企業の健康経営

-2023.01.23.Mon

心理的安全性の高い組織を作る方法とは?施策のポイントを解説

ここ数年、コロナ禍の影響により従業員が1人で作業する時間が増え、以前とくらべてオフィス内のコミュニケーションが不足していると感じている企業も多いことでしょう。

労働生産性の向上を図る上で、気兼ねなく意見交換ができる環境というのは非常に重要で、それは従業員の心理的安全性を高めることにつながります。

今回は心理的安全性の高い組織を作る方法や、その施策・ポイントについてくわしく解説します。

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心理的安全性とは

心理的安全性とは、1990年にアメリカ合衆国にあるハーバード大学のエドモンドソン教授が提唱した概念です。

具体的には、組織やチーム内で役職や立場に関係なく率直に意見を述べ、違和感を指摘できる状態を意味します。

グローバル社会といわれる昨今は、コロナ禍だけでなくビッグデータやデジタル技術、SDGsへの取り組みなど、変化の激しい時代です。

今後、そんな時代の変化に企業がうまく対応しながら成果を出し続けるには、単なる個人の集まりとしてではなく、組織やチームの一体感を意識して生産性を高める必要があります。

なぜ「心理的安全性」が注目されているのか?

心理的安全性が注目されているのはなぜなのでしょうか。

そもそもは、Google社が2012年より約4年間実施した「プロジェクト・アリストテレス」において、生産性と心理的安全性が比例するとの研究結果を発表したのがきっかけでした。

ちなみに、「プロジェクト・アリストテレス」という名称は、「全体は部分の総和に勝る」という古代ギリシャの哲学者アリストテレスの言葉に由来しています。

Google社は、このプロジェクトで「チーム」を主体とし、エンジニア系のプロジェクトチーム115と営業チーム65の計180チームを対象に必要な情報を収集しました。

その結果、相手にネガティブな印象を与えても受け入れられる心理的安全性の高いチームのほうが、生産性が高かったのです。

今後、企業にとってメンバーが健全に意見をいい合い、違和感があれば遠慮なく指摘できる心理的安全性は必要不可欠なものとなるでしょう。

実際に、各メンバーが「同じ目標に向かっている」と実感できる心理的安全性の高い職場は、働きやすいといわれています。

参考:「効果的なチームとは何か」を知る

心理的安全性が高いことでもたらされる効果

心理的安全性が高いことでもたらされる効果は、大きく分けて4つあります。

1.アイデアの発信やコミュニケーションが活発になる
2.イノベーションが生まれやすくなる
3.ストレスが減り働きがいが増す
4.人材が定着しやすくなる

この4つの効果について、くわしく説明しましょう。

アイデアの発信やコミュニケーションが活発になる

1つ目の効果として、心理的安全性が高いとアイデアの発信やコミュニケーションが活発になります。

お互いに気兼ねせずに発言できるため、チーム内では仕事だけでなく日常的な会話も弾み、各メンバーが積極的に意見を交換できるようになるでしょう。

また、各メンバーの経験や知識に基づいた発言でチームの視野が広がり、個人では考えられなかった「気付き」があったり、それぞれの意見をさらに発展させたりすることでアイデアの発信にもつながります。

イノベーションが生まれやすくなる

心理的安全性が高ければ、各メンバーの価値観から自分の得意分野に関する知識やノウハウを出し合えるため、イノベーションが生まれやすくなる効果もあります。

個人のアイデアや発想に、ほかのメンバーのアイデアや意見が加わることで相乗効果が生まれ、従来より高度なイノベーションも創出しやすくなるでしょう。

ストレスが減り働きがいが増す

ストレスが減り働きがいが増すのも、心理的安全性が高いことでもたらされる効果の1つです。

2021年に厚生労働省が実施した「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」とした労働者の具体的な理由の上位は、下記の通りでした。

順位不安・悩み・ストレスの内容割合
1位仕事の量43.2%
2位仕事の失敗、責任の発生等33.7%
3位仕事の質33.6%
4位対人関係25.7%
5位会社の将来20.8%


心理的安全性が高いと、仕事の量が多ければ助けを求めるようになり、仕事の失敗や責任を気にする負の要素がなくなります。

また、各メンバーが知識やノウハウを出し合って業務を遂行すれば、仕事の質も高まるでしょう。

「仕事=コミュニケーション」といいますが、立場や年齢に関係なく意見や反論をいい合える風通しのよい職場は、対人関係で悩まされることも少なくなります。

このように、心理的安全性が高いと、ストレスが減って働きがいが増し労働生産性が向上するため、企業の将来性は明るいでしょう。

参考:職場におけるメンタルヘルス対策の状況

人材が定着しやすくなる 

人材が定着しやすくなるのも、高い心理的安全性がもたらす効果の1つです。

自分を認めてくれる人が多く、違和感があっても気軽に指摘し合える職場では、各メンバーが自分のスキルやノウハウをチームのために活かそうとします。

チームや職場のために自分の知識やスキルを発揮できれば、社内エンゲージメントが高まり、離職率は低減するでしょう。

心理的安全性が低い組織はどうなる?

思うように周囲の人とコミュニケーションを図れない心理的安全性が低い組織は、4つの観点で対人関係のリスクがあり、望ましくない行動を起こすといわれています。

4つの観点における対人関係のリスク起こしがちな望ましくない行動
無知だと思われる(IGNORANT)正しく理解していなくても質問しない
無能だと思われる(INCOMPETENT)ミスをしても隠して報告しない
邪魔だと思われる(INTRUSIVE)仕事が飽和状態でも助けを求めない
否定的だと思われる(NEGATIVE)業務にリスクがあっても指摘しない

また、対人関係にリスクがあり、メンバーによる望ましくない行動の多い心理的安全性の低い組織には、2つの問題が発生する可能性があります。

1つ目は、「自ら挑戦しよう」という気力がなくなり、自分の経験や実践から学習しなくなることです。各メンバーの「新しい挑戦」がなくなれば、チームのスキルや知識も停滞します。

2つ目は、各メンバーの持っている知識や経験がチームに共有されなくなることです。一見、チームとして稼働しているように見えても、それぞれが持っている情報やノウハウを共有できなければ視野も狭くなり、チーム全体の大きな成長は見込めません。

このような心理的安全性の低い組織は、各メンバーのモチベーションや仕事のクオリティも下がるでしょう。

その結果、離職率の増加や労働生産性の低下など、企業にとって思わしくない事態に陥るリスクがあります。

心理的安全性を高めるポイントとは?

心理的安全性が高ければ、コミュニケーションもスムーズになり、仕事がしやすくなります。

この章では、企業にとってメリットの多い、心理的安全性を高める2つのポイントを紹介します。

心理的安全性をつくる「4つの要素」について知ろう

まず、心理的安全性をつくる「4つの要素」を理解しておきましょう。

1.話しやすさ
2.助け合い
3.挑戦
4.新奇歓迎

1つ目の「話しやすさ」は、「この人には何をいっても大丈夫」と思わせる要素です。

コロナ禍により、以前より減ったメンバー同士の雑談を増やすのも大事かもしれません。

しかし、それ以上に「仕事を円滑に進めるため、いいにくいことをいい合えるようにする」ことを本質としています。

この要素に必要なのは、業務を進めるうちに何らかの問題やリスクが発生した場合や、自分だけ意見が違う場合に遠慮せずに手を挙げたり異論を唱えたりする環境作りです。

心理的安全性をつくる「話しやすさ」の要素を維持できるチームは、「報・連・相(ホウレンソウ)」もスムーズになります。

たとえば、部下がクライアントからのクレームやトラブルを隠さずに報告し、反対意見を発言でき、指示や業務内容について積極的に質問できるチームです。

2つ目の「助け合い」の要素は、通常業務の範囲を越えたアクシデントやトラブルが発生した時に迅速かつ確実に対応する際や、自分のスキルやノウハウ以上の仕事をする際に必要になります。

具体的には、相談しやすい、どんなことにもアドバイスをくれる、クレーム対応の解決策を一緒に考えてくれるなど、チームのメンバーがお願いしたい、助けて欲しいと思う雰囲気があるかどうかです。

心理的安全性をつくる「助け合い」の要素を維持できている職場は、何かあっても協力してもらえるので、課題やトラブル・業務の遅延などをチーム内で共有しよう、相談しようという意識も高くなります。

たとえ相手が自分より目上の人や立場の高い管理職、クライアントであっても、業務を遂行するにあたって気軽に依頼できるため、チームの結束力も強まるでしょう。

3つ目の「挑戦」は、これまでやったことのない仕事やプロジェクトに率先してチャレンジしようとする要素です。

心理的安全性をつくる「挑戦」の要素は、「チャレンジした成果を褒める」よりも、「新しいことにチャレンジしたことそのものを褒める」という姿勢がポイントになります。

もし、挑戦して失敗しても「試したこと」自体を認めてもらえれば、これまでに試したことのない工夫をしてみよう、現在抱えている仕事の延長線上にはない新しいことをやってみようという意欲が出てくるでしょう。

4つ目は「挑戦」と似ていますが、さらに「人」にフォーカスした「多様性(タイバーシティ)」とも関係の深い「新奇歓迎」という要素です。

具体的には、新しい視点や方法、これまでとは異なる習慣などを持っているメンバーの能力や個性を受け入れる姿勢を指します。

心理的安全性をつくる「新奇歓迎」の要素を持っているチームでは、常識にとらわれず、さまざまな観点から意見を述べることができ、目立つ発言や行動も受け入れてもらえます。

さらに、各メンバーの持っている個性や能力、専門性やノウハウを考慮した最適な人事配置が可能になるため、チーム全体の質の高いパフォーマンスにもつながるでしょう。

心理的安全性を高める方法

2つ目のポイントは、心理的安全性を高める方法を知っておくことです。

ここでは、心理的安全性を高める5つの方法をご紹介します。

1.不安を取り除く仕組みを作る
1on1ミーティングや勉強会などをセッティングし、ディスカッションできる場を設けて、少しずつ不安を取り除き、メンバーが自由に発言できる仕組みを作ると効果的です。

2.平等に発言できる環境を作る
立場の強い人やベテランだけでなく、入社して日の浅い人や立場の弱い人も平等に発言できるような環境作りを目指しましょう。

3.共通の価値観を浸透させる
意見をいうことが顧客のベネフィットや、よりよい商品・サービスにつながるという共通の価値観をチーム全体に浸透させると効果があります。

4.組織やチームの評価方法を検討する
ミスしないか、ほかの人との差が気になるなど、個人に対する成果主義ではなく、チームやプロジェクト単位の評価方法を検討するのも一案です。

5.コミュニケーションの場を設ける
リラックスした状態でメンバーが信頼関係を築けるよう、仕事以外で気軽にコミュニケーションを図れるような食事会や飲み会を企画するのもよいでしょう。

この内容を実践するにあたり、心理的安全性は「なれ合い」ではないという点に注意が必要です。

何でも許される・頑張らなくてよい「ぬるい関係」ではなく、必要な時に反論や意見を述べ、責任感や意欲をもって仕事に取り組めなければ意味がありません。

チームのリーダーを中心に、状況に応じて各メンバーの進捗状況を確認したり、指示や注意したりして確実な心理的安全性の向上を目指しましょう。

OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)がコミュニケーションのきっかけに

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心理的安全性を高めるには、チーム内の連携や信頼関係が必要不可欠です。そのきっかけ作りとして、企業が自由に設定できる法定外福利厚生の「食の福利厚生」を充実させるのもよいでしょう。

なかでも、設置型社食サービスOFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)は、心理的安全性を高めると同時に、「健康経営」も実現できるのでおすすめです。

OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)は、オフィス内のスペースに専用の電子レンジと冷蔵庫を設置するだけで簡単に導入できます。

プランは2つで、野菜やフルーツを使用したスナック類やドリンクを中心とする「オフィスでやさい」と、管理栄養士が監修したごはんものや肉料理・魚料理を自由に組み合わせられる「オフィスでごはん」です。

どちらもこだわりの新鮮で安全な食材を使用しており、従業員は1ヶ月1個あたり100円(税込)から利用できます。

ビタミンやミネラルなど、現代人に不足しがちな栄養素を取り入れたメニューは、年間60種類とバラエティ豊富で、従業員の健康維持にも最適です。

オフィス内のリラックスできる一角に「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」を設置してコミュニケーションのきっかけ作りにすれば、心理的安全性も高まるかもしれません。

まとめ

企業が、日々変化する現代社会で労働生産性を高めるためには、コミュニケーションによって構築された信頼関係のうえに成り立つ結束力・団結力が必要です。

各メンバーが自分の能力を思う存分発揮し、時にはリスクや間違いを指摘したり、反対意見を述べたりできるチームワークの高い職場は、心理的安全性も高いといわれています。

まずは、「健康経営」にもつながる食の福利厚生を充実させて、オフィス内のコミュニケーションを活発にする「きっかけ作り」から始めてみませんか。

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