企業の健康経営

-2022.11.18.Fri

健康経営銘柄とは?選ばれるメリットや目指すポイントを詳しく解説

近年、働き方改革の取り組みの一環として、健康経営を実践する企業が増えてきました。

そんななか健康経営の実施状況を第三者が評価し、「健康経営銘柄」を選定する制度が注目を浴びています。

どのような制度なのか、健康経営銘柄に選ばれるメリットや、実際に選定された企業の事例を交えながら、詳しく解説いたします。

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健康経営銘柄とは?

健康経営銘柄とは、優れた健康経営を行っていると認められた企業の銘柄です。

国民の健康を守る取り組みの1つで、健康経営銘柄は東京証券取引所に上場している企業の中から選定されます。

選定を受けるためには、毎年8月~10月ごろに実施される健康経営度調査に回答する必要があります。

健康経営銘柄として認められるためには経営的な視点から従業員の健康管理を捉え、戦略的に「健康経営」を実践している必要があります。

従業員の健康状態は生産性にも作用するので、長期的に見ると業績や株価に影響を与えると考えられます。

健康経営銘柄は、従業員の健康を気遣うことで、安定した企業価値を構築していこうとする企業を評価し、投資先として魅力のある企業だと紹介する制度なのです。

健康経営優良法人との違い

健康経営銘柄と混同されやすいものに、健康経営優良法人という制度がありますが、これは広く社会的に評価される取り組みを実施している企業を指します。

健康経営優良法人として認定されると、従業員の健康管理をしっかり行っている企業として、従業員や求職者、取引先の企業などへアピールすることができます。

客観的な評価が受けられる環境を整備することで、健康経営に取り組む企業を増やそうとするのがこの制度の目的です。

そのため健康経営優良法人の選定をうけるために上場している必要は無く、中小企業も参加しやすいように「中小規模法人部門」が設けられています。

一方、健康経営銘柄は、主に投資家へアピールすることが目的のため、東京証券取引所に上場していることが条件となります。

健康経営銘柄に選ばれるメリット

健康経営銘柄に選定されると、投資先として健全な企業であるとアピールすることができ、投資家に良い印象を与えられるのが大きなメリットです。

企業が健康作りにしっかり取り組むと、従業員の働きやすさや生産性が安定し、モチベーションの高い労働と、良質な商品・サービスの提供が可能になります。

業績や企業イメージのさらなる向上が見込まれ、株価も上昇していくことが期待できるでしょう。

健康経営銘柄に選ばれることは、従業員の健康に配慮している企業であることの証明になります。

投資家が健全な企業であるかと判断する材料となり、良い評価に繋がります。

長期的な視点を重視している投資家への大きなアピールになることは大きなメリットと言えるでしょう。

健康経営銘柄はどう決まる?

健康経営銘柄は、健康経営度調査に回答した企業から選ばれます。

健康経営度調査とは、企業の取り組み状況や、経年変化を分析するための調査です。

毎年行っており、蓄積データとして各社で有効活用するだけでなく、健康経営銘柄や健康経営優良法人を選定する際の基礎情報の収集も目的としています。

健康経営銘柄になるためには、調査に回答し、大規模法人部門の健康経営優良法人への認定を申請した企業の中で、上位500位以内に入らなければなりません。

上位500位の企業は、健康経営銘柄の候補となり、財務指標スクリーニングや加点等が行われます。

調査結果を精査して、経済産業省と東京証券取引所が共同で、健康経営銘柄の選出を行うのです。

健康経営銘柄に選ばれるためには、重大な法令違反がないことが前提です。さらに、健康経営銘柄選定時には企業の経営状況も問われます。

企業のROE(自己資本利益率)が直近3年間で平均0%以上、もしくは同期間連続で下降していないという要件があります。

ROEとは、株主から預かった資本を企業が運用し、どのくらいの利益を生み出しているかを示すものです。ROEの値が高ければ加点され、社外への情報開示状況なども評価の対象となります。

すでに終了していますが、2023年度の場合の申請手順について簡単にご紹介します。2023年度健康経営銘柄の選定を受けるための申請は、ポータルサイト「ACTION!健康経営」を通して行うことができました。

申請の詳しい方法と、健康経営銘柄審査の流れは、下記の通りです。

1.自社が東京証券取引所上場企業であることを確認する。
2.ポータルサイト「ACTION!健康経営」において、「新規ID発行サイト」からIDの発行を受ける。
3.「健康経営度調査票」をダウンロードし、回答を記載してアップロードする。
4.送付された請求書に従い申請料を支払う。
5.健康経営優良法人の審査が行われる。
6.上位500位に入れたら、健康経営銘柄の審査を受けられる。
7.経済産業省と東京証券取引所が健康経営銘柄を認定し、発表を行う。

調査への回答期間は、2022年8月22日〜2022年10月14日17時で、選定企業の決定は2023年の2月~3月というスケジュールでした。

ちなみに、大規模法人部門の健康経営優良法人への認定には1件ごとに80,000円(税込別)の申請料がかかります。

健康経営銘柄を目指すポイント・注意点とは?

