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今回は、CHO(Chief Health Officer)室を立ち上げ、いち早く「健康経営」に取り組まれてきたDeNAのCHO室 室長代理、平井孝幸氏にお話をお伺いしました。経営戦略として健康経営に取り組む、DeNA流「見える化健康経営」とは?
■ゲスト(写真左)
株式会社ディー・エヌ・エー CHO(Chief Health Officer)室 室長代理
健康経営アドバイザー
渋谷ウェルネスシティコンソーシアム理事長 / 平井 孝幸 氏(以下、平井)
■インタビュアー(写真右)
株式会社KOMPEITO 代表取締役社長 / 川岸 亮造(以下、川岸)
川岸 :本日は株式会社ディー・エヌ・エーさんにおじゃまして、CHO(Chief Health Officer)室の平井さんにお話を聞かせていただきます。平井さんは色々な所で健康経営についてお話されていると思うのですが、そもそも DeNA で CHO 室というのはいつから立ち上げられたのでしょうか?
平井 :CHO 室という部署ができたのは 2016 年の1月です。「健康経営」という言葉を知ったのは、日経ビジネスの『時代は「健康経営」 エクセレントカンパニーの新常識』という特集を見た 2015 年 8 月でした。 以前から健康への興味関心があり、自分自身で食生活を変えて、体重を 3 ヶ月 間で 15kg ぐらい落としたこともあります(笑)
川岸 :3 ヶ月間で 15kg?! 体への負担は大丈夫でしたか?
平井 :以前は、185 cmで 80 kgぐらいあったんですよ。 普通の体型ではあったんですが、ある本を読んでその通りに実践したら 3 ヶ月 で 15kg 痩せてしまって。でも、ストイックにやりすぎて自分のベスト体重を下 回ってしまったと感じたので、その時の食生活は今は行ってないですね。
川岸 :そうですよね。185 cmで大体 65 kgぐらいだと、だいぶ細いですよね。
平井 : 結構運動もしていたので、当時はもっとげっそり気味で。急に体重が 落ちたので周りに心配されてしまうこともありました(笑)
川岸 :ご自身の中で食生活を変えたりしている中で、「健康経営」という言葉 に出会われたんですね。
平井 :はい、自分の体を使って、食事以外でも運動、メンタル、睡眠と、い ろいろ取り組んできました。私自身は、比較的楽しく幸せに取り組んできた一 方で、会社のメンバーを見ると、歩き方がぎこちなかったり、姿勢が悪かった り、体が痛いと言っていたり・・・という社員が見受けられたので、みんなに ちょっとした知識があってそれを実践するだけで今の状態が良くなるとした ら・・・と考えたんです。
川岸 :ご自身で実践してみて幸せだったんですもんね!
平井 :そうなんです。みんなに伝えてあげれば、一人ひとりの痛みがなくなったり、生産性が上がるんじゃないかと考えていた矢先に「健康経営」という言葉を知ったんですよ。また、経済産業省や厚生労働省などと一緒に、企業が従業員における健康サポートを行い、企業の競争力を高めるという取り組み方針が確立されていました。これを知って、自分の仕事にするしかないと思いました。当時私は人事部にいたのですが、人事部の責任者や現代表取締役会⻑の南場に話を持って行って、どうしても健康経営をやりたいと言ったんですよ。
川岸 :では、CHO室は平井さんが発信してつくられたんですね!CHO は、南場さんですよね?南場さんがつくられた部署なのかなと思っていたんですが、設立の背景には、平井さんの熱い思いや行動があったんですね。
平井 : 実はそうなんです。それで当時、CHO 室構想が始まり、いろいろな本を読んだり、健康経営に取り組んでいる企業に何十社もお話を伺いに行きました。そうすると、トップのかけ声が大事だということがわかったんですよ。
川岸 :トップのかけ声と、トップがコミットしていることを伝えることですよね。
平井 :はい、そういうことを聞いたので、弊社トップである南場に CHOへの就任を掛け合い、2016 年 1 月に創設しました。
川岸 :では、「健康経営」という言葉に出会ってから、すごいスピード感ですね。
平井 :そこはもう全力コミットで。
川岸 :そもそも平井さんは、実験台じゃないですけど・・・なぜご自身の体を使って健康に取り組もうと考えられたんですか?
平井 :私、高校時代からゴルフを始めたんですけど、そのゴルフがありえないぐらい上手くなったんですよ。始めて 3 ヶ月ぐらいで 75 で回れたりして。
川岸 :えっ?!
平井 :そうなんですよ。それで調子に乗って、世界で活躍できるようなプロゴルファーになりたいと思い始めたんですよね。ゴルフで活躍するために、ゴルフスキル以外にも、食生活やフィジカル、メンタルなど、極めるなら全方位的に学ぼうと思い、勉強を始めたのがキッカケですね。
川岸 :そうなんですね。では、働き出す以前から、むしろアスリートになるために、というのがキッカケだったんですね。
平井 :そうなんです。もともとは健康とか全く関係なく、パフォーマンスアップが目的でしたね。だから、今も健康経営している中で、ただ”健康のため”というよりは、“いかにみんなのパフォーマンスやポテンシャルが引き出せるか” という点に特化した取り組みが多いですね。
川岸 :どうしても健康経営というと、”健康のため”というのを目的に置きがちですが、そうではなくて、そもそもパフォーマンスを上げること、あるいは幸せに暮らすということですよね。 パフォーマンスを上げて、今日も絶好調!みたいな感じで幸福感が上がる様な状態を作るために、手段としての「健康経営」みたいな感じですか?
平井 :それに補足しておくと、DeNA では人事総務部門や健康管理室が、安全や衛生面をきめ細やかにケアしてくれていたので、そことは違う役割にしたいと思ってました。
川岸 :どちらかというと、人事総務部門や健康管理室は、ディフェンスのイメージですね。
平井 :それに対して、CHO 室はいかにゼロをプラスにできるか、プレゼンティーズムの解消などに向けて動くイメージですね。
川岸 :プレゼンティーズムは、出勤しているけど 100%のコンディションが出せないために失われているコスト。今、それが社会全体で医療費より断然大きいという問題を我々も主張しています。
平井 :軽度の健康リスクとも言うんですけど、肩こりや睡眠の悩み、二日酔い、花粉症など、そういう症状を総称してプレゼンティーズムっていうじゃないですか。これまで、それがどれだけ生産性の損失になっているかを数値化されていなかったと思うんです。その算出を試み、数値、つまり損失をいかに0に 近づけるかに挑戦しているのが、DeNA の健康経営の取り組みの特徴のひとつだと考えています。
川岸 :CHO 室ができて 2 年ちょっとぐらい経っていると思うんですが、プレゼンティーズムコストは減りつつあるんでしょうか?
平井 :そうですね。プレゼンティーズムコストの削減に関する取り組みに特化しているという感じです。昨年度は腰痛、食事に関する取り組みに注力しました。今後はメンタルや睡眠に関するプロジェクトも行っていこうと考えています。
川岸 :睡眠って、なかなか企業では取り組みづらいと思うんですが・・・
平井 :睡眠は、個人的には案外簡単だと考えています。というのも、睡眠の質を下げないための知識があるだけで、結構悩みが改善することも多いんです。
川岸 :そうなんですね。食と運動面が比較的手を打ちやすい印象でした。我々のサービスは食ですが、運動面だと、修業時間の間や終わりでヨガをやりましょうとか。そういうのを含めて、手をつけやすい。あとは、睡眠とメンタルがあって、メンタルはチェックしましょうと言えるん ですが、睡眠は何も手をつけようがないということが多いと思っていました。実は、そういう教育というか、正しい知識で変えやすいということですね。
平井 :今、自分が新しいプロジェクトにしたいなと考えているものの一つのが仮眠です。仮眠をサボりじゃなくて、”生産性向上のため”という位置付けをして いきたいと考えています。机の上で寝ていると、寝不足でサボっているとか思われがちですが、眠気を催すなら 15 分ぐらいの仮眠はすごく有効だと言われています。社内での仮眠がネガティブに捉えられるのではなく、積極的な仮眠として、その後の生産性を上げていけるような風土を作っていきたいなと思い、昨年の新卒研修から、全新入社員対して睡眠に関する研修を行い、睡眠リテラシー向上に取り組んでいます。
川岸 :睡眠リテラシーってすごいですね(笑)
平井 :ヘルスリテラシーの中の、睡眠リテラシー。そういう風に、スキルアップとかリテラシーアップというのに注目しています。
今回は、DeNAのCHO室設立の背景から、パフォーマンスアップを目的とした取り組みについてお話を伺いました。次回、後篇では、健康経営の見える化について深掘りしていきます。お楽しみに!
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