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-2023.01.27.Fri

eNPSとは?従業員のエンゲージメントを働きやすい職場づくりに活かす

現在、日本の多くの企業は少子高齢化による働き手不足に悩んでいます。

そのため自社の従業員の離職を防ぎ、定着率を高め、また従業員一人ひとりの生産性を上げることが喫緊の課題となっている状況です。

このような状況下で注目されているのが「eNPS」です。

本記事では、eNPSを活用することで、従業員のエンゲージメントを働きやすい職場づくりに活かし、従業員の定着率を高めるための方法について解説します。

eNPSとは

eNPS(イーエヌピーエス)とは、Employee Net Promoter Scoreの略で、従業員の自社への愛着や満足度、仕事のやりがいなどを数値化したものです。

従業員に対して「家族や親しい友人などに、あなたの職場をどのくらい勧めたいか」と質問し、その答えから「職場の推奨度」を数値化します。

eNPSに似た用語としてNPSがありますが、こちらは「自社の製品やサービスを友人や家族にどれくらい勧めたいか」なので、職場ではなく商品やサービスの推奨度となります。

従業員満足度(ES)との違い

従業員の自社への満足度を計る指標として、ES(Employee Satisfaction)がよく知られています。

eNPSとES(従業員満足度)は似ているようですが、2つの大きな違いがあります。

1つめの違いは、eNPSの方がESよりも従業員の満足度の実態をつかめるという点です。

ESでは「職場に満足していますか」と聞きますが、eNPSでは「友人や家族に職場を勧めたいですか」という聞き方をします。そのためeNPSに回答するときの方が、より責任を持って真摯に答えようという心理が働くのです。

このことから、従業員の意識の実態により近い回答を引き出すことができます。

2つめの違いは、eNPSの方がESよりも問題解決のための具体的なアクションをとりやすいという点です。

詳細は後述しますが、eNPSは点数に応じて従業員をセグメント化するので、セグメントごとの傾向を分析し、最適な施策を講じることができます。

eNPSの活用・向上を目指すメリット

eNPSを活用し、向上を目指すことで、企業には次のようなメリットがあります。

1つめは、離職率を低下させるというメリットです。

従業員の離職を防ぐためには、早めに予兆をキャッチして離職理由の芽を摘むことが大切です。

eNPSの点数が低い従業員や、前回調査のときよりも点数が下がった従業員などを重点的にフォローすることで、離職を防ぐことができます。

2つめは、リファラル採用が期待できるというメリットです。

リファラル採用とは、自社の従業員からの紹介で新たな従業員を採用することです。

既に職場に対して深く理解している従業員からの紹介であれば、採用でのミスマッチが起こる可能性が低いので、定着率の高い人材を低コストで採用できます。

3つめは、顧客満足度アップが見込めるというメリットです。

eNPSが高いということは企業理念など会社に対するエンゲージメントが高く、顧客満足度を追求した仕事をするということです。

顧客の求める製品開発やサービス向上を考えて仕事をするので、企業の業績アップにもつながります。

そして4つめは、企業の生産性が上がるというメリットです。

エンゲージメントの高い従業員が多いチームは、主体的に仕事に取り組む人が多く結束力も高まるため、企業全体の生産性が上がります。

eNPSの計測方法

それではさっそく、eNPSの計測方法をご紹介しましょう。

従業員に対して質問する

eNPSの計測方法はとても簡単で、従業員に対して1つの質問をするだけです。その質問とは「あなたは家族や親しい友人、知人から、自社で働きたいと言われたとき、どのくらい勧めたいと思いますか?」というものです。

従業員には質問に対する答えを、0点(まったく勧めたいと思わない)から10点(非常に勧めたいと思う)までの11段階で回答してもらいます。

「推奨者」「中立者」「批判者」に分類

次に、前章の質問で出た答えを点数ごとに以下の3つのセグメントに分類します。

・10、9点:推奨者
・8、7点:中立者
・6~0点:批判者

それぞれのセグメントについて説明しましょう。

一番点数の高い「推奨者」とは、職場に対する満足度が高く、仕事に対してもやりがいを感じている集団です。推奨者は「プロモーター」とも呼ばれます。

顧客への貢献にやりがいを感じ、企業価値を高めて利益を生み出すことができる人々です。

次に点数の高い「中立者」とは、「推奨者」ほどの満足度ややりがいは感じていないものの、現在のところは満足しているという集団です。

「中立者」は「パッシブ」とも呼ばれますが、これは「受動的に満足している」という意味です。

企業理念などへの共感が薄い可能性があり、「プロモーター」ほど顧客貢献や企業価値を高めることに熱意がないとみられます。

一番点数の低い「批判者」は「デトラクター」とも呼ばれます。職場に対して不満があり、否定的であると考えられる集団です。

仕事に対する意欲が低いため、企業価値を高めるような働きをしなかったり、逆に顧客満足度を下げるような働きになってしまったりするリスクをはらんでいます。

eNPSのスコアを算出

eNPSのスコアは、前章のセグメントをもとに算出します。「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた値が、そのままeNPSスコアとなります。

例えば「推奨者が20%」「中立者が40%」「批判者が40%」の企業であれば、「20-40=-20」なので、eNPSスコアは「-20%」となります。

つまり「推奨者」が多くて「批判者」が少ないほど、eNPSの値は高くなるというわけです。

eNPSの平均スコアは?

自社のeNPSのスコアを算出しても、その数値が他社と比べて高いのか低いのかわからないと、どう捉えたらよいのか悩んでしまうかもしれません。では、eNPSの平均スコアはどのくらいなのでしょうか。

株式会社ビービットが日本企業の16業界に対しておこなった調査によると、全体の平均スコアは「-61.1」という結果でした。

この中でもっとも高い業界は「官公庁・自治体・公共団体」で、eNPSスコアは「-41.3」でした。一方、もっとも低い業界は出版・印刷関連産業で、「-76」となっています。

高い業界のスコアであっても、マイナスで示されるので驚くかもしれません。

要因としては、「中立者」がスコア算出にカウントされない点や「批判者」が0~6点までと広い範囲である点などが考えられます。

また日本は欧米諸国と比べて、eNPSの数値が低いという傾向があることにも留意が必要です。

例えば航空業界の場合、アメリカのサウスウエスト航空は「62」ポイントであるのに対して、日本のANAは「-6.6」となっており、大きな差があります。

欧米諸国との差の理由として、日本人の多くが「自分は満足していても、友人はどう感じるかわからない」というように中立的な立場を重んじる傾向にあることが考えられます。

したがって大切なのは、eNPSスコアの数字を比較して一喜一憂するのではなく、結果を踏まえて自社なりの活用方法を考えることだといえるでしょう。

参考:eNPS℠は何によって上がるのか ー 16業界eNPS℠調査結果【前編】

eNPSはどのように活用するか

それではeNPSの活用方法を考えてみましょう。

結果をもとに課題を発見する

1つめの活用方法は「eNPSの結果をもとに、これから自社が取り組むべき課題を発見すること」です。

例えば、自社の推奨者、中立者、批判者の割合を分析し、推奨者を増やして批判者を減らすための解決策を具体的に考えられるとよいでしょう。

また定期的にeNPSを調査することで、今の課題設定や解決への取り組みが適切なものなのかを確認することができます。

セグメント別に改善策を検討する

2つめの活用方法は「セグメント別に改善策を検討する」です。

eNPSのスコアを算出するために、従業員を回答ごとに3つのセグメントに分類しました。この3つのセグメントごとに、強みや改善点を抽出し、それぞれに適切な取り組みをすることができます。

例えば、成績が優秀にもかかわらず「批判者」に分類された従業員に対しては、そのような評価をするに至った原因を探りましょう。

原因を解消するような施策を打てれば、優秀な従業員の離職を防ぎ、ロイヤリティを高めて「推奨者」に引き上げられる可能性があります。

eNPSを高めるために見直したい具体的なポイント

eNPSの数値が低いということは、何かしらの理由によって、職場への満足度が低いということを表しています。

理由を探り、改善するための施策を実行することで、eNPSを高められるでしょう。

eNPSを高めるために見直したい具体的なポイントとして、次のようなものが挙げられます。

適切な人事評価制度ができているか

1つめのポイントは適切な人事評価制度ができているかという点です。

従業員は自分の働きに対して、適切な評価がなされ、正当な報酬が支払われていないと不満を持ちます。

適切な人事評価をされない企業は、身近な家族や友人に勧めたいとは思わないでしょう。

人事評価制度の見直しにあたっては、制度そのものの見直しのほか、従業員の成果が見える化できる取り組みをしたり、上司や同僚による表彰制度を導入したりするのもおすすめです。

従業員に適度な裁量が与えられているか

2つめのポイントは、従業員に適切な裁量が与えられているかという点です。

働く上でやりがいを持つには、ただ上司から言われたことを実行したり、ルーティンをこなしたりするだけでなく、自分の裁量で動けることが必要です。

適度な裁量を与えられることで、会社から信頼されているという気持ちを持つことができ、仕事にやりがいをもって取り組むことができます。

自分の仕事にやりがいをもった従業員は、顧客に対してよりよいサービスを提供したいという熱意が高まります。

結果として、顧客満足度が上がり、顧客から自社への評価も上がるという好循環を生み出すことにつながるのです。

裁量を与える方法としては、例えばプロジェクトを主導する立場を任せたり、決定権を拡大させたりすることが考えられます。

従業員との対話が行われているか

3つめのポイントは、従業員との対話が行われているかという点です。

コミュニケーションが活発に行われている職場では、従業員が不満を吐き出しやすく、不満が経営陣などに伝われば、改善される可能性も高まります。

また対話を通して信頼関係が強化されるので、困難な局面でもチームで乗り越えられたり、顧客満足度を上げるために新たな取り組みにチャレンジしやすくなったりします。

従業員との対話を増やすためには、1on1ミーティングの実施やメンター制度の導入が考えられるでしょう。

また従業員同士がコミュニケーションを取りやすい職場環境を整えるのもよい方法です。

立場を気にせず誰もが気軽に集まって、食事をしながら会話ができるようなスペースが職場にあれば、従業員との対話はよりスムーズになります。

こちらについては、後述する「食の福利厚生を利用した働きやすいオフィスづくり」も参考にしてください。

働く環境は整っているか

4つめのポイントは、働く環境が整っているかという点です。

例えば、自社の職場環境はすべての従業員にとって仕事がしやすい状態になっているか、過度な長時間労働がないか、などをチェックしてみましょう。

また福利厚生を充実させることで、職場環境に対する満足度を上げることもできます。

創業時から福利厚生を見直したことがない場合には、時代や従業員の年齢層などの変化に合わせて利用しやすい福利厚生に変更することもおすすめです。

働きやすいオフィスづくりに「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」

オフィスで野菜

働きやすいオフィスづくりにおすすめしたいのが、食の福利厚生「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」の導入です。

「オフィスで野菜」は、専用の冷蔵庫(または冷凍庫と電子レンジ)を設置するだけで、どんな規模の企業でも簡単に導入できる食の福利厚生です。

「オフィスで野菜」は1個100円からという手軽さで、健康にいい野菜中心の惣菜やサラダから栄養バランスのよいランチメニューまでを、いつでも食べられるサービスです。

オフィス内で購入できるため、さくっと自席で食べることもできますが、従業員が集まるスペースに設置すれば、コミュニケーションの機会を生み出すことにも貢献できます。

例えば休憩室や飲食可能なスペースの近くに冷蔵庫を置くことで、従業員が自然と集まり、食事をしながらリラックスした会話を楽しめるでしょう。

提供されるメニューも月ごとに変えることができるので、飽きずに食べられる上、従業員の話題にもあがりやすくなります。

管理栄養士が監修した健康的なラインナップばかりなので、お互いの健康の話から趣味の話につなげるなど、会話のきっかけにもなります。

なにより、雰囲気がよく、コミュニケーションが活発な職場であれば、自然と友人や家族にも勧めたいという気持ちになります。その結果、eNPSの数値をアップさせることにもつなげられるでしょう。

まとめ

eNPSについて、スコアの算出方法や活用方法、具体的な取り組み方法などについてご説明しました。

ただ調査をして満足するのではなく、eNPSの結果を活用して従業員のエンゲージメントを高め、具体的な施策を打つことで、働きやすい職場づくりができるといいですね。

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