福利厚生制度
従業員のモチベーションに影響する「衛生要因」「動機付け要因」とは?やさしく解説
人材不足が深刻化する中、日本の多くの企業が現在働いている人材にどうしたら高いモチベーションで長く働いてもらえるかという悩みを抱えています。
本記事では、従業員のモチベーションに影響する「衛生要因」「動機付け要因」について、やさしく解説いたします。
従業員のモチベーション向上に興味はあるけれど、何から手をつけたらよいのかわからないという経営者の方、マネジメントする立場の方、総務部の担当者の方にとってヒントになれば幸いです。
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目次
従業員のモチベーション向上は会社の重要課題
人材不足の今、従業員のモチベーションを上げることは多くの会社で重要な課題のひとつとなっています。
その理由は従業員のモチベーションが向上することで、生産性の向上や離職率の低下などの効果を期待できるからです。
モチベーションとは
そもそもモチベーションには、やる気や動機付けという意味があります。
モチベーションは、従業員の興味関心によって生まれる「内発的動機付け」と、報酬や昇格のような「外発的動機付け」の2種類に分けられます。
一般的にモチベーションマネジメントの文脈で使われる場合、モチベーションが長時間持続する「内発的動機付け」をマネジメントする言葉として使われることが多いようです。
モチベーションを高める必要性
少子高齢化が進み、働く世代の人材の確保が難しい現在の日本企業において、生産性を上げることと人材の定着率を高めることは喫緊の課題です。
従業員のモチベーションを向上させることで、これらの課題を解決する効果が期待できます。
・従業員ひとり一人の生産性がアップする
モチベーションが高まると、従業員は仕事に意欲的に取り組むようになります。
その結果、ただ決められたルーティンをこなすだけでなく、問題解決意識を持ってPDCAサイクルを回すような仕事ができるようになるでしょう。
ひとり一人の従業員が高い生産性で働くようになれば、人材不足を補うことができます。
・離職率が低下し、定着率が上がる
モチベーションの向上により、会社への帰属意識が高まれば、離職率の低下も期待できます。
「自社の発展に貢献したい」「自社の目的達成のために、自分も営業目標を達成したい」など、会社への帰属意識が高い従業員は長く自社で働いてくれるでしょう。
人材の定着率が上がれば、チーム内のメンバーも気心知れた人が集まるので、雰囲気がよくなり円滑に仕事を進めやすくなります。
また従業員のスキルや技術が外部に流出することなく、自社内でステップアップしていくので、一から社員教育をする必要がなく、技術の発展に注力することができるのもメリットです。
・チームや企業全体に活気が出る
帰属意識が高い従業員の多い会社は、チームや企業全体に活気が出てきます。
チームや企業をよりよくするためのアイデアを積極的に考えたり、情報交換したりするので、前向きに仕事に取り組むことができます。
SNSで会社にマイナスイメージをもたらすような書き込みをしたり、ブランドイメージを下げるような振る舞いをしたりする従業員がいないので、ブランディング戦略上もよい効果をもたらすでしょう。
従業員のモチベーションアップの向上は、チーム単位でのやる気の醸成にもつながり、好循環を生むのです。
モチベーションに影響する「動機付け要因」と「衛生要因」
さて、モチベーションアップが会社にとってよい影響をもたらすことはわかっていても、どのように従業員のモチベーションを向上させればよいのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
本章では、モチベーションに影響する「動機付け要因」と「衛生要因」という二つの要因についてご説明します。
そもそも「動機付け要因」と「衛生要因」という言葉は、アメリカの臨床心理学者のフレデリック・ハーズバーグが提唱した「二要因理論」に出てくるものです。
二要因理論では、仕事への満足度を「動機付け要因」と「衛生要因」の関係性によって成立するとしており、現在のモチベーションマネジメントなどではこの手法が使われています。
衛生要因とは
衛生要因とは、仕事の中でも特に「不満」にかかわる要因のことです。
例えば、給与、労働条件、福利厚生、会社の経営方針、人事労務体制、職場の人間関係などが衛生要因として考えられます。
衛生要因が満たされると不満そのものは解消されますが、仕事への満足感は得られません。
動機付け要因とは
動機付け要因とは、仕事の中でも特に「満足」にかかわる要因のことです。
例えば、達成感、承認されること、業務への満足感、昇進や昇格、責任や権限などが挙げられます。
動機付け要因が満たされると、満足感を得ることができますが、不満が解消されるわけではありません。
衛生要因と動機付け要因の関係性とは?
このように衛生要因と動機付け要因のどちらかだけが満たされたとしても、従業員のモチベーションの向上にはつながりません。
衛生要因と動機付け要因の両方が満たされてはじめて、不満が解消され、満足度が上がり、従業員のモチベーションが上がるという関係性になっているのがポイントです。
したがって企業側は自社の衛生要因と動機付け要因の現状をしっかり把握した上で、どちらも満たせるような施策を考える必要があります。
衛生要因と動機付け要因を満たすメリット
それでは衛生要因と動機付け要因の二つを満たすメリットとして、どのようなものがあるのか、それぞれ考えてみましょう。
衛生要因を満たすメリット
衛生要因を満たすメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
・従業員の離職を未然に防げる
・社内の人間関係による心身の不調を防げる
衛生要因が満たされていないと、従業員は会社そのものに対して不満を感じるようになります。
その結果、衛生要因の構成要素である労働条件や労働環境といった面に目が向くようになり、もっと環境のよい会社はないかと転職を考え始めるのです。
衛生要因を満たせば、会社に不満を感じることを未然に防ぎ、離職を考える環境を作り出さないようにできるでしょう。
また労働環境という点では、昨今社内の人間関係に悩み、心身を病んだり離職したりする従業員が増えています。
人間関係を含む衛生要因を満たすことで、離職だけでなく休職や従業員の不調を防ぐことにもなります。
その結果、従業員は心身ともに健康な状態でいられるので、高いパフォーマンスを発揮することができるのです。
動機付け要因を満たすメリット
動機付け要因を満たすメリットとして、次のようなものが挙げられます。
・従業員自身がやりがいを感じる
・従業員ひとり一人の生産性が上がる
・離職率が下がる
衛生要因が不満足要因と呼ばれる一方で、動機付け要因は促進要因とも呼ばれます。
動機付け要因が満たされると、仕事にやりがいを感じるようになり、従業員一人ひとりの生産性が上がります。
生産性の高い従業員の集まったチームや企業は前向きな人が増えるので、人間関係も居心地のよいものとなるでしょう。
その結果、会社への帰属意識が高まり、離職率をも下げる効果をもたらすのです。
衛生要因と動機付け要因を満たすポイント
それでは、衛生要因と動機付け要因の二つを満たすためのポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは5つのポイントをご紹介します。
企業の理念や計画を示す
1つめのポイントは、「企業の理念や計画を示すこと」です。
従業員は、自身の業務が会社に貢献していると実感することで、仕事に対する満足度が上がります。
そういった状況を作り出すためには、経営陣が企業の理念や、中長期的な計画を従業員に共有することが必要です。
経営陣も現場の従業員も、同じ目標に向かってそれぞれの業務に取り組むことができるので、一体感を感じられるでしょう。
また自身の業務が企業の理念や計画に対してどのくらい貢献できているのか、数値で可視化できる仕組みがあれば、さらなるモチベーションアップが期待できます。
人事評価制度の見直し
2つめのポイントは、「人事評価制度の見直し」です。
「動機付け要因」の説明で触れたとおり、従業員は自分の仕事を会社にきちんと評価してもらいたいと考えています。
それを実現するためには、従業員にとって納得感があり、自分の努力や出した成果に対して公正であると思える人事評価制度が必要です。
自社の人事評価制度が、第三者視点で見ても不公平感のない、明確な評価項目であるかを確認しましょう。
コミュニケーションの活性化
3つめのポイントは、「コミュニケーションの活性化」です。
社内のコミュニケーションが活性化していない状態は、人間関係がうまくいっていなかったり、意見が言えなかったりする状態である可能性が高いです。
職場の人間関係は衛生要因のひとつであり、また常に離職理由として上位に挙がっています。
逆に言えば、社内コミュニケーションを活性化することで、人間関係についての衛生要因を満たし、円滑な人間関係を築ける職場を目指せるのです。
承認の機会を与えること
4つめのポイントは、「承認の機会を与えること」です。
2つめのポイントで上げた人事評価制度では、業務やその成果に対して上司や経営陣側から主に金銭的な評価を受けることができます。
ここで言う「承認の機会」とは、動機付け要因のひとつで、同僚や身近な上司から称えてもらったり、お互いに認め合ったりする機会のことです。
例えばGoogle社では、ピアボーナスを評価指標として採用しており、日本国内でも導入する企業が増えています。
ピアボーナスとは、「ピア(peer:仲間・同僚)」と「ボーナス(bonus:報酬)」を合わせた言葉で、従業員同士が互いに報酬(ボーナス)を贈り合うことができる仕組みのことです。
ツールなどを通して、従業員同士がお互いに業務の貢献や成果に対して少額の報酬をプレゼントし合う仕組みが多いようです。
褒め称え合う風土が醸成されると、衛生要因に関連する3つめのポイント「コミュニケーションの活性化」にもつながるので、承認の機会としてピアボーナスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
権限を持たせる
5つめのポイントは、「権限を持たせる」です。
前述の動機付け要因のひとつに「責任と権限」を挙げました。
従業員は上司に言われた業務をただこなすだけでは、やりがいや満足感を持ちづらくなります。
従業員は責任のある重要な仕事を任されたり、裁量権を持たされたりすることで、1つめのポイントに挙げたように会社への貢献感を実感することもできるでしょう。
ただし過度に権限を持たせることは、マネジメント上のリスクにも繋がりかねない上、従業員によってはプレッシャーに感じてしまうこともあります。
権限を持たせたことによって、従業員が離職する可能性も出てきてしまうのです。
従業員の適性や性格、目指す方向性などを見極めた上で、権限を持たせることが大切でしょう。
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衛生要因を満たすための施策として有効なのが、食の福利厚生です。
そして食の福利厚生の中でも、あらゆる規模の企業におすすめできるのが、置き型健康社食の「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」です。
置き型健康社食とは、オフィスの一角に専用の冷蔵庫などを設置するタイプの食の福利厚生サービスです。
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前述した衛生要因を満たすポイントの1つに「コミュニケーションの活性化」を挙げましたが「OFFICE DE YASAI」の設置により、社内コミュニケーションを促進することができるのです。
社内の休憩室や共有スペースの近くに「OFFICE DE YASAI」を設置すると、そこに従業員が息抜きのために集まるようになります。
そこで従業員同士の会話が生まれたり、普段かかわることのない他部署の人とのつながりができたりして、コミュニケーションが活性化するでしょう。
同じチーム内の人間関係で悩みを抱えている場合、内部の人には相談しづらいものですが、他部署の人になら相談したり愚痴をこぼしたりできることは多々あるものです。
このようにコミュニケーションの活発な職場環境になることで、人間関係がよくなり、衛生要因にも好影響を与えることができます。
また福利厚生そのものが衛生要因でもあるので、食の福利厚生が整備されていることは衛生要因を満たすことにもなります。
まとめ
従業員のモチベーションを向上させるために必要な、衛生要因と動機付け要因についてご説明してきました。
従業員のモチベーションアップにお悩みの方は、まずは自社が衛生要因と動機付け要因の中で、どのような点が足りないのかを整理してみてはいかがでしょうか。
その上でまずは衛生要因と動機付け要因の二つの要因をバランスよく満たせるような施策を考えることが必要となるでしょう。
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