企業の健康経営

-2023.02.23.Thu

労働者の自己保健義務とは?詳しい内容と企業側で必要な取り組み

多くのビジネスパーソンは毎年1回、会社の定期健康診断を受けています。

定期健康診断は、企業が自身の従業員に対して行わなければならない義務の1つですが、実は働く側も定期健康診断を受けなければならない義務があります。

これを自己保健義務と言いますが、あまり聞き馴染みがないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、企業に勤めるビジネスパーソンの自己保健義務とはどのようなものかをわかりやすくご紹介していきます。

労働者の自己保健義務とは

自己保健義務は労働安全衛生法によって定められている、働く人が負う義務のことです。

自己保健義務を簡単に説明すると「労働者は、安全に働くために自分の健康を管理する必要があり、なおかつ維持するために努めましょう」といった内容です。

自己保健義務と混同されやすい言葉で「自己安全義務」「安全配慮義務」の2つがあります。

「自己保健義務」と「自己安全義務」の違い、また「安全配慮義務」との違いについてそれぞれご紹介します。

自己安全義務との違い

自己安全義務は「業務にあたる際、安全に留意すること」を指します。

例えば業務にあたる際に、会社の規定でヘルメットの着用が義務付けられていれば、働く人はその規定に従わなければなりません。

自己安全義務は法令で定められた用語ではありませんが、根拠となる法令は労働安全衛生法第4条にあたります。

第4条の内容については後述しますが、内容をわかりやすく説明すると「働く人は企業の定めた安全規定を守りましょう」といった内容です。

一方、自己保健義務は「健康を維持し、改善に努めること」を目的としています。

自己安全義務と異なるのは、自己保健義務の発生範囲が業務中に限らない点です。

自己保健義務は日々の生活や食事にも大きく関係してくるため、働く人は常に健康を意識して、自発的に対策を行う必要があるでしょう。

企業の安全配慮義務との違い

安全配慮義務は、労働契約法第5条によって使用者(雇用者)に課せられた義務のことです。

労働契約法第5条の内容は次の通りです。

(労働者の安全への配慮)
第五条
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

法的な罰則は規定されていないものの、労働災害時に義務を果たさなかった場合は民法715条により使用者責任を問われる可能性があります。

また安全配慮義務は、身体的な安全だけでなくメンタルヘルスも配慮の対象です。

そのため製造業や建築業のような労働災害の起きやすい職種に限らず、あらゆる業種で義務の適用が可能と考えておきましょう。

自己保健義務と異なる点は、義務の対象が「働く人」か「雇っている側」かの違いです。

会社に属して働いている人に対して定めているのが「自己保健義務」、雇用側が守るべき内容を定めているのが「安全配慮義務」なのです。

自己保健義務の具体的な内容

自己保健義務は用語こそ法令で定められていませんが、労働安全衛生法の中の4つの条文を根拠として解釈することができます。

ここではその4つについてご紹介します。

労働災害防止義務

自己保健義務の1つである労働災害防止義務は、就労時に事故や災害が起こらないよう定義されており、労働安全衛生法第4条に該当します。

企業が働く人の安全を守るために講じている対策や規定を働く側は守らなければならず、また業務中に事故が起こらないよう防止策に協力する、という内容です。

自己安全義務との違いでも触れましたが、この内容は「自己安全義務」の根拠でもあります。

「自己保健義務」の一部に「自己安全義務」が含まれていると考えてよいでしょう。

健康診断の受診義務

自己保健義務における健康診断の受診義務は、労働安全衛生法第66条第5項に該当します。

会社の定めた医療機関で健康診断を受けるか、あるいは働く人が自分で健康診断を受けに行った場合は、その結果を会社に書面で提出する必要があると定められています。

働く人に健康診断を受けてもらうことで、雇用側は自社で働く人の健康状態を正しく把握することができます。

また定期的に診断を受けることは病気の早期発見や早期治療に繋がるため、健康を維持する上で不可欠と言えるでしょう。

保健指導を利用した健康保持の努力義務

自己保健義務の3つ目は働く人の健康を保つために定められた努力義務についてです。これは労働安全衛生法第66条の7第2項に該当します。

健康診断で要指導の結果を受けた場合は、保健指導に従って健康を維持するよう努める必要があります。

例えば健康診断の結果から軽い運動を取り入れるよう指導を受けたり、食事内容について改善するよう指導を受けたりした場合は、その指示に従うよう努めましょう。

事業者の措置を利用した健康保持増進の努力義務

自己保健義務では健康を保つだけでなく、より健康な体に近づけるための条文も定められています。これは労働安全衛生法第69条第2項に該当します。

健康診断の際の保健指導に従うだけでなく、日常的に継続して健康維持を行うよう努める必要があるという内容です。

また条文では、働く人は健康維持のために、雇用側が設けている制度や措置を利用して行うことができるとされています。

ヨガやウォーキングといった社内の部活動に参加するほか、社内にメンタル面の相談ができる窓口がある場合は必要に応じて利用することなども含まれます。

自己保健義務の違反について

企業が定めた安全規定を守らない場合や、健康診断の受診を拒否するなど、働く人が自己保健義務を果たさなかった場合は、自己保健義務の違反にあたると考えられます。

しかし働く人が自己保健義務を果たしていない場合でも、労働者に対しての罰則や罰金などは法的に定められていません。

健康保持や健康保持促進については努力義務のため、法的な強制力も伴わないのです。

そのため、自己保健義務を果たしていないと雇用側が判断した場合でも、その事実のみでは違反者へペナルティを与えたり処分を行ったりすることはできません。

また労働契約法第15条(懲戒)や第16条(解雇)では、いずれも「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と明記されています。

