企業の健康経営

-2022.08.28.Sun

健康経営優良法人とは?認定のメリットや要件を徹底解説

昨今「健康経営」に取り組む企業が注目を集めています。

企業が従業員の心身の健康に気を遣うことは当たり前の時代となり、政府は法律や制度などによってその後押しをしていることはご存じでしょう。

本記事では、健康経営に取り組む企業であることを内外にアピールするのに役立つ「健康経営優良法人」の認定制度について徹底解説します。

認定基準や申請フローなど、2022年の最新情報をもとに解説しますので、健康経営優良法人への申請をお考えの方はぜひお読みください。

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健康経営優良法人とは

健康経営優良法人とは、「優良な健康経営を実践している企業である」と日本健康会議によって認定された法人のことを指します。

健康経営に取り組んでいる優良な法人を見える化するための制度で、2017年に始まりました。

日本では長年長時間労働やサービス残業、各種ハラスメントなどが社会問題となっており、社会全体で職場環境を「従業員が心身ともに安心して健康的に働くことができる」ように改善する動きがあります。

そこで、多くの企業がより積極的に従業員の健康を考えて取り組むために設置されたのが健康経営優良法人認定制度です。

健康経営優良法人に認定された大規模法人の数は、初年度の2017年は235でしたが、2023年には2,676にまで増加し、健康経営の考え方が浸透しつつあることが伺えます。

優良法人として認定された企業は、健康経営優良法人のロゴマークをホームページや名刺などに使用することができるようになり、社会的に高い評価を受けることができます。

ブラック企業がたびたび問題になる現代日本において、社員の健康を考えた経営を行うという健康経営優良法人認定制度は、企業のイメージアップやブランド力向上につながります。

健康経営とは

健康経営とは「企業が従業員の健康を経営視点で考え、戦略的に実践すること」をいいます。

日本では長年、長時間労働や残業の多さなど、劣悪な労働環境などが引き起こす過労死や健康障害が社会問題となってきました。その中で近年注目されているのが「健康経営」という考え方です。

健康経営は企業が従業員一人ひとりの健康管理をサポートする取り組みを行うことで、従業員が健康的に働けるようになるメリットがあります。

また、従業員の健康に投資したり改善に取り組んだりすることで、結果的に従業員のモチベーションが向上し、組織の活性化や業績の向上、ひいては株価アップにもつながるなど企業にとって、また社会全体に対しても大きなメリットがあります。

より良い社会づくりのために、健康経営を進める中で、健康経営優良法人の認定を目標にしてみても良いでしょう。

健康経営の目的

健康経営の目的は、大きく分けて3つの目的が考えられます。

1つめは生産性の向上という目的です。

従業員の健康を考えて経営することによって、社内の制度や雰囲気が変わってきます。

その結果、従業員は心身ともに健康に働くことができるので生産性を向上させられるのです。

もし従業員が体調に問題を抱えたまま働き続ければ、ミスが発生したり作業の効率が上がらなかったりして、企業側にとってもいいことはありません。

従業員の病気が悪化して退職せざるを得なくなれば、企業は貴重な人材を失うことになります。

健康を考えた経営をし、従業員に高い生産性で長く働いてもらえれば、その分採用コストや育成コストを削減することにもつながります。

2つめは医療費の削減という目的です。

現在、多くの企業の健康保険組合で問題となっているのが、財政の悪化です。

日本はかつてないほどの少子高齢化時代を迎えており、健康保険組合の高齢者医療費への拠出金が急速に増えています。

またここ数年はコロナ禍による、企業の収益悪化で保険料収入が減っているという要因も影響しています。

そのため健康保険組合を維持できなくなり、解散や合併という道をたどることも少なくありません。

しかし従業員が健康でいられれば、それだけ医療費への拠出金を減らすことができます。

健康経営によって医療費を削減でき、健康保険組合を適切に運営していけるというわけです。

3つめは企業のブランディングという目的です。

健康経営をしている企業は、対外的にも対内的にも高く評価されます。

すでに働いている従業員は「会社が自分のことを大切にしてくれている」と感じるので、企業に対する忠誠心が高まります。

モチベーションが上がるので生産性が上がるだけでなく、離職率も下がるでしょう。

また取引先や求職者など会社外の人へも、「従業員の健康に気を遣っている企業」というブランディングをすることで、高い評価を得られます。

特にブランディングの目的の場合は、健康経営優良法人のような認定を受けていることで実情を可視化でき、対外的にアピールしやすくなります。

健康経営優良法人に認定されるメリット

健康経営優良法人に認定されることのメリットは、大きく2つ挙げられます。

「従業員の健康維持に取り組む企業としてイメージアップ」という対外的なメリットと「従業員の健康に対する意識の向上」という対内的なメリットです。

以下、それぞれのメリットについてご説明します。

従業員の健康維持に取り組む企業としてイメージアップ

健康経営優良法人に認定されるメリットの1つ目は、従業員の健康維持に取り組む企業としてイメージアップができるということです。

健康経営に取り組む目的の3つめでも触れましたが、健康経営優良法人として認定されることで、従業員の健康に気を遣っている企業であることを可視化でき、対外的にアピールしやすくなります。

「認定」というお墨付きがあることで、企業のイメージアップにつながるのです。

健康経営優良法人に認定され、企業イメージが上がると次のようなメリットが期待できるでしょう。

  • 金融機関からの融資、投資家からの出資などが増える
  • 就職希望者が増える
  • 多くの希望者の中から優秀な人材を採用できる
  • 内定辞退率が減る

従業員の健康に対する意識の向上

健康経営優良法人に認定されるメリットの2つ目は、従業員の健康に対する意識が向上するということです。

2018年に経済産業省が行ったアンケート調査によると、健康経営優良法人に認定された企業の中での顕著な意識の変化として「従業員の健康に対する意識の向上」が上位にラインクインしています。

健康維持を意識した経営が、従業員自身が自分の健康に対する意識を高めたということです。

従業員の健康を維持するためには、働きやすい環境づくりが不可欠です。

そこで健康経営をする多くの企業が、労働時間を適切な時間にしたり、有給休暇を取得しやすくしたり、社内コミュニケーションの活性化を図ったりというような働きやすい環境づくりにつとめています。

そのような環境で働く中で、自分の健康に対する意識も向上していくのだと考えられます。

優遇措置が受けられる場合がある

健康経営優良法人に認定されると、自治体から入札時の加点の優遇措置が得られたり、金融機関から金利優遇や融資優遇などインセンティブを受けられることがあります。

つまり、運転資金や資金調達の選択肢が増えるため、健康経営に取り組むことで企業経営にもさらなるメリットが生まれます。

具体的には、運転資金の貸付利率の引き下げ、保証料の減免、特別利率や保証料率による融資、サポート預金やサポートローンの適用などが挙げられます。

優遇措置の内容は各金融機関によって異なり、健康経営の取り組みに応じた条件が設定されている場合もあるため、詳細は直接問い合わせると良いでしょう。

健康経営優良法人への認定を目指すデメリット

健康経営優良法人に認定されるとさまざまなメリットがありますが、中には注意点やデメリットもあります。

1つ目は効果を「見える化」しにくいことです。

健康経営の取り組みはデータ化しにくいため、健康経営に取り組んでから従業員の健康診断の結果が良くなったり、欠勤率が下がったりしたとしても、それを健康経営の結果とするには疑問が残ります。

改善できた部分を健康経営の結果と実感するためには、長期的に効果を検証し、情報を社内に提供し続けていくことが重要です。

2つ目はコスト面です。

健康経営において、従業員の健康を増進するための経費は、コストではなく投資と捉えるのが基本的な考え方です。

そうは言っても、健康経営を行うにはデータを収集・管理するコスト、データの分析を外部機関に依頼する際のコストなど、さまざまなコストがかかります。

さらに、健康経営優良法人の申請には、運営コストとして大規模法人部門では88,000円、中小規模法人部門で16,500円の費用が発生します。

これらのコストを投資と捉え、どのくらいの費用対効果があるのか検証しながら施策を進めるようにしましょう。

健康経営優良法人を目指す場合、メリットに加えてこれらのデメリットがあることも理解した上で、自社や従業員にとってどのような効果があるのかしっかりと調査しておきましょう。

健康経営優良法人の区分ごとの種類

健康経営優良法人は、企業の規模と評価によって区分されています。

まず規模によって「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」に区分され、さらに「大規模法人部門」の中から上位500社を「ホワイト500」、「中小規模法人部門」の中から上位500社を「ブライト500」として認定しています。

大規模法人部門と中小規模法人部門は、従業員数や資本金などによって分けられていますが、業態によって基準が異なるので、詳しくは経済産業省のホームページからご確認ください。

また健康経営優良法人のほかに、東京証券取引所の上場企業のみを対象とした「健康経営銘柄」という認定制度もありますので、後述します。

大企業

大企業における健康経営優良法人の認定は、大規模法人部門での認定となります。

大規模法人部門

大規模法人部門の認定要件は、大項目とその下にぶら下がる中項目、小項目、さらに詳しい「評価項目」によって定められています。

大規模法人部門において健康経営優良法人として認定されるためには、この評価項目それぞれについて「必須」もしくは所定の数以上の項目を満たしているかどうかで決まります。

大項目、中項目は以下の通りです。

1.経営理念・方針
2.組織体制
3.制度・施策実行
 ・従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討
 ・健康経営の実践に向けた土台づくり
 ・従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策
4.評価・改善
5.法令遵守・リスクマネジメント

ホワイト500

大規模法人部門の中から、健康経営度調査結果の上位500の法人が「ホワイト500」として認定されます。

ホワイト500に認定されるための要件は上述した認定項目と同じ内容です。

ただし「必須」もしくは「所定の数以上の項目を満たす」と定められている認定項目が多いなど、ホワイト500の方が認定要件が厳しくなっています。

ホワイト500に認定されるためには、従業員の健康維持に本気で取り組み、それを適切にアピールしなくてはなりません。

中小企業

中小企業における健康経営優良法人の認定は、中小規模法人部門での認定となります。

中小規模法人部門

中小規模法人部門の認定要件のうち、大項目と中項目は前述した大規模法人部門の項目と同様です。

それ以下の小項目と評価項目は、大規模法人部門における項目数よりも少なく、シンプルになっています。

また満たすべき認定要件も、大規模法人部門より少ないのが特徴です。

ブライト500

中小規模法人部門の中から、健康経営度調査結果の上位500の法人が「ブライト500」として認定されます。

ブライト500に認定されるためには、中小規模法人部門の認定要件で定められた項目数を満たすことが求められます。

また企業が所属している保険者(全国健康保険協会および健康保険組合)が実施する「健康宣言」に参加するのも要件のひとつです。

所属している保険者が「健康宣言」を実施していない場合は、各自治体が実施する健康宣言事業への参加か自社独自の健康宣言の実施をもって代替可能とされています。

さらに中小規模法人部門では「健康経営の取り組みに関する地域への発信状況」と「健康経営の評価項目における適合項目数」も合わせて評価されます。

健康経営銘柄

健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で行っている認定制度です。

上述した健康経営優良法人認定制度ができる前からあった制度ですが、対象となるのは東京証券取引所の上場企業のみです。

経済産業省が実施する健康経営度調査への回答のほかに、自己資本利益率や前年度の回答状況なども合わせて評価され、最終的には1業種につき1社が選ばれ認定されます。

2022年度は過去最多となる32業種から50社が健康経営銘柄として認定されています。

健康経営優良法人の認定基準とは?

健康経営優良法人の認定基準は、毎年新しく更新されています。

本章では2022年の最新の認定基準についてご説明しましょう。

2022年の認定基準における変更点

2022年の認定基準における変更点として特筆すべきは、新型コロナウイルス感染症という社会情勢の変化が反映された点です。

感染者が発生した場合の対応やワクチン接種に対する支援などの設問がその一例です。

一方で、昨年度は新型コロナウイルス感染症の流行による特別措置があり、健診の未実施やイベントなどの具体的施策の中止などへの考慮がなされていました。

しかし2022年は、この特別措置が撤廃されています。

大規模法人部門における認定基準

2022年の大規模法人部門における健康経営優良法人の認定基準には、次のような変更点がありました。

・組織体制の実施体制として「産業医・保健師の関与」が必須項目になった
・法令遵守の要件として「労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないこと」が盛り込まれた
・喫煙対策について「受動喫煙対策に関する取り組み」に加え「従業員の喫煙率低下に向けた取り組み」が追加された

中小規模法人部門における認定基準

2022年の中小規模法人部門における健康経営優良法人の認定基準には、次のような変更点がありました。

・認定要件において、満たすべき項目が増え
・ブライト500では、所定の15項目中13項目以上を満たさなくてはならないなど、認定要件が厳しくなった
・法令遵守の要件に「労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないこと」が追加された
・喫煙対策について「受動喫煙対策に関する取り組み」に加え「従業員の喫煙率低下に向けた取り組み」が追加された

健康経営優良法人の認定を受けるための申請方法

それでは健康経営優良法人の認定を受けるための申請方法についてご紹介します。

本章の内容はすでに認定を終了した2022年の申請方法をもとにした参考情報となります。

実際に申請される際は、必ず経済産業省のホームページなどをご確認ください。

認定制度のスケジュール

大規模法人部門の健康経営優良法人認定制度の例年のスケジュールは以下のとおりです。

5月〜6月:健康経営度調査・認定基準の検討
7月:健康投資ワーキンググループの開催
9月〜10月:健康経営度調査(申請受付)
10月〜2月:審査期間
2月〜3月:内定
3月:健康経営銘柄・健康経営優良法人の発表・フィードバックシート正式版送付

健康経営度調査への回答や申請書の作成など、準備に時間がかかるものもあり、公式ホームページの情報を確認して早めに準備しておくと安心です。

また、大規模法人と中小規模法人ではスケジュールが一部異なるため、詳細については公式ホームページをご確認ください。

大規模法人部門・ホワイト500の場合

大規模法人部門の申請は次のような流れとなります。

・ポータルサイトから「健康経営度調査票」をダウンロードし回答をアップロードする
・認定審査が実施される
・日本健康会議において認定される

※健康経営優良法人2023の申請受付期間は、2022年8月22日から10月14日17時まで

中小規模法人部門・ブライト500の場合

中小規模法人部門の申請は次のような流れとなります。

・加入している保険者の健康宣言事業に参加する
・ポータルサイトから「健康経営優良法人認定申請書」をダウンロードし回答をアップロードする
・認定審査が実施される・日本健康会議において認定される

※健康経営優良法人2023の申請受付期間は、2022年8月22日から10月21日17時まで

健康促進に向けた取り組みを支援する福利厚生「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」

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健康経営をするのであれば、健康促進に向けた取り組みを支援する福利厚生「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」をご検討ください。

「OFFICE DE YASAI」は従業員の食生活を改善することで健康を促進し、健康経営の実現をめざす福利厚生サービスです

専用の冷蔵庫を設置するだけなので、省スペース、低コストで始められます。

冷蔵庫の中には、自社の規模やニーズに合ったラインナップの商品を補充しておけるので、従業員は好きな時間に好きなものを食べられるシステムです。

例えば朝食を食べずに出社している従業員は、午前中低血糖状態で仕事をするので集中力がなかったり、イライラしたりして、本来のパフォーマンスを発揮できません。

さらにその状態で昼食でコンビニのお弁当や定食などを食べた場合、急激に血糖値が上がることで食後のだるさや眠気におそわれ、午後になっても高いパフォーマンスで働けません。

しかし「OFFICE DE YASAI」を導入していれば、従業員は少し早く出社するだけで手軽に朝食をとることができます。

気軽にとれるサイズのサラダやフルーツ、お惣菜などがあるので、低血糖のまま働く従業員を減らせます。

もちろんランチとしてもしっかりした食事になるラインナップです。

普段なかなかとることが難しい野菜や海藻を食事の最初に食べることで、急激な血糖値の上昇を防ぎ、午後も高い生産性で働くことができます。

「食」の改善によって従業員の生産性を上げる、まさに理想的な健康経営と言えるでしょう。

「OFFICE DE YASAI 」の導入を健康経営優良法人の取得のための項目の一部として活用している企業事例もありますので、ぜひご活用ください。

まとめ

せっかく従業員の健康維持に取り組んでいても、その理念や施策が目に見えなければ、経営面へのメリットを享受するのは難しくなります。

しかし健康経営優良法人という認定を得ることで、社内外において好循環を生み出すことができます。

もちろん申請にかかる労力は必要ですが、健康経営という視点を無視できない昨今、どうせ取り組むのであれば健康経営優良法人の認定を目指してみてはいかがでしょうか。

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