企業の健康経営

-2024.04.29.Mon

健康診断の事後措置とは?企業側がとるべき対応を詳しく解説

従業員に対して、定期的な健康診断を実施することは企業の義務ですが、健康診断の結果が出たあとの措置は正しくおこなえているでしょうか。

従業員に長く健康に働いてもらうためにも、健康診断を実施したら、診断結果を基に適切に事後措置をおこなう必要があります。

今回の記事では、なぜ健康診断の事後措置が必要なのかをお伝えするために、事後措置の目的や意義、事後措置をおこなう上でのポイントや注意点なども解説します。

ぜひ健康診断の事後措置について理解し、自社社員の健康維持と促進に役立ててください。

健康診断の事後措置とは

健康診断で異常な所見が認められた従業員に対して、企業は医学的知見を基に必要な事後措置を取らなければなりません。

健康診断の事後措置は、年に1回の健康診断と合わせておこなうことが企業に義務付けられています。

事後措置の内容は、健康診断を受けた従業員の実情を考慮しつつ、改善に向けた措置である必要があります。

たとえば労働時間を見直したり、作業環境を見直したりなど、必要に応じてさまざまです。

また作業環境を測定したり、施設や設備を設置したり整備したりするほか、衛生委員会への報告なども含まれます。

それでは、なぜ事後措置をおこなわなければならないのかについて考えていきましょう。

次の項では、事後措置の目的と意義について解説します。

参考:e-GAV「労働安全衛生法」

健康診断の事後措置の目的・意義

健康診断の事後措置は、従業員の健康を守ることを大前提としています。そのうえで、企業としての義務を守ることが目的です。

けして「義務だから」というだけでおこなうのではなく、あくまで自社の従業員の健康状態を改善し、健康リスクを下げるためにおこなうことが大切です。

事後措置をおこなう意義として、以下のようなことが挙げられます。

まず健康診断と事後措置を正しくおこなうことにより、従業員の健康改善や維持促進ができます。

また健康状態がよいことで従業員のパフォーマンス向上につながり、生産性アップが期待できるでしょう。

健康経営優良法人として、企業のイメージアップや株価上昇といった社会的評価を得られるメリットもあります。

経済産業省が実施する「健康経営優良法人認定制度」に申請し認定を受けることができれば、会社の大きなアピールポイントとして、人材獲得にも役立つでしょう。

健康診断と事後措置を正しくおこなうことで、こうしたさまざまな効果をもたらすことができるのです。

健康診断の実施から事後措置までの流れ

健康診断の実施から事後措置をおこなうまでの流れは、主に5段階に分けられます。

1.健康診断を実施する

まずは自社の従業員に対して、労働安全衛生規則第四十四条に則って健康診断をおこないます。

正社員以外にパートやアルバイトなども、一定の条件を満たしていれば健康診断を受けさせることが可能です。

2.異常所見の有無を確認する

健康診断をおこなったら、実施した医療機関から診断結果を受け取り、各従業員に異常所見が認められるかの確認をおこないましょう。

健康診断の結果に「経過観察」「要再検査」「要精密検査」「要治療」などといった判定がついている場合、異常所見が認められるということになります。

3.健康診断の結果を通知する

健康診断の結果は、受診した従業員全員に通知することが義務付けられています。

結果を伝えることで、従業員が自分の健康状態を把握するだけでなく、セルフケアに取り組むことができることを目的としています。

また「要再検査」「要精密検査」が記載されている従業員へ受診を促すことも、企業がおこなうべき措置の1つです。

4.医師からの意見を聴取する

異常所見が認められた従業員について、企業は健康診断をおこなった医師から意見を聴取する必要があります。

産業医がいる場合は産業医へ相談し、いない場合は労働者の健康管理に対する知識を持った医師へ相談します。

また従業員の労働環境や労働時間、作業量などを医師に確認してもらうため、職場巡視の機会を設けなくてはなりません。

特に常時50名以上の労働者を持つ事業場の場合、医師の職場巡視は義務となっているため、医師と相談して適切な時期に実施できるよう調整しましょう。

5.事後措置の内容を決定する

労働環境などの巡視をおこなって医師の意見を聴取した結果、異常所見の判定を受けた従業員に対し何らかの事後措置が必要であると判断した場合は、医師の意見を踏まえて措置内容を決定しましょう。

措置の内容は大きく分けて2つあります。労働時間の短縮や時間外労働の制限、作業内容の見直しといった「就業制限」と、休暇や休業が必要な「要休業」があります。

措置内容を決定するほか、作業環境の測定を実施したり、衛生委員会へ報告したりといったことも必要です。

これらについては次の項で詳しく解説します。

健康診断の事後措置に関連するポイント

事後措置を講じるにあたって、措置そのもののほかにおこなうべきポイントがいくつかあります。ここでは事後措置に関連するポイントとして、3つ解説していきます。

健康診断の結果の保存について

健康診断の結果はどのように保管しているでしょうか。

異常所見がなかったからといって、従業員に渡して終わりではありません。

企業は健康診断の結果を基に、従業員ごとに内容を記録した「健康診断個人票」を作成し、保存する義務が定められています。

また個人票の作成方法や保存方法にも、一定のルールがあります。

まず個人票の作成は、労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)の第五十一条「健康診断結果の記録の作成」に定められているように、様式第5号を使用して作成します。

第五十一条には、個人票を5年間保管することも明記されています。

2020年8月に施行された「改正労働安全衛生関連法案」によって、健康診断個人票や定期検診の結果報告書への医師の押印は不要になりました。

保存方法は紙媒体でも電子媒体でも構いません。電子媒体で保管するのであれば、保管スペースも不要です。

このように、書類作成や管理の手間は少なくなってきています。 

ぜひ管理のしやすい方法で、定められた期間まできちんと保管しておきましょう。

参考:e-GOV「労働安全衛生規則」じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について

産業医や保健師による指導

労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第六十六条の七によって、事後措置をおこなう際は、産業医や保健師による指導が義務づけられています。

指導の対象となる従業員に合わせて、生活習慣を改善するためのアドバイスや具体的な取り組み方を指導してもらいましょう。

また就労環境を確認してもらい、作業の量や時間が適切であるか、勤務形態に無理がないかについても、産業医や保健師からのアドバイスや指導を受けて、改善していきます。

これらの指導を受けることは事業所の義務ですが、六十六条の七第二項では、労働者に対しても「保健指導を利用して、健康保持に努める」と明記されています。

つまり、アドバイスや指導を基に、労働者は健康状態の改善と保持をおこなう「自己保健義務」があるのです。

しかし、労働者が生活習慣の改善をおこなわないなど、自己保健義務に違反している場合でも、法的な罰則はありません。

また自己保健義務を果たさないために、遅刻や早退・欠勤が多発していたり職務怠慢が認められたりする場合でも、悪質性が高いなど処分と相当する内容でなければ、労働契約法第十五条により無効となる場合があります。

労働者が健康改善に取り組んでくれるよう、普段から社内コミュニケーションや職場環境の整備を積極的におこなっていきましょう。

参考:e-GOV「労働安全衛生法」「労働契約法」

労働基準監督署への報告

労働安全衛生規則第五十二条に基づき、労働者が常時50人以上の事業者は、所轄の労働基準監督署に健康診断の結果を報告しなくてはなりません。

結果の報告は、「定期健康診断結果報告書(様式第六号)」を用いて作成します。

様式は厚生労働省ホームページの「各種健康診断結果報告書」のページよりダウンロードすることができます。

また現在では、労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービスから、ブラウザ上で申請書の作成や電子申請をおこなうこともできます。

入力支援サービスで申請書を作成する際、事前の申し込みや登録・審査などは必要ありません。また入力した情報は、自社のパソコンに保存が可能です。

書類の手書き作成や紙での管理を見直したいと考えている事業者の方は、ぜひ活用してみましょう。

ただし電子申請も一緒におこなう場合は、Microsoftアカウントやe-GOVアカウント、GビズIDのいずれかが必要ですので注意しましょう。

また電子申請はスマートフォンなど、モバイル端末からも操作することができます。

健康診断の事後措置に関する注意点

健康診断の事後措置をおこなう場合、大きく2つ注意しなければならないポイントがあります。

健康診断結果を基に労働者にとって不利益になる扱いをしないことと、個人情報の取り扱いについてです。

以下で詳しく説明していきます。

健康診断結果に基づく不利益な取り扱いは厳禁

健康診断の結果によって、労働者に不利益が生じるような扱いをすることがあってはなりません。

たとえば、健康診断の結果が思わしくないからといって退職を促したり、契約の更新をしなかったりすることは、労働者の不利益となります。

また健康診断の結果を理由に、必要のない転勤や移動をおこなったり降格させたりといったことも、すべて禁止されています。

事後措置としておこなう休職や労働内容の見直しは、医師の診断とアドバイスに基づいた、適切な措置の範囲内でおこなうようにしましょう。

個人情報の取り扱いに注意

事後措置をおこなう際は、個人情報の取り扱いにも注意が必要です。

個人情報というと、住所や生年月日、家族構成などを思い浮かべる方も多いでしょう。

健康診断の結果を従業員同士で話題にしたり見せ合ったりなどは、よくある光景かもしれません。

しかし健康診断の結果や事後措置の内容は「要配慮個人情報」にあたります。

そのため「健康診断を受けた方の既往歴」や「健康診断の結果」「事後措置の内容」などを、本人以外が不用意に取り扱うことがあってはなりません。

それらの内容が記載された書類の取り扱いや、知り得た情報については、流出しないよう十分に注意し、しっかり管理しておきましょう。

従業員の健康意識の向上に「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」

オフィスで野菜

食事面での指導が必要な従業員に対しては、事後措置の一環として食事補助を活用してみてはいかがでしょうか。

日々の食事習慣を変えていくことは、意外と難しいものです。

忙しさからつい食事を抜いてしまったり、偏った食事内容になってしまったりするのはよくあるケースでしょう。

食事補助を活用した改善サポートをおこなうことで、従業員の食事習慣の変化を促し、健康状態の改善を目指すことができます。

食事補助に役立つサービスは数多くありますが、健康意識の向上や食事習慣の改善を目指すのであれば「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」がおすすめです。

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従業員にとっても、コンビニよりも安くて美味しい惣菜を一品追加するだけで栄養バランスを意識できるため、無理のない食事習慣の改善が可能です。

毎月新メニューが登場したり、旬の食材が使われていたりと飽きのこない工夫がされているため、長く続けやすい点もOFFICE DE YASAIの魅力です。

まとめ

今回は、健康診断の事後措置について解説してきました。

法律的なルールや注意点が多く、事後措置をきちんと実践できるのか不安になる担当者の方もいるかもしれません。

事後措置の実施は、医師のアドバイスを基に適切な内容でおこない、ルールに沿って書類を管理するという2つのポイントを押さえることが大切です。

事後措置についてわからないことや不安なことがあれば、管轄の労働局や労働基準監督署に問い合わせてみてもいいでしょう。

ぜひ事後措置を正しくおこない、従業員の健康改善や維持に取り組んでください。

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