福利厚生制度
ポピュレーションアプローチとは?健康経営の推進に重要!特徴や効果、導入方法を解説
企業が従業員の健康増進を促進することで、生産性向上や業績アップにつなげていく「健康経営」。
国の後押しもあり、健康経営への取り組みは盛んに行われています。
健康経営に取り組む企業に勤めている方や、健康経営について調べている方の中には「ポピュレーションアプローチ」という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
ポピュレーションアプローチは、企業が健康経営に取り組む上での有効な一つの方法です。
本記事ではポピュレーションアプローチについて、初耳の方には分かりやすく、既知の方には知識が深まるよう、具体的な事例を挙げながら解説します。
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目次
ポピュレーションアプローチとは
英語で「Population(ポピュレーション)」とは、人口という意味のほかに、統計学では母集団、生態学では個体群という意味があります。「Approach(アプローチ)」は、接近や対象物に迫ること、などの意味を持つ言葉です。
これらを組み合わせた「ポピュレーションアプローチ」とは、集団を対象に、健康リスクを下げる取り組みのことを指します。
集団に働きかけ、全体のリスクを下げる取り組みをすることで、一次予防の役割を担うのです。
ポピュレーションアプローチの中には、多くの人が抱えるような共通のリスクを特定してアプローチする方法もあります。
たとえば、感染症の流行下では、ウイルス感染予防のためにマスクの着用を促したり、手指消毒の協力を求めたりといったようなことが、ポピュレーションアプローチとして挙げられるでしょう。
予防対策や公衆衛生に関する活動など、リスクが低く、潜在的な健康課題を解決するための取り組みが多いのがポピュレーションアプローチの特徴です。
ハイリスクアプローチとの違い
ポピュレーションアプローチと対になる考え方に「ハイリスクアプローチ」があります。
文字通り、健康リスクが高い層に向けた取り組みです。
ハイリスクアプローチですので、当然、誰にでも該当するようなリスクではありません。
個別対応や、あるいは集団での改善指導、治療などを施すことで、二次予防として行うものです。
ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチは、一方の方法を選択するのではなく、組み合わせて取り組んでいくことが望ましいとされています。
ポピュレーションアプローチで集団の健康リスクに対応し、多くの方の健康意識が向上することで、ハイリスクアプローチの効果アップも見込めるかもしれません。
ポピュレーションアプローチのメリット
集団に対して行うポピュレーションアプローチは、対象者が多いというスケールメリットにより、大きな効果を得やすいという特徴があります。
例えば、感染症の流行に早期に対応することができれば、多くの方の感染予防や重症化を防ぐ効果を期待できるでしょう。
ポピュレーションアプローチを実施すれば、母数が大きいため、ハイリスク者を多数見つけ出すことが可能となるかもしれません。
ハイリスクアプローチのように対象者を絞るといった、対象者の選定にかかる手間を省くことができるのも、集団にアプローチするポピュレーションアプローチのメリットといえます。
ポピュレーションアプローチの注意点・デメリット
メリットが多いように見えるポピュレーションアプローチですが、デメリットも存在します。
ポピュレーションアプローチは、集団を対象とするため、当然、個人への介入は多くはありません。
ハイリスクアプローチと比較すると、個人へ及ぼす効果は低いといえるでしょう。
ポピュレーションアプローチは、大規模に行うもののため、大きな費用が必要ですが、集団が対象ということもあり、具体的な目標設定などをせず、スケジュールも大まかなまま実施しがちです。
目標も計画もあやふやなままポピュレーションアプローチを行っても、費用対効果が大して得られない可能性もあります。
成果を出すため、しっかりと目標を定め、計画的に実施するよう努めましょう。
具体的なポピュレーションアプローチの取り組み例
人間が健康的な生活を送るには、食事や睡眠を十分にとり、適度な運動を生活に取り入れることが大切です。
食事や睡眠、運動のどの要素を大切にするかは、従業員個人によるところが大きいですが、企業が従業員の健康向上のために取り組めることは、実はたくさんあります。
従業員全体を対象にしたポピュレーションアプローチにも、さまざまな内容があります。
具体的なポピュレーションアプローチの取り組み例を5つ、紹介します。
長時間労働の改善
企業が行うポピュレーションアプローチの中でも、企業だけで取り組めるのが長時間労働の改善です。
長時間労働が改善されれば、食事や睡眠などに時間を割くことができ、従業員の健康状態の改善に大きく貢献できるでしょう。
新たに運動にも取り組めるかもしれません。
長時間労働を改善するためには、ノー残業デーを設定したり、退社時間になると消灯するようにしたりするなど、企業がルールを決めることで、すぐに実践が可能です。
フレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入し、多様な働き方ができる環境を用意すれば、ワークライフバランスも保つことができ、メンタルヘルスの向上も期待できるでしょう。
メンタルヘルス対策
ポピュレーションアプローチは、身体の健康だけでなく、精神面での健康効果を期待して取り組むこともできます。
厚生労働省が実施している「労働安全衛生調査」(2022年)によると、仕事で強い不安や悩み、ストレスを感じる事柄があると回答した労働者は80%以上に上ります。
メンタルヘルスの不調は、心身に何らかの不調を抱えながらも就業する「プレゼンティーイズム」の状態を招き、企業の生産性低下にもつながってしまうでしょう。
ポピュレーションアプローチの方法としては、メンタルヘルスに関するセミナーなどの開催や、産業医などによる相談窓口の配置などが挙げられます。
軽度な不調で悩む従業員やハイリスク者の発見により、深刻な状態に陥ることを回避できるかもしれません。
運動の促進
オフィス業務の多い企業であれば、特に効果を期待できそうなポピュレーションアプローチは、運動の促進です。
世界保健機関(WHO)が2020年11月に公表した「運動・身体活動と座位行動に関するガイドライン」では、全年代を対象に定期的な筋力向上活動をし、座位、すなわち座っている時間を減少させることを推奨しています。
座っている時間が長いと、心身共に良くない影響を与えること、さらには死亡のリスクが高くなてしまうことが知られています。
企業が取り組めるポピュレーションアプローチは、立ったままで作業が可能なスタンディングデスクを導入したり、オフィス内にスポーツジムの機器を設置したりするなど、体を動かす機会をつくることです。
ほかにも、ウオーキング大会などのイベントを開催したり、スポーツクラブの利用補助制度をつくったりするなど、さまざまな方法があるでしょう。
食生活の改善
食べたものが体を作っていくため、食生活を改善すれば、健康の向上に大きな効果をもたらします。
企業がポピュレーションアプローチとして、従業員の食生活を改善するような取り組みを行えば、健康的な従業員を増やすことができるはずです。
すべての食事を企業内でとる従業員はほとんどいないと想定すると、栄養バランスの取れた食事についての知識を身につけ、自宅でも栄養豊富な食事をとってもらうようにできれば効果が上がっていくでしょう。
ポピュレーションアプローチの方法としては、栄養バランスや食事量などを伝えるセミナーを開催したり、情報提供をしたりすることが有効です。
より踏み込んだポピュレーションアプローチとしては、社員食堂に健康的なメニューを設けたり、メニューの栄養バランスや摂取カロリーなどを示したりするような工夫ができます。
喫煙者への禁煙の啓蒙
集団を対象とするポピュレーションアプローチとしては、対象者をやや限定することにはなりますが、禁煙を啓蒙し、促進していくことは、従業員の健康増進を図るためには重要です。
喫煙が原因となって、がんや脳卒中、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などを発症する恐れがあるからです。
ポピュレーションアプローチの具体的な施策としては、受動喫煙に関するセミナーを開いたり、禁煙成功者へのインセンティブ制度を設けたりすることです。
ポピュレーションアプローチを導入する方法
先にも触れましたが、効果が出るポピュレーションアプローチとは、集団といえども、対象者を想定し、目標設定をして計画的に実施することが大切です。
ポピュレーションアプローチを導入する方法を確認してみましょう。
まずは、現状の健康課題を明確にすることです。健康診断やストレスチェック、就業状況などのデータ分析のほか、ヒアリングなどを行い、課題を洗い出すといいでしょう。
次に、明らかになった複数の健康課題について、解決に向けて取り組む優先順位を決めます。企業の健康経営に与える影響や、緊急性、従業員の関心度合いなどから順位を決めていくといいでしょう。重要な課題であっても、実現が不可能なものや、予算的に取り組みが難しいものもあるかもしれません。多面的に検討していくことが大切です。
最後に、目標を設定し、具体的な取り組みを考えます。目標に対して、取り組む内容は、企業ごとに異なるかもしれませんが、厚生労働省などがポピュレーションアプローチの実践例などを紹介していますので、参考にしてみましょう。
厚生労働省:「ポピュレーションアプローチ」事例
ポピュレーションアプローチに取り組んだ後には、評価や改善も必ず行いましょう。
課題が残されているのなら、ポピュレーションアプローチを継続したり、違った角度からの取り組みが求められているはずです。
PDCAサイクルを回しながら、ポピュレーションアプローチに取り組み、目指す健康経営に近づいていきましょう。
実施を成功させるためのポイント
ポピュレーションアプローチの取り組みを成功させるには、対象者を理解し、実施することが大切です。
集団を対象にしているポピュレーションアプローチではありますが、従業員の健康度合いや関心の持ち具合は異なります。
集団内の従業員を、特徴ごとにいくつかのグループに分類し、どのように巻き込んでいくかを考えておくといいでしょう。
従業員の中には、健康に関心がない層も含まれている可能性があります。
健康アップをうたっても響かない層です。
健康に直接結び付けず、ポイントを獲得できたり、イベントごとにしたりするなどの工夫をしてみましょう。
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企業が従業員の健康アップのために取り組めるポピュレーションアプローチの方法として、食生活の改善を先に挙げました。
福利厚生として社員食堂を設けている企業であれば、取り組みしやすいポピュレーションアプローチですが、そもそも、社員食堂を設けていない企業にとっては、なかなか難しいかもしれません。
社員食堂を新設しなくても、オフィス内の小さなスペースで実現可能な社食サービスを紹介します。
「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」は、全国累計10,000拠点以上の導入実績(2024年2月時点)がある社食サービスです。
提供する食事は、生野菜やフルーツ、ヘルシースナック類で、ポピュレーションアプローチとして、健康的な食事を提供しようとしている企業にぴったりのラインアップを用意しています。
ポピュレーションアプローチのために、健康的な食事について情報収集し検討しなくともいいのです。
年間で60種類以上、商品が変わっていくため、従業員に飽きさせない仕組みです。
オフィス内に「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」から貸与された冷蔵庫や電子レンジなどを設置するだけで始められます。
電子決済にも対応しているため、専門のスタッフを配置する必要も、集金担当者も必要ありません。
福利厚生として導入する場合、企業負担額は1ヶ月あたり68,000円~(税別)、従業員の購入価格は1個100円(税込)から設定できるのも魅力です。
OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)について詳しくはこちら
まとめ
ポピュレーションアプローチの方法は多種多様です。
対象となる集団の課題から目標を設定したら、時間やコストをかけずに着手できる方法もありますので、取り組んでみましょう。
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