福利厚生制度
スタートアップ企業におすすめの福利厚生とは?導入のポイントも解説
スタートアップ企業の成長を促進させる施策の一つとして、福利厚生の導入や見直しがあります。
今回の記事では、福利厚生についての基本的な知識をはじめ、スタートアップ企業が福利厚生を導入するメリットや導入時のポイント、注意すべき点、スタートアップ企業におすすめしたい福利厚生の具体例を紹介します。
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目次
福利厚生とは?
まずは「福利厚生」について知っておきましょう。
福利厚生は、大きく分けて「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の二種類があります。
●法定福利厚生
法定福利厚生は「企業が従業員を雇用する際、費用負担が法律で定められている」ものが該当します。
一般的な法定福利厚生の一例と内容は以下の通りです。
1.健康保険
・病気やケガをした際の従業員が負担した医療費のサポート
・出産育児一時金や出産手当金、死亡時の埋葬料の支給
2.雇用保険
・失業または退職時における失業手当の支給
・新たな就職活動に向けた就職支援講座の受講
3.労災保険
・「病気やケガによる療養」「労働不可」「賃金を受けていない」3つの条件を満たした際に保険額を支給
4.厚生年金保険
・法律で定められた年金支給年齢に達した際、国民年金保険の支給額に上乗せする形で年金を支給
・病気やケガで障害が残った際の障害年金の支給
・受給者が亡くなった際の遺族への遺族年金の支給
5.子ども・子育て拠出金
・子育て支援を目的として徴収され、雇用者側が全額負担する税金
・従業員の子どもの有無に関わらず、厚生年金に加入している従業員全員を対象とする
6.介護保険
・40歳以上の従業員に加入義務
・介護が必要になった場合、介護サービスを受けるための給付金を支給
●法定外福利厚生
法定外福利厚生は、「企業が従業員のために任意で負担している」ものが該当します。
法定外福利厚生の一例と内容は以下の通りです。
1.災害、慶弔に関するもの
・災害見舞金の支給
・遺族年金の支給
・結婚や出産に対するお祝い金 など
2.企業独自の法定外休暇
・リフレッシュ休暇
・慶弔休暇
・病気療養を目的とした休職制度 など
3.従業員の健康増進、体調管理をサポートするもの
・健康診断や人間ドックの受診費用補助
・ジム、フィットネス、運動施設の利用補助金支給
・メンタルヘルスチェック、ストレスチェックの実施 など
4.勤務時間に関するもの
・ノー残業デー
・時短勤務、フレックスタイム制度
・時差出社、リモートワーク制度 など
5.住宅手当関連
・企業が所有する社宅、社員寮の利用
・住宅手当金の支給 など
6.従業員のスキルアップに関するもの
・資格の取得支援、関連書籍の購入費補助
・海外研修制度 など
7.従業員の資産形成や運用をサポートするもの
・ストックオプション制度
・従業員持株制度
・金融関係のセミナーや相談会の実施 など
8.レクリエーション活動に関するもの
・歓送迎会、忘年会、新年会などの費用補助
・社員旅行の実施
・交流会、親睦会、クラブ活動の奨励 など
9.その他の福利厚生
・社員食堂、食事手当、おやつコーナーの設置
・介護、育児と仕事を両立させるための施設提供
・法定で定められた日数を超える介護休業、育児休業 など
福利厚生の目的
企業が福利厚生を導入する目的は、「従業員とその家族の生活・健康をサポートを行い、安心して働ける業務環境を構築する」ことです。
これは大企業のみならず、中小企業やスタートアップ企業にとっても重要な取り組みです。
スタートアップ企業が福利厚生の導入や制度を拡充することによって、「従業員の満足度が向上」し、「優秀な人材の獲得」や「離職防止」、「従業員のモチベーションアップ」や「生産性の向上」といった効果を期待できるでしょう。
スタートアップ企業で福利厚生を導入するメリット
スタートアップ企業は「どんな福利厚生が従業員に喜ばれるか、効果があるか、を測定しやすい」というメリットがあります。
多くの従業員を抱える大企業と比較すると、社員との距離が近く、社内の風通しが良い傾向にあるスタートアップ企業は、従業員一人ひとりの意見や希望を聞きやすい環境といえるでしょう。
しかし、事業を立ち上げて間もないスタートアップ企業は、大企業と違い、長年の経営で培った基盤や経験がありません。