健康経営銘柄の選定では、経営の面だけでなく、現場においても、健康を考えた取り組みを行えているかが評価されます。

経済産業省によると、健康経営を評価する際に主に下記のような点がチェックされるようです。

健康経営銘柄を目指すポイントとなるので、押さえておくと良いでしょう。

・経営理念や方針に健康経営が位置づけられているか
・健康経営に取り組むために、組織体制を構築しているか
・取り組むための制度があり、実際に施策を行っているか
・取り組みを評価して、改善に取り組んでいるか
・法令を遵守できていること

また、注意点として、健康経営銘柄への選定を目指しても、取り組みの効果はすぐに発揮されるものではないことを理解しておく必要があるでしょう。

目に見える結果が得られるまでに、取り組むモチベーションが低下してしまわないように気を付けなくてはなりません。

健康経営は、段階を踏んで体制を整えていく必要があり、コストも時間もかかるものです。

長期的な取り組みとなるので、モチベーションを維持するためには、進展具合を可視化し、社内で共有する方法も考えておくとよいでしょう。

戦略マップの作成やKPIの設定により、具体的な目的や道のり、目標数値を掲げると、モチベーション維持に効果があると言われているので、ぜひ取り入れてみてください。

【2023年最新】健康経営銘柄2023の選定企業は?

2023年の健康経営銘柄は、1業種1社を基本に、31業種から選定されました。「健康経営銘柄2023」は、31業種49社です。

1業種1社が原則ですが、各業種の最高順位にある企業の平均値よりも優れている企業は、健康経営銘柄として選ばれています。

以下、全49社を対象に、業種や銘柄コード、企業名に加えて健康経営銘柄の選定回数も掲載しました。

業種銘柄コード企業名健康経営銘柄選定回数
水産・農林業1332株式会社ニッスイ5回目
鉱業1605株式会社INPEX4回目
建設業1887日本国土開発株式会社3回目
食料品2269明治ホールディングス株式会社初選定
食料品 2502アサヒグループホールディングス株式会社6回目
食料品 2587サントリー食品インターナショナル株式会社初選定
食料品 2871株式会社ニチレイ3回目
繊維製品8111株式会社ゴールドウイン2回目
パルプ・紙3891ニッポン高度紙工業株式会社3回目
化学4043株式会社トクヤマ初選定
化学4461第一工業製薬株式会社4回目
化学4901富士フイルムホールディングス株式会社3回目
化学4912ライオン株式会社初選定
医薬品4151協和キリン株式会社2回目
石油・石炭製品5019出光興産株式会社2回目
ゴム製品5186ニッタ株式会社初選定
ガラス・土石製品5332TOTO株式会社8回目
鉄鋼5406株式会社神戸製鋼所4回目
非鉄金属5801古河電気工業株式会社2回目
非鉄金属5802住友電気工業株式会社2回目
金属製品3436株式会社SUMCO2回目
機械6381アネスト岩田株式会社2回目
電気機器6645オムロン株式会社5回目
電気機器6724セイコーエプソン株式会社2回目
電気機器6965浜松ホトニクス株式会社初選定
電気機器7751キヤノン株式会社5回目
輸送用機器7203トヨタ自動車株式会社2回目
精密機器7701株式会社島津製作所3回目
その他製品7951ヤマハ株式会社2回目
電気・ガス業9532大阪瓦斯株式会社初選定
海運業9104株式会社商船三井3回目
空運業9201日本航空株式会社5回目
空運業9202ANAホールディングス株式会社2回目
情報・通信業4432ウイングアーク1st株式会社初選定
情報・通信業9434ソフトバンク株式会社初選定
情報・通信業9687株式会社KSK5回目
情報・通信業9719SCSK株式会社9回目
卸売業8002丸紅株式会社2回目
卸売業8015豊田通商株式会社3回目
卸売業8031三井物産株式会社初選定
小売業8252株式会社丸井グループ6回目
銀行業8316株式会社三井住友フィナンシャルグループ初選定
証券、商品先物取引業8604野村ホールディングス株式会社初選定
保険業8766東京海上ホールディングス株式会社8回目
その他金融業8566リコーリース株式会社7回目
不動産業8801三井不動産株式会社初選定
サービス業2168株式会社パソナグループ初選定
サービス業6078株式会社バリューHR3回目
サービス業8769株式会社アドバンテッジリスクマネジメント2回目