企業で働く人が自己保健義務を果たしていないと判断できる場合でも、雇用側が懲戒処分や解雇を行うことは難しいケースが多いようです。

ただし自己保健義務の違反内容が悪質であると法的に判断されれば、罰金等のペナルティを課せられる可能性もあるでしょう。

労働者の健康を守るために企業が取り組むべきこと

安全配慮義務でも定められているように、雇用側は働く人の健康のために必要な措置をとらなければなりません。

しかし自己保健義務の意識を高めるためにどのような取り組みを行うべきかは、それぞれの企業が自社の風土や働く人たちのニーズに合わせて考える必要があります。

自己保健義務に関する取り組みの内容は、働く人が安全に働ける環境であることはもちろん、社内規定の整備や業務フローの見直しなどを含め、さまざまな角度から考えることが大切です。

ここでは、自己保健義務の意識を高めるために必要な取り組みについてご紹介します。

身体の健康を維持する取り組み

身体の健康を維持する取り組みとして、健康診断の受診や健康指導を行っているという企業は多いでしょう。

スポーツなどの部活動やレクリエーションなどを通して体を動かす機会を設けることも、自己保健義務推進の取り組みとして効果的です。

リフレッシュ休暇などさまざまな休暇制度を作ったり、休憩スペースや昼寝の制度を設けたりなど、健康維持を目的としたユニークな取り組みを行っている企業もあります。

日常的な運動を促したり休暇を取りやすくしたりする施策以外に、近年では働く人の健康のために食事面でのサポートを行う企業も増えています。

しかし制度を設けるだけでは、参加者が少なかったり、取り組み自体を社員が知らなかったりと自己保健義務に繋がらない可能性もあるでしょう。

定期的に説明会や勉強会を開くといった周知活動を行うことも、自己保健義務の遂行に大切な取り組みの1つです。

ただし、自己保健義務に関する取り組みを実施する場合は、強要したり強制的に参加させたりすることがないよう気をつけなければなりません。

特にスポーツ関係の施策は、体を動かすことが好きな人とそうでない人とで参加意欲が大きく異なるものです。

しっかり運動したい人向けの施策と、自分のペースで手軽に取り組みたい人向けの施策を分けるなど、誰もが自主的に参加できるような工夫が必要です。

こころの健康を維持する取り組み

こころの健康は外側から状態を把握することが難しいため、施策を行う際はより細やかなサポートを必要とします。

メンタル面で不調を感じた時にすぐに相談できるよう、産業医などと連携して専用の相談窓口を作っておきましょう。

またこころの不調が起きにくい職場環境を作ることも、自己保健義務の意識を高めるために重要なポイントです。

例えば年1回の健康診断と同じように、定期的にストレスチェックを実施してこころの健康状態を把握できる仕組みを作るなどです。

働く人たちや職場のストレス状況を定期的に把握することで、職場の抱える課題が小さいうちに対策を講じることができます。

また長時間の勤務や過度な業務負担は、こころの健康状態を悪化させる直接的な原因になる場合があります。

こころの健康維持を考える際は、労働環境は適切かといったことや、長時間の勤務が生じていないかなどにも目を向けてみましょう。

企業の健康への取り組みを支援する福利厚生とは?

自己保健義務への取り組みとして、福利厚生を活用するという方法もあります。

福利厚生は法律で定められた6つを指す法定福利と、それ以外の法定外福利に分けられます。

よく知られている健康関連の福利厚生と言えば、健康診断が挙げられるでしょう。

休暇制度やストレスチェックなども福利厚生にあたります。

福利厚生として取り入れるメリットは、自社の労働者であれば誰でも平等に制度を利用できることと、働く人の費用負担が少なくて済むことです。

スポーツジムなど外部施設の利用料や、部活動費、食事代など、取り組みにかかる費用の一部を会社側が負担することで、社員が日常的に利用しやすい制度にすることができるでしょう。

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オフィスで野菜

手軽に始められて多くの社員が利用しやすい自己保健義務への取り組みといえば、食事サポートではないでしょうか。

体とこころの健康を維持する上で、毎日の食事は欠かせない要素です。しかし節約のために昼食を簡単な食事で済ませたり、食事自体を抜いてしまったりするビジネスパーソンも少なくありません。

また栄養バランスの取れた食事を摂ること自体、一見簡単なようですが毎日となると難しいと感じる人も多いでしょう。

福利厚生としても社員の健康サポートとしても取り入れやすい食事補助は、設置型の社食サービスです。

設置型の社食サービスは社員食堂のように広いスペースや多額の費用が必要ないため、企業側のコストを抑えることができます。

さまざまな内容の社食サービスがある中で、おすすめは「OFFICE DE YASAI」です。

OFFICE DE YASAIは新鮮なサラダやカットフルーツ、栄養バランスのとれた惣菜などを手軽に摂ることができる人気のサービスです。

専用の冷蔵庫を設置するだけで、プランに合わせた商品を定期的に届けてくれます。

福利厚生として取り入れることができ、社員は1つ100円〜という低価格で購入が可能なため、健康維持としても継続しやすい施策になるでしょう。

ランチに追加しやすい食べきりサイズの一品や、メインのおかずになる惣菜などラインナップも豊富なため、社員も楽しみながら健康を維持できるのではないでしょうか。

まとめ

自己保健義務は働く人すべてが負うものですが、罰則などもなく自発的な努力が必要となるため、各々が意識して行わなければなりません。

仕事以外の時間や食事面にも気を配る必要があるため、個人での継続が難しいことが自己保健義務を遂行する上での課題と言えます。

会社側は福利厚生や食事サポートを活用して、自社の社員が自己保健義務を意識しやすい環境づくりを行ってみてはいかがでしょうか。

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