高く、保温性も高いものを使用するといいでしょう。
睡眠の質を高める食品を摂る
最近では、睡眠の質を高める食品にも注目が集まっています。
快眠につながる代表的な栄養素は、睡眠ホルモンであるメラトニンの材料となるトリプトファンです。
トリプトファンを多く含む食品は、乳製品や大豆製品、カツオ、ナッツ、バナナなどです。
神経の興奮を鎮めて、リラックス効果があるといわれているGABAやグリシンも快眠の一助となるでしょう。
GABAは、発芽玄米や発酵食品、キノコ類、トマト、グリシンはエビやホタテなどに含まれています。
まとめ
忙しい毎日の中で疎かにされがちな睡眠が、実は仕事のパフォーマンスにも大きく影響することがわかりました。
ちょっとした不調を放っておくのではなく、事前に対処することで病気の予防や離職の防止にもつながり、健康経営面でも多くのメリットがあります。
企業としては従業員の健康状態に加えて睡眠の質にも気を配り、健康経営により最大限のパフォーマンスを発揮できる環境整備や取り組みを行っていきましょう。
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人間が生命を営むにあたって、睡眠と同様に重要なのが「食」です。健康経営の取り組みのひとつとして従業員の健康を食の面からサポートするのも効果的です。
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食事の補助になるだけではなく、健康経営の取り組みとして従業員の食生活を健康的な食事でサポートできます。
健康経営の一つとして、睡眠の質改善に加えて食の福利厚生で従業員の食事もサポートしてみませんか。
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