【2023年最新】健康経営銘柄に選定された企業の事例

健康経営銘柄を目指すために、どのような取り組みを行うか決める場合は、選定されている企業の事例を確認すると、イメージしやすくなるでしょう。

実際に健康経営銘柄に選定された企業の取り組みをご紹介します。

アサヒグループホールディングス株式会社

健康経営銘柄に選定6回目となるアサヒグループホールディングス株式会社は、喫煙や飲酒を含めた、生活習慣の改善を重点課題に掲げて、特定保健指導の強化と生活習慣改善のキャンペーン実施に注力しています。

特定保健指導は、選択制プログラムの採用や参加状況のフィードバックの拡充に加え、健康保険組合との連携強化で、2021年度特定保健指導の実施率は前年の約1.7倍と上昇しました。

生活習慣改善キャンペーンは「食事/運動/飲酒/喫煙/睡眠/歯他」のカテゴリーのうちの24コースから自ら選択して取り組むことで、各自が健康への意識を高め、行動変容を起こしています。

住友電気工業株式会社

健康経営銘柄に2回目の選定となる住友電気工業株式会社は、健康保険組合と連携し、健康維持・増進活動「健活!」を掲げ「メタボ予防・改善」「スポーツ奨励」「メンタルヘルスケア」の3本柱を推進しています。

ラン&ウォークのイベントの2022年秋季大会では海外を含む3,893人が参加しました。

日本国土開発株式会社

日本国土開発株式会社が健康経営銘柄に選定されるのは3回目。

同社は、2018年9月に「健康経営宣言」を制定し、経営トップ自らが健康管理最高責任者(CHO)となりました。

具体的には「働き方改革と健康経営のW変革」を掲げて、取り組みを推進しています。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント

サービス業で、健康経営銘柄に2回目の選定となった株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは、DXプラットフォームを活用し、健康経営を推進しています。

人事情報の統合や重要指標をダッシュボード化し、課題に応じた施策の実行や効果検証を「見える化」し、PDCAサイクルを実践しながら取り組みの改善を図っています。

福利厚生から健康習慣を取り入れてみては?

健康経営銘柄を目指す際に、何から始めればよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。

様々な取り組み方がありますが、まずは、従業員の健康に関する習慣作りをおすすめします。

単発の取り組みでは一時的なもので終わってしまう恐れもあるので、健康経営銘柄を目指すならば、継続的に行えるものが良いでしょう。

働きながらも毎日意識できるものとして、食を支える福利厚生を取り入れてみるのは、いかがでしょうか。

日々の食事を通して健康習慣をサポートできる、福利厚生「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」をご紹介します。

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OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」は設置型の健康社食です。

健康的な野菜やフルーツ、お惣菜が用意され、オフィスワーカーに不足しがちな栄養を、補給できると人気があります。

利用している企業の従業員は、80.9%が「健康的な食事を摂るようになった」と回答しているほどなので、健康習慣作りに大きな効果がありそうです。

OFFICE DE YASAIでは、健康的な食品が1品100円~、お手軽サイズで用意されています。

お弁当にサラダを足したり、間食のお菓子をやめてフルーツを食べたりと、従業員の幅広いニーズに応え、様々な形で活用できるのも、人気の理由でしょう。

導入は、専用の冷蔵庫を置くスペースがあれば可能で、利⽤⼈数に合わせてプランを選べます。

健康意識の改善に効果的な社食システムとして人気があり、累計10,000拠点以上(2024年2月時点)の導入実績がある福利厚生です。

健康経営銘柄を目指す最初の取り組みとして、OFFICE DE YASAIの導入は、効果が期待できるのではないでしょうか。

従業員の健康習慣作りのために、ぜひご検討ください。

まとめ

「健康経営銘柄」の選定制度は、投資家へのアピールになる魅力的な制度です。

しかし、健康経営銘柄に選ばれるためには、継続した健康経営と実績が必要となります。

健康経営は、すぐに結果が見えるものではありません。

健康経営銘柄を目指すならば、長期的な視点で、健康に関する取り組みを行いましょう。

継続して取り組めるように、日々の食事で健康意識ができる「OFFICE DE YASAI」などを活用しながら、習慣にしていくのが良いですね。

ぜひ、健康経営銘柄を目指して、健康経営に取り組んでみてください。

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