福利厚生制度
【衛生委員会の議事録】作成方法や記載内容について詳しく解説
衛生委員会をおこなった際は、議事録を作成して保管しなくてはなりません。
しかし、衛生委員会で取り扱う議事の内容は多岐にわたります。
そのため、通常の会議と同じように作成してよいのか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
衛生委員会の設置や開催が法律で定められているからこそ、議事録においても正しい作成方法や保管方法を知っておかなければなりません。
そこで今回は、衛生委員会における議事録の作成方法や、保管の仕方などについて解説していきます。
衛生委員会の議事録作成に不安のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
衛生委員会とは
衛生委員会は、従業員の心身の健康を保つために、事業者が設置するべき組織のひとつです。
毎月1回以上開催される衛生委員会では、従業員の健康維持や促進に向けたさまざまな議題を審議しています。
健康診断やストレスチェックなどの実施を社内に告知するほか、診断結果をもとに改善に向けた対策を計画したり、実施後の結果を審議したりもします。
衛生委員会は、法律によって従業員が50人を超えるすべての事業者に設置が義務付けられており、違反すると罰金が課せられてしまう点は注意が必要です。
しかし、衛生委員会がきちんと機能すれば、職場の環境改善や従業員の健康改善に大きく役立ちます。
衛生委員会の設置目的やメリットを理解し、ぜひ効果的に運営していきましょう。
衛生委員会については、こちらの記事でも詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
衛生委員会の議事録とは
衛生委員会の議事録とは、衛生委員会の開催ごとに作成しなければならない文書のことです。
一般的に会議の議事録というと、会議や打ち合わせ内容の記録として、参加者以外に周知したり、後に見返したりするために作成します。
衛生委員会の議事録も同様です。
衛生委員会メンバー以外の社員に、衛生委員会で取り扱った議題の内容などを周知するために作成します。
一般的な会議の議事録と異なる点は、衛生委員会の議事録は、法律によって作成と保管が義務づけられている点です。
そのため、内容や保管方法については明確な基準が設けられています。
衛生委員会の議事録は周知・保管のルールがある
お伝えしているように、作成した議事録は適切に保管しておかなくてはなりません。
また衛生委員会の議事録の内容は、社内に周知する必要があります。
周知や保管についても、労働安全衛生規則によってルールが設けられています。
ここではその内容について紹介していきましょう。
参考:e-Gov
周知について
衛生委員会の議事録を周知する際は、次のような方法で周知をおこないます。
・全従業員が見ることのできる場所に掲示する
・各従業員に書面で交付する
・ネットワーク上でいつでもアクセス、閲覧できる状態にしておく
それぞれの企業に合った方法であれば、上記のうち、どの方法で周知をおこなってもかまいません。
保管について
作成した議事録は、3年間保存しなければならないと定められています。保管方法については、紙での保管でも電子データでの保管でも構いません。
臨検などで、労働基準監督署から議事録の提出を求められた場合には、3年分の議事録を提出しなければならないため、保管期間に注意して保管しておきましょう。
紙で保管する場合は、すぐに提出できるように年ごとにファイリングするなど、取り扱いしやすい方法で管理するのがおすすめです。
担当者が変わった場合など、保管場所がわからなくなるといったことがないようにしておきましょう。
衛生委員会の議事録に記載するおもな項目
衛生委員会の議事録は労働衛生安全規則第23条によって、記載しなくてはならない内容が決められています。
以下がその2つです。
・衛生委員会の意見と、意見を踏まえて講じた措置の内容
・そのほか、衛生委員会における議事で重要なもの
しかし、議事録の内容がこれだけでは、いつどのような目的で衛生委員会が開催され、どのように議題が扱われたのかといった細かな部分は読み取れないでしょう。
ここではわかりやすい議事録を作成するために、記載しておきたいおもな項目を7つ紹介します。
衛生委員会の議事録を作成する際の参考にしてみてください。
参考:e-Gov
日時・場所
議事録を作成する際は、開催された衛生委員会についての基本情報を記載しておきましょう。
衛生委員会は毎月1回以上開催しなければならないため、日付は忘れないよう記載します。日付を記載することで、毎月開催していることの証明にもなりますし、いつどのような議題を取り扱ったのかがわかります。
開催時間やどこで開催しているのかについても記載しておくことで、衛生委員会の運営状況を把握したり、活動内容の向上させたりすることに役立てましょう。
出席者
衛生委員会の議事録には、出席メンバーの名前を記載するとともに、役職も忘れず記載しておきましょう。
出席者の役職を記録することで、衛生委員会が公正に運営されていることが確認できます。
議長を除いた衛生委員会のメンバーを、事業者側に有利となるようなメンバーで構成することは禁止されています。
衛生委員会メンバーの半数が労働者側で構成されていることを示すためにも、出席者の役職を記載することは重要です。
一般的に事業者側となる従業員は管理職です。
課長以上が事業者側にあたります。
定例の報告項目
衛生委員会でおこなう報告のうち、毎月の定例報告の項目を記載しましょう。以下は、定例報告として挙げられる項目の一部です
・前月の議題に関する進捗や対策についての報告
・各部署からの定期報告
・年間を通して取り扱う議題(長時間労働、ストレスチェックなど)
・月ごとに設定している議題(インフルエンザ、花粉症、熱中症など)
議題・テーマ
議事録には、話し合った内容を議題やテーマごとに分けて記載しましょう。
その際、どの部署に関する議題であるか、誰からの報告かも併せて記載しておきます。
また議題やテーマを記載する際は、衛生委員会の進行順に記載しておくと進行状況がわかりやすくなります。
衛生委員会の運営状況を周知するうえでも、読みやすい議事録となるでしょう。
決定事項
衛生委員会で各議題を話し合った結果決定した事柄についても、議事録に記載しておきましょう。
社内に周知を行った際や、あとから見返した際にわかりやすいように、決定事項は議題やテーマ・定例報告の項目とセットで記載しておくのがおすすめです。
議長・産業医のコメント
開催した衛生委員会に関する内容について、議長がコメントしたものは、まとめとして記載しておきます。
議長は衛生委員会において、中立的な立場で進行したり意見を取りまとめたりする必要があります。そのため議長からのまとめのコメントは、今後の委員会進行や活動のポイントとなる重要な項目です。
また医学的な視点を持つ専門家の意見として、産業医の発言内容も必ず記載しておきましょう。
企業によっては、産業医が毎月参加することが難しいケースもあります。
産業医が欠席している場合でも、次に委員会が開かれる日までに、各項目に対してのコメントや改善点などのアドバイスをもらえるよう、議事録の内容を確認してもらいましょう。
次の委員会の開催日までに産業医からの意見が得られた場合は、忘れずに記載しておくことも大切です。
申し送り事項
未決定のままとなった議題や、次の委員会開催日へ持ち越す議題など、申し送り事項についても記載しておきましょう。
記載した申し送り事項を基にすれば、優先的に進めるべき議題が明確になるため、次の委員会の準備がしやすくなります。
衛生委員会の議事録のサンプル
衛生委員会の議事録は記載事項が多いため、記録しやすいフォーマットを使用して作成するとよいでしょう。
ExcelやWordなどを使って、自社の衛生委員会で使いやすい議事録を作成してみてください。
作成する時間がない場合や、使いやすいフォーマットを作るのが難しい場合、Webサイトに掲載されている議事録のサンプルなどを参考にしてみましょう。
独立行政法人労働者健康安全機構のWebサイトでは、Word形式で作成された議事録のフォーマットが掲載されています。
参考:労働者健康安全機構|産業保健事|情報の提供|各種教材・マニュアル|議事録フォーマット(例)
また同Webサイトに掲載されている衛生委員会活性化テキストの23ページでは、具体的な議事録の作成例が載っています。
議事録の書き方で悩む場合は、ぜひ参考にしてみてください。
参考:労働者健康安全機構|産業保健事|情報の提供|各種教材・マニュアル|衛生委員会活性化テキスト②(P.14~)
衛生委員会の議事録作成時の注意点
衛生委員会の議事録を作成するうえで、注意しておきたい点が2点あります。
・産業医が欠席した場合
注意するべき1つ目は、産業医が欠席した場合の議事録の内容についてです。
産業医が欠席した場合でも、意見聴取した内容は忘れずに議事録に記載しておかなければなりません。
衛生委員会の開催頻度は毎月1回以上と定められているため、社外から産業医にとっては多忙な中でスケジュールを調整しなければならず、開催日によっては欠席することもあるでしょう。
産業医の参加義務はないため、欠席すること自体は特に問題はありません。
しかし、罰則がないというだけで、専門家の立場から見た改善点やアドバイスをおこなう重要なメンバーの1人であることは変わりません。
また、議題の中には、産業医からのアドバイスが必要な項目も多くあります。
そのため委員会を欠席した場合でも、議題の内容は産業医にきちんと確認してもらい、次の委員会までに意見聴取をおこなえるようにしておきましょう。
その際、議事録への記載が漏れていたということのないように注意しておきましょう。
議事録への記載後に、産業医に確認してもらうようにすれば、転記ミスも起きにくくなります。
・個人情報の取り扱いに注意する
衛生委員会をおこなう際、議題によっては個人情報の内容を取り扱う場合もあります。しかし、議事録に個人情報を記載してはいけません。
また、個人が特定されてしまうような議事録の書き方も避けましょう。
衛生委員会では社員の健康診断やストレスチェックの結果だけでなく、病歴や障害の有無、人間関係など、多くの個人情報を取り扱いますが、このような個人の心身に直接関係する情報は「要配慮個人情報」にあたります。
衛生委員会では審議内容を社内へ周知する義務があるため、情報の取り扱いは慎重におこないましょう。
特に従業員の個人情報が漏洩することによって、周囲から偏見を持たれたり差別的な扱いを受けたりなどの不利益が生じてしまうことは、絶対にあってはならないことです。
ましてや議事録に個人情報を記載したり、不用意に個別の事例を扱ったりすることは、衛生委員会の信用を落とすことにもつながってしまいます。
万が一、紛失や漏洩が発生してしまった場合は、個人情報保護委員会に速やかに報告し、また該当者本人へ通知をおこなわなければなりません。
そのような事態を招かないためにも、議事録作成の際は情報の取扱いに十分注意しましょう。
まとめ
今回は衛生委員会の議事録について、作成方法や記載内容などを紹介しました。
慣れないうちは議事録の作成に手間取ることもあるかもしれません。
しかし、既存のフォーマットや記入例を参考にすることで、後から見返しやすい議事録を作ることができるでしょう。
社内への周知をおこなう際も、議事録の内容をスムーズに理解することができれば、健康意識の改善や向上につながります。
日常の中でちょっとした置き換えをすることでも、従業員の健康意識改善に役立ちます。
例えば「ワンフロアだけの移動では階段を使う」「1食だけ健康な食事メニューに変える」といった取り組みは、無理なく続けやすい健康対策です。
特に毎日の食事は健康に直結するため、なるべく従業員に健康的な食事をとってもらうためには、企業側からもサポートするのが望ましいでしょう。
健康を目的とした従業員の食事サポートをおこなう際は、福利厚生として導入できる社食サービスがおすすめです。
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議事録を通して衛生委員会の活動を周知してもらうとともに、取り組みやすい施策で従業員の健康を守っていきましょう。
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