そのため、事業初期の課題や、資金繰りの難しさなどから「福利厚生の充実にまで手が回らない」というスタートアップ企業も多いのではないでしょうか。
従業員にとって効果のある福利厚生を模索し、満足度の高い福利厚生を早期に見定めることで、より従業員の心身にプラスとなる福利厚生を導入できるでしょう。
企業の魅力を向上できる
スタートアップ企業の社風に基づいたユニークな福利厚生や、業務内容に関連する福利厚生を導入すると、企業の魅力を向上できる可能性があります。
一般的に起業したばかりのスタートアップ企業は、大企業よりも知名度が低い傾向にあります。
たとえ、従業員や取引先の企業が社風や業務内容を理解していたとしても、スタートアップ企業自体の知名度を高めるには至らないでしょう。
こういった場合、スタートアップ企業ならではのユニークな施策をプラスすることは、制度を介して自社への認知度を高めるきっかけを作りに寄与します。
社風や事業内容といった事柄への理解も期待できるでしょう。
さらに、導入した福利厚生が話題となり、ネットニュースやSNSなどのソーシャルメディアで取り上げられた場合は、スタートアップ企業の知名度やイメージアップにも一役買ってくれる可能性があります。
従業員の健康増進・モチベーション向上につながる
福利厚生の導入は、従業員の健康増進やモチベーションの向上につながる可能性もあります。
健康増進・モチベーション向上に効果のある代表例として、「スポーツジムの利用に関するもの」があります。
スポーツジムで体を動かすことによって運動不足の解消につながることはもちろん、適度な運動によるストレスの解消、仕事のパフォーマンスを改善するといった効果があるといわれています。
大手企業の福利厚生に「社内にスポーツジムが併設されている」「提携するスポーツジムを無料で利用できる」といった運動系のものが多くみられるのは、効果が実証されているからでしょう。
スタートアップ企業でも、「スポーツジムの利用」「共用の運動器具を社内に設置する」など、予算に見合った範囲で運動に関する福利厚生を導入してみるとよいでしょう。
人材の獲得や維持につながる
福利厚生の充実によって、知名度の低いスタートアップ企業でも新卒採用や中途採用の募集時にアピールポイントとなり、人材の獲得へとつながる可能性は多いにあります。
従業員は、企業の大小にかかわらず「働きやすい制度」や「安心して仕事ができる環境」に魅力を感じる傾向があります。
福利厚生が充実しているスタートアップ企業の方が「より働きやすそうな企業だ」という印象を与える可能性も充分あるでしょう。
また、従業員の満足度が向上することで、離職率を低くする効果も期待できます。
節税できる
福利厚生にかかった費用は「福利厚生費」という科目で計上することが可能です。
そのため、スタートアップ企業の節税対策としても有効でしょう。
「福利厚生費」として計上するには、以下の3点を満たすことが必要です。
1.賃金ではない
2.従業員全員を対象としている
3.社会通念上、妥当な金額
例えば「特定の役職に限り、人間ドックの費用を負担した」「一泊二日の社員旅行で一人当たり数百万円の費用を計上した」といった場合は、福利厚生費として認められません。
「要件を満たしておらず、計上できなかった」という事態に陥らないよう、スタートアップ企業も、要件を全て満たした福利厚生の導入を心がけましょう。
スタートアップ企業が福利厚生を導入する際に注意すべき点
福利厚生を導入する際は、さまざまな注意点があります。
スタートアップ企業にとっては、初めてのことで不明点も多々あることと思います。
どのような点に注意すべきか、詳しく見ていきましょう。
従業員のニーズに合っているか
福利厚生は従業員のために導入するものです。
そのため、大企業はもちろんスタートアップ企業でも、従業員一人ひとりのニーズに合ったものを適切に選び、導入することが大切です。
ワークライフバランスを大切にする従業員が多い場合は「リフレッシュ休暇制度」を、子育て世代が多い場合は「フレックスタイム制度」による子育て支援や「家族の誕生日休暇」といった制度が考えられます。
また、知識向上やスキルアップを望む従業員が多い場合は、「書籍購入費」や「資格取得支援制度」といったスキルアップに有効なものが効果的でしょう。
従業員に声がけやアンケートを行い、現場の具体的なニーズを把握した上で、より良い福利厚生の導入を図ることがポイントです。
過剰な予算をかけすぎていないか
福利厚生に過剰な予算をかけすぎていないかも注意すべきポイントです。
大企業と違い、スタートアップ企業は予算が限られています。
大企業の施策に学ぶことも一つの方法ですが、全てを参考にしてしまうと予算オーバーとなり、スタートアップ企業の経営自体を危うくする可能性があります。
予算額をあらかじめ決め、その予算内の範囲で、より従業員のニーズに合った福利厚生の導入を目指すのがおすすめです。
管理に負担のかかるものになっていないか
最後に、福利厚生の管理に負担がかかっていないかも注意しておきましょう。
スタートアップ企業が独自の福利厚生を導入する場合、導入後の制度管理に負担がかかってしまい、想定以上に経営者や担当者の重荷となるケースも考えられます。
負担を軽減する有効な手段の一つとして、福利厚生サービスを取り扱うアウトソーシング会社の活用が挙げられるでしょう。
経営者や担当従業員の負担が少なく、スタートアップ企業の従業員一人ひとりに合ったサービスがあるアウトソーシング会社を選ぶとよいでしょう。
スタートアップ企業におすすめの福利厚生
スタートアップ企業におすすめしたい福利厚生とは、具体的にどのようなものでしょうか?
今回は、数ある福利厚生サービスを取り扱うアウトソーシングの中から、スタートアップ企業でも導入しやすい3社を紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)
OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)は、社内に専用の冷蔵庫(冷凍庫)を設置する「置き型健康社食」をはじめとした、食の福利厚生サービスを取り扱っています。
利用人数の規定は「常時5名以上が働いている事業所」というだけですので、日本全国どこでも導入できます。
人数に合わせたプランの提案も受けられるため、少数精鋭のスタートアップ企業でも導入が可能です。
2024年3月時点では「オフィスでやさい(冷蔵)」、「オフィスでごはん(冷凍)」、「うぇるもぐ(アプリ)」の3つのプランを取り扱っており、スタートアップ企業の従業員のニーズに合わせて選ぶことができます。
休憩時間の間食や、社内でのランチに手軽にサラダやフルーツなどをプラスしたい場合は「オフィスでやさい」、社内に電子レンジがあり美味しく健康的なご飯や総菜が欲しい場合は「オフィスでごはん」、専用アプリで従業員一人ひとりに合わせた食事のレコメンドを受けたい場合は「うぇるもぐ」がおすすめです。
福利厚生サービスの提供開始から累計10,000拠点以上(2024年2月時点)と幅広い業界・規模の導入実績があるため、公式サイトで導入事例が多数掲載されているのもポイントです。
スタートアップ企業の業種や規模と近い導入事例を確認することで、福利厚生導入後のイメージをつかみやすくなるでしょう。
リロクラブ
リロクラブは、従業員の健康支援・ライフプラン支援・セミナーや研修など、多種多様な福利厚生サービスを取り扱っています。
リロクラブは地域の活性化にも注目しており、地域格差がないサービスを目指しているのも特徴の一つです。
そのため、首都圏や大都市の企業だけでなく、地域のスタートアップ企業にとっても導入しやすい福利厚生サービスと言えるでしょう。
福利アプリ
福利アプリは、提携施設の割引によって「低コストで生活の質を高める」サービスを提供しています。
日常生活でも利用しやすいコンビニや映画館をはじめ、フィットネス、引っ越し業者、知育玩具、ベビーシッターなど、さまざまな施設とサービスを割引価格で利用できるのが特徴です。
従業員一人ひとりのニーズに幅広くマッチするだけでなく、予算が潤沢ではないスタートアップ企業でも低コストで導入できる点も魅力でしょう。
まとめ
今回は、スタートアップ企業が福利厚生を導入する際のポイントや、スタートアップ企業におすすめの福利厚生について説明してきました。
従業員の満足度やモチベーションがより重要になるスタートアップ企業にとって、ニーズに合った福利厚生を導入することで、そこにかかる経費以上のさまざまなメリットが得られる可能性があります。
従業員一人ひとりが安心して働ける業務環境をつくるために、ぜひ福利厚生の導入や見直してみましょう。